ロイクさん、遊戯さん、かのとさん、☆9ありがとうございます。
アンケートありがとうございました!タイトルはこのままで行きます。
まだまだ先になりますが、ゆずき出したい……CR地獄少女のオリジナル曲が良いんですよね。舞い散る花ほんとすき。
原作は1期最終回【かりぬい】です。
カラカラという、いつも聞いているのに懐かしい音が聞こえる。
目を開けると、茜色に染まる空と燃えるような彼岸花が咲き乱れる光景が90度傾いて映った。
いつの間にか、誰がどうやってかは知らないが夕暮れの里に戻っていたようだ。
一度起き上がり、縁側に腰をかけるように体勢を変えつつ今までのことを振り返る。
「……確か、俺たちはつぐみちゃんのいる所へ行って…………2人を護ろうとして……それで…………」
────お嬢の過去を、見たんだった。
壮絶、なんて陳腐な言葉では済ませられない過去。
苦痛に顔を歪めるお嬢。助けを乞うお嬢。怨嗟の声をあげるお嬢。
目に、耳に、魂に焼き付いて離れない。
大好きな朱い瞳。初めて見た時、なんて綺麗だと思った。あれが、憎しみの血で染まったものだったなんて。
笑って欲しいと思っていた。微笑みではなく、満面の笑顔をいつか見たいと思っていた。それは確かに見れた。だが、笑顔を浮かべられなくなった所以を知ってしまった。
「やっと起きたかい?」
一人物思いに耽っていると、糸車を回す手を止めずに、障子に映る影が声をかけてきた。
「……ああ、ばあちゃん。心配かけた?」
「そうだねぇ、急に意識が無いまま現れたからねぇ」
「そっか……」
ばあちゃんとはあまり話さない。こちらから声をかけて話すことはあるが、向こうから声をかけてくるなんてことは初めてここに来た時の『いらっしゃい』以来だ。
「……今ここにいるのは、俺だけだよね?」
「そうだよ。あいも、あの3人も皆出ているねぇ」
「…………そっか」
お嬢はどうなったんだろうか。あんなことをしたんだ、地獄のお偉いさんが黙っているとは思えない。
あの2人は無事だろうか。探査の術を使用して確認したいが、怖い。
目を再び景色へ向ける。
いつも見ている俺の大好きな景色のはず。でも、今ここにはお嬢も輪入道たちもいない。ばあちゃんだけだ。
こんなのは初めてで、それが寂しかった。
「なにか、悩んでいるようだねぇ」
「……うん。俺って、無力だなって。役立たずなんだなって……」
「そうなのかい?」
ばあちゃんは日常会話の延長のようなトーンで尋ねてくる。
「お嬢が苦しんでいるのに何もできず、止められず……」
「アンタがそう思っているなら、そうかもしれないねえ」
ばあちゃんは特に肯定も否定もせず、さながら雲のような掴みどころのない受け答えをする。
「でも、あいはどう思っているんだろうねえ」
「……え?」
何を言いたいのか聞き返したかったが、空気が揺らぐのを感じてそれは中断された。
「おや、お客さんだよ」
気配を感じる方へ目をやると、一目連と骨女、そして柴田一が現れた。輪入道が不在ということは、つまり……
「大天狗!」
「良かった! 無事だったんだね!」
「ああ……2人とも、心配かけてすまなかった。それで……」
この世界では異物である生者、柴田一に目をやる。
「……一先ず、中に入ろう」
⛩
「こちら、粗茶ですが」
「あ、ああ。これはどうも」
家に入り、客である柴田一に茶を出す。最も、客というよりは監視対象なんだが。地獄から抜け出してきたお嬢から、一目連と骨女は彼を見張っているようにと指示されたらしい。
彼しかいない、ということはつぐみちゃんにはお嬢が接触しているのだろう。つぐみちゃんに地獄流しをさせて仙太郎の血筋に復讐をしようとしているというわけか。
「……?」
「大丈夫です、毒とか入ってませんよ」
「いや、そういうことじゃなくて……」
うん? それ以外に何かあるか?
「……ああ、そういう事ですか。ヨモツヘグイにはなりませんよ」
多分。
それは口にしない。茶葉自体はこの前現世で買ってきたものだから大丈夫だろう。きっと。
こうした行動を俺がとっているのは、一重に心を落ち着かせるためだ。暗く沈んでいても何も始まらない。だからまずは何かしようと動いた。
「……まさか、君が閻魔あいの仲間とは思わなかった」
茶を飲んで、一息ついてから彼はそう切り出した。
「すみません。騙していたつもりは無かったんですが……」
「いや、いいんだ。一度ならず、二度までもつぐみを助けようとしてくれた」
「……そうですか」
そう言って話は途切れてしまった。和やかに、とはいかない。娘がいなくなったのに、監視されているのにここまで冷静でいられる、落ち着いていられるのは……
「────もしかして、あなたも『視た』んですか」
「ッ。あなたも、ということは君も……」
無言で頷く。やはり、彼も視ていた。そして、それは恐らくつぐみちゃんも。
「視たって……何をだい?」
事情を知らない骨女は尋ねてきた。一目連も怪訝な顔をしている。
「…………お嬢の過去」
「ッ! お前……」
「ハッキリ見たよ……人間の【あい】が、どうして地獄少女になったのかを」
「…………アタシたちは、お嬢の過去を詳しくは知らない。コイツも、さっきまではね……でも」
「400年だ」
「……400年?」
一目連の言った400年という言葉に、柴田一は聞き返す。
「ああ、お嬢が仕事を始めてそれくらい経つ。このくらいは聞かされているさ」
「己の罪を償うために、罰として地獄少女にならなきゃいけなかったんだとさ……アンタたちは見たんだろ? その罪とやらを」
「罪……罰…………」
「……罪を犯したのは、罰を受けなきゃいけないのはどっちだってんだ」
骨女が言った罪、罰。それを聞いて、俺は思わず吐き出すように悪態をついた。
村の風習を破った? 知ったことか。
山神の怒りを買った? 知ったことか。
作物が取れない? 知ったことか。
ああ。確かに、村のヤツらから見れば、お嬢と仙太郎は悪だろうよ。だが、知ったことか。
大勢の、正義という名の悪意が見えた。その悪意にお嬢とお嬢の家族は殺された。ささやかな幸せすら、願いすら許されず。だったら、やり返したってバチは当たらないだろうに……
皆が怪訝そうな顔でこちらを見るが、骨女は続ける。
「……長い年月、時代を超えて人の生み出す怨みの果てを見つめてきたんだ……逃げたくても逃げられない……怨みってやつが存在する限りね」
「気が遠くなるような時間をかけて、お嬢は罪を洗い流して来た。自分の怨みを忘れ、心を閉ざして」
「それをアンタたち親子は、一瞬にして振り出しに戻してしまったのさ……」
そう言って骨女はチラリとこちらにも目を向けてきた。
「……別に責めている訳ではありません。先祖は先祖、結局のところあなた方とは関係ない。────こんな事になるなんて、誰にも分かる訳ないんだから」
「……しかし、なぜこんな話を? 見張っていろと命令されたんじゃなかったのか?」
解せないといった様子で柴田一は尋ねてくる。
「正直、もうどうしたらいいのか……」
「……今は、何かしないと落ち着かないんですよ。だから俺はあなたにお茶を入れたし、2人はお嬢の事情を話した。力になりたいのになれない。ただ、事の成り行きを見ていることしかできない。そんな嫌な気持ちを、紛らわすために……」
「ああ。コイツの言う通り、オレたちは無力だよ」
こういう大事な時に限って、何もできない。俺達3人は、ただ己の力の無さに歯痒さを感じているしかなかった。
「アンタ。ねぇ、アンタ」
カラカラという糸車の回る音が止まる。そして、ここに来て一切会話に入らなかった声が響く。
「……お嬢と大天狗にしか、口聞いたこと無かったのに」
3人曰く、ばあちゃんは俺が来るまでお嬢としか話したことがなかったらしい。そのため、オフの日にちょくちょく話しかけておしゃべりしていたら驚かれたことがある。
閑話休題。今回の場合、ばあちゃんが話しかけているのは俺ではなく、
「……あなたのようです」
彼、柴田一だろう。
急なことに
「ここから出してやるよ。その代わり……」
「代わりに……?」
「あいとの因縁を、終わらせて欲しいんだよ」
深く結びついてしまった縁。それを断ち切り、互いが納得の行く結末を迎えるには仙太郎の血筋である柴田親子でなければらない。
俺たちは、ばあちゃんの力でお嬢のいる所へ向かった。
⛩
結論から言うと、俺たち3人は柴田親子に託すことしかできなかった。
「いてて……」
「っつう……」
「大丈夫か? 一目連、骨女」
俺たちはばあちゃんによってお嬢とつぐみちゃんのいる場所、柴田親子の家のベランダらしき異界に降ろされた。
一目連と骨女は復讐をやめるよう説得を試みたが、お嬢は横目で手のひらから暗黒の暴風を起こし、2人を鎧袖一触した。俺はというと、あの力の凄まじさをつい先程体験したため一足早く避けたから当たることはなかった。
お嬢の方を見ると、同じく到着していた柴田一が黒藁人形を握るつぐみちゃんと揉めている様子が見えた。そしてお嬢が何かを
『お嬢!』
止めようとした訳ではない。ただ、思わず声に出してしまった。
目が合った。先程まではこちらをろくに見ようとしなかったが一瞬、視線が重なるもすぐに逸らされた。
『……帰ってくるのを、待っているから』
何を言えばいいか分からなかった。だから、咄嗟に思いついたことをそのまま口に出した。
お嬢は少し驚いたような素振りを見せながら、姿を消した。
「悪いな、大天狗……」
「気にしないでよ。今は、これくらいしかできないんだから」
2人はベランダの手すり壁に叩きつけられたため、結構なダメージがある。妖怪だからほんの少し経てば治るが、俺は2人に治癒の術を施していた。
「あの親子、大丈夫かねぇ……」
「どうだろうね……今は、彼らがお嬢との因縁を断ち切ってくれることを信じるしかない」
「……アンタ、変わったね」
「え?」
急に骨女にそんなことを言われたため、思わず聞き返した。
「ほら、いつものアンタならさっきの現場に突っ込んで行ってただろうからさ」
「待っているなんて性にあわない、って性格だろお前」
「……あの場では何を言ってもお嬢には届かない、そう思っただけだよ」
いつもなら、2人をどこかへ連れて行こうとするお嬢を止めるなり、着いて行こうとするなりしていただろう。
だが、今回はしなかった。
お嬢を締め付けている呪縛を解き放てるのは俺じゃない。あの2人でなければならない。俺がいたところで、邪魔にしかならない。
だから待っていると言った。
柴田親子が、お嬢がどんな答えを出すにしても、またあの里へ、俺たちの居場所へみんな一緒に帰りたいから。
⛩
程なくして、周囲の景色が変わった。いや、戻ったというところだろうか。俺たちは寺の境内にいた。少し離れたところにつぐみちゃんと柴田一、そしてお嬢がいる。
「ここは……?」
「元の、七童寺……」
つぐみちゃんと柴田一がつぶやいた。
七童寺。そうか、ここが仙太郎の言っていた……
お嬢はというと、こちらに背を向けて七童寺を見ている。今まで纏っていた不穏な気配はもう感じられない。
俺たちの傍に落ちていた黒藁人形が輪入道に変わる。つまり、契約は正式に破棄されたということ。
突然、お嬢は手のひらに蒼焔を作り出した。
「お嬢!」
「「────!!」」
一目連が思わずといった様子で叫ぶ。骨女と輪入道も焦っている。
「いや、多分……」
だが俺には分かった。お嬢が何をするのか。
彼らは現世へ戻って来れた。つまりお嬢を、【あい】を苦しめていた呪縛が断ち切られたということ。
七童寺は仙太郎が建立した。それは、【あい】のことを思って。だが、もうお嬢からは怨みの念が感じられない。400年という長い歳月に渡って抱えてきた怨みが晴れたということは……
お嬢が蒼焔を七童寺に向けて放った。その劫火は一瞬にして本堂を吹き飛ばし、燃やし始めた。
七つ送りの風習が途絶え、【あい】の怨みも消えた。だから、【あい】のために建てられたこの寺はもう必要ないということ。
燃える七童寺に背を向け、こちらへ歩いてくる。その瞳からは、涙が流れていた。
「これで、良いんだね……お嬢…………」
俺が問いかけると、お嬢は静かに頷いた。
「…………もう、お嬢が泣いている姿を見たくないんだ」
そう言って持っていたハンカチを渡すと、ハンカチと俺を交互に見たあと軽く目元を拭って返してきた。
たとえこの涙が過去と決別するために必要なものだとしても、それでもお嬢にはもう泣いて欲しくない。過去の記憶だけで十分だ。これは、単なる俺のわがまま。
「……行くよ、さあ…………」
お嬢は未だ燃え盛る七童寺に振り向くことなく、変身した輪入道に乗り込み一目連と骨女も後に続いた。
「……2人共、お嬢を解き放ってくれて本当にありがとう。
そしてつぐみちゃん。今度こそ、さようなら」
俺は彼らに礼を言い、一足遅れて輪入道に乗ろうとする。
「待って!!」
つぐみちゃんの呼び止める声を受けて、思わず歩みを止めてしまった。
顔だけ振り向いて、
「……元気でね」
そう言い残して今度こそ輪入道に乗り込み、一目連と骨女と同じように藁人形に変身した。
全員が乗り込んだことを確認すると、やがて輪入道は空を駆け出し、夕闇の彼方へと姿を消した。
⛩
彼はどこにいるの。
みんなと家に帰ってきた。だけど、気が付いたら大天狗だけ姿が無かった。
私との繋がりを感じ取る。どうやら現世には降りていないみたい。
感じるままに、永遠に沈まぬ夕暮れの世界を歩いて行く。
やがて、滝の流れる河原に出た。この場所は六道郷にあるのと同じで400年前の光景。現世では雷が落ちてしまった桜の木も、ここでは咲いている。
その河原に大天狗はいた。こちらに背を向けて、滝を眺めている。
話しかけるべく近づこうとすると、
「……不思議だよね、さっき現世で見たのと同じ場所があるなんてさ。こんなところがあるなんて、今まで知らなかった……」
そう言ってこちらに振り返った。いつものやさしげで、でも自信に溢れた顔はなく、今にも泣きそうで、辛そうだった。
そんな顔しないでほしい。前みたいに、また笑いかけてほしい。
「……ごめんなさい」
あの時傷つけてしまった。怒りに我を忘れて、止めようとしてくれたのに切り捨ててしまった。一歩間違えてたら、永遠に失うかもしれなかった。その可能性があまりにも怖くて、だから謝りたかった。
でも、
「……謝らなくていいよ。お嬢は悪くない」
やさしい彼ならきっと赦してくれる、赦してくれているとは思っていた。そしてそれは思った通りだった。
「……むしろ、謝るべきは俺だよ」
「…………」
「ずっとお嬢の役に立ちたかった。でも、俺ができることは輪入道達だってできる。仕事の時に俺なんかがいなくても問題ない。今回なんて、結局見ていることしかできなかった……」
彼の独白に私は耳を傾ける。
「……俺も、お嬢の過去を見てしまったんだ。あんな事があったなんて知らないで、いつもお嬢の周りを騒がしくしてさ……ほんと、馬鹿みたいで…………ゴメン」
自嘲気味に笑いながら、声が震えている。まるで、どこかに消えてしまいそうな危うさがある。
彼は今、私のせいで苦しんでいる。
先程見た光景を思い出す。柴田一の罪を娘のつぐみが赦し、怨みの連鎖を断ち切ったあの光景。私はそれを見て、仙太郎の本当の想いを知れた。
なら、私も彼らの行動に倣おう。
「……こっちを向いて、しゃがんで」
そう言うと彼はおもむろに振り返り、言われた通りにしゃがんだ。なんでこんなことをさせるのか分からないと言った様子だ。
「!?」
少し波打った髪。私のとは違って固い。そんな彼の頭を優しく抱きしめる。つぐみが父親にやっていたのを真似てみる。
「……もう良いのよ、貴方が苦しまなくて…………私は大丈夫……」
騒がしいなんて、思ったことない。あなたの明るさは冷たい雨降る私の心を照らしてくれた。
それがどれほど救いになったことか。あなたのおかげで、私は光を見れた。
「だから、またいつもみたいに笑って……お願い」
自分の思ったことを素直に相手に伝える。そんな事をするのはあまりにも久しぶりだったため、上手く口が回らない。
でも、今言えることを彼にハッキリと伝える。
「……私には、あなたが必要よ。他の誰でもない、あなたが……」
⛩
気づいたらお嬢に抱きしめられていた。突然の事で頭が真っ白になっていると、
「……私には、あなたが必要よ。他の誰でもない、あなたが……」
すっと、心に染み込んでくる。
同時に、苦しかった胸のつっかえが消えていく。
そうか。
俺はただ一言、お嬢にそう言われたかっただけなんだ。
お嬢は無口だ。それがお嬢の良さではあるが、心の内が分からず勝手に不安になっていただけだったんだ。
そして、感情をむき出しにしたお嬢に強く否定されたあの時、不安が一気に押し寄せてきた。
更に見てしまった過去の記憶。それらが合わさって今に至るまで重りを背負っているような感覚を味わっていた。
だが、それはもう消えた。俺に対するお嬢の想いが聞けた今、自分でも驚くくらいに心が軽くなった。
「……ありがとう、お嬢。もう大丈夫」
離れてもらい、ゆっくりと立ち上がる。
俺を見上げるお嬢と目が合う。いつもと変わらないやさしい眼差しがそこにはあった。
あの記憶はこれからも俺の中で残り続けるだろう。だが、お嬢が解き放たれたというのならそれを引きずる必要は無い。
「戻ろっか」
「……うん」
肩を並べて、元来た道を辿りあの藁葺き屋根の家に向かって歩いていく。
ちらりと、隣を歩くお嬢を見る。
一瞬、【あい】の姿とブレる。
この140cm程の小さな身体で、どれだけの人の業を受け止めて来たのだろう。あの記憶から始まり今に至るまで、どれほどの怨みの念を見続けてきたのだろうか。
過去を見ただけの俺には分からない。
分からないが、これからするべきことはあの記憶を受け入れ、お嬢のために励むのみ。
たとえ人ならざる者で、人の怨みを見続けなければならないという宿命だとしても、お嬢は今を『生きている』。
『生きている』なら、幸せだって味わわなければならない。この想いだけは、あの蜘蛛にだって否定させはしない。仙太郎の願いのためにも。
やがて、家の前に着いた。道すがら言葉を交わすことはなかったが、そこには(お嬢はどうか分からないが)気まずさの無い沈黙があった。
庭には輪入道達が俺たちの帰りを待っていた。
「……そうだ。まだ言ってなかったね」
「……?」
お嬢は首を傾げている。
「おかえり、お嬢」
再びこの里に輪入道、一目連、骨女。そしてお嬢が帰って来れたことを祝おう。
お嬢は薄く笑い一言、
「────────ただいま」
心地よい涼風が流れた。
お読みいただきありがとうございました。
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あいちゃんの抱える怨みの晴らし方は結局原作のままとしました。あれは柴田親子じゃなければ出来なかったことでしょうから、今回は蚊帳の外です。
また、つぐみちゃんとの別れがあっさりとしていますが、こんなものかなと。大天狗側からすれば、あいちゃんとの因縁を除けば数度会った程度の仲なので。もっとも、人ならざる者になってから何度も同じ人間に、お互い面識ありで会うなんてことは中々ありませんが……