私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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ぜんかいのあらすじ

めぐみんと一緒に盗賊ごっこしました。
というわけで調子に乗って強敵に挑み死んで、爆裂魔法に巻き込まれ死にかけたカズマくんを除いて無事事件は解決!
ドネリー家のカレンお嬢様は敬虔なエリス教になることで改心したのでした。


紅魔族がアクセルへ来たのでおもてなした

<カズマ>

 

最近のララティーナお嬢様の密かなマイブームはめぐみん特製小型ロブスター(ザリガニ)料理。

知り合いの貴族に振る舞いたいらしい。

俺はそれを止めようとしたんだ。

だが悪びれることもなくめぐみんに「一緒にザリガニ取りに行きましょう! 爆裂魔法で大量獲得です!」って誘われて。

正直今の俺は呆れて何も言えないって感じの顔をしてると思う。

 

 

「なあめぐみん」

「めぐみんです」

「そろそろ怒られてこいよ。名門貴族のお嬢様と王女様にザリガニ料理を『紅魔の里で名物となっている小型ロブスターを使った料理』って偽って提供したことをさぁ」

「どうして私が怒られる前提なのか! そもそも紅魔の里では本当にメジャーなんですよ?」

「嘘だー」

「いいえ、マジです。かつて我が家の食料問題を解決するために師匠と一緒に品種改良したザリg……ロブスターを小川に解き放ちまして」

「やっぱザリガニじゃねーか」

「で、ですが味は言わずもがな! 栄養たっぷりかつ高レベルの食材なので、ニートどもの戦闘訓練、学校では食育としてカリキュラムに組み込まれてまして……」

「マジか……。というかニートはいっその事漁師でも初めて収入しっかり得ればいいんじゃないか?」

「あのニートたちは駄目ですよ。食材に傷をつけて価値を下げるので……こう、私みたいに魔力を『絶』してアサシンが如く背後をとり、腕をちょん切ると言われてる威力のハサミを食らわないようにですね」

「異世界の漁師って大変なんだなぁ……」

「最近では王都の学園からサバイバルキャンプの申し込みがあったりしまして、今や郷土料理です! 交配や漁の仕方や泥抜き方法の発案者である私としては鼻高々ですよ」

 

 

……逞しいなコイツ。

というか爆裂魔法に脳のリソース割かないで商売やらに特化させてたら、今頃こいつ一人で巨万の富を築き上げて、その功績を認められて貴族とかになってるんじゃ?

まあ今のめぐみんから爆裂魔法を抜き取ったらロリしか成分がないから考えられないが。

 

 

「今変なこと考えたりしなかったですか?」

「別に……って、今俺たちどこ向かってんの? 紅魔の里に行こうとしてるのか?」

「その通りです! それに当たって師匠にテレポートを頼みに来たのですが……」

「ああ、だからウィズ魔道具店の方に……ってちょっと待て? ナナシってランダムテレポートしか使わないっていってなかったか? 俺たちが使うと四肢がもげるか壁の中に転移して圧死するみたいな話を言ってた気がするんだが……」

「何でも異界門(ゲート)という魔法を開発したらしく、膨大な魔力を使うことで次元を超えるポータルを作り出すとか。今のところ成功率は100%らしいので私たちも使わせてもらおうかと」

 

 

そんなこと思って歩いてるといつの間にか魔道具店の前につく。

「おーっす、ナナシさんいますかー」なんて言いながらドアを押して、いつもウィズがいるレジの位置に目をやるとそこには赤い瞳をした少女。

……なんかデジャブを感じる。

この店を知って間もない頃にゆんゆんがめぐみんを待ち伏せていたのを思い出した。

が、今回は別の紅魔族、しかも三人、紅魔の里で会ったことがある影が薄い二人組とこめっこだった。

 

 

「あー、ねーちゃーん!」

「おや、こめっこではないですか! どうしてこんなところに!?」

「ふっふっふ、それは私が説明するわ、久しぶりね、まぐ……もぐ……もごみん!」

「どどんこ、めぐみんよ」

「あっ、そうそう! それとめぐみんの彼氏さんもどーもー」

「お前らは確か……紅魔の里の!」

「ふっふふ、名前を尋ねられたらー!」

「名乗らないわけにはいかないわ! まずは私から!」

「別に尋ねてないが?」

「我が名はどどんこ、紅魔族随一の……随一のぉ……」

「ちょっとしっかりしてよどどんこ! こんなところで名乗り失敗してたら舐められるのよ! 私がお手本見せつけてあげるわっ! 我が名はふにふら! 紅魔族随一の弟思いにしてブラコンと呼ばれし者!」

 

 

これが……お手本?

めぐみんはまだかっこいいがブラコンだのはかっこいいのか?

いや、絶対かっこよくない!

中二病感性に則って採点するなら今の名乗りはテンプレートに当てはめただけで赤点だろ!

そんなこと考えてるとめぐみんが。

 

 

「…………なるほど、いつまでたっても説明してくれませんが大体把握しましたよ。つまりそこのどろんこ二人組に餌付けされて誘拐されたところ、私が颯爽と登場してきた感じですね」

「あ、あのめぐみん! さっき名前呼び間違えたことは謝るからちゃんとどどんこって呼んで! 私の唯一紅魔族らしい部分が! アイデンティティーがなくなっちゃうから! そして誘拐なんてしてないから!」

「ではどのような理由でアクセルに? まさかこめっこを人質として私を脅そうとはしていないでしょうが……」

 

 

どうしてお前はそんなに物騒な発想ができんだよ!

流石に自分の友人が自分の妹を人質に使うとか、俺が考えられる中でも相当最悪なシチュエーションに分類されるから!

それともこれが紅魔族流の挨拶ってやつなのか!?

そんなこと言ってるとおやつを一心不乱にもぐもぐしていたこめっこが口を動かしつつ。

 

 

「ねーちゃんのお友だち、私の足としてけっこう役に立つ! あとお菓子おいしかった!」

「なるほど、つまりブラコンをこじらせてシスコンの気質も兼ね備えた同胞ふにくらが我からこめっこを人質に取り……」

「だからちっがうわよ! それとふにくらなんて変な名前じゃないから! ふ・に・ふ・ら、よ! 今日の用事は先生とゆんゆんに会いに来ただけだから!」

「ではこめっこ誘拐事件はどのように弁明するのです? 答えによっては爆裂しますよ!」

「怒るって意味よね? 本当に爆裂魔法を放つって意味じゃないわよね!? 一応言っておくと魔王軍が攻めてきて……」

「ボンってなった!」

「正確に言うとめぐみんの実家は壊れてはないんだけど、破壊しようとした魔王軍に対する怒りでゆいゆいさんが狂戦士みたいになってるらしいわ」

「魔王軍は我が母ゆいゆいの逆鱗に触れてしまったのですね……憤怒の権化が暴れていてはその場にいるのは危険を伴いますし、暴虐を目にするのは教育的にもよくないですからね。避難のためにこめっこをつれてきたこと、感謝しますよ」

 

 

あのお腹真っ黒黒助なゆいゆいさん、確かに怒ったら怖そうだが……

さすがに自分のお母さんをそんなに恐ろしい怪物みたいにいうのはどうかしてるぞ?

ナナシさんみたいな人外じゃあるまいし……なんて思っていると。

 

 

「カズマ、母ゆいゆいは最近ザリガニ食べ放題の環境にいましたので、それはそれは今まで食べられなかった分をむさぼり尽くすように食らい、今のレベルは相当なものです。もしかしたら三桁に乗ったんじゃないですかね?」

「バケもんじゃん」

「ザリガニとの格闘も一筋縄ではいかないですし、食物連鎖に勝ち抜くために日に日に強くなっていくザリガニと格闘を繰り広げていたので実家の近くの沢でとれるザリガニはブランド品なんです。最近なんかハサミからソニックブームが出るらしいです」

 

 

テッポウエビか何かか!?

そんでブランド品、強さが値段に直結してるのもあるかもしれんが、お前ん家の食卓に並ぶせいで需要と供給が釣り合ってないんじゃ……

ザリガニがそんなに強いだなんて思わなかった俺は微妙な顔をしながら紅魔族たちの会話を傍聴する。

 

 

「……さて! 近況報告ご苦労様でした」

「いいのよ。それに紅魔の里は日々進化してるし時期終戦すると思うわ。何よりロブスターたちがゆいゆいさんと共闘してるらしいし、エビが焼けたいい匂いがして、この戦いが終わったら甲殻類祭りだって大人たちがいつも以上に気合い入れてたからね」

「かつての宿敵同士だったロブスターと我が母が、まさかの利害の一致による敵味方の垣根を越えた共闘戦線……実に胸熱くなる展開じゃないですか! ゆいゆい、聞こえてますか! 今一番紅魔族してるのはゆいゆい、あなたですよ!」

 

 

なんかもういろいろツッコミポイントが多すぎて気力が失せたわ。

げんなりとしてしまったが、棚の商品を並べるウォルバクお姉さんを見ると何だか気力が回復してきた。

これが癒やしってやつか、それとも母性ってやつなのだろうか、このときの俺はまだ何も知らない。

 

 

「……カズマ、そんなに鼻を伸ばして一体何を見てるんですか」

「……あの窓の先に見える、期待や希望という名の予感を」

「なんかかっこいいこと言って誤魔化そうとしても無駄ですよ! カズマは私の成長性という名の期待を裏切らないものを見続ければいいのですよ!」

 

 

後ろで「は、はわわわ……どどんこ、めぐみんが大胆よ!」「私たちが、恋愛面で男勝りなめぐみんに敗北するだなんて!」「サラサラ……めぐみんねーちゃんはねーちゃんのおとこにつがいになるよう迫り、ちぎりをかわした……サラサラ」って雑音が聞こえる。

しかし俺は乙女ゲームもたしなんだことがある男、サトウカズマ。

こんなとき、どんな返しをすればいいのかは恋愛シミュレーションゲームで網羅しているプロゲーマーに死角は……ない!

俺は突如浮き出た3択の中から返しの言葉を選択しようとして……

 

 

「待たせたな……ッ!」

「あ、ねーちゃんのおんな!」

「息災であったか? それと汝の姉が師匠だ。飴ちゃんいる?」

「ありがとー! あ、ザリガニうまかったよ! 次はセミがいい!」

「では真剣蝉を改良してみるか……強いやつほど旨いと相場が決まっているからな」

「お願いします」

 

 

ナナシさんが来て、かけよるこめっこに膝を折り優しく語りかけるその様子は親戚のおばちゃんのようだった。

それはおいておいて、俺がかっこつけた台詞を吐いて後々振り返って恥ずかしくなる前に止めてくれたのはありがたいが、その進研ゼミみたいな名前の蝉を改良するってのはどういうことだってばよ!

昆虫食って俺イナゴとか蜂の子位しか知らないんだが最近そう言うの流行ってるのか!?

だとしても蝉を食うのか!?

 

 

「ナナシ先生! どうもです!」「アクセルに来たらもてなしてくれるって聞いたからきちゃいましたー!」

「息災だったか……とは言うまでもないな、ふにふらにどどんこ」

「はい! この前インフェルノ覚え……卒業したばかりですし、何なら最近は家の改造技術を学ぶために学園でよく顔を合わせますしね」

「また学園が復旧したら教えてくださいね!」

「無論、その予定だ。……それにしても遠路はるばるようこそ、アクセルの街へ。今日はダスティネス家でザリg……小型ロブスターづくしのパーティーで腕を振るう予定だ」

「あ、師匠! ダクネスから私にザリガニを捕ってきてほしいと依頼されてるのですが……」

「ふむ……まあ問題ないのじゃ、亜空間に在庫はそこそこある。在庫の補充は魔王軍の襲撃が収まった時にでも、一狩りしに参ろう。というわけでどうだ、宴に二人は来ないか?」

「も、もちろん行かせてください! どどんこ! これで貴族のお屋敷のパーティーにお呼ばれしたってみんなに自慢できるわよ!」

「はわわわ、私秒で寝ることしか特技ないんだけどもし貴族の人に何か一発芸してって言われたらどうしよう!」

 

 

安心しろよ、紅魔族に話しかけてくるような物好きな貴族なんて国教であるエリス教に刃向かうが如くアクシズ教に入信してる変態くらいレアだから。

俺はそんなやりとりをしてる中二病らしからぬ中二どもをおいて帰宅しようとドアから出た。




次回

こめっこの手紙に「ねーちゃんの仲間はすごい!(意訳)」と書いていためぐみんが実際にこめっこに実力を見せつけようとクエストへ。
しかしギルドのお姉さんの策略により掴まされたクエストは爆裂魔法なんか使わなくてもアクアがいればなんとかなりそうなモノだった。

向かう先はアンデッドが住まう教会。
「紅魔族が引っ越し封印をしていた傀儡と復讐の女神」の信徒・ルーシーを除霊する高難易度クエストを受け(させられ)るのだった。
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