のりで書く前回のあらすじ
死んだはずの主人公ちゃん、例のごとく死んでいなかった。
邪神になったことで爆裂魔法一発受けてもギリギリ死なない馬鹿耐久力を手にしてしまった一方、強大な力に溺れて闇落ちせずにすむのか!?
そして自ら作り出してしまった裏人格を制御することができるのか!?
新たな冒険が今始まろうとしている……はず。
リッチーと大悪魔が働く店に邪神が加わった
<主人公ちゃん>
ウィズ魔道具店中二病店員の朝は早い。
今日も今日とてせっせと野良稼ぎ、養しょk家庭菜園している回遊鮪の群れと肩慣らしの死闘を繰り広げ、サムイドーのポテイトと青き森に自生するリンガ……
まあ、今日分の食べ物を収穫し、早速ツナマヨサンドとポテトサラダサンドを作り……
ました!
いやぁ我ながら上出来の今日も美味しい焼きたてジャムおじパンのいい香り!
そのかほりに刺激されたのか、
「おはよう……ってこんな朝早くから何かいい匂いなんて……どういうことなの!? も、もしかして朝食が準備されてるの最上級のもてなしなの!? 私、居候なのになんて好待遇!?」
「おはよウォルバク殿、これは某の日課故気になさらず席に着くとよい」
「そ、そうなの? ならごちそうになるけど……それはそれとしてリッチーって寝るの? 初耳なんだけれども」
「ふわぁー……リッチーだって寝ますよーおはようございますぅ……今日はなんですかぁ?」
「おはよウィズ。朝食のヒントはマヨだ。答え合わせは食卓で自らするとよい」
ちなみにポテトサラダにはリンゴをインしてみました。
……もしかして反対派閥の方ですか?
スゥー……リンゴにマヨネーズはアリですよねそうでしょう?(洗脳中)
ナシってゆーなら酢豚にパイナッポーもなしなの?(異論可)
それともマヨラーを否定する気ですか?(マヨ狂)
まだ間に合う、お前もマヨラーにならないか?(猗窩座)
ならないならば殺す!(猗窩座)
……あ、危ない!
突如として出現した過激な
くっ、またしても我が平穏を乱そうとするか裏の人格よ!
おとなしく深淵の闇に眠れ!
そんな感じでまだしぶとく生きている心に潜む鬼と格闘しているとウィズが朝食を見て。
「わー! 美味しいです!」
「まだ食べてもないのに気が早すぎやしないかしら!?」
「いえ、ナナシさんの朝食を食べ過ぎて体重がちょっぴり増えた気がする私にはわかります! これは美味しいんです! いただきます!」
「リッチーって太るのかしら?」
「んー、やっぱりナナシさんの朝食は格別です! しっとりふわふわのパンに具が合いますね! ウォルバクさんも食べてください、美味しいですよ?」
「今さらだけど貴女、アンデッドなのに飲食するのね。肉体的には死んでいるはずなのに不思議だわ」
「確かに言われてみたらそうかもですね……まあそんな難しいことはバニルさんに任せて、ウォルバクさんも食べてみてください!」
「え、ええ、頂くわ……初めましての料理だけれど美味しのかしrンまあぁぁい! なんと言う素材の旨味! まさか本物のマグロ!? しかも生臭くなくて新鮮! しかも味を引き立てる辛味抜きされた玉ねぎのアクセント!」
「このポテトのも美味しいです!」
「ご、ごくり! で、でもポテトってあの飢えを凌ぐときに食べる緑色の毒でしょ? そんなのが美味しいわk美味しぃ!? しかももしかしてこれはリンゴ!? イモの素朴な甘味! シャクリと噛めばリンゴの蜜! あのとき死ななくてよかったわ! 本当に生きててよかったわ!」
「喜んでくれてよかったです! ね、ナナシさん」
「あ、ああ、そうだな」
そんな魔王軍幹部と元魔王軍幹部の平和なやりとりの最中、私の脳内では……
奥義!
を繰り出して私は克服すべき私の第2人格に勝利しました。
私は300億の男を越えたんだ!
ふう、失礼、お騒がせして申し訳ありません。かつてマヨネーズ丼をバカにされた記憶が蘇って過激派マヨラーの裏人格が出てきてしまいました。
二人の美味しそうに食べてくれる様子を見て何とか理性を保てたけど危ないところだったもので心が乱れました。
重ねてお詫び申し上げます。
そんなこんなで今日も楽しくウィズ魔道具店は営業開始なのです!
ちなみに今日からウォルバクさんが臨時バイトとして頑張ってくれるらしい。
神様だし、商売繁盛の験担ぎで居候すればいいのにと言ってみたら……
「使徒ちゃんも神様なら私も働くべきよ!」
……などと怠惰を司っているとは到底思えない勤勉発言により今に至る。
ペテ公も怠惰担当だったのに勤勉だし、一体どういうことなのでしょうか?
なんて考えていると本日第一客人が入店。
初バイトのウォルバクちゃん、今ここで元気にいらっしゃいませだよ!
「よう、ダスト様が遊びに来たぜぇ! ゆんゆんいっかー?」
「い、いらっしゃいませ!」
……失礼、お客さんではなく借金まみれのダスト、通称マダオでした。
どうせ博打に負けて借金できたからチョロいゆんゆんをクエストに誘ってリーンにバレる前に何とかしようとしたのでしょうが、残念ながら頼みの綱のゆんゆんはめぐみんと爆裂散歩に行っているのでいません。(千里眼で確認済み)
そんな支払い能なしは客じゃあないのです!
強いて言えばクレームつけてタダで商品を奪おうとする山賊!
というわけで保護者ことリーンさんに引き取ってもらおうとチクって、ついでにどうにか追い出そうと思っていたのですが……
なぜか横に吹き飛ばされ片膝をついて苦しんでいるゴミ。
はっ……!?
も、もしやウォルバクちゃんの仕業か!
あの振り向きざまに爆乳で遠隔攻撃を!?
あの重量の胸でビタンってしたら、それ即ち死!
「……くっ、俺としたことが初撃で片膝ついちまうとは。やるな、巨乳のねーちゃん。新人店員か?」
「は、はい、今日から……。あ、あのぅ、何か私の胸についているのかしら? やけに熱い視線を感じるのだけれど……」
「あ、ああ、ついてるっちゃーついてんな」
「す、すみません! 私新人なもので……」
運のいいヤツ、何とか即死は免れましたか……
そんな鼻の下を伸ばしすぎてとんでもない顔になってるバカの言葉を真に受けたウォルバクちゃんが胸についているものを取り払おうと手で払いました……
しかしそんなことしても貴女の胸についているのは立派な大胸筋パイナッポー。
圧倒的重量感、それを以て繰り出される圧倒的破壊力。
つまりソレは色欲に溺れた男1人を殺害するには十分過ぎる破壊力を内包した凶器であった。
「ぐっはあッッ!」
「お、お客様ー!?」
視覚を刺激して精神の過剰興奮を誘発させるタイプの科学兵器。
脳味噌と言う名の理性を焼き切られた男は鼻から致死量に迫る夥しい量の血を垂れ流す。
初撃で即死級のダメージを負っているのに追撃とは……もう、クズは助からない!
一応あれでも人なので救命しようとしてたけど、助からないことを悟り諦めかけた、そのとき!
膝を震わせながら立ち上がるカスがいた。
「アルバイトのお、お姉さんにはこの店のなんたるかをこの店常連ダスト様が手解きしてやる! か、感謝を伝えたいってならこ、ここ今度! い、一緒にお茶でも」
「……その性への渇望、執着に敬意を表す」
「邪魔だ……俺には……揉まなきゃいけないモンがある……そこをどけぇぇ!」
「死人は大人しく眠れ! バニル直伝! ナナシ式殺人光線! 弱!」
「ひぎゃあああ!?」
この光線(強)に当たって生きていた者は1人としていない、なお、当たらずとも生きていた者は1人としていない。
何故なら初めて使うから!
……ふー、すぅーっとしたわ。
「お客様に殺人光線を放つなんて……使徒ちゃん一体どう言うことなの!?」
「何、ゴミ掃除したまでのこと」
「そんなことばっかりしてると邪神としての格があがるとか言ってなかった!?」
「悪鬼滅殺、これが世界平和のために今私ができる善行なのです」
「今、私って言ったわね!? また裏の人格に乗っ取られて!?」
「うそうそ、冗談じゃ」
「何でお前ら何事もなかったかのようにここいんの?」
おや、いつの間にかお客様第一号がいらっしゃったようだ。
<カズマ>
魔王軍幹部、邪神ウォルバク。
本来の力を封印されていたにも関わらず、爆裂魔法でチート持ち転生者を手玉にとって善戦していた温泉好きのお姉さん。
そんな強敵相手に死闘を繰り広げ、そんでもって
したはずなんだが……
「何でお前ら何事もなかったかのようにここいんの?」
「ウォルバク殿はアクシズ教の経典(邪悪)を燃やし邪神を脱却したからの、魔王軍にも人類側にも敵視されている故、ここに匿うことに」
それも気になってたけどそっちじゃなくて、どうしてナナシがのほほんと店員に復帰してんの?
その前爆裂魔法一発直撃したっつってたろ入院しろ!
そもそもお尋ねもんはナナシもじゃねえか……
俺は見たぞ、手配書張られた瞬間にアクシズ教らしき連中がうっとりした顔しながら配布されたポスター(手配書)を剥がしてんのを!
それからこの店にはリッチーと邪神と邪神と大悪魔……
「アクセルの街を魔窟にすんじゃねぇ! というかこの店に魔王軍幹部関係者集まりすぎだろ!」
「すでにサキュバスに男どもは掌握されておるのに今更何を……」
ど、どどどどうしてそんなこと知ってるんだ!?
お前女だろ男どもの秘密をどこで知っt……いや、こいつのことだし普通に俺より先にサキュバスのことは知ってるわ。
サキュバス全員バニルのファンだし、ひょこっとバニルの様子を見に魔道具店に足を運んだ瞬間にサキュバスの存在は探知してるわ。
一瞬取り乱したがナナシのことでいちいち驚いてちゃ心臓がいくつあっても足らない。
そんなこと思っているとお姉さんが。
「カズマくん、だったかしら? この前はいろいろとありがとう……というか使徒ちゃんがごめんなさいね?」
「いえいえ、こちらこそ内のパーティーメンバーがお騒がせしました……じゃなくて!」
「あ、そうだったわね、お客様本日は何をお探しですか?」
「えっとじゃあ爆発するポーションシリーズを……いや、そうでもねぇよ! 今日は別に何も買わないですから駆け足で商品とってこなくても!? 本当はナナシが人類と敵対して帰ってこれなくなったってウィズに頭を下げに足を運んだだけだから!」
「いや、某はこの国の頂点と癒着しておるのだぞ? どうして指名手配をもみ消せないと思うたか。そもそも一度死んだことにしたし、どうして手配書が出回ってしまったのか。後で目撃者には狙った記憶を喪失させるポーションをかけておくか……いや、しかしそれではせっかく目立ったのに……」
「うん、そうだったな、俺が馬鹿だった。というか恐ろしいワードが聞こえた気がするが、俺たちには適応されないよな!?」
「こ、こちら、爆発するポーションの詰め合わせです!」
新米アルバイターのお姉さんが胸をたゆんたゆんゆんさせながら箱詰めポーションをもってきた。
フッフッフと不気味に笑うナナシを見てぞっとしたが……どうか俺の。
買う気もなかったし一瞬いりませんと断ろうとして……男なら誰しも抗うことのできない魅力に当てられ……
俺はいつの間にか箱を持って店の外にいた。
人通りの少ない店の外には事件性のある血の池。
そして恍惚とした表情でキモいダストを嫌々ながらに引きずり連行するリーン。
何があったか一瞬理解できなかったが、これだけはわかった。
ダストがまたやらかした。
****
後日。
アイリスから手紙が届いた。
中身は「許嫁と会います。護衛してくださいませんか?」だ。
そして俺はお兄様の許可なくどこの馬の骨とも知らないのに妹の許嫁になった男を別れろと脅迫しに行くことを固く決意した。
……らばダクネスに監禁されかけた。
何とか脱出できたがアイリスと糞野郎をどうやって別れさせればいいのやら……
そんなことを思っていると妙案が頭に浮かぶ。
それはナナシの権力!
「というわけでどうにかなりませんかね?」
「さてはバカじゃろお主……」
「いや、だってナナシ様なら何とかなるんじゃないかって思うんすよ。だって紅魔族とエリス教とアクシズ教と銀髪仮面盗賊団とそれから、えっと……」
「肩書きならベルゼルグ王国王女代理と魔王軍幹部候補とダスティネス家領主代理、それから現人神とウィズ魔道具店店主代理、と言ったところか?」
「今何かやばい肩書きが聞こえた気がするの置いておく。つまり、一国どころか世界トップ! そうだろ!」
「知名度はそこそこだがの」
知名度がそこそこ、だぁ?
冗談は休み休みに言いなさいな、先日の一件は情報操作して危険人物のリストから姿を消したのは知ってるが、今までの経歴的に無名のはずない!
俺の中でのナンバーワンはお前だ!
「いいか、世界一位は世界一位だ! よしんば世界一位が二位だったとしたら?」
「……世界、一位、だ」
「そう! だから何とかしておくれよナナえも~ん! 転生者のよしみでちょっとだけなんとかならないか? 最悪名前を貸してくれるかデュラハンのスキルの『死の宣告』でも教えてくれたら……」
「風邪の菌に狙いを決めて死の宣告使えば体調は戻るし、そう言う用途なら教えるのは吝かではないが……」
「おおっ!」
「用量用法はきちんとお守りください、だ。どうせ使用用途が『魔王軍が許嫁殿に脅迫』とか『アクアが解呪できますが、結婚はやめておいた方が……』のように碌でもないのだろう? 却下じゃ」
ちっ、駄目か……
ナナシは、予想だが悪タイプだし、何とかしてくれると思ったんだけどな。
でなくても野良デュラハン探さずともナナシさんなら死の宣告くらい知ってるんじゃなかろうか……というかバニルの技使えるんだったら使えないわけない教えてクレメンスと思って足を運んだらビンゴ!
だったのに教えてくれないとなるとやっぱり野良デュラハンを捕まえるしか……
そんなこと思っていると俺の後ろからひょっこりはん。
勝手についてきた情報拡散速度音速のアクアと拡散絶対阻止するウーマンのダクネスが。
「ねー、のじゃロリちゃーん! 聞いて聞いて聞いて! あのヘタレカズマに痺れを切らしたムッツリダクエスがおいたして……」
「ああああああああ! なんな、なっ何言ってるのだアクア! こ、これは誤解で私が……って私はエスじゃにゃい! か、カズマもなんとか言ってくれ! 私はそんなことしてないだろ!?」
「ううっ……痴女に襲われて……ダクネスが俺んこと監禁して3日間甘やかし生活を送らせようと……」
「ち、ちが、違わないが違う!!」
「ダクネス殿……人それぞれに趣味はあるが人様に迷惑をかけぬように注意するとよい」
「な、ナナシさんまで!?」
そんな痴女ネスに忍び寄る影あり。
そう、こんな悪感情の香り(感情に香りがあるとか知らんけど)をプンプン漂わせといて、仮面の悪魔が見逃すわけがない。
この後絶対面倒くさいことになると察知した俺はそうなる前に退店を決意。
賑やかな爆発音とともにわちゃわちゃしている店を後にし、どうやって許嫁を別れさせるのかに思考を戻した。
次回予告
いよいよアイリスの護衛が始まる。
テレポートで王都に行く。
クレアから託される思い。
寂しさと悲しさとで胸が張り裂け今にも死にそうなクレアの思いを背負い、カズマは……