私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

カズマの資産が爆裂魔法によって消し飛んだ。
少しでも稼ごうとドラゴン退治に行ったり、ピクニックしたり。

その一方、駄女神ちゃんと主人公ちゃんは土木工事を懸命にしていた。


他国においてかれたら過労死しかけた

<主人公ちゃん>

 

は~、金がねぇ、城がねぇ、政治も何もありやしねぇ、

王もねぇ、ギャンカスでぇ、借金まるでなくならねぇ、

オラこんな国やだぁ、オラこんな国やだぁ、アクセルに帰るだぁ……

 

 

「どこへ行こうというのかね、ナナーシャ宰相?」

「……これはこれはレヴィ王子殿下。ラグクラフト宰相の粉骨砕身ぶりを改めて評価に値すると思うてな」

「そうだろう、そうだろう。惜しむはアヤツが魔王軍への手先だったことだ」

「……彼、こんな膨大な量の仕事を毎日しておったのか? だとしたら流石にドン引きなのじゃ」

「いやいや、さすがに10分の1程度だと……思うぞ? 俺がラグクラフト元宰相に不干渉気味だったこともあるが、はっきりとした量はわからずとも流石に毎日その量は気狂いでも起こさない限りは……」

 

 

そんな気狂い判定される量の仕事を任されているの、だ~れだっ。

もう、おわかりでしょう?

私は精神がちとおかしくなっていますわ!

もう職場がブラックな環境過ぎて気が狂いそう、ではなく狂っているですよ、王子。

もう、ここで終わりにしてもいいですか?

いいですよね?

流石に休息が不要な体であったとしてもですよ、精神が摩耗してきたんです。

そろそろ仕事辞めないと精神が不安定になって情緒不安定どころか、狂気の部分が、裏人格がまた暴走を開始してしまうんです!

もう疲れたよパトラッシュなんです!

 

 

「だが、一ヶ月もしないうちに全部の仕事を終わらせて国を急速に復旧させるといったのは宰相じゃないか。ほら、今日の分のノルマがあと4割、あとちょっとだ、頑張れ」

「その四割がどれだけ大変だと!? 金鉱山の採掘と、それから爆裂魔法跡地に湯を引いてリゾート計画、そのすべての企画書を書くのは私、大臣たちに賛成多数で可決されたら、人件費節約のために建築事業のそのすべてやるの私なんじゃが! というかこの城の復興作業も全部私……魔王軍に乗っ取られかけてたという一件があったのにも関わらず他国の人間を些か信用しすぎなのでは!?」

「そうは言っても宰相、俺にいろいろ手続きを踏ませてこの地位までのし上がったのは……」

 

 

そう、私のせいです。

何やってるんですか過去の私!

紅魔の里を一週間かけて改造したとき以上の一大事業を一人でやってるようなもんですよ!?

過労死が目前な気がします……

まあ疲労完全回復エナジーポーションをがんぎまりするくらい飲んで作業してるし、栄養もしっかり完全栄養食味のポーションを飲んでるから死なないんですけどね。

 

ああ……

今頃カズマ君たちは王都に戻って贅沢の限りを尽くしてるんだろうなぁ。

エルロードに来るときは一緒だったのに、帰りは私のことエルロードに置いていって勝手に帰るし……

なんかそれが仲間に対する態度かと、一抹の悲しさというか寂しさというか……涙を禁じ得ません。

 

 

「ところで宰相?」

「何じゃ? おやつはメイドの人に頼め。某は見ての通り死ぬほど忙しい。これからアンデッドという疲れ知らずの労働力を召喚して建築資材等の大量生産体制をしなくては……」

「いや、そうじゃない。実は最近父上の姿を見ないんだが一体どこへと思って。聞いて回っているのだが大臣たちは何も知らないようで。申し訳ないと思いながらも聞きに来た……って今なんて!? アンデッド!?」

「ああ、其方のギャンブル依存父上閣下なら病院送りにしておいた」

「アンデッドとかどうでもよくなるほどの王族へ対する暴挙を聞いた気がするんだが!?」

「勘違いするなかれ。ギャンブル依存状態を脱するために適切な治療と支援により回復させているところだ。決して、そう、決して借金を生み出す元凶をどうにかするためにぶん殴れば昔の機械のように正常に戻るのではないかと思いて頭を破壊しかけたとかではない」

「ほ、本当にギャンブルを断ち切るための治療をしているんだろうな! 実のところ早急に復興をしたいからという理由で再起不能にしたわけじゃないだろうな!?」

「……ああ」

「なんだその微妙な間は!?」

 

 

いや、ギャンクズ国王が出入りしているという国営のカジノを休業させたらカチコミに私の元まで参られまして。

そのときに私の山のように積まれた、然れど規則性があった仕事の紙を思いっきり崩されたので、思わず私はガチギレして――

 

 

「実のところ国王閣下のギャンブル好きは沈静化してのう。ただ、代わりと言ってはなんだが、現在は精神的トラウマを克服するのに尽力なさっておいでで……」

「本当に何があった!? お、おい、何故目をそらす!」

 

 

 

 

****

 

 

 

 

そんなこんなで急ピッチで進められた復興作業などなど。

私、頑張った。

金鉱山をアンデッドたちに不休で任せてたら、いつの間にか労働基準法だの何だの言うゾンビが生まれたり、アンデッドにだって人権はあるんだという革命家気取りの骨が現れたり、温泉を引こうとしたら代わりにマグマが溢れてきたり……

様々な苦難があったけれど、私、ほんとよく頑張ったわ!

 

私が不眠不休で誰よりも効率よく頑張っている様子をアンデッドたちに見せつけることで反発勢力を抑えこみ、地熱発電に利用すべくマグマを押さえ込み、ギャンブルさせろと五月蠅い国王の元を訪れギャンブル欲を抑え込んだり……

 

……なんか、押さえ込むことしかしてない気がする。

ま、まあとにかく!

後は寝て待つだけでお金は勝手に入ってくる!

私はやりきったんです!

二週間以上不眠不休無休無給で基盤を築き上げた功績は大きいことでしょう!

 

後は週に数回顔を見せに登城して、仕事をばっとやってばっと帰れヨシッ!

私を縛るものは何もなくなりました!

ほら、耳を澄ませば解放のドラムが聞こえてくるでしょう?

 

ということで何もかもやり終えた私は無事アクセルに帰還しました!

そして我が家である魔道具店のドアを開けようとして……自動で開いた。

あれ、いつの間に自動ドアに変えたんでしょうと思っているとちょっと違かったみたいで、カズマくんがドアを開けたみたいです。

そして……

 

 

「たすけてよ~ナナえも~ん!!」

「しょうがないなぁ勇者殿。私はブラック企業も顔真っ青な不眠不休な労働地獄から帰還したばかりだというのに魔道具店に帰宅して早々見る顔が汝だとは思ってもみなかったが、助けになってやろう」

「なんかごめんなさい!?」

 

 

いきなりどうしたんですか!?

そう思いつつ平静を装います。

とりあえず手短に終わらせたいので顔を上げさせる。

今の私はいち早く店長と新人アルバイトの二人から疲労回復成分とバストアップ効果がありそうな成分を頂戴しに行きたいんです。

しょうもないことなら私はさっさと中に入ってしまいますからね!

 

 

「別に謝ることはないが……して、何が?」

「まずは俺が体験した不可思議な話を聞いてくれないか」

「はあ」

「お、俺は何をされたかわからなかったんだ! 王都に着いてしばらくして、子供からのファンレターをもらったんだ。冒険頑張ってくださいって、その言葉に胸打たれた俺は明日、アクセルの街に帰ることを決意したんだ!」

「へぇ」

「だがそのとき、不思議なことが起こった。俺の強い思いが新たな力の覚醒につながったのか、いつの間にかアクセルの街にいた。あ、アクセルの街にいること以外俺は何が起きたかなにもわからなかった、頭がどうにかなりそうだった!」

「かわいそうに」

「家に帰って見れば俺は1ヶ月近く城にいたって三人に言われるし、それでアクアが私たちのことを捨てたカズマさんはこの家に入る権利がないからって言われて追い出されるし」

 

 

ああ、思い出した。

私が一ヶ月間働きづめだったときにカズマくんはアイリスちゃんとイチャラブしやがってたんですよ!

王城で生活して一週間ほどでアクア、めぐみん、ダクネスの三人はアクセルの街に帰還したって言うのにこのロリマさんってば、アイリスのおねだりに「俺はロリコンじゃない! ただかわいい妹のおねだりに弱いだけの兄だ!」って言い訳して、延長に延長を重ねて今日の今日まで王城に滞在してたんですよ!

私が汗水垂らして頑張ってたというのにけしからんですね!

まあなんだかんだあって記憶を消すポーションを飲まされて強制送還され、今に至るという感じでしょう。

うん、

 

 

「身から出た錆じゃな」

「その一ヶ月の記憶が俺にはないんだ! 空白の一ヶ月、俺は何をしてたか」

「アイリスにもっと一緒にいたいって言われてその空気に流された」

「俺の予想だとだな。この国には禁忌指定されてる記憶消失のポーションがあるらしいじゃないか。きっと俺は城にいた際に何かしらの国家機密を掴んでしまったんだ、だからクレアとかいう敵に……って今なんて?」

「『お兄ちゃん、大好きです!』ってアイリスに言われて、めぐみんたちのことよりアイリスを優先した。自業自得、じゃあの」

「ぬおおおお!? ありもしない記憶がナナシの完璧な声と演技によってさもあったかのように脳みそに植え付けられる!? た、確かにアクセルではクズマさんだのロリマさんだの言われてるらしいが、俺はそこまでのくずじゃないぞ!? そもそも誓ってロリマではないっ!」

「多分今のが真実だと思うのだが……確かめてみるか? 記憶を取り戻すための方法はぱっと思いついただけで2つある」

「おおっ!」

 

 

そう言って私は探知不可能なタイプの拡張空間から一つの瓶を取り出す。

 

 

「記憶改善のポーション~」

「さすがナナえもん! これを飲めば!」

「まあ、新世界の神になれるポーションの作成過程で精製された副産物だが効果は保証する。原価は6万エリス。……人格がぽんってなる可能性が少々あるが」

「なんてヤバいもん押しつけようとしてるんだよ!」

「まあまあ。もう一つの方はセイクリッド・ハイネス・ヒール……は使うのがクソだるいからなしじゃな」

「今クソだるいっつったか!?」

「言った。勘弁してくれ、1日36時間休みなしで2、3週間の地獄から現世へ舞い戻ってきたばかりなんじゃよ某は……」

「ああ、そっか……って1日は24時間じゃ!? それに働き過ぎだろ!?」

「というわけで何かするにしても今日はちと心と体がついて行かん。話したりないならギルドの端で相談屋してる仮面の悪魔にでも話をするがよい。女神にちょっかいかけたいツンデレ悪魔ならノリノリで計画を練ってくれるだろう」

「お、おう、じゃあ、その、おやすみ?」

「ああ、明日にでも」

 




内容はあってるかもしれないけどほとんど詐欺な次回予告

カズマの封印されてしまった記憶の数々が蘇る。
空白の1ヶ月に詰め込まれた約束とその約束を果たすための苛烈な戦闘。
思い出してしまった過去の罪に向かい合わなければならない。

次回、贖罪
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