私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

ウィズ魔道具店の日常をお送りしました。
新たな居候神とリッチー、邪神、悪魔の計四人。
結構邪悪な組織ですね。


遠足に来たのでおやつを300 円に収めてみた

<カズマ>

 

助けてくれ!

異世界でフグに当たっちまった!

「痺れてきたら任せてちょーだい!」っつってた解毒担当のアクアは酒に溺れて死んだ!

 

ということがあったのが先日。

今はそのときのお礼、それから今日王都に出発するから我が家のペットどもを預かってくれないかと二人で頼みにウィズ魔道具店へ足を運んでいる最中だ。

俺と、めぐみんだ。

アクアは面倒くさいことにならないように家においてきた。

 

それにしてもあの時は流石の俺でも死を覚悟したぜ……

まあナナシが家に来てくれたおかげで何とか事なきを得たんだが。

でもそんときに「どうして家に来たんですか」って聞いてもふっふっふって笑うだけで何も言わずに帰るのやめてもらえませんかね!?

もしかして俺たちって監視でもされてるんですかねコワッ!?

助けてくれたマジ感謝だけどそれ以上に怖すぎるっ!

 

 

「おや、何体を震わせているのです? もしかしてカジノで一儲けしてやることに対しての武者震いですか?」

「い、いや、ナナシにはプライバシーも何もあったもんじゃないなって。いつどのタイミングかわかんないが俺たちのことを監視しているに違いない」

「ああ、もしかしてこの前のフグによるパーティー壊滅事件のことで? あれはちょむすけのせいですよ」

「ちょむすけ」

「はい、ちょむすけです。お姉さんとこの魔獣は同一の存在といっても過言ではないので、一度リンクすれば視覚を共有することができるとかなんとかで。そのとき、丁度、偶然、師匠が使徒の権能を使ったところ全滅しかけてる私たちを発見したとのことで……」

「はーなるほどなぁ。つまりちょむすけはやっぱ将来猫耳の巨乳メイドお姉さんとして今まで甲斐甲斐しく世話してきた俺に恩返ししてくれるってことか!」

「違います」

 

 

違うらしい。

でも俺は諦めない!

男の夢は、男のロマンは、終わらねぇ!!

俺が信じ続ける限りそこにいる黒猫モドキは巨乳のロングヘアー巨乳お姉さんなんだ!

……って言うか、めぐみん、さっき「丁度、偶然、師匠が使徒の権能を使った」とかいったか?

そんなちょうどいいタイミングで偶然が起こってたまっか!

絶対ナナシさんは予知能力使える系の能力者だろ!

もしくは一生めぐみん大好きすぎてストーカーしてるやばい師匠。

どっちだとしてもいい、ただ俺は密かに自分の改めるべき行動は改めるべきなんだと心の中で思った。

しばらくすると魔道具店についたからドアノブに手をかけて開ける。

 

 

「へいらっしゃっせー! こちらはウィズ魔道具店である、ペットの委託所ではない、というわけでさっさと悪感情を寄越して回れ右するが吉であるぞフグ毒で全滅しかけた情けないパーティーの小僧よ」

「るせー! 俺じゃなくてアクアに任せた俺が馬鹿だった……結局俺が馬鹿だった」

「おおっと、自爆して店頭で膝から崩れ落ちた小僧、そこは邪魔であるからしてさっさと中に入るがよい。あの発光女神がいないのであれば我が輩は歓迎するぞ? それに先輩がクッキーを焼いて待っているのでな、さあ中に入った入った!」

 

 

絶対歓迎する側の言動じゃない。

偉そうだし、馬鹿にするし、一々癪に障るし、被り物して素顔を見せないし絶対歓迎してない。

仮に歓迎されてるとしても俺は歓迎されたくないわ。

そんなとき店の奥のカウンターから四つの巨大なところてんスライムが。

さっきの考え訂正するわ、やっぱ歓迎されたい!

そんなこと思っているとさらに奥の方から声がゆっくりと近づいてきた。

 

 

「来たか……時は満ちた。我が同郷にして同胞よ、前回申した願い、某が協力しよう」

 

 

 

 

****

 

 

 

 

抗いがたい悪魔の罠にまんまと引っかかった俺は王城前にテレポートしていた。

だってしょうがないだろ!?

目の前に男のロマン、そしてユワナビーマイフレンドだったら引けるわけない!

そもそも俺からの頼みに対してオッケーしてくれたんだからナナシさんに乗るのは当たり前。

なのにあの悪魔……何が「ふはははは! これはこれは悍ましき邪神と契約を交わしてしまった哀れなる小僧よ。汝に一つばかり忠告だ、あまり先輩店員を調子に乗らせぬことだ。さもなくば一国が崩壊、そして消滅の一途を辿ることとなるであろう」だ!

予知できてるんだったらもっと詳しく教えろよ!?

ニヤニヤ笑うだけで結局何もしないなら不安煽るようなこと言うのは勘弁してくれよぉ……

 

 

そんなこんなで今は馬車の中。

これに乗って隣国のいけ好かない王子を殺しに行ってこいとのことだ。

本当は王城で俺とクレアが意気投合し、アイリスを守る保護者会を結成したり、したが割愛。

なぜなら目の前に俺のマイスウィートエンジェルシスターアイリスがめぐみんとほんわかまったりやりとりをしてるから、それを見守り記憶に納めるのにお兄ちゃんは忙しいんだ!

 

 

「見てください! 我が愛竜パトラッシュのスピードを! 補助具を付けているのでいつも以上に早いですよ!」

「なんですかそのすぐに死んでしまいそうな名前は! ゆんゆんよりはやるようですがアイリスはそこら辺の感性がまだ足りないようですね。まあ下っ端ですから仕方がないですが」

「わ、私はもう下っ端じゃないですよ! 王都支部のトップです!」

「……なあ、下っ端とか何の話してんだ? それにアイリスは支部とかじゃなくて王族なんだからトップオブザワールド、世界一だろ」

「あっ、えっと……そうですお兄様! 今日のお昼はお兄様が作ってくださると聞いています! 一体何を作ってくださるのか、私気になります!」

「一応チャーハンの予定だ」

「ちゃあはん? 何ですかそれは?」

「米を卵とか他の具材と炒めて味付けしたやつだ。その様子だと世間知らずのお嬢様は食べたことなさそうだな?」

「わ、私は世間知らずではありませんよ! 最近なんかハチベェと街を散策したり、いろいろ新鮮な体験をしてるのです!」

「へー! 社会見学してんだな」

「優秀な影武者、ナナシさんのおかげです! ただ……私が一日中お城を空けていると一週間分の仕事を勝手に終わらせているので申し訳ない気分になって。ですので最近は日が落ちる前に帰宅してます」

「日が暮れる前に帰るなんてなんてお利口さんな妹なんだ。もうそろそろ昼だし偉いアイリスにはチャーハン大盛りにしてやろう!」

「そ、そんな! みなさんに悪いですよ!」

 

 

アイリスはかわいいなぁ。

ハチベェって誰なんだとか、親しげなめぐみんと最近何してんのかとか、それをごまかそうとして急にお昼の話題にチェンジしたとか、ナナシさん着実に王都を支配してるなとか、そんなこと気にならないくらい可愛い妹にはお兄様がとびっきりの絶品、つくったげるわ!

予定にはなかったけど餃子と餡饅……いや、シュウマイもいいな!

ナナシさんが「某、食材を一任されておるが何でも食べれるようにしておる」って言ってたから時間が許す限りいっぱい作ろう!

そんなこと思ってると竜車が止まり、ドアからナナシさんが。

 

 

「そろそろ昼にしようと思うが」

「ナイスタイミング! 実はチャーハンをメインに、餃子をみんなで作ろうかと……。食材いろいろ持ってきたとか言ってたが、足りない食材あるか?」

「いや、食材を持って来たわけではない」

「はい? じゃ、じゃあどうやって昼作ればいいんだ!? もしかして抜きとかいうんじゃないだろうな!?」

「無論安心せい。食材は300エリスまでというのは万国共通であろう? そうだろう? めぐみん」

「ええ、そうですとも! まあ我がクラスの遠足では師匠の奢りでお菓子は山のようにあったので一切持って行きませんでしたし、もし足りない場合はやはり現地到達ですね」

「そ、そうなのですか!? 今度王都の学園で開催されるという魔王軍とお父様の戦い見学の時も……」

「ああ、その通りだ」

 

 

促されためぐみんがスラスラと紅魔族の学園秘密を話す。

でも俺思うんだ、それはナナシさんが300円ルールを広げただけじゃって。

王都の学園も創立者ナナシみたいなもんだろ?

絶対この異世界にあったルールじゃないだろ!

そして魔王城と王様の戦いの様子を見学してる暇あったら引率せずに戦いに参加して早期決戦狙って行動すればいいんじゃないのかナナシさんよ!

 

 

「そもそもそのルールは日本限定だろ! バナナはおやつに入りますか、も! そもそも遠足ってより遠征だかんな!」

「そう、遠征、つまりないならば現地調達! そうすれば鮮度も完璧」

「新鮮とかじゃなくて生きてんだよ! この世界野菜も生きてんだから!」

「とりあえず自給自足で育てた野菜とそこらで狩ってきた肉を調理場においとくでの。足らなかったらランダムテレポートで首筋掻っ捌いて血抜きして戻るから遠慮なく申せ」

「結局普通に買ったら300エリス以上かかってんな!?」

 

 

結局300エリスルールはどこ行ったんだか。

そんなこと思っていると結局材料がすべて揃っているテーブル。

ナナシとアクアに促されダクネスとアイリスのお嬢様二人組が初めての体験に不器用ながら楽しそうに餃子の作成に取りかかっている。

 

アクアの芸術的なヒダに感動したり、めぐみんの手慣れた手つきを見たり、ナナシの全自動ヒダ付け機が餃子を量産してたり、「ウィズとウォルバク殿、それとこめっこらのも作っているから量に問題はない」と俺のツッコミスピードを超えた先回りをしたり。

 

俺はツッコミ疲れた頭の機能を停止し、餃子の餡を皮で包み、無心でヒダをつけるだけの機械にジョブチェンジした。

全自動卵割り機もあるみたいだからあとでチャーハン用の卵割ってもらお。

 




多分次回

多分到着したカジノで有名なエルロード!
今からカズマとナナシとクリスの幸運値無双が始まる。
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