チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい!   作:ansin

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宣言と理不尽な差がなんぼのもんじゃい!

 協力者(サポカ)集めにひと段落終えた頃には、世間は既に7月になった。

 

 いや、大人になってから思ったけど…子供の時に比べて時間の流れって早いことを痛感しましたよ。

 ジメジメとした梅雨の季節はあっという間に過ぎ去り、晴れの日は夏本番と言える程、強い日差しが照りだしてきた。

 

 この時期はこれまで以上にチヨノオーの体調に気を付けなければならない。

 夏といえば一番心配になるのは熱中症だ。少し運動するだけで汗を掻き、走れば1時間もしないうちに全身汗だくになるほどの暑さがこれから始まる。

 

 世間一般の学生は期末テスト、もしくは夏休みが始まる頃合いだろう。

 夏休みという学生の特権が今でも羨ましく思う。まあ自分は2度目の人生を歩んでいるわけですが…

 だが普通の学生とウマ娘達が違うところは、宿題をやるよりのんびり遊ぶより毎日必死にトレーニングに励むという事だ。

 

 そういえば、夏場になってからリギルのメンバーが生徒会以外見かけなくなったような…

 

「あぁ、おハナさんなら先週から何人か連れて海沿いの練習してるけど?」

 

 

 

「(ジュニア期からいきなり夏合宿(レベル5)かよ!?!?)」

 

 そうだった…相手は日本一の最強のチーム。

 ならばその練習と設備に関しては妥協しない。オマケに徹底管理をしている東条トレーナーなら使わない手はなかった。スぺちゃんが羨ましがっているように、リギルはこの2か月(4ターン)、いや厳密には7月後半からの40日(3ターン)は夏合宿中なのだ。

 

 普段とは違う練習場所だが、海という開放的な空間はウマ娘にとっても心身とも落ち着かせる最適な場所といえる。学園の閉鎖的な空間より、身体を伸び伸びできる場所は暑い夏に理想的な場所だ。それに比べ我々は…

 

 

「くそ、プール使う時間なかなかねーじゃん…」

 

 わかっていたことだが、極限まで体力を消耗しないようなトレーニングを練らないといけない。

 しかしそれは他だって同じだ。プールなど屋内練習場を利用することはほぼ全トレーナーが思っていることだ。

 

 しかし、そういった設備には時間と利用者の上限があり、希望した者が全員利用できるとは限らない。

 昔は強いチームやウマ娘に割り振られることが多かったらしいが、今では純粋に早い者勝ちだ。期間を熟知している中堅以上のトレーナーが前もって予約を入れられているので、俺のような新人トレーナー達は後に回される羽目になった。まあ、俺が自腹を切って二人を市民プールにでも連れていけば良い話だが。

 

 変わったことといえば、まだまだ他にもある。

 まず一つは周りからの視線や、社会人にとってこの季節といえばボーナスが支給されること。

 

 中央に所属するトレーナーは高時給で分かっていたが、それとは別にボーナスが支給されるのはありがたい。しかし、一部はウマ娘のお代として持っていかれるだろうが、ここは仕方ないと割り切ろう。

 

 メイクデビュー一発で初勝利を収めた結果、理事長とたづなさんからは大いに喜ばれた。

 ボーナスの額を左右する人事評価や成績に関しては、可もなく不可もなくといったところで、本人たちが言うには「100点満点!をあげたい!」とのことだ。だが、養成学校を受けていない自分がいきなり一着をとるもんだから、二人以外の誰かが「偶然だ」「出来すぎている」と評価を相殺してしまったのだろう。だからこの結果になった。

 

『学園所属の全トレーナーに告ぐ! 近日、諸君の未来に関わる重大発表がある!必ずチェックするように!』

 

 突如、学園に所属している全トレーナーに通達される理事長からのメール。

 どうやら秋川理事長から何かしらの説明会があるとのお達しだ。もしかして、アレ(・・)の発表か?体育館に向かうと、そこには既に生徒たちやトレーナーたちが集っており、ざわめきに包まれている。

 

「一体なんでしょう、全員に通達って…」

「さぁな、全員集めるってことはそれほど重要なことだろうな」

 

 横にいた桐生院は心配しながら顔を強張らせている。誰もかれも慣れないこの状況に、いつも以上に真剣な表情でいた。そこに10分もしないうちに、理事長とたづなさんが壇上に現れた。

 

「感謝ッ! 全ウマ娘達、トレーナー諸君…よく来てくれた! 清聴ッ! この度は…」

「あのっ、理事長~!台に乗って話して頂かないと、お姿が…!」

「むっ。失念ッ そうであった!」

 

 いざ説明しようとするが、たづなさんに机の陰に隠れて姿が見えないことに指摘され、理事長は用意された台座に乗ってようやく姿を見せる。

 

よいしょ…では改めて!全ウマ娘達、トレーナー諸君…よく来てくれた!日々のトレーニングに精を出しているとこの忙しい時期に諸君らを呼び出したことについては謝罪ッ!そして集まってくれたことに感謝するッ!」

 

 前口上の後、理事長はコホンと一息を入れる。

 

「この度はURA本部と今後のこのトレセン学園、ひいてはウマ娘レース界の方針についての協議を行った!故に、今回はその説明会である。そして、協議の結果…今後ウマ娘レース界を盛り上げる為、その第一歩として…!」

 

 

 「新レース『URAファイナルズ』の開催を宣言するッ!!!」

 

 理事長が一呼吸を置いて、衝撃な宣言にざわっ…!!と体育館がどよめく。

「新しいレースを作るのか!?」「なんでまた急に!?」とウマ娘、トレーナー双方混乱していた。たづなさんからは質疑応答の時間は最後に設けているらしいので、説明会は静かに聞くことにしよう。

 

「諸君! ……急な発表に戸惑い、不安を感じたものも多いことだろう。だが、まずは聞いてくれたまえ!URAファイナルズ、その意義を!」

 

 顔を見合わせ、ざわめく面々。

 それが一瞬途切れた、絶好のタイミングで理事長が声を張り上げる。

 

「悔しい思いをしたことはないか?有馬記念、ダービーを勝ちたい!最強のウマ娘になりたい!そう思っても…」

 

 顔が曇る理事長。

 

「距離やコースへの適性がどうしても合わず、己の実力すら発揮できずに終わったことは?自分の真の実力は、担当ウマ娘の力はこんなものではないと唇を噛んだことは?」

 

 この一言で、何人かトレーナーとウマ娘は少し俯いたり暗い表情を浮かべる。

 そこ、因子でどうにか出来るんじゃない?とか言わない。これは真面目な話だ。いくら有名なG1に挑んでも、距離と状況の適性を埋めることは難しい。得意不得意の差を覆らせるというのは簡単ではなかった。

 

「諸君! 私が目指しているのは『レースを志す全てのウマ娘が輝く世界』だ!走るウマ娘の輝きとは、即ち意思の衝突!ウマ娘たちが全力で頂点を競い合い、輝きを放ち合うことこそ我が理想ッ! 結論ッ! 全てのウマ娘が全力で発揮できるその舞台を、私は用意したいのだ!」

 

 通常のレースは距離やコースは、URA本部が既に制定されているもの。

 余程のことがない限りルール改定をするのは不可能に等しい。だが…

 

「だが……刮目ッ! URAファイナルズにおいては、『全ての距離』『全てのコース』を用意する!!!」

『!!!』

 

 その言葉に、会場はまたもや衝撃が走った。

 

 要約すると…グレードは短距離からダート、それぞれ5種目に分けられている。

 参加資格を得られるのは有馬記念や宝塚記念同様ファン投票で選ばれたウマ娘。レースで活躍し、多くのファンを獲得したウマ娘『スターウマ娘』のみ出場権が与えられる。

 

「ウマ娘諸君、トレーナー諸君!己の戦力を出せる舞台で走り、才能を全力で引き延ばし…URAファイナルズのトップ、『ファイナルズ・チャンピオン』の称号を掴んでみないか!?初代チャンピオンの栄誉に輝かせてやりたくはないか!?」

 

 タイムリミットは3年後…詳しくは2年半後の新年が初開催。

 

「激励ッ! 期待ッ! 私は、諸君の活躍を待っている!!」

 

 説明会前の状況とは一変し、場内はしばらく鳴りやまぬほどの拍手と歓声に包まれた。そして、一瞬理事長がこちらを見たような気がしたのであった。

チヨノオーのルートは?

  • 天皇賞秋の変則三冠ルート
  • 菊花賞に挑戦ルート
  • 宝塚の人気上昇ルート
  • いっそのことティアラ路線
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