私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

ふにくらとどろんこがこめっこをつれてウィズ魔道具店来店。
どうやら紅魔族と魔王軍との戦いが激化してるみたいで、念のため避難させにきたらしい。
アクセルに来てくれたついでに高級ザリガニ料理をダクネスの家で出すらしいのでみんなで突撃し、ごちそうになることに。
「伊勢エビとか食ったことないけどそれくらいうまかった!」Byカズマ


育成した獲物を横取りされる前に回収した

<ダクネス>

 

おとといは大変だった。

美食家貴族を集めて紅魔族が自然環境で飼育したという小型のロブスターをめぐみんに採ってきてもらい、それを振る舞うことになったんだが……

まさか「私たちが生産者です」みたいな顔してめぐみんたち紅魔族4人(めぐみん、こめっこ、ふにふら、どどんこ)とカズマが参加するとは思わず目を剥いた。

おかげで頭のおかしな連中が変なことをやらさないか、終始気が休まらんかったのだ。

 

しかしながら貴族の中でも(食べ物を馬鹿にしなければ)温厚な美食家貴族の方は「ああ、紅魔族の方! これはどのように作られたのですか!」や「すばらしいです! 是非当家に卸していただけませんか! 言い値で購入しますので是非!」と不敬を笑って許すどころか紅魔族をも怯ます勢いで質問などしていた。

そのせいもあってかナナシ主導のせりが白熱しすぎた以外は問題という問題がなかった。

パーティーが終わった頃ナナシに感謝を伝えに行ったところ「また機会があれば是非」とホクホクとした顔をしていた。

……大変おいしかったので定期開催も視野に入れようか。

 

そして昨日も大変だった。

いや、神経がすり切れるようなものではなかったのだが。

こめっこを私たちパーティーの屋敷で預かることとなったのだが、そのときめぐみんから実家に送られていた手紙をこめっこが読んで私たちに教えてくれたのだ。

ふふっ……

金髪のお姉ちゃんはとても力があって、爆裂魔法に耐えられるほど凄い、大悪魔に取り憑かれても乗っ取れないくらい強い、どんな強大なモンスターが相手でも決して逃げない上に、どんな攻撃にも耐える頼りがいのあるかっこいいクルセイダー……か。

めぐみんが私のことをそう思ってくれていただなんて、その言葉を思い出すたびに嬉しさのあまり、にやつきが抑えられない。

 

しかしそう純粋な好意に当てられて、いつの間にか塩漬けクエストを受けることになってしまっていたのだ。

おのれ受付嬢っ、私たちがこめっこにかっこ悪いところ見せたくないとわかって「頼りがいがあって、とってもかっこいい冒険者たちがどんな高難易度クエストでもやってくれるのよ」などと心にも思っていないことを明け透けと抜かして!

こめっこに「ねぇちゃんたちすげーっ!」だなんて言われてしまったら断るに断れないではないか……

 

そして今日、私たちは肩を落として皆とクエストへ。

押しつけられたクエストはルーシーゴーストの討伐。

 

 

「ねえねえダクネス? どうして今日はそんなにがっかりしてるような感じなの? いつもなら我先にって前に出てくれるのに……」

「アクア……今回の敵はゴーストだ。……私は……私はッ! 戦闘面では何も役立てないではないか!」

「だったら新しいスキルでも習得しろよ。聖騎士ならば悪霊をはらえるホーリーなんとかという技を習得できるんじゃないか?」

「馬鹿を言え! カズマ、言っておくが私は防御特化型のガチビルド編成(?)らしいぞ? この戦闘スタイルを崩すことが今更できようか」

「できるだろ。もうちょいかっこいいクルセイダー目指すんだったら頑張ってそういうスキルとれよ。というか、ドMだから習得したくないだけだろ」

「ああ、全くもってその通りだ」

「断言してもかっこよくないぞー」

 

 

そもそも威力の高い攻撃を生きがいとしている私に攻撃スキルなど不要!(自己完結)

というわけで私の力を振るうことができないクエストはできれば避けたいところなのだ。

ちなみに今回のクエストを避けたい理由はそれだけではなく……

 

 

「なあカズマ、やはり今回のクエストは止めにしないか? 私はエリス様に使えるクルセイダーとして除霊には賛成なんだが、その、ルーシーというゴーストが消えてしまったら……」

 

 

ルーシーゴースト。

とあるマイナーな神を信仰していたルーシーというシスターのゴーストなのだが、問題は彼女が信仰している女神様は本当にマイナーすぎて最後の信者であるルーシーが成仏してしまったら信仰がなくなり消えてしまうということだ。

私自身で置き換えるとエリス様が私がいなくなってしまったせいで消滅してしまうということだろうか。

除霊すべきという思いと女神様が消えてしまうその感情で葛藤しているのだ。

 

 

「確かに女神さんは消える。だけどな、このままおめおめと街に帰ったらこめっこに失望される! それが一番避けなきゃいけない問題なんだ」

「そ、そうは言ってもだなカズマ! 流石に思い切りが過ぎるんじゃないか!?」

「ダクネス! 私が聖職者としてお説教してあげましょう。悪魔倒すべし、魔王しばくべし、アンデッド払うべし! それによ、女神からしたら同業者が減ればそれだけ儲かる……というか信仰が得やすくなるってことなんだから弱ってるときに異教徒のアンデッドをサクッとやっちゃうっていうのも一種の信仰の形で」

「オイッ破戒僧の風上にも置けないバカ! 変なことを教えてんじゃねぇよ、さすがにその理論はドン引きだわ!」

 

 

カズマとアクアがやいのやいのと騒いでいるのを呆れて見ていると、めぐみんが私にちょいちょいと手招きをしてきた。

一体どうしたというのだろうか。

もしかすると爆裂魔法で教会ごと幽霊を吹き飛ばしたいとでも言い出すのだろうか?

なんて冗談めかして思っていると。

 

 

「あの、実は何ですけどルーシーが信仰している女神、確か傀儡と復讐を司っているのですが、私の里に数年前まで封印していた名もなき女神のことではないかと……」

「うん? つまりどういうことだ?」

「ええっと、何かが原因で数年前に封印が解けたのですよ。そう、何かが原因で! ですので今頃その女神も新規の信者を獲得したのではないでしょうか?」

「ああ、そう言うことか。つまりゴーストを倒してしまっても女神は消滅しない、そういうことだな? ならば心置きなく説得できるというもの! 戦闘面で役立たなくとも天に召されるように説得するという聖職者らしい活躍をしてみたいと思ってたところだ!」

 

 

私は自慢の脚力を生かし、ズイズイと前進していく。

例の教会に到着した頃には他の三人が見当たらず、数分後に汗をだらだらと垂らしつつ息を荒らげる三人が到着したことを追記しておこう。

 

 

 

 

<主人公ちゃん>

 

塩漬けクエスト。

誰が最初に命名したのかはわからないですが、言い得て妙ですね。

大抵のクエストは難易度が難しい、割に合わない、面倒くさい、みたいな理由で放置されているのですが、放置しておけばしておくほど難易度も面倒くささも被害も増えていき、ついには手がつけられなくなるのです。

まあそんなつければつけるほど(経験値が)おいしくなるクエストなので私の好物だったり。

意図的に難易度が上がるように漬け込み期間を長くしていますが、さすがに被害が出る前に受けるようにしています。

 

 

「というわけで共に戦の地へ参ろうぞ!」

「一体どういうことなの!? 私は元とは言え魔王軍幹部なんだけれど……」

「しかし、しかしだ。現在は人の子の信仰獲得が必須であろう? 新たな信者を獲得するために最も効率的で簡単な方法とはマッチポンプである。というわけでだ、某が育成した魔獣どもを駆逐しに参ろう」

「ま、マッチポンプ? 私、邪神を卒業したからそういうのはちょっと控えたいんだけど……」

「まあまあ、アクシズ教よりは人の役に立つことをするのだ。奮って参ろうぞ!」

「……何というか、尻拭いに人手がほしいから駆り出すのをうまい言い方するわね。私にメリットあるから断るに断れないのが何ともモヤモヤするわ……」

「じゃあ給料も上げるから……」

「店長でもないのにそんな権限あるのに驚きなんだけど!?」

「いらないのか?」

「いるけども!」

 

 

さて、そう言うわけでお供を連れて森の方へ出発進行!

人類の生活圏外に適当な強敵を定期的に送り込むことでリアル育成ゲーム(バトルさせて進化を促す)していたその地へ!

……ちなみに育成ゲームをしたところで人類の生活圏外なので迷惑にはなり得ないですし、強いて言えば実力に見合わない冒険者がクエストを受けたら大変だってくらいです。

しかも人の住む地から離れているので迷惑をかけることもないですし、今の今までグリフォンとマンティコアのところとかにいろいろ送り込んできたりしたのですが……

 

残念なことにこのときが来てしまいました。

塩漬けクエストの一斉消費。

街中の冒険者をかり出してクエストを消費するのです。

正直私の育成してきた子たちと遭わせたら蘇生不可能まで八つ裂きにされることになりそうなのでそうなる前に急いで先回りして証拠隠滅、と言う名の危険排除へ奔走するのです。

 

今日のところ剥がされた依頼を見る限り危なそうなのは……

「紅魔族が森に放置したバジリスク(蛇型)とコカトリス(鶏型)とゴーゴン(人型)の三つ巴石像撤去作業(石化解除時間残り僅か)」「眠りのアロマのカリス討伐(群生)」「炸裂マッシュの採取(品種改良して短気な爆裂マッシュに進化)」……

 

 

「かなり大量ね。一体どれだけの環境破壊をしてきたのよ……」

「環境破壊とは失礼な。これは自然の摂理に従った弱者の淘汰よ」

「異世界じゃ外来種が生態系を破壊するのが問題になってるの知らないのかしら?」

「強者は弱者のことを歯牙にもかけぬ。特に高レベルになってくれば来るほど高レベルのモンスターの偏食が激しくなる。つまり食物連鎖のヒエラルキーが下層である種は生き残るように設計してある。問題はなかった。よいな?」

「……そういうことにしておいてあげるわ」

「では依頼を受けた冒険者には申し訳ないが、掃除を始めるとしよう」

 

 

冒険者の手柄横取りする形になりますが人命には代えられませんし致し方ありません。

ほんとうは知り合いの幽霊ルーシーさんのところに行きたかったんですが、今日は忙しいですし……

この前の話の続きは天界でかもですね。

さて、まずはマッシュルームを爆裂魔法で一掃して無害化するところから行きますか……




さぁて! 来週のお話は!

ナナシです。
最近いろいろなことがありましたね。
あるときは経済破綻している王国の宰相となり国を立て直してみたり、またあるときは盗賊団として潜入してみたり……それにしても異世界に来てザリガニを調理することになるとは誰が思ってたでしょう?
さて、次回ですが……
ルーシーvsアクア:仁義なき信仰を賭けた戦い
ルーシーとナナシ:レジーナ教同士の対談
グリフォンvsマンティコアvsナナーシャ:空羽ばたく神話の戦い
の三本やるかどうかは未定です。
来週もまた見てくださいね!
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