私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

怪しい貴族邸、怪しい依頼。
これは我らが盗賊団の出番ですね!!
ということで、めぐみんは銀髪仮面盗賊団傘下組織に属するぼっち、王女、女神、そして特待で歓迎したカズマを連れて貴族の屋敷を襲撃することになった。
なお、銀髪仮面盗賊団の団長(ナナシ)、副団長(クリス)、助手(カズマ)というトップスリーがこの中に紛れ込んでいるものとする。


貴族の屋敷を襲撃する前に準備してみた

<主人公ちゃん>

 

ここは天界。

女神は地上を憂いていた。

ただでさえ魔王という巨悪に蝕まれ始めている世界であるのに、そこに人の子らの欲が生み出す争いの火種。

世を直さねば、そのような善良な思い故、二柱の神は一石を投じることにした。

いざ地上へ!

 

 

「というわけで、いざ参ろう」

「いやいや地上に行くのはわかったけどどこ行くのさ? 何一つわからないよ説明してよ! そもそも天界を訪れることは規則的に……」

「神の因子を保持しておれば問題なかろう?」

「そうだけどそうじゃなくって! 私が言いたいのはいくら女神になったからって私の部屋をノックの一つもせずにドアを蹴破って入ってくるのはどうかと思うよってこと!」

「うるせェ!!! 行こう!!!!」

「!?」

 

 

とりあえずお着替え中に、しかも胸の造形中に入室したことは心の中で謝っておきます。

しかし、しかしですよ!

これは一刻を争う緊急事態なんです!

そう説明してテレポートの準備をする間に今夜の説明をする。

……じゃあドアを蹴破って入らず、最初からそうすればもっと時短になってたのではという質問は受け付けません。

 

 

「くっくっく……。今宵、襲撃をかけるはドネリー家。魔物を召喚する魔道具を所持しているらしい」

「も、もしかして! ランダムにモンスターを召喚する神器じゃ!? ならさっそく取り返しに行かないと! 助手君も誘って、それから必要なことは……」

「ああエリス様、その神器に申しましてはアクアちゃんが珍しい形の石コレクションに加えてて、手品の時の初心者殺し召喚にしか使ってない。故に安心するがいい」

「あ、そ、そうなんだ、私の心配し損で先輩が管理してるなら……って今なんて!? それゼッタイ管理できてるヤツじゃないじゃん! 安心できるかーっ!」

「半分冗談よ、封印はしっかりなされておる」

「も、もう半分は!? 冗談じゃない部分について詳しく!」

「……まあ、それは追々と。それより……」

「それよりもこよりもないよ! このままじゃ私不安で不安で、夜お肌のために8時間以上熟睡するようにしてるのに7.5時間くらいしかできなくなっちゃうじゃあないか!」

「十分寝れてるのでは? 私はここ先月の睡眠時間10時間だし……」

「そっちの方がぐっすりじゃん! とんでもなく体に悪そうな睡眠時間だよ! 確か長くても一日9時間くらいがいいって聞くけど?」

「……? ……ああ! エリス様エリス様、そうじゃなくて。一ヶ月()10時間です」

「えーっとそれって一日10時間ってことじゃなくて?」

「30日割る10時間は20分なり……平均にして一日20分しか寝れてなかったようで」

「どういうこと!? やっぱり体に悪すぎる睡眠時間だってことじゃん!」

「いや、ご存じだとは思いますがあのエルロードにいた時期は革命を沈めたり建設事業を一から全て己が手で作り上げるという国興しをしておりました故……」

「忙しかったってのは知ってるけどまさか一日20分しか寝てないのは聞いてないよ! いつ寝てるのかと思えばまさかそんな無茶してただなんて!」

「言ってないしのう。……まあ、実際のところは心底疲れて魔道具店に帰宅したときに寝だめしたのが9時間、職務中にうつらうつらしていた時間が1時間程。実質的にほぼ一ヶ月、不眠不休で……」

「いつ寝てるのかと思ってたけど本当に寝てなかった!? そんなバカやってるだなんて夢にも思わなかったよ! もっと寝て! いくら神様になったからって耐久力おかしいから! 元々おかしい気はしてたけどおかしさに磨きがかかって紅魔族もアクシズ教もドン引きだから!」

 

 

取り消せよ……!!! 今の言葉……!!!

私は紅魔族公認の裏の支配者ですし、なんならアクシズ教の聖女なんてやってましたけど、流石にそこまでおかしいって言われたらかわいそうじゃないですか私が!

そんなこと言われましてもあの時期は忙しさのあまり半球睡眠する余裕すらなかったんですよ……マジツラかったんですよぅ。

まあ今はしっかり睡眠時間は確保してますけどね!

常中半球睡眠サイコー!

それ故に一日の半分を寝てると言っても過言じゃありません、故に常にベストコンディション!

今の私は強靱! 無敵! あたいったら最強ね!(←⑨)

 

いいリアクションしてくれるエリスちゃんとお話しを楽しみ(からかっているとも言う)つつ、そんな形で状況や今後の方針を説明しているうちにどこへでも行ける安心安全な転移魔法(幸運値依存のランダムテレポート)を改造した魔法の準備ができました。

行き先はアイリス王女の権力を振りかざして購入しためぐみん盗賊団の拠点!

そこへかっこよく登場です!

かっこいい登場、その演出のためだけに複雑な魔法構築と膨大な魔力を消費したのですから!

一歩間違えれば四肢が捥げ、次元の狭間に閉じ込められる禁断の術を制御するために転生特典を魔力制御+にしたんですからここで失敗する確率は1パーセントにも満たない!

それに私とエリス様の幸運値は最強なのです、それを加味すると成功率100パーセント!

失敗するわけがない!

……フラグじゃないですから!

 

 

 

 

 

<めぐみん>

 

カズマが真っ二つにされた。

まあその後、ダクネスが自慢の耐久力を遺憾なく発揮しそのモンスターを討伐したのですが、戦闘は熾烈を極め、ダクネスの鎧は使い物にならないほどボロボロで、貴族からの討伐依頼はそれまで中止です。

 

そしてその翌日。

こう言っては何ですが、これは盗賊稼業絶好の日和です!

普段の仲間と行動を別にして、闇に紛れて冷徹に任務を遂行する謎の組織としての私。

……ふっふっふ、紅魔族としての性が抑えなければ思わず高笑いしてしまいそうな高揚感。

昨日が黄昏時、師匠から「クリスは個人的な都合で招集拒否した故、代わりを裏の筋から手配した。指定の時刻、アジトにて」と、路地裏で怪しげなやりとりをしてから瞳の紅は輝きを増すばかり。

 

これだから師匠は師匠なんです。

私の感情をこうも揺さぶる人なんです。

だがそれがいい。

傘下組織である私たちの意図を汲んで、銀髪仮面盗賊団のように犯行予告までお膳立てしてくれますし、今まさに私の顔は「計画通り……」と諸悪の根源が笑みを浮かべるときのような顔でしょう。

順調のなかに確かなハラハラやドキドキがある!

最高です!

 

そんな獰猛な笑みを浮かべた私たちの犯行(活動)は今始まるのです!

前回はノーカンです。

 

 

「かくかくしかじかと言うわけで招集したわけです」

「なるほど!」

「ね、ねえイリスちゃん? 私、今の説明で全く理解できなかったんだけど、イリスちゃんもわからなかったら無理しなくていいのよ?」

「いいえ、私はお頭のいいたいこと、理解しましたとも! つまりドネリー家は真っ黒くろすけなので襲撃にいくということでしょう?」

「その通りです、さすが師匠に紅魔族適性が高いと言われたまでありますね!」

「悪をバッタバッタ切り倒していくのを想像すると……楽しみでなりません!」

「私、かくかくしかじかとか言ってた中にそんな意味読み取れなかったんだけど」

「さすがゆんゆん、私が一方的に一番紅魔族適性がないと認定しただけはありますね」

「……私、帰っていいかしら」

「団長命令を行使します。ここで師匠たちのご到着を待っ」

 

 

そこまで言いかけて、口が動くのをやめる。

目の前に魔法陣が突如出現し唖然としてしまったためだ。

怪しく光る記号の羅列は複雑。

古の時代に失われたと言い伝えられている伝説のアーティファクトの類いか。

興奮を隠さずそんな根拠の乏しい想像をしつつも、この魔法陣を発生させた人は、まあ、師匠に違いないでしょうと思いどこか冷静だった私だったのですが。

転移してきた人を見て私は思わず悲鳴を上げそうになる。

 

 

「えっ!? もしかして銀髪仮面盗賊団のお二方ですか!? ゆんゆんさんこれは一体……」

「……先生の人脈ってどうなってるんだろうね。私はもう考えるのやめるわ、あははは……」

「わわ、ゆんゆんさん!? 急に空笑いし始めて大丈夫ですか!? しっかりしてくださいゆんゆんさん! 私が誰だかわかりますか!?」

「せ、せんせー?」

「ナナシ先生じゃないですよ! ナナシさんの親戚のチリメンドン屋の娘、イリスですよ!」

 

 

あの二人は、というかゆんゆんは駄目です。

目の前で起こっていることが受け入れられずに現実逃避を開始しました。

ゆんゆんのことを現実に戻そうと必死なアイリスも。

なんだかそんな二人を見ていたら嬉しいやら驚きやらで叫びそうだった精神が逆に落ち着きました。

私は二人をおいて盗賊団のお二方の前に歩み寄り。

 

 

「もしかしなくても銀髪仮面盗賊団の団長さんと副団長さんですよね? まさかとは思いますが我が師匠ナナシが……」

「そう、ナナシさんが手伝ってくれってね」

「なんと! 薄々察していましたがまさかまさか……」

「いやぁ私を雑用みたいに扱うのは世界中を探してもあの人くらいだよ。まったくある意味で厄介な仲間だよ、普通の人は立ち入れない場所に拠点を置いているのにあの人には些細な問題ですらないらしいしねぇ」ジトー

「……何故にこちらを見るのじゃ副団長」

「自覚あるなら改善してよね、団長さん。……ところで君には覚えがあるよ、名はめぐみん、間違いないかな?」

「わ、私のことを知っていてくれてるなんてこ、ここ光栄です副団長さん! 無断欠勤している盗賊職とはやはり比較にならないですね」

「……あ、あの、私の正体を知っててからかってるわけじゃないんだよね?」

「どういうことですか?」

「あ、いや、ナンデモナイデス」

 

 

その仮面の下はどのような顔をしているか、頬をかく副団長さん。

師匠は代わりを用意すると言っていましたが、これはさすがに代わりというか上位互換じゃないですか!

なんか人財の選択がいい感じを超えていますよ!?

そんな風に驚いていると団長さんが。

 

 

「今宵の目映い月光の魔力で気が高ぶっておるのだ、魔のつく種族ならわかるだろう?」

「ええ、ええ! もちろんですとも!」

「敵は世界に害を及ぼす禁忌を使いし悪徳貴族。元より機会を伺っておったが、今、良き運命に巡り会えた故……汝らの策に乗る形であるが、手を貸してもらえはしないだろうか」

「我はこの傘下組織を束ねる長、めぐみん! その申し出をどうして断ることがありましょう! 貴女方がいれば百人力、私が爆裂魔法で陽動しますのでその隙に……」

「外法を以て召喚された醜き害獣どもが密集している……が、汝らの実力なら要らぬ配慮か」

「ええ。それに、すべて蹂躙してもいいのでしょう?」

 

 

意味ありげに頷く団長さんに私は目を輝かせ、闇に溶けいく二人の背中が見えなくなるまで瞳で追う。

後ろでゆんゆんが「何かフラグっぽいセリフだった気がするんだけど! 何も起きないわよねめぐみん!」とかなんとか言っておりうるさいですが、私はその声を無視して爛々と焔宿る意思と共に時が来るまで備えることにした。

 




次回

銀髪仮面盗賊団助手と途中合流すると、めぐみんの前に現れる貴族のお嬢様カレン。
前回とは打って変わって助けてほしいと懇願する様子にただことではないと思いつつ爆裂魔法を放つ準備をする。
お供のぼっちとそこそこ強いチリメンドン屋の娘を引き連れ、強敵に挑む。
かもしれない。
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