趣味と資金調達を兼ねてカードゲーム大会に飛び入り参加していたカズマの元に忍び寄る陰。
その正体は幸運値で無双していろいろな大会で出禁を食らっているナナシさんとクリスだった。
そして何故かエルロードにて銀髪仮面盗賊団の仕事をすることになったカズマ。
頑張れカズマ、負けるなカズマ、王子を殴れカズマ!
<めぐみん>
なぜか
(どうやら話を聞けば王城で問題行動を起こしそうだから一服睡眠薬を
さて、そんな私たちは今日お城の中に入るのです。
師匠は「ちとこちらを狙ってる阿呆どもを影武者の某が釣って、一掃することにする。そちらは頼んだぞ?」と言い残し宿を早朝に出たのでアイリスと私たち4人だけでですが。
そんな感じでやってきた城の前。
門番さんは確認をとってくるので少々待ってくださいといっていたのでしょうがなく待つことにしました。
……それにしても流石エルロード、王城がきらびやかで滅ぼしがいがありそうですね!
「カズマカズマ! この城の巨大さたるや! 思わず詠唱が漏れてしまっても仕方がないですよねそうですよね!」
「めぐみんめぐみん、それは中にいる奴らがアイリスを泣かすような連中だったときまで待っておけ?」
「おいまて! たとえアイリスを泣かすような連中だったとしても撃ってくれるなよ!? 私が生き埋めになる分には一向に構わないが撃つなよ!? 絶対だ!」
「ほほう、つまりそれは振っているのですね? 撃つなよ撃つなよと言いつつ、心のどこかで撃てよと、我が爆裂魔法をみたいのでしょう? ほら、最後のもう一言を言ってくれさえすれば私は許可をもらったと判断して撃って見せましょう!」
涙目でやめてくれと懇願してしいるダクネス。
まったく、冗談が通じない人ですね。
これだから箱入り娘の貴族は頭が堅くていけません、私のように想像力豊かでなければ!
そんな風にダクネスをいじって楽しんでいると城の大きなゲートがオープンして開放される。
そこから出てきたのは赤髪で偉そうに踏ん反り返っている子供。
聞いていた通り、実に甘やかされて育った実にワガママな小僧そうですね。
「……ふん、慌ただしい中来てみれば。田舎の脳筋王女のお連れは随分と騒がしいな? それに少人数で品の欠片もない弱そうな冒険者。お金がないと正規の兵を連れることすらできないみたいだな?」
それが王子の第一声だった。
……私はぷっつんした。
<カズマ>
「い、いやぁ、申し訳なかった! まさかまさかあの有名な紅魔族だとは!」
「めぐみん、我が名はめぐみん! 紅魔族随一の天才にして爆裂魔法を操りし者! 数多の魔王軍幹部を屠った我が名は、英雄伝として語り継がれるであろう。覚えておいても損はないですよ」
「め、めぐみん? それは本名なのか?」
「私の名前に何か言いたいことがあるのなら聞こうじゃないか。売られた喧嘩は即座に買う。それが紅魔族の流儀です」
「い、いや、何も、何も言っていないですよね王子!」
「う、うむ」
「そ、それにしてもあの爆裂魔法を使えるなんて!」
「ふっふん!」
めぐみんが自慢げに無い胸を誇張してる。
王子……レヴィ王子って言うらしいが、ソイツと家臣の人が冷や汗をかきながらめぐみんの対応をしてる。
いや、めぐみんがさ、「馬鹿にしているのなら爆裂魔法を放ってやりましょう! 丁度我が権威を知らしめるのにいい建物だと思っていたところです!」って喧嘩っ早く詠唱を始めやがって。
もちろん俺とダクネスは止めたぞ?
でもそのせいで「三度目です。三度するなよと言われたら爆裂しないでいられようか……否ない!」って反語しやがって目を赤くして狂喜的に笑いながら詠唱を加速させていったんだ。
まあそのおかげで王子たち、エルロードのやつらがことの異常さに気づいてめぐみんの気を取り始めて今に至るって訳だ。
地雷系女子とは誰が言ったのか知らんが、こいつ以上にリアル地雷はないと思う。
そんなこと思っていると王子の側近か大臣か、よくわからないおっさんが。
「それにそちらのプリーストも魔王をも恐れるアクシズ教! しかも青髪が美しい!」
「いやー、それほどでもありますけどぉ! もっと褒めちぎってくれたりおいしいシュワシュワをくれたらお礼に後で肖像画を砂絵で描いてあげるわ!」
「む、向こうの方に最高級のクリムゾンビアを用意させる!」
「やったわー!」
「王家の懐刀であるダスティネス家の方もぜひご笑味を……」
「い、いや私は遠慮させてもらう……。護衛なのでな」
なんかダクネスの顔が疲れ切ってる。
まだ面会して大した時間たってないぞ?
確かに護衛のアクアが意気揚々とお酒を胃袋に流し込んでるのを見て心労が絶えないのはわかるけど、もうちょっとリラックスしておいた方がいいんじゃ?
見てるこっちの方も疲れてきたわ。
俺もアクアと同様にこう言う交渉の場にいるのは場違いな気がしてきたし一先ずアクアと一緒に酒でも飲みにいくかって思っていると。
「って違う!」
「うおっびっくりした!? 違うって何が違うんだよ王子さん?」
「い、いや、何でもない。部外者には関係のないことだ、余計な首を突っ込むな!」
「もしかして…………招かれざる客、ってやつか?」
「!? き、キサマどうしてそれを……!? まさか、鉱山にプラチナムドラゴンロードの目撃例が相次ぎ金鉱山を閉鎖したという件もお見通しってことか!?」
いや、そこまでは知らなかったけども。
というかたぶんそのドラゴンは俺たちの胃袋で消化しちまったよ。
ナナシさんが「あの山の方に住んでた邪魔なトカゲをおいしく調理してみた」って食べさせてくれたから、あんなでかかったのに半分くらいペロリと平らげちまったぜ。
そしてやっぱ盗賊団の件も昨日ナナシさんが予告状を送ったとかなんとか言ってたしそれだろ。
……あれ、もしかして今回の騒動、ほとんどナナシ関連事件!?
さ、さすがに偶然が重なりすぎただけだよな、うん、そうだよな!
そもそもドラゴンなんて都合よく鉱山にいただけで、ナナシが新鮮でおいしいものを食べさせてあげたいという一心で鉱山にドラゴンを呼び込んだわけじゃないはず!
俺はそんなことを思いつつも平静を装って話を続ける。
「向こうでおっさんたちが喋ってるのを読唇術スキルで見たんだよ。銀髪仮面盗賊団、主にベルゼルグ王国で暗躍している盗賊団、違うか?」
「そ、そうだとも! ……し、しかしこれは私の国で起きてる事件、他国の者に任せるわけには」
「今、銀髪仮面盗賊団と言いましたか! 言いましたよね!」
「な、なんだ紅魔族の!」
「めぐみんです。……実は私たちはその盗賊団と一戦交えていましてね。深い因縁があるのです。ですよね、アイリス」
「は、はい! 実は厚い警備を乗り越え私のところまで来たことが……」
「……ッ!? そ、それで無事だったのか!? ケガは、ケガはされていないのか!?」
……あれ、この王子、さっきまで俺たちのことを下賎だの野蛮だの、散々言ってきたのにアイリスのことを心配してる?
こりゃ一体どういうことだ?
そんなこと思ってると取り乱してた王子さんが咳払いをして、僅かに顔を赤らめていた。
「何事もなかったのなら良かったな。まあ所詮田舎の姫、めぼしい物はなかったんだろ」
「……」ジー
「な、なんだ! 俺のことをそんな眼差しで……もしや支援を諦めてくれたのか?」
「……もしかしてレヴィ王子、貴方は良い方なのですか?」
「……ッ!? こ、これだから剣を振るうことしか能のないヤツは嫌いだ! お、俺が少しだけ優しくしたからといって飛んだ勘違いをしてくれるな!」
「これでも私、人を見る目は確かですよ?」
あっ!
アイリスにいい人認定されて照れちゃってるぅ!
許せん!(豹変)
もしかしなくともあれだろ、小学生が好きな子に対していじめちゃう的なあれだろ!
俺は断固としてそう言うのは認めない!
しっかり好きなら好きと言っちまえ!
そしたら俺が殴るから!
「それで盗賊団の件、私たちにも手伝わせてくれませんか?」
「し、しかし貴様らはあくまで客人、危険な目に遭わせるわけには……」
「いえ、別に問題ないでしょう」
「さ、宰相!」
そう言って後ろから来たのは宰相らしい人物。
ここに来る前に「宰相のおかげでずいぶん暮らしがよくなった。おかげでカジノできるぜ!」とか「粉骨砕身で働きづめ、俺たちもあの人を見習って頑張らないとな! カジノを!」とか耳にしたあの噂の人か……
よく見ると目の下にクマができるし、わがままツンデレ王子の面倒見つつで相当な苦労人気質とみた。
俺と気が合いそうだ。
「噂通りならばその盗賊団は所謂義賊です。私どもを殺しはしないでしょう」
「おおっ、確かに言われてみればそうかもしれないな!」
「ええ。それと、非常に申し上げにくいのですが……」
「なんだ? 躊躇わず申してみろ」
「……はい。その、そもそもなんですがレヴィ王子、現在の国庫の残高はご存じです?」
「その辺は宰相に任せているではないか? それがどうしたというんだ?」
「はい。現在我が国の宝物殿には宝の一つもありません」
「そ、そうなのか!? だが、父上は今もなお遊び放題だぞ!?」
「そこは私が誠に勝手ながら王の散財を死ぬ思いで回収しているのでございます。まあ、何を申し上げたいかと申しますと、この国には余裕がないのです。ただでさえつい最近まで大赤字だったのを0に戻したばかりなのに王様の散財癖といいギャンカスが……何が後一発やれば勝てるだ! 何が確率の収束だ! 世の中二度あることは三度どころか何度だってある! さっさとこのギャンブルを終わらせて仕事しろっ!」
「さ、宰相ーっ!!」
荒れてるなぁ、宰相さん。
心なしか宰相の頭が少し寂しく感じる。
「し、失礼、取り乱しました。というわけでこの国にはこの国の事情があるのです。ついこの間まで赤字大国でしたから、支援もできません。ご納得ならないならば婚約破棄もできますが……なけなしの財宝を狙う輩から王宮の維持費くらいは守っていただけると幸いです……」
「は、はい! 事情はわかりました! ……その、あの方たちは盗賊であると同時に私の命の恩人でもあるんです。心優しい方たちなので事情を説明して……それでも駄目なときは今はだめだとしても、同盟国のために私も剣を抜きます! レヴィ王子のことは私が守ります」
「えっ!? なぜ俺のことを守ろうとするんだ! なんか情けない構図に見えるからやめろ! もうお前は俺の許嫁じゃないし、俺は城の奴らに護衛は頼むから!」
「そうですか? ならそうしますが……。あ、あの、その、もしよければお兄様たちも……」
「もちろんだ! 妹一人で戦わせるわけないだろ? いざって時は俺が盗賊団の団長たちを説得してみせる!」
「ありがとうございます?」
なあアイリス?
どうして疑問形なんだ?
それとダクネスさん、俺の方をジト目で見て、ついでと言わんばかりに青筋を立てて手招きしないでくれませんか?
ちょっと前まで俺だって知らなかったんです。
許してくれませんかね?
ほら、この通り説得するって宣言したし、ね?
元許嫁の王子様の前で荒事はよくないと思うんだあああぁあああぁああぁ!?
次回
アイリスVSアイリス?VSアイリス!?
世の中には似ている人が三人はいるという。
そんな自分似のドッペルゲンガーと顔を合わせると存在が消滅してしまうらしいが、アイリスとその他ドッペルたちの運命はいかに!?