私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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ざっくり前回のあらすじ

このギャンブルを終わらせにきた……!!(Byギャンカス王 ゴールド・ナイジャー)
ということで「ギャンブルの夢は終わらねぇ!」状態のエルロードのギャンカス王に代わり財政を切り盛りする宰相殿直々に(国家予算としては)雀の涙ほどの金を盗賊団から守ってください……お願いしますされたカズマ一行。

結局盗賊団の目的とは!?


中枢にスパイが紛れ込んでたから捕まえてみた

<主人公ちゃん>

 

今日はいよいよ突撃!隣の国の城!

そして人類に徒なす二重の影(ドッペルゲンガー)、ラグクラフトにお仕置きを……

ということで私とエリスちゃんは潜伏スキルなどなどを駆使して潜入しようとしているのです。

 

 

「……今宵のツキは望月よのう。幸運の女神殿は我々のツキ、どうなると見たか」

「それこそ私の望むままに……ってね! それにしてもまさかこの国の中枢に魔王の手先が入り込んでるとは驚きだよ」

「某らには正義はなく、ただ女神に代わり悪に裁きを執行するのみ」

「あ、あのナナシさん? 女神に代わってって言うのはちょっとやめてもらえない? 確かに私が始めた盗賊団なんだけど女神としての印象が悪くなっちゃうからせめて月に代わってお仕置きよとかにしてもらえると助かるんだけど……」

「……さあ、いってみよう!」

「あ、無視された!? それとそれ私の決め台詞ー!!」

 

 

ごめんなさい、エリス様、時すでに遅しです。

女神様が関わっている組織だって感じの噂はベルゼルグ王都の貴族に広まっちゃってるというか公然の事実というか、私とめぐみん盗賊団の皆さんが広めたというか……

まあ、しょうがないですよね、そういうことは事前に言ってくれないと!

てなわけでして、私とエリス副団長殿の二人でエルロード城に華麗に参上!

 

 

「ところでこれからどこに向かえばいいの? 私たちがしようとしているのって端から見れば宰相の暗殺だよね?」

「うむ、そうなるな」

「その宰相さんって結構優秀な人なんでしょ?」

「そうらしい。敵なのにこの国の経済を立て直そうとして日々奔走している愛すべきバカだ」

「……倒す意味ってあるの?」

「怖じ気づいたか?」

「お、怖じ気づいたとかじゃなくて! 無用な殺生はしない主義なんだよ私は!」

「アンデッドは?」

「もちろん生きてないし天に召してあげるけど?」

「悪魔は?」

「実家が恋しいと思うし土に還……消滅させるけど? それが人のため世のためだよ」

「……よし、ならば神を冒涜せし魔王軍のスパイ倒しにいこうか。このまま放置するとエルロードが魔の手に……」

「そうだね! 神との敵対者にはキッツイお仕置きをしないと駄目なんだし、いってみよう! ……どっちだっけ」

「こっち」

 

 

という感じで魔王軍のスパイであるラグクラフト宰相の正体を見破って乱闘するためのエリス様説得完了、二人でカズマ助手くんから貰った警備情報を参考に行動を開始!

……べ、別に乱闘が主な目的ではないんですよ?

あくまで悪を斬るだけです!

まあ万が一のため。

そう、万が一のために、この前打ち込まれたアクアちゃん特製「セイクリッド・ハイネス・ヒールでも解除できない転生特典封印術式」をなんやかんやあって自力で解除したのでめちゃくちゃ暴れる準備はできていますが乱闘したい訳ではありませんよ、ええ!

もし乱闘になってしまったらするだけで。

そんなことを思っているとクリスが。

 

 

「そう言えば相手はドッペルゲンガーなんでしょ? 誰かに化けられたら見分けがつかないんじゃ……」

「我が左目に封じられし鳥瞰把握(プレデター)は狙った獲物を逃がさない」

「プ、プレデター? 何それ?」

「千里眼スキルと透視スキルなどなどを超併用してるだけ。某を振り切らない限り地の底へ行こうと狙った獲物を逃がしはしない」

「その『などなど』の部分の方が気になるんだけど!?」

 

 

別にMPストーカーするだけの簡単なお仕事……

魔力を識別できる私には造作もないことよ。

 

 

 

 

 

<カズマ>

 

財宝か?

ほしいならくれてやる!

 

これが今の俺の心情だ。

っていうのもこの国の財政は予想以上に赤字らしく、アイリスに「これは……支援を頼める状況ではなさそうですね」と言わせるほどに酷い有様だった。

だってよ、金庫がこんな、冷蔵庫より小さいんだぜ?

しかも中身がアタッシュケースに収まる程度なんだぜ?

俺の私財より少ねぇよ……宰相、かわいそうに。

いや、宰相が今回の敵なんだけども!

 

 

「ねぇカズマさん? どうして私たちこんなことに巻き込まれちゃってるのかしら?」

「それはなアクア。お前が昼間っから酔い潰れてグースカしてる間に俺の妹であるアイリスが善意で手伝わせてくださいって言ってだな」

「報酬は? もちろん報酬は出るのよね!」

「…………アクア。今回はベルゼルグ王国の使者としての報酬以外は……」

「やよやよ! タダ働きなんていやーっ! 今回のはやりがい搾取とかそういうやつでしょ!」

「ボランティアといえ! ほら、昨日稼いだ分の金ちょっとやるから」

「わーありがとー!」

 

 

無邪気な子供が飴ちゃんもらった時のようにありがとう言うお金に目がくらんでる邪気まみれアクア。

このやりとりを横目で見てたダクネスとめぐみんがあきれた様子でいるが、アイリスは剣を抜き、構えを崩さない。

 

ちなみにだが、レヴィ王子と宰相は部屋から離れている。

おかげでどさくさに王子のことを殴ってやろうって作戦はできないわクソッ!

なぁにが危険だから非戦闘員の私たちは後方に控えていますねだ!

悪態を心の中でついていると「ぎゃああああ!!」と事件性のある悲鳴が聞こえてきた。

王子の悲鳴だ。

 

 

「ま、まさか狙いは財宝ではなくレヴィ王子だったのですか!? いけません! お頭! ララティーナ! 助太刀に参りますよ!」

「私をスケさん扱いとは……ですがこのシチュエーション、嫌いじゃないですよ! さあダクネス、私は詠唱をしますので私をおんぶしてアイリスの後を追っかけてください! でなければ狙いが定まらないどこかにエクスプロージョンすることになりますよ!」

「お、おい! 嘘だよなめぐみん? 嘘だと言ってk……わ、わかった本気なのだな!? よしそうしたら私が運んでやるからこの事件が解決するまで耐えてくれ!」

 

 

俺より身体能力が高い王族、それから貴族、後おんぶをせがんでいた中二病種族は俵のように抱えられ、超スピードで王子の方へかけていった。

 

 

「ねえカズマさん? 今私、針金持ってるの」

「へー」

「それでね、頭のお堅い人は行っちゃったからこれ使ってピッキングして報酬貰ってかない?」

「ばか! そんなこと言ってないでさっさといくぞ!」

「馬鹿って何よ! カズマだって今ちょっと私の提案に『おっ、それいいな』みたいな顔してたのに!」

 

 

いや別にそんなことは少ししか思ってないかんな?

というかこの金庫の方は副団長がしっかり持ってってくれるらしいから俺たちはとっとと現場に急行しないと!

 

 

 

 

****

 

 

 

 

「俺は今、やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した。い、いや……体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……。あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 俺は気にくわない王子をオラオラしてやろうとして部屋に入ったら、そこにはアイリス(天使)が三体いたんだ。な、何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった! 頭がどうにかなりそうだったっ! 催眠術だとか超スピードによる幻影だとか、影分身の術だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」

 

 

ということで、はい。

何故か目の前にマイスイートハニーエンジェルが増殖しております。

わかってる、わかってはいるんだ、どうしてこんなことになっているかってことは。

一人は本物のアイリス、もう一人は我らが団長ナナシさん、そんで多分もう一人はラグクラフト宰相だ。

み、見分けがつけねぇ!!

 

いやさ、ナナシは元からアイリス似だし、影武者してるから普段ならわかるんだけど、流石に変装に気合い入れすぎだろ!

絶対アクシズ教徒に備わると言われている芸達者になる能力使ってるわ。

 

 

「お兄様!」

「はいお兄様です」

「部屋に入ったと思ったら私のそっくりさんが二人もいたのですが!?」

「すごいよね」

 

 

指を指すのは行儀がよくないという理由か、手のひらで他の二人のことを指し示すアイリス。

よし、状況的にこのアイリスが本物だ。

いくら容姿が似ていようと俺の観察眼は本物がわかる!

 

 

「お兄ちゃん!」

「はい!! お兄ちゃんです!!」

「ドッペルゲンガーに会うと消滅してしまうという都市伝説がありますよね?」

「そうだな」

「誰も消滅しないということは私たち三人が戦い、勝ち残った人が本物のアイリスということでしょうか!」

「物騒すぎるわ!」

 

 

よし、この子は偽物だ!

俺の脳みそを沸騰させる魔性の妹め!

一瞬本物かと思ったがテメェの正体はナナシだろ!

なんか脳みそバグりそうになるからお兄ちゃんとかいうのやめてください心臓がもたねぇから!

 

 

「ジャスティスお兄ちゃん!」

「対ドッペル用ドロップキィーック!!」

「「ぐああっ!?」」

「あ、アイリス様あああああ!!」

 

 

絶対こいつが宰相だ!

蹴り飛ばせてスーッとしたぜ☆

というかこの部屋に来たときからアイリス(宰相)の後ろに隠れてガタガタ震えている王子がいたもんで一目瞭然だわ!

ダクネスは誰が誰だかわかってないらしく、レヴィ王子ごと蹴り飛ばしたのにそのことは気にもとめず、アイリスの安否を確認しに駆け寄る。

どうやらとっさに考えた「どさくさに紛れてドロップキック作戦」は成功したみたいだな!

最初王子が別に部屋で待ってるって言ったときにはできないじゃねぇかと腹を立てたが……

クレア、お前との約束は果たせたぜ!

 




次回

宰相死す! デュエルスタンバイ!
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