銀河美味しんぼ伝説2 さん、☆9ありがとうございます。
意外にも早く書けたので投稿します。
地獄少女見て伏見稲荷と恐山行った人いる?
あと零話での年代設定などをこっそりいじっています。
「それで、1つ相談があるんだけど……」
挨拶は済んだ。だが、これから活動するにあたり1つ、重大な悩みがある。
「うん? なんだい?」
とても、重要なことだ。今後の身の振り方に関わることだ。
それは────────
「いや、さ。【一目連】【輪入道】【骨女】という、そうそうたるメンツの中に1人普通の名前が混ざるのって何か凄い違和感があるなって……」
そう、名前である。
3人とも見た目こそ人間だが、名前はザ・妖怪だ。その中に【烏鷹周】という名前が混ざるのは違和感しか無い。
「なるほど。そりゃ一大事だ」
一目連が茶化す。
「俺や骨女は人間から呼ばれていた名を使っているが……一目連、お前さんはお嬢につけてもらったな」
「ああ。オレの特技から『一目連』と名付けたんだよな、お嬢?」
「……そうね」
表情一つ変えずに頷く閻魔あい。
かわいい。
ていうか、一目連って暴風神である一目連じゃないのか。いや、それよりも、
「特技?」
特技から一目連ってどう繋がるんだ?
「フッ、こういうことさ」
ニヤリと笑いながら一目連は頭を下げた。なんでお辞儀してるの? と疑問に思っていると、彼の頭頂部に大きな一つ目が浮かび上がった。
「うわぁ!!」
思わず大きく後退りをしてしまった。
「ハハッ、いい反応だな。そう、これがオレの特技。今は頭に出してみたが、あらゆる場所に誰にも気づかれることなく『目』を出現させられる」
得意げに語る一目連。てかそれって千里眼じゃん!
「す、すげぇ……」
思わず呟いてしまう。その言葉を聞いて満足そうに頷いている。
「俺はまあ、そのままだ。輪入道、火炎入道としてお嬢を運ぶ『脚』になれる」
「アタシもそのまんま。身体の一部を骨に、こうやってね」
骨女が顔半分や腕を骨にして見せてくれる。輪入道はスペースの都合なのか変身しなかった。
「ははぁ〜、なるほど……」
ただただひたすらに溜息のような感心しか出ない。
まさに名は体をあらわすだな。
「で、アンタは何ができるんだい?」
骨女が尋ねてくる。
うーむ。あの閻魔大王っぽい人曰く、ポン付けされてたチートを魂と融合させたらしいから、なんか色々できるって感覚はあるんだよな。だが、何ができるかはよくわかっていない。
その辺りのことを伝えると、
「……試せばいい」
一言、閻魔あいが呟く。
「ええと、どこで?」
「……山の方」
まあ、そっか。下手に現世でやる訳には行かないし、この辺じゃ最悪家や花畑を傷つけてしまう。
「そうだな。今は依頼が来ていないから、オレたちも付き合ってやれるぜ?」
一目連がそう言い、輪入道と骨女も頷く。
「ありがとう、一目連、輪入道、骨女。助かる。それにお嬢も。あ、お嬢って呼んでも良いです?」
俺からの問いにお嬢はこくりと頷いた。かわいい。
⛩
閻魔あいはその鉄面皮の裏で驚いた。何せ、地獄に流したはずの少年が突如としてこの里に現れたのだから。
400年以上活動しているあいは今まで色んな人間、妖怪を見てきた。そのため、並大抵のことでは動じない。
しかし、こんな事態は初めてだ。ここの里は限られた者しか自由に出入りできず、感知すらできない。
三藁は当初警戒していたが、彼の口から語られた事情はそれ以上の驚きを4人にもたらした。
────曰く、地獄に出入り禁止となった。
────曰く、20年以上先の別世界の未来から転生して来た。
────曰く、地獄の管理者から自分たちの配下に加わるよう指示された。
地獄から出禁にされた人間なんて初めて見た。現世と地獄を行き来した人物ならば、本当かどうか定かでは無いが一応歴史上に存在する。だが、まさか来るのを禁止されるなんて……
前世の記憶を持っていると言う者には数える程だが会ったことはある。しかし未来の、ましてや別世界の記憶を持って過去に生まれ変わった、なんてことは聞いたことがない。
そして、地獄流しのメンバーに地獄の管理者たちが関わるのも初めてだ。
三藁は皆自主的にあいの使い魔になった。
しかし彼は違う。信用できるのか、そもそも以前まで人間だった者が地獄流しの仕事を精神的な意味も含めて行えるのか。
疑念は尽きない。
だが、自身よりも上位の者がこの件に関わっている以上、あいに拒否権は無い。普段と変わらずただ受け入れるのみ。幸い、こちらに悪感情は抱いていないのは救いか。
────でも、地獄に落ちないで良かった。そして、選択の余地すらなく、地獄流しに携わることになったのは可愛そう────
そう、閻魔あいは思った。
一方の三藁は、
『今更もう一人加わったところで何になる』
『前世がある者とは言え、妖怪として生きてきた我らと比べれば赤子同然。そんな者がなんの役に立つ』
『そこそこに礼儀正しく、気の良い子ではあるけどね』
烏鷹周が仲間に加わると聞いた時、最初に思ったことだ。
骨女は尋ねた。何ができるのかと。結局のところは普通の人間ができることなんて限られていると思ってはいたが、その返答は意外なものだった。
「なんて言うか、色んなことができる感覚はあるんだけど、何ができるのかまだよく分かっていなくて……」
その言葉を受けてあいは山の方で試してみれば良いと言う。
幸い今は仕事が入っていない。早速場所を移して少年の力を見ることにした。
そして4人は更に驚愕することとなる。
⛩
よし、早速やってみるか。閻魔大王様曰く、手足を動かすように使えるって言っていたから思うがままにやってみればいい。
何というか、全く新しい器官というか、部位があると感覚では分かっている。それを動かしてみる。
すると、背から羽が生えた。そして、いつの間にか左手に団扇を握ってた。
────なんで?
……ええっと、羽が生えたってことは空を飛べるってことだよな?
手足を動かす感覚で飛んでみる。右へ、左へ、上へ下へ、後ろへ前へ。
……そこそこ小回りが利くな。要練習ではあるが。
でもこれだけじゃないのは分かってる。身体の中に渦巻いているエネルギーがあるのを感じる。これの使い方も、なんとなくわかる。
そうなればもうこっちのもんだ。思いつくままの異能を再現してみる。右手から炎の玉を飛ばし、次に水、電撃、エネルギーそのものを繰り出す。もちろん被害が行かないように空へ向ける。
握っている団扇をあおげば、指向性のある強いつむじ風が吹く。
────す、すげえ! これが俺の能力なのか!?
攻撃以外にも2メートル程度の空間転移や分身、軽いものを念力で動かすこともできたが、一旦実験を終了する。まだまだ色んなことができるって感覚があるし成長もしそうだ。
だけど、だいぶ消耗しているな。肉体的というより精神的な。
この能力、いや妖術とでも呼ぼうか。妖術を扱うための妖力が減少したから疲れとして現れているのだろう。
ふとお嬢たちの方に目を向けると、お嬢を除く3人がポカンとしている。
地上に降りて、出していた妖力を全て内にしまい込み皆の方へ駆け寄る。
「────アンタ、人間じゃなかったのかい!?」
「いや人間だったから!」
「こりゃあ期待の新人だな」
開口一番に骨女が驚きの声を上げ、一目連は呆気にとられている。
「だがこれほどに多彩な神通力、羽に団扇……荒削りではあるが、まるで…………」
「────大天狗」
輪入道の台詞に被せてくるお嬢。その言葉を聞いて俺たちは口を噤んだ。
ていうか、え? 今なんて?
「……あなたは大天狗よ」
「え、いやいやいやいや。大天狗って、あの有名な? いくらなんでもそれは……」
「……なに?」
何か問題があるのかと言わんばかりに聞いてくる。
「い、いや大天狗って妖怪の中でも最強クラスでしょ? いくらなんでも、若輩者が名乗っていい名前じゃないと思うんだけど……」
一目連、輪入道、骨女。
先輩3人のネームバリューをだいぶ上回ってるんじゃないかって名前を名乗るのはだいぶ気が引けるんだが。
「せめて、木の葉天狗とか烏天狗とか……」
そう言うと骨女が口を開く。
「おや、アンタはうちのお嬢がそんな木っ端妖怪を従える程度って言いたいのかい?」
「いやそういう事じゃなくて……」
「確かになあ、もしかしてお嬢をナメてる?」
ニヤニヤと詰め寄ってくる骨女と一目連。冗談で言ってるんだろうが目は本気だ。
「ハッハッハ、まあそこまでにしてやれ」
輪入道がそう言うとようやく止めてくれた。いやおっかねえわ。
「お前さんの思いは嬉しいがな。お嬢が決めたことだ、俺たちに文句はねぇ。それにせっかくそんな大層な名前を貰ったんなら、喜べば良いんだ」
「輪入道……」
そうは言ってくれるがやっぱどこか申し訳ないなと思っていると
「……だめかしら?」
一言、お嬢が表情は変えずに首を僅かに傾げて聞いてくる。真っ赤で大きな目と俺の目が合う。そのあまりのかわいさに、俺は────
「全然! 大天狗が良いですお嬢!」
抵抗できるわけないよね。うん、俺にピッタリの名前だ。そしてお嬢の使い魔としても相応しい名前。
わざわざお嬢が名付けてくれたんだ、それを断るなど言語道断。男としても使い魔としても失格だ。
「まったく、現金なヤツ」
骨女の呆れた声なんて聞こえないもんね。
こうして、閻魔あいの4人目の使い魔になったのであった。
お読みいただきありがとうございました。
というわけで、オリ主君の名は大天狗となりました。
と言っても三藁の得意分野には敵いませんし、もちろんあいちゃんより強いなんてこともありません。結構便利ってレベルです。
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