私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

アイリスちゃんに護衛してくださいって言われたから保護者面して竜車の旅に出たカズマたち。
※ただしアイリスは主人公ちゃんと戦ったとき善戦するものとする。
※そんなナナシも同乗しているものとする(過剰防衛不可避)

表向きにはお忍びで魔王軍との戦いの支援金をもらうために遠路遙々エルロード王国にやってきた。
※ただしカズマは交渉相手である王子を殴ろうとしているものとする。
※そんなカズマをシンフォニア家(クレア)は全面協力しているものとする。


……この赤字大国エルロード、大丈夫なのだろうか?


エルロードに来たので幸運値無双してみた

<カズマ>

 

旅の途中、アイリスに旅の目的について聞いたんだが。

 

「ところで何で許嫁と会うことになったんだ? 王都は魔王軍との激戦で大変なんじゃないか? そんな時期にわざわざどうして……」

「いえ、その、実は戦い自体は優勢なんです。加えてお兄様の魔王軍幹部討伐のご活躍! 王都は希望で活気づいてます!」

「へー、そうだったのか! じゃあ王子さんとの顔合わせはただの縁談?」

「いえ……ナナシさんに聞いたところ、この好景気が『バブリー』だとかなんかで、後々都が失業者で溢れかえる危険があるとかなんとか」

「おk。把握した」

「流石お兄様です! 略してさすにぃです!」

 

そのときの俺は破壊力抜群のアイリスの笑顔にやられ微笑むことしかできなかった。

が、事情はなんとなくわかった。

あれだ、今の王国は戦争のせいで需要が高まってるから売れば売るほど売れる生産者や商人はウハウハなんだ。

でも、日本でいうバブル崩壊が近づいてるんだろなってことは『バブリー』って言葉で理解した。

それを何とかするに外貨というかお金が必要ってことか?

ニュアンスそんな感じだろ多分。

 

まあナナシならいくらでも稼げそうなもんだけどなぁ……

資源とかモンスターを枯渇させないように気をつけてるんのか?

それともウィズが変な商品を大量購入してクーリングオフできなくなったときに毎度大量購入して魔改造を施すから常に財布の中はカツカツなのか?

まあとにもかくにも、早急じゃなくても支援金をゲットしたいらしい。

 

 

そんなこんなで俺たちは短い竜車の旅を終え、カジノ大国エルロードに到着した。

まあ短いと言ってもナナシさんがエルロードの近くに住んでたドラゴンの解体ショーに驚いたり、そのフルコースに舌鼓を打ったり、食事でレベルが意図せず2上がったり、アクアのツナマヨご飯とめぐみんザリガニ料理に世間知らずのお嬢様二人が虜となったり、いろいろあったが割愛する。

乗っていた竜車から降り、宿を見つけ、荷物を置いた俺たちは明日になるまで羽伸ばしをすることになった。

 

 

「カジノよカジノ! まずはカジノへ行くの! 私の資金で大勝して、そのお金で美食巡りの旅へ……ってあれ、私のお財布がない!? もしかしてこの人混みでスられ……!?」

「家ニ忘レテ来タンジャナイカ? きっとエリス様が止めてくれてんだよ、幸運値が低いパイセンはカジノで大敗するから無謀な賭けはするなよって。ありがたーい助言だな」

「エリス!? まさかエリスが私に牙を剥いたっていうの!? なんて大胆な犯行なのかしらあの子っ! 今度会ったら出会い頭に1万エリスせびるついでに文句言ってやるわ!」

「財布の中身、本当は1千エリスぽっちじゃねぇか、余計に10倍ももらおうとすんな」

 

 

ごめんなさいエリス様。

何もしてないのに俺の適当なでっち上げでヤンキー女神に絡まれる未来が確定してしまったことをお許しください。

 

 

「まあでもお金に関しては大丈夫よ! 資金がないなら仲間を頼ればいいじゃない! 幸いにも私には頼れる仲間たちがいるの! と言うことでカーズーマーさん?」

「ダメです」

「あああああん! お願いよーお願いお金ちょーだい! 貸してくれないなら資金の代わりにカズマとのじゃロリちゃんと花京院の魂を賭けるわ!」

「のじゃ!? それはつまり某の懸賞金で!? 考え直せ、某の懸賞金はもうゼロじゃ!」

「おい、そこで負けたらお前共々奴隷堕ちする覚悟が俺にはある! だからやめろ? 何のために俺がお前の金をぶん取ったか……」

「犯人確保ー! 私の大事なお財布返して! それから私にごめんなさいして!」

「言っておくが俺たちはアイリスの護衛で来たって名目なんだからな? 余計なことして警察の厄介になったら護衛としてあるまじきだかんな? どうせお前のことだ、護衛の任務をほっぽいて遊び呆けるだけじゃ足らず借金を生み出す。俺の直感が絶対そうなるって言ってる」

 

 

今回わざわざ隣国のエルロードに来た理由は、名目上だが、アイリスの護衛だ。

まあ俺とかダクネスよりアイリスは強いから護衛なんていらないだろって話なんだが。

だがしかしお兄ちゃんたる者、かわいらしい妹を危険にさらすなんてできるか!

命の危険があろうと火の中水の中スカートの中、どこへでも身を投じる覚悟がある!

というわけで俺はかわいい妹のために依頼を引き受けたのだ。

 

まあ新なる目的はアイリスの許嫁を見定めにいくことだが。

俺のお眼鏡に適わなかったら殴って婚約破棄させる。

というわけで今アクアを野に放ってやらかされて、王子に面会を拒絶されるわけにはいかないんだ!

 

 

「ねーカズマさん! 奴隷堕ちの覚悟なんて決めなくていいから私の財布返しなさいよ!」

「はぁ、しょーがねーなぁ……。はい、めぐみん」

「承りました」

「ねえ、なんで私じゃなくてめぐみんに渡すの? 私の財布なんですけど……」

「安心しておいてください」

「何を安心すればいいのかしらめぐみん?」

「私はこう見えて財布の紐はキツい方です。ですのでカズマは……」

「おう、バッチシ稼いでくるぜ!」

 

 

俺の持ち前の幸運値を武器にカジノやらでたんまり稼ぐ作戦を言葉なしに理解しためぐみんがグッと親指を立てる。

流石めぐみん、俺のこと好きスギィ!

俺は俺のわかり手の期待に応えなきゃならない。

後ろでアクアが「私のお財布なのになんでよおお!」と喚き叫んでいるのを無視して、親指を立てて、無言で男の熱き戦いへ歩を進めた。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

カードゲーム大会。

それはカードを用いたゲーム大会のこと。

俺は久々の決闘を見て熱が入り、いてもたってもいられず飛び入り参加を決意し。

 

 

「ぐあああっ!?」

「あいつ何もんだ!? と言うか何が起こった!? さっきまで防戦一方だと思ったらいつの間にか勝ってる!?」

「あ、ありのまま今起きたことを話すぜ……!」

「あ、兄者! 一体何が起こったんで!?」

「あの男のデッキ、普通なら揃うはずのない封印されしエクゾディアが5枚。俺はあいつが何をしたのかわからなかった、頭がどうにかなっちまいそうだった! 魔法とかミスディレクションとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ……ッ。もっと恐ろしいモノの片鱗を感じだぜッ」

「本番でこんな馬鹿げた豪運ありえない! どうせイカサマ……!」

「この場にいる誰一人としてそのトリックはわからない。だからこそ未だにあの男の連勝を止めるものは現れない……ッ! だがこれほどの猛者(デュエリスト)、無名なわけない、そうだろう?」

「じ、じゃああの黒っぽい髪、まさか噂に聞く伝説の勝負師、黒のカタリナか!?」

「いや、カタリナは女だと聞く。前々試合の嫌らしいトラップカードの手法、謀略のクロードか」

 

 

いや誰だよ謀略のクロード!

確かにゲームで有名になると二つ名とかつくけども謀略とか知らねーよ人違い甚だしいわ!

俺が呼ばれたことあるのは「運だけのカズマさん」だの「ハイエナマスターのカズマさん」だの、俺の幸運を疎んだ廃課金勢の愚民が不名誉な二つ名だわ!

そんなこと思いながら資金を順調に増やしていると女の人がやってきて。

 

 

「あなたが次の対戦相手、あの謀略、そうね?」

「違います」

「惚けても無駄よ? 自己紹介が遅れたわね。私はマリネス。鉄壁のマリネスよ!」

「はあ」

「あなた、随分と運がいいようね?」

「まあ、はい、そうですね。生まれてこのかた人同士のじゃんけんで負けたことないんで」

「その言い方、神様と闘ったことがあるような言い草ね」

「……」

「でもどうやらイカサマはお天道様には通用しなかったようね? そしてもし私にイカサマが通用すると思っているのならご愁傷様、神様同様、この鉄壁にも通用しない!」

「はあ」

「どうして私が鉄壁って言われているか知ってるかしら? 耐久特化。それが私のデッキ。この要塞を攻め落とした猛者はあの生きる伝説しかいないの。つまり耐久している間にあなたのイカサマを見破れば私の勝ち、でなくてもあなたはタイムオーバーして負ける運命なのよ! いざ! デュエル!」

 

 

この後鉄壁のマリネスと名乗る恥ずかしいお姉さんを禁じ手極悪非道デッキでけちょんけちょんにフルぼっこのオーバーキルして生意気言ってごめんなさいさせた(実力差をわからせた)

結局廃ゲーマーだった俺が大会に優勝した。

おかげでお財布はほくほく!

ただし周囲からの視線は冷ややか。

なんでだ?

 

 

「え、えげつねぇ! あれが謀略! なんてゲス顔してるんだ!」

「聞いた話によると鉄壁をオーバーキルしたあげく、個人で賭け事をして、身ぐるみを公衆の面前で剥いだあげく所持金をすべて奪ったらしいぞ!」

「うっわ、山賊かよ!」

 

 

し、失礼な!

俺はただ不正しようとしてたからスティールでそれを暴こうとして、そうしたら例のごとくパンツを引いて、所持金と引き換えしただけだわ!

そんなこと思ってると俺の評価に訂正が入る。

 

 

「いや、あれは爆撃のカズマだ」

「爆……撃!? 誰だいそれは!?」

「アクセルの街にいる冒険者だ」

「あ、アクセルって……まさかあのベルゼルグ王国一安全な!? それ故にただでさえ地価が高い王都よりも高いあのアクセル!?」

「ああ。モンスターの難易度が初心者レベルなのに街の防壁が何故か強固、かつ高く聳え立つあのアクセルだ。しかしその防壁を国家予算並みの借金を抱えてまで補修させたのがあの男、カズマ。あのアクセルに屋敷を持ち、20億超えの借金を僅か数年で完済し、今では貯金が10億を超える。そんな平和を巨万の富で築き上げた……本物の富豪だ」

「「す、すげー!」」

 

 

俺まですげーって声だしちまったわ。

そもそもそれ、誰の説明っすかね?

確かにアクアが防壁の工事をして強固にしたし、同時期にベルディアの件で借金したのも事実だけども!

その高潔そうで完璧な主人公は絶対俺のことじゃない。

そんな根も葉もない噂を広げようとしてるのは誰だよ!

一回顔見せやがれ、感謝申し上げっから!

冷たい視線が尊敬のまなざしに変わるのを感じながらその話をしてる人の方を向く。

そこには見知った二人、ナナシとクリスが。

 

 

「あ、貴女は、いや、貴女たちは空白!? ありとあらゆるゲームの頂点に君臨する生ける伝説が何故ここに!?」

「まさかあの出禁(殿堂入り)になったゲーム大会、廃業に追い込んだと言う賭博場は数知れずで有名な二人!? どの大会でも名前なしの二人が上位入賞している謎に包まれたゲーマーがどうして!?」

「お、おい、爆撃の方に近づいていくぞ!」

 

 

……何やってんスかナナシさんとエリス様。

荒らして潰して回るのやめましょ?

というか俺たちと一緒に来たナナシはともかく何でクリスまで?

そう思いながらジト目で見ていると急に周りの熱気付いた歓声が聞こえなくなる。

 

 

「やっほー助手君! ……ってあれ? 急に静かになった?」

「空気遮断障壁を張っただけだ。ちと音を遮断したくての。……さて、話がてらチェスでもしないか?」

「話もチェスもしません! そもそもアンタら二人がいる時点で盗賊団がらみだし、エクスプロージョンルールあるこの世界のチェス嫌いなんだよ!」

「まあまあではフリだけでも。流石に普通に話すには人目が多すぎるしね! それに男の子はこういうのが好きなんでしょ?」

 

 

くっ、この純粋な女神様、俺の男心を弄んでやがる!

確かにこう言う中二チックなのは嫌いじゃないけど、あれはアニメの世界だからいいんであってだな!

当事者になった俺はたまったもんじゃねぇよ!

 

 

「いやぁ、一時はどうなることかと思ったけど元気そうで安心したよ! いやだってさ、ナナシさんと戦ったって聞いてたし、そのナナーシャさんもいつの間にか神格得てたし、カズマ君が珍しく天界に来ないけど大丈夫かなって思って顔出してみたらまさかエルロードにいたなんてね、びっくりしちゃった!」

「……俺にいっつも優しく『もう二度と天界で会うことがないことを祈ってます』って言ってる割に死ぬこと前提で話すのやめてくれませんか?」

「あっ、いや、だってさ! 魔王より魔王してるんだよこの子! 私の目を盗んで禁術使っちゃって私の聖女だったのにいつの間にか神様になってるし胸のサイズおっきくなってるし裏切りものぉー!」

 

 

胸の話かよ!

じゃあ邪神になったのは禁術じゃないのか!?

もしかして自称邪神なのか!?(その通り)

裏切りの理由が邪神になったからじゃなくてバストサイズアップとか、神様の言葉じゃないな。

というか二人ともどんぐりの背比べじゃ……

そんなこと思ってるとクリスが顔をズイッと近づけて。

 

 

「カズマくん?」

「ごめんなさいエリス様!」

「何で急に謝られたの私!?」

「いや、なんか俺の邪な考えを読んで圧かけられたんじゃないかって思って……」

「ほほーう? 助手君は何を考えてたのかなぁ?」

 

 

やべっ、いらない話してしまった。

にっこにこの笑顔で俺に詰め寄ってこないでくださいこえーから!

それと腕を組んで「いいぞもっとやれ」みたいな感じで頷いてるナナシさん土下座でも何でもしますから助けてくださいお願いします!

そう思ってるとしょうがないなと言わんばかりにため息をついて俺とエリス様の間に割って入ってきてくれた。

……コイツの正体、まさかとは思うが心を読む程度の能力でも持ってる小五ロリなんじゃなかろうか。

 

 

「まあまあ、それは後々問い詰めるとしよう。それより今日は久しぶりに盗賊団の」

「ごめんなさい」

「予告状を既においてきたのでの。ゆくぞ」

「いやですごめんなさい……いやだっつってんだろ!」

「嫌よ嫌よも好きのうちよ」

「本当は心読めるんだろ!? 俺の心読めやコラ! ほんと、さっき胸のサイズがアイリスとかめぐみんとどんぐりの背比べだなって思ったことは謝りますから……って動けん!?!? 馬鹿な!?」

「ちょいと下半身に金縛り魔法をかけさせてもらった。チェスが終われば解除される」

「何言ってんの? マジで何言ってんの!? 放せ、放せやコラァアッ!」

「いや、なんか心読んだら穢されそうだからやだ。さあ、大人しく観念したまえ」

「助手君ったら往生際が悪いよ! それと、そのどんぐりの背比べの話は後で聞かせてもらうけど大丈夫だよね? 安心して! 私は敬虔なエリス教徒、エリス様が許せる内容なら笑って許してあげるからさ」

「俺はどんな脅しにも屈さないし説得にも耳を貸す気はねぇ! だからHA☆NA☆SEッ!」

「明日、城に巣食う魔物に天誅する。その隙をねらってどさくさに紛れて王子を殴れ」

「……っ!!」

「いやいやいや、そんな極刑ものを勧めてカズマ君が心変わりするなんて!」

「全身全霊でマックスハイテンションで殴ります。いえ、殴らせてください!」

「えっ!?」

 

 

なんだ、ナナシさんったら実はノリノリじゃないっすか!

こうなったら助手として俺も頑張らなきゃ男が廃るってもんだ!

 

 

「うむ、いい心がけだ。計画がうまくいけば……」

「魔物も王子もチェックメイト……ってところか」

「ああ。……では、エクスプロージョンッッ!! クックック……明日が楽しみよのう?」

「…………ねえ、今私は何を見せつけられてるのかな?」

 

 

何となく悪の企みをする組織ムーブをしたナナシさんに何してんだとジト目で見るクリス。

俺は明日、アイリスの付き人として自然に城内に潜入することになった。

待ってろクソッタレの王子様!

俺がお前の許嫁の心をルパンのように奪ってやるぜ、ヒャッハーッ!

 




次回

情けない王子の護衛をする王女。
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