私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

魔力操作+を封じ込められた主人公ちゃん。
精密操作ができなくなって苦戦を強いられることに(手加減という意味で)
その後想定外の爆裂魔法を受けて……
一体どうなってしまったのか!


死んだと思われたのでシレッと溶け込んでみた

<めぐみん>

 

アクアの魔力でエクスプロージョンを二発。

土煙が舞い上がり、そして落ち着いた頃には先ほどまでいた一つの影は消え失せていた。

アクアから頂いた魔力を使い切り爆裂魔法使用後に訪れる体の重みで崩れ落ちる。

……正直、こんな展開になるなんて予想外です。

私は倒れて誰の顔も見えない状態で、ここには私とアクアの二人きり。

 

 

「めぐみん、もしかして泣いて……」

「な、泣いてなんかいません! ひぐっ……私は紅魔族随一の天才めぐみんですよ! 泣くなんて……」

「でも……」

「私は、泣いているんでしょうか……わかりません、わかりませんよ……私は今どういう気持ちなのかわからないのです」

 

 

どうしてでしょうか、師匠という壁を私は頭脳と爆裂魔法で越えたのに、それが目標で……

もしかすると師匠ならば何とかするかもしれない、あの苛烈な攻撃を受けきって世界を牛耳る新たな神様になってもおかしくない、そんなことを無意識に思っていたのかもしれません。

でも運良くと言っていいのかウォルバクさんと私の爆裂魔法を受け止めた時点で魔力はほとんどなくなり、その後、アクアの魔力を消費して放った二度の爆裂魔法で姿形残らずに消えて逝ってしまった。

 

 

「……私はまだまだ成長する余地があるはずなんです。だから師匠にはこれから先も成長を見守っていてほしかったのかもしれません」

「そうか」

「それなのに、まだ長い旅の途中なのに消えてしまうとは聞いていないのです。それに師匠ならあの裏の人格も自ら何とかして戦いを終わらせると思ってたのに」

「そうだな、そう言うパターンもあった」

「ですが、結局私は師匠を……ってアレ?」

 

 

そういうパターンもあった?

というか先ほどから口調がアクアらしからぬ堅い口調です……

まさかと思い顔を上げると。

 

 

「えっえっ!? …………えっ!?」

「どうした、鳩が豆鉄砲を狂ったように撃たれたような顔して……まさか某のどこか千切れておったか? なんての」

「し、師匠じゃないですか!? し、死んだんじゃ!?」

「残念だったかな。トリックだよ」

 

 

そこには何故かいつも通りの師匠の姿が。

……もしや私は死者の霊を見ているのでしょうか。

それとも現実逃避しすぎて幻影でも見ているのですかね?

唐突に現れた幻影に触れようと体を引きずって這おうとすると、それより先に師匠の手が私の肩に触れる。

触れる確かな温かみと感触、紛れもなく師匠だった。

 

 

「……ふっ、我が爆裂魔法、如何でしたか」

「さすが、某が一番弟子。よもや人の身で神を打負かす寸前の所まで至るとは」

「そうでしょう、そうでしょうとも! ズビッ…………我が爆裂魔法は全てを破壊へと誘う究極の魔法です!」

「しかし、惜しくも正気に戻ってしまったせいで神殺しの異名はお預けだ」

「そうですね…………ですが私は嬉しいのです、紅魔族的には残念と言うべきなのでしょうが私は……私は誰も失わずに済んだのが嬉しいのです」

 

 

それ以上、本当に、何と言えばいいのか。

私は師匠という家族にも似た掛け替えのない人を失わずに済んだことに心から安堵し、目に沁みた汗が瞳を紅く輝かせた。

 

 

 

 

 

<カズマ>

 

「さあ! アクセルの街に帰りましょう!」

「お、おお……」

 

 

めぐみんのそんな声に促され俺は帰宅の支度を済ませる。

昨日はいろいろありすぎて疲れたのにどうしてこいつはこんなにも元気なんだよ……

爆裂魔法打ち過ぎた衝撃で頭まで爆裂しちまったのか?

というか昨日のあれは爆裂魔法って呼んでもいいのか?

ゆんゆんが言うには「爆裂魔法を魔力で無理矢理圧縮させた魔法」らしいが、流石に別もんだろ!

 

……

 

そんなことより、だ。

今回の騒動はめぐみんが一番慕っていたと言っても過言じゃないあのナナシを……

いくら人外になったからと言って割り切れるもんじゃないし、今のめぐみんがいつも通り過ぎて。

俺だって彼奴にはいろいろ世話になったし今も心に蟠りというか喉に支えというか……そんな嫌な感じがある。

ならめぐみんはなおさらなんじゃないかって不安だ。

昨日は戦いが終わった後姿を見せなかったし、無理して明るく振る舞ってるんじゃないかって。

ダクネスもそんな俺と似たような感じなのか些かぎこちない。

 

 

「どうしたのですか? ゆんゆんがテレポートの準備を終えましたよ? 早く帰りましょう、我が家へ」

「……おう。ダクネス、行こうぜ」

「あ、ああ……」

 

 

そう言って俺とダクネスは荷物を持ち、手招きしているめぐみんとゆんゆんの方へ行く。

めぐみんが何かやっぱ無理してんじゃないかって不安で足取りは軽やかとは言えない。

何となくめぐみんと目を合わせずらくて下を向きながら歩く。

 

 

「あっ、皆さん来たんですね!」

「おっそいじゃない、この女神たる私を待たせるとはどういう了見かしら! もしかして二人とも寝坊でもしたのかしらぁ? 私は惰眠を貪るのに忙しかったところをゆんゆんたちに叩き起こされてまだ眠いのに二人は貴族らしいいい身分ね」

「どういうことなの? 私が怠惰を司ってるはずなのにいつの間にか権能がアクシズ教のものに!? 私より勤勉でありなさいよ!」

「あらなぁにぃ? もしかしてちょぉっと信者が増えたからって私より強くなったって勘違いしたの? 私の方が断然信者の質も量もいいんだから勘違いしないで朝食の焼きそばパンでも買ってきなさいな」

「某のでよければやるが?」

「あら、準備がいいわね! ……って焼き鯖!」

「朝食なのだろう? 焼きそばより相応しいと思うてのう」

「私は今は焼きそばパンの気分なんですけd……パク!? ……んーっ、養殖魚ならざる臭みのない油ね! どこの畑で採れたのかしら」

 

 

「……なんでお前らいるんだよ」

 

 

思わず二度見したわ!

お前、死んだはずじゃ!?

それとお姉さんは敵のはずじゃ!?

 

 

「次にお前はこう言う……どうして貴様らがここにいるんだ!? と」

「ど、どうして貴様らがここにいるんだ!? ……はっ!?」

「オイ、今のは抵抗できた予言だろうが!」

「簡単なことだ、あのとき最後の二発のうち1発を防御できずに生身で受けた私は正気を取り戻し、そして瞬時に状況を察しテレポートして脱出した、ただ、それだけのこと」

「ちなみにお姉さんは?」

「わ、私は魔王軍のみんなを魔王城まで転移させて、使徒ちゃんに勝つために爆裂魔法で魔力タンクを砦ごと破壊しちゃったから、その、絶賛反逆認定されて逃走中……と言ったところかしら?」

「あ、それは某が虚偽のリークしたせいだ」

「何をしてくれてるの!?」

「うん、とりあえず俺もお姉さんに同調しておく。何やってんのマジで!?」

「すまないことをしたとは思っている。しかしながらだ。人類と敵対する限り邪神殿は暴虐の猫に吸収されてしまう運命にある。というわけでウォルバク殿は人類に味方し、勇者候補を信者として新規獲得。そしてこの戦いでめぐみんに並ぶ功労者であるとしてだな……。あ、あの戦いのおかげでウォルバク殿の信者が増えて女神としての力が強まったのも……」

「待て待て待て!? 情報が過多すぎるんだが!?」

 

 

つまりどういうことだってばよ!?

俺の知らない間にナナシはテレポートして助かってて、そんでお姉さんとも今後敵対せずに済むってことか?

……なるほど、展開が早すぎて浦島太郎現象だわ。

 

 

「さらに付け加えるとすると、某は邪神としての格があがってしまっての。ウォルバク殿が人類サイドについたことで行き場のない邪の部分を取り込んだことで僅かながら某の胸のサイズが念願叶ってアップしたのじゃ!!」

「テンション高いな……。もしかしなくてもやっぱ裏の人格とやらってお前の欲望部分というか本心の権化なんじゃないのか?」

「はて、某は常に欲に従う迷惑かけぬアクシズ教聖女じゃが?」

「そ、そうか…………どうでもいいが、もしかして邪神になっていくと胸のサイズがどんどん上がるとかないか?」

「言われてみれば確かに、いや、どうであろう……」

「だってお姉さんのは明らかにスイカからパイナッポーになったじゃん」

「…………な、なにかしら? 私の胸に視線を感じるのだけれど……」

「お構いなく」

 

 

いや、絶対そうだ!

エリス様は清楚だからパッドなんだ!

異論は認めなくもないが俺はそう信じてる!

 

 

「ね、ねえ? お姉さん恥ずかしいんだけど……」

「お構いなく」

「構う! か、カズマには私というものがあるのだからそう言う獣のような視線は私にしてくれないと困る!」

「ドMは引っ込んでろ!」

「クッ……好意的な女に対してそんな言いよう……///」

 

 

さっきまでの気の沈みようが嘘のようにドMだな。

うちの変態クルセイダーはいつも変わらぬようです。

ほんと、邪ボディーしてるやつは邪気が多い傾向にあるのかもしれない。

ウィズだってアンデッドだし、ルナさんやセナさんは……結婚願望激しいってことにしておこう。

 

 

「そんで、他に何か言うべきことは?」

「かつてウォルバク殿の胸を見て『あ、あれは人を堕落させる胸だ! 邪神エリスはパッドだからなんとか耐えられたがアレは視界に入れただけで行動を制限させる……クッ収まれ我がドラゴンカリバー! あれはアクシズ教の敵だ! 邪心を抱かせる邪神だ!』とか言って邪神認定した旨が記載されている聖書をゼスタから奪って燃やした」

「ナイス! それはナイス! 碌でもない聖書すぎてアクシズ教ごと炎上させてくれてもよかったがナイス! ……じゃなくて!」

「で、ではあれか? 邪神認定をされ、滅ぼされかけ、人類が支配する地を追われた邪神殿は魔王領へ行き着き、そこで魔王に衣食住を提供してもらう代わりに働きはじめて……」

「うん、それでもないよな?」

「えっと……その……すまなかった」

「おう」

 

 

何だか知らない情報をどんどん言われて未だに混乱している俺だが、そんなことはどうでもいい。

本当はまだ巨大な魔獣が一体どうなったのとか、魔王軍と今でも手を組んでいるのかとか、聞きたいことは山ほどだが、今はこの戦いが誰一人の戦死者を出さずにすべて終わったことをよかったって思うべきだ。

……いや、やっぱ待った。

 

 

「なあ、裏の人格に乗っ取られたとか言いつつ、実のところ演技じゃないのか? だって誰も死んでないとか奇跡だし、絶対手加減してたし、今回起こったことのすべてお前が仕組んだことなんじゃないか? 戦闘も含めて。本当のところ不測の事態なんてなかったんじゃ……」

「……」

「……」

「スゥー…………ゆんゆん、テレポートを頼む」

「あっ! 逃げやがった!?」

 




これにて第9巻までの話は終了です。
アンケートの結果を見てモチベ上がったら続き書きます。


というわけでいつものように内容が確定していないのに次回予告。

一番の目的、邪神ちゃんを救うを達成し満足した主人公ちゃん。
しかしカズマには転生者であることがばれ、さらには尊敬の眼差しが紅魔族を見るような眼差しへと変貌してしまう。

これはいけない、ただでさえ低下した神パワーが落ちてしまう!
どうにかして敬意を取り戻すために……

現在第九巻。最終巻第十七巻。最終確認。

  • 最終巻までみたい
  • ここらで締めてもいい
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