私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

なんやかんやあってエルロードの中枢を支配した主人公ちゃん。
そんな主人公ちゃんの手によって、カズマの元に送られた刺客はなんとなんとエンシェントドラゴン!?
カズマたちはどう立ち向かうのだろうか……


ドラゴンスレイヤーになりたくて爆裂してみた

<めぐみん>

 

カズマが渋い顔をしながら帰ってきました。

どうやら近隣の金鉱山に新たなドラゴンが巣を作っているので、それを倒して借金を減らしたいらしいのです。

しかし、昨日の時点ではそのような情報は聞いていませんでしたのでどこで知ったのかと聞くと裏情報を独自のルートで入手したらしいです。

 

……裏の情報、独自のルート、かっこいいですっ!

私の目を合わせずにそらしながら話していたので何かしらの闇を感じますが、どうせ今日一番でギルドに顔を出したところそのような情報が出ていたとかでしょう。

にも関わらず、そう言う演出をする……カズマの姉弟子として誇らしく思います!

 

さて、そんなカズマのせいで私の感情の高ぶりは最高潮に達しており、目が紅く爛々と輝いているのを感じます。

我が前世である邪神の性が、強敵を蹂躙しその肉を喰らえと本能に訴える。

 

 

「ふっはっはっはっは!! ドラゴン、恐るるに足らず! さあカズマ!

時は金なり時間は有限です! 散歩のついでにドラゴンスレイヤーの称号も手に入れましょう!」

「爆裂魔法があれば問題ないって聞いてたんだがな……何だろう。不安しかない」

「なっ!? 何が不安だというのですか! この稀代の大魔法使いであるこの私がいるのです、大船に乗った気持ちで我が偉功を刮目するがいい!」

「だから不安なんだよ! なんでそんなフラグじみた台詞吐くんだよ!」

「紅魔族たるもの、勝利をたぐり寄せるため、それと逆境を演出するために言霊による世界への呼びかけは必須なのです」

「そんなこと言って……俺たちの手に余る強敵だったらどうするんだよ」

「弱気ですね……。そもそも数多の大物賞金首を一撃で屠り、最強を冠する攻撃魔法、爆裂魔法を前にすれば跪き、地に倒れ伏すのがこの世の理です」

「いやいやいや、この前ナナシさんに品性のカケラもないゴリ押し戦法かましたのに、仕留めきれなかったろ」

「あの人はこの世の理の外にいるので」

 

 

そう、師匠はどのような手段を踏んだかはわかりませんが、自分で神に転生してしまう……

意味不明理解不能ナンチャッテ生命体なんです。

まあだからこそ、超えるべき高く聳え立った壁を見てわくわくして、いつの日か、その壁をエクスプロージョンで木っ端みじんにして、私が世界一位に君臨するのを目標としているのですが。

というか、あの人以上のものはそうそういないと思います、魔力の供給源を特定しないことには一生勝てませんし。

 

そもそも素の力だけで勝負でもですよ?

高位魔法を連発し、物理無効、爆裂魔法を受けても圧倒的魔力耐性で余裕で耐え抜くウィズ、

「バニル式殺人光線(当たらなくても人は死ぬ)」を撃ちまり、残機を無限近く持つバニル、

爆裂魔法を2発撃る魔力、女神の固有魔法が使えるようになった、そう自称するお姉さん。

この魔道具店メンバーが手を組んで魔力が尽きるまで耐久すれば安全に倒せるレベルの人外です。

 

そんな人とどっこいどっこいの勝負ができた私はもう、何も怖くない……!

そう思うのです。

 

 

「さあ! ドラゴンスレイヤーの称号を欲するものは我が指をとれ! 今こそ世界に大魔法使いとその愉快な仲間たちの名を轟かせよう!」

「ねえねえカズマさん、今めぐみんったら私たちのことを愉快な仲間たちって一括りにしなかった?」

「そう言うお年頃なんだよ」

「それと、今日は私カジノで一発当てる予定があるの。そもそも私こそ、その名を知らないものはいない水の女神アクア、今更世界に名前を轟かせようだなんてしなくてもいいから、行くなら私抜きで行ってきてもいいわよ?」

「そうだな、悪名高い宴会芸の神様だもんな」

「なんですって!」

「それと今月は城爆破事件の影響で大体のカジノが休業中だ」

「なんですって?」

「カジノ、やってない。昨日就任してた宰相さんがそう言ってた」

「……の、のじゃロリちゃんが言うなら仕方ないわね。私のかわいい信徒ですもの、いちゃもんはつけないわ! じゃ、じゃあ私もやっぱりドラゴンの討伐に……」

「いいよ、いいよ! お前には街でやるべきことがある、そうだろ?」

「えっ?」

「アクア、城の補修工事しろ」

「なああんでよおおおっっ!!」

「かわいい信徒ってさっき言ったばっかだろ! 手伝ってこい! そして借金減らしてこい」

「どうして私のことを仲間はずれにするのよ! 女神なのに敬愛の気持ちの一つも感じられない言動はどういうことなのよ! まさかあの有名なツンデレってやつなのかしら!?」

「ツンデレじゃねぇわ! ……しょうがねぇな、アクセルに戻ったらシュワシュワ買ってごちそうしt」

「行ってくるわっ!」

 

 

……どうしてでしょう。

ツンデレカズマにいいように使われている現金なアクアを見て、というか私の空気にさらされている人差し指を見て、何か空しい気持ちが。

そう思っていると二つの手が私の指にとまる。

 

 

「めぐみんさん、わ、私もご一緒していいですか?」

「ま、まあ、アイリス様もこう仰せだ。私も護衛として一緒に行こう。だから、その、アクアがいなくても元気出せ」

「べ、別に私はアクアがいないことにシュンっとなってるわけではないのですよ? だからその慈しむような手つきで私の頭を撫でるのはやめてもらおうか!」

 

 

 

 

****

 

 

 

 

まあそう言う訳があって。

私たちはドラゴンがいたというその地にやってきました。

そう、ドラゴンがいた、です。

討伐しましたよ。

 

……えっ?

私のテンションがさっきより低いって、そうおっしゃりたいのですか?

 

別に世間知らずのアイリスに冒険の極意を伝授しようとして、その伝授の機会を全てをカズマの千里眼スキルとか罠感知スキルとか潜伏スキルとかに横取りされて憤りを感じているわけではありませんよ?

カズマがどんどん師匠のようになってきていることに、一番弟子としての地位が危ぶまれていると思い、顔を顰めてなんかいませんから。

 

では何でテンションが低いか。

簡単なことです、アイリスが一撃で仕留めやがりました。

 

 

「お頭! 元気を、元気を出してください」

「そうは言ってもですよ、神殺しの称号を獲得し損ねたのがつい先日。そして今回はドラゴンスレイヤーの称号を横からかっ攫われました。フッ、これを以て元気になれようか……」

「で、ですが魔法の準備が整う前に思わず迫力に押されてしまって技が出てしまいまして……」

「そのとっさに出た技の名前が! 何ですかセイクリッド・エクスプロージョンって!? 私のパクりですか! これ見よがしですか!」

「エクスプロードですから! これは宝剣なんとかカリバーの正式名称に準えられた技名ですからそんな怒らないでください!」

「そ、そうだめぐみん! 今回はアイリス王女とその仲間たちという形で武勇が伝わるだろうが、めぐみんはそれ以前にクーロンズヒュドラを倒しただろう? 既にドラゴンスレイヤーと名乗ってもいいのではないだろうか」

「私はあんな亜竜ごときを討伐してドラゴンスレイヤーを名乗りませんよ! 名乗るなら龍、まごう事なき最強格を打ち倒してこそ……! あああっ、爆裂魔法が放てなくてムシャクシャはします! カズマ!」

「カズマだよ」

「あの破壊しがいのある城に一撃入れてもいいですか! もしくはこの山を吹き飛ばしても……」

「借金作り足りないのかこの爆裂狂! ……向こうの何もなさそうなところに出すもの出してさっさと帰ろうぜ」

「なんかその言い方は下品に感じるのでやめてもらおうか!」

 

 

そんなこと言いつつ私は怒りを詠唱に込める。

地の底に眠るの業火よ、煮え返る激情が噴く山よ、我が血潮と共鳴せよ!

我が憤怒の一撃を以て朱より紅き地獄よ顕現せよ!

と。

 

はあ、今日のところは私の糧はゼロですか……

かくなる上はアクアのペットが本物のドラゴンである可能性にかけて首をキュッと……

そんなことを思いつつカズマが指示してくれた方へ爆裂魔法を放つ。

 

 

「おおっ! 今日のは感情こもっててなかなかいいな! 威力もさることながら赤い炎一色、いつもより熱波が激しいな! ドラゴンもこの一撃には耐えられない、98、といったところか」

「そうでしょう、そうでしょうとも! まあ本当なら100点をつけてもいいと思うのですが、それはドラゴンスレイヤーになったときまでお預けとしておきましょう」

「はい、てっしゅー。ダクネス、おんぶしてやれー。実は弁当作ってきてな、ツナマヨサンドとかBLTサンドとか、いろいろ作ってきたから見晴らしいいところで食おうぜ」

「ツナマヨ! 私ツナマヨ大好きです!」

「ああ、あれはとてもいいものだ。手軽でおいしい」

「私の爆裂魔法跡地に行きましょう、きっと絶景ですよ」

 

 

このあと宿に戻ったとき、アクアの犬のように鋭い嗅覚がツナマヨの香りを探知してとても羨ましがられました。

 




次回

ラグクラフト宰相が鮮やかに入退場したことによってわりかし早く帰還できたカズマさんたち。
損失も大体プラマイ0になったから大変だったが何とかなってよかったなぁと帰国。
一方その頃国の立て直しをしている主人公ちゃんは過労死しかけていた。
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