私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

「こめっこちゃんにいいところ見せてください!」byルナさん
そんなこと言われて塩漬けクエストを受けることになったアクセルの冒険者たち。
しかし立ちはだかる葉何者かの手によって成長を加速されたモンスター(何か陰謀を感じますね)
冒険者たちの命の危機を救うために急げ主人公ちゃん!(自分の尻は自分で拭うんだ!)


お化け屋敷に突入したら幽霊と仲良くなった

<カズマ>

 

「ふーはははっ! 師匠の友は我が我が同胞! ルーシー、今晩は師匠が師匠たる所以を共に語らいましょう!」

「私はゴースト、睡眠も食事も必要としないアンデッドな私についてこれるのかしら?」

「嘗めないでいただきたい……私は師匠の一番弟子ですよ、半球睡眠の領域に片足を踏み入れt……」

 

 

どうして……

どうしてこんなことになったんだ?

 

それは遡ること数分前。

俺たちはルーシーゴーストの討伐依頼を受けて、何故か勝手に一人突っ走り出すダクネスを息絶え絶えになりながら追いかけ、そのおかげか予定時刻より結構早めに目的地の教会に到着した。

上がった息が落ち着いたところでどうやって討伐すべきか計画を練る……訳もなく、破戒僧にGOサインを出した。

 

 

「よーし……アクア、殴り込め」

「任されたわ! 異教徒め、私の聖なるビームを食らいなさい! ホーリースマイトッ!」

『ひっ!? きゅ、急に何nひぃぃいやぁぁああ!?』

 

 

本当に容赦なくアクアの拳がクリーンヒットした。

かわいそうに、アクアを仕向けた俺が言えることじゃないが本当にかわいそうだ。

聖職者なら信仰心がすごいゴーストに敬意払ってもうちょい躊躇えよ!

 

 

『フフフ、これが痛み……ダメージを受ける感覚……ですか』

「な、ばかな、ありえない!? カズマカズマ!」

「カズマです」

「あのゴースト、私の第七位階魔法を食らったのにもダメージがほとんど通らないんですけど!」

「でもさっき『ひぃぃいやぁぁああ!?』って言ってたし効いてるんじゃないか?」

 

 

体から煙っぽいのを出してるがアクアの一撃を耐えるルーシーさんは相当強い信仰心をお持ちの高位アンデッドみたいだ。

 

 

『あなたたち一体何なんですか!? 神聖な教会の扉を蹴破ったあげく見ず知らずの私に躊躇うことなく危害を加えてくるというのは……アクシズ教でもないのに頭おかしいんですか!?』

(すんません、本当にその通りです)

「ああっ! 今私のこと馬鹿にしたでしょ! どこの誰も知らないマイナーぼっち女神を信仰してもいいけれど知り合いでもない初対面の女神を馬鹿にするとはいい度胸ね! 私の子たちを侮辱したその罪、懺悔なさい!」

(いや、かなり適切な表現だったぞ? というかお前は『エリスの胸はパッド入り』とか『プークスクス! ウォルバクなんて名前、マイナーすぎて聞いたことないんですけど!』とか言ってるだろ!)

『何が懺悔しなさいよ! レジーナ様はぼっちじゃありませんから! 確かに傀儡と復讐を司ってらっしゃるけど、レジーナ様は進んで一人を選ばれた孤高の女神様です!』

(それ、結局ぼっちじゃん)

『ってあなた、その高らかにあげた拳は何!? まさかいやっ! またさっきみたいに私にひどいことするつもりね!? そういうことなら私だって最終手段を行使させてもらうわ! ……ああっ助けてください!』

「プークスクス! もしかして神頼みかしら? 大人しくしていればエリスに口添えしてあげようと思ってたけれどどうやらその必要はないみたいね!」

 

 

なんか、本当にうちの駄女神がすみません。

端から見ればほとんどこっちが悪役みたいなポジションなんだが。

罪悪感から心の中で謝罪してるとルーシーがこう口に出した。

 

 

『ナナーシャさん!』プルルル……

 

 

一体どういうことだ!?

なんかいきなり電話(?)みたいなことしはじめたんだが!?

というかナナシとどういう関係だよ!

確かにあの人は魔王軍とか王家とか盗賊団とか意味わからん人脈築いてるが、まさかゴーストと友達……なのか!?

 

あ、ありえる!

あの頭がおかしい紅魔族の師匠なら全然あり得るわ!

そうなればウィズの時みたいに見逃すべきか……

俺たちが教会に着いた頃にはゴーストなんていませんでしたって感じで。

クエストは失敗になるが、友人の友人を手にかけるなんて……

あ、バニル(復活済み)とかベルディア(セクハラ)は別カウントで。

 

 

『あ、聞こえましたナナーシャさん? 実は今変なプリーストに襲われてましてちょっと友人のよしみでお手をお借りしたいのですが……ええ、そうです、三原色とついでのくすんだ緑で……』

「おい、今俺のことついでのくすんだ緑っつったか!?」

『……ええ? 今は、神器持ちの厄介おたくのトロールロード討伐で忙しい? 後どれくらい……え、後30件くらい塩漬け残ってるから無理ってどういうこと!? 人命に関わるから消化するまで待っててですって? いや一気にしょっぱいの食べたら寿命縮むわよ! 一気に完食するものじゃないでしょお漬物って! ……あれ、もしもし? もしもーし、聞こえますかー?』

 

 

どうやら魔法でナナシさんとやりとりしてるらしいが、向こうも向こうで大変らしい。

きっとアクセルの冒険者が「こめっこちゃんにいいところ見せようぜ!」とかなんとか言って身をわきまえない危険な塩漬けクエストに参加してたから、仕方なしに先手を打って危険を潰して回ってる感じだろ。

ルーシーは全く見当違いな「漬物一気食い選手権の参加」の方向に解釈してるが。

 

 

「ってあれ? そこはレジーナ様って言うところじゃないのか? 普通信仰心が高いなら自分の神に助けを求めるんじゃ……」

『貴方、信仰についてなにもわかってないのね。昔の私を見てるようだわ』

「はあ、昔のルーシーさん、っすか」

『ええ。でも私はナナーシャさんの言葉を聞いて生き方を新たにしたの。信仰すれど見返りは求めず。それが今の私よ』

「はあ、なるほど」

『そう、今の私は私の推しを推すために入信したといっても過言じゃないわ! 誰が推しに助けを求めるのかしら? 誰も求めないでしょう! 私は生き方をレジーナ様の教えから学んだわ。でもそれだけじゃただの敬虔で立派な信者よ。次のステージへ上らないと。私は偶像を崇拝するけれど、見返りは求めない、レジーナ様の幸せを願って生きてるわ! というわけで私はまだ死ぬわけにはいかないのです!』

「うわぁ……」

 

 

……高位の神官がただのオタクにしか見えない。

しかもなんか目が狂気でイッちゃってーるよ。

これが信者のレジーナさんは一体どんな感情で信仰心を受け取るんだろうか。

いや、唯一の信者だから無碍にはできないだろうし、こっそり支援してくれてるのかもしれないが、一周回って怖さを感じざるを得ない気がする。

そんなこと思ってるとめぐみんが目を赤く輝かせて。

 

 

「……」グッ

「……」グッ

「なにこれ」

 

 

ルーシーと親指をぐっと立て、何か通じ合った。

そして、冒頭に戻る。

もう俺かえっていいかな?

 

 

 

 

 

<主人公ちゃん>

 

私とウォルバクちゃんとでレベル上げしてきました!

 

 

「……どうして今日一日で魔王軍幹部級の敵を両手で数えられないほど倒すことになったのかしら」

「それは某が魔獣どもを手塩にかけて育成していたせいかな。強大な力を手にしていた故に一人では時間がかかった。協力してくれたことに礼を言うぞ」

「なにサラリと危険なことしてるの流そうとしてるの!?」

「いやしかし、強敵を倒すことでレベルと信仰心が上昇するのは……」

「そうよ、そうだけどもマッチポンプっていう言葉知らないのかしらこの子……」

「明日も引き続き頼む」

「明日も!? これが毎日続くようだったら私抜けさせてもらうわよ!?」

「それは残念、では私からの福利厚生という名の料理を抜かなくては……時間の都合上仕方のないことだ、許せ」

「ああもうっ! やればいいんでしょ! ご飯のためにやるわよ!」

 

 

やってくれるみたいですね!

よかったよかった、もし断られたらモンスターの処理が間に合わなくて毎日何十件のリザレクションをする羽目になるところでした。

天界規定、めちゃくちゃ厳しいんですよね……

もし一回リザレクションしてるダストなんかが死んだら私が規定を歪め、ねじ曲げに奔走するなんてことになっていたかもしれませんし、ほんとに感謝感激です!

ウォルバクちゃんの感謝と機嫌取りを兼ねて今日の夜は高級豚(トロールロード)を使用したカツ丼でも作りましょう。

そうして帰路につこうとして、途中で一つ思い出した。

ルーシー、どうなった!?

 

私はことの顛末を知るべく、ウォルバクちゃんに先に帰るように言い残し、教会にテレポート。

……そこで目にした光景とは!?

 

 

「本当にあの人、一体どれだけの神を信仰しているのかしら? エリスなら国教ですし王女代理のような立場上仕方ないと思いますが、レジーナ様のことも信仰してて」

「そう! それですよ! 師匠は八百万の神を平等に愛しているのです! 私の知る限りではエリス、アクア、ウォルバク、レジーナ、サテラ……キリがないのでやめておきましょう」

「そのくせあの人、神様なのよね……」

「私が多分一番最初の信者的なあれなのですが、まだ信者が少ないので信仰したときの特典はすごいですよ! 私なんてかっこよさが上がりました!」

「そ、それはすごい……わね?」

 

 

 

 

「……何をやっとルのじゃ」

「おおー、ナナシ。何かめぐみんとルーシーが意気投合してな。俺とダクネスは暇だからジャイアントトード討伐して、バーベキューしてるとこだ」

「本当にカズマのティンダーや料理スキルさまさまだ。討伐では私が囮となりジャイアントトードに捕食されたいと思っていたのにカズマが潜伏スキルと狙撃スキルで仕留めてな。……別に今日一日中活躍できなかったことに不満があるわけではないぞ」

「それはお前の変な性癖だ、俺はそんなこと知らん……そっぽ向けて拗ねるなよ。あ、肉焼き上がったしナナシも食うか?」

「あ、これから帰って作るから……」

「あっそう? じゃあ俺が……」

 

 

なんだかカオスでした。

私の知らぬところで私の話題で盛り上がりを見せている二人。

教会の目の前でBBQし始めるカズダク。

そして一人足りないなと思って周囲を見回すと向こうの方で砂をいじってるアクアちゃん。

なんかふて腐れてる!?

 

 

「あー、アクアはめぐみんとルーシーの会話を無視してゴッドブローとかしようとしてたから俺が厳しめに怒ったらあんな感じに……。というかお前の友達なら先言ってくれよ、危うくアクアがルーシーゴースト消しかけたんだぞ!」

「いや、消されたらアンデッドとしての罪を流してから導いてやろうと思っていたのだが……」

「そこはドライなんだな」

「どうせ浮世であろうと黄泉の国であろうといつでも会えるしのう……」

「なるほど。じゃあ後で大人しく成仏してもらうか」

「お主もドライよのう」

「いやいや、ナナシほどじゃあ」

 

 

かくして、特に未練がなかったルーシーゴーストはBBQの焚き火の中に入って「魔女狩りごっこ」なる遊びをしたりした後、勝手に昇天していったのでした。




次回

グリフォンvsマンティコアvsナナーシャ:空羽ばたく神話の戦い
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