チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい!   作:ansin

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遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。
仕事の忙しさが主にですが、無理をしないよう書いていきます。


前哨戦がなんぼのもんじゃい!

夏を完全に過ぎ、肌寒さが増してきた11月中旬。

 この日はチヨノオーの飛躍が左右する、G3「東京スポーツ杯ジュニアステークス」の日がやってきた。

 

 会場である東京レース場は、オープンの時よりも更に盛り上がっていた。

 観客も、立ち並ぶ露店の数も桁が違う。このレースは、いわば朝日杯の前哨戦ともいえるレースだ。イコール、ここで勝利を飾れば心に余裕が持てるし、好成績で優先出走権が与えられる。

 

 今回もレースがよく見える最前列を確保することができた。しかし、今回はそれだけでなく…レース場に現れた際、チヨノオーはそこまで緊張していないように見えた。

 

 それもそうだ。ここ約2か月はワンダーアキュートと一緒にこれでもかと筋肉トレーニングを取り入れた。前へ出るパワーと先行をキープするスタミナを効率よく上げることができたのは言うまでもない。勿論、その他のトレーニングも怠ってはいない。

 

 今回のレースも、チヨノオー以外に目立ったライバルはいない。寧ろ、ハッピーミークとグラスワンダーはそれぞれ既に勝利を収めている。こちらと同じく現地かテレビで観戦しているだろう。

 

『クラシックへの登竜門、東京スポーツ杯ジュニアステークス! 数多くのG1ウマ娘が誕生してきたこの出世レースに、新たな世代として名乗り出る18人が挑みます!』

 

 会場から流れるアナウンスで、会場に更に熱気が沸き上がる。

 

『さあ1番人気! クローバー賞では3バ身差の圧勝。2戦2勝で挑みます、7番サクラチヨノオー!』

『実力は完全に上位ですね、先行の粘り強さに期待がかかる、一推しのウマ娘です』

 

 メイクデビューの勝利が正当に評価されたのか、1番人気に推されていた。それどころか、こころなしかチヨノオーを応援する声が聞こえてくる。

 

「がんばれよー!」「チヨノオーちゃんかわいい!」「いい走り見せてくれー!」

 

「チヨちゃん、すごい人気ねぇ~」

 

 あまりの歓声に俺も驚く。それに応援している声が聞こえているのか、チヨノオーも観客席に手を振って応えていた。しかし、ここまで目立っていると当然他のウマ娘からマークされる。いや、もう全員が彼女の首を狙って1着を奪おうとしている気だ。そして、全員がゲートへ入る。

 

 

『全員ゲートイン、体勢完了。――スタートです!』

 

 ゲートが開く。ターフにウマ娘たちが飛び出していく。

 

 よし、好スタートを決めて先頭集団につけたのはいい。だが、後は前を走っている2番人気の差しウマ娘をどう対処するかだ。いくら差し戦法だからといって、スタートダッシュであそこまで飛び出すのは正直予想外であった。中盤に入る直前、そのウマ娘は後方集団にスピードダウンして下がっていった。だが顔の余裕から見るに、スピードとパワーに絶対的な自信がありいつでも抜けるぞと伺える。

 

 

 どうするチヨノオー…

 

 俺が考えているうちにもコーナーを回り、逃げウマ娘を抜いて彼女は流れのままに先頭に立った。先頭集団は4人、チヨノオーがそれを引っぱる形だ。彼女の1バ身後ろを、抜かれたウマ娘が追走してくるが既に精一杯という顔をしている。その後ろの先行組も、どうやらチヨノオーをマークする作戦に切り替えたらしい。

 

 双眼鏡を覗き、向こう正面を走るチヨノオーの横顔を見やる。

 不安そうな表情はない。前のように、後ろをそこまで気にしていない。

 

 唯一問題なのは、序盤でチヨノオーの前に飛び出た差しのウマ娘だ。

 あちらも作戦通りなのか、コーナーを曲がる際集団から離れて外から攻めている。差はおよそ4バ身。逃げウマ娘を早めに抜いてしまったのは失策で、その後の差しに抜かれる展開だと観客は思っているだろう。

 

 しかし、俺はそうは思わなかった。

 何故なら、あの差しウマ娘とあれほど離れている時点で、こちらの勝利が確定しているのだから…。

 

 

 そう思った次の瞬間、観客の歓声が東京レース場に響き渡る。

 いよいよレース終盤…コーナーから一気にホームストレートにウマ娘達が駆け込んでくる。

 

 もらった…!と言わんばかりの顔をした差しウマ娘が、先頭にいるチヨノオーを射程圏内に捉える。

 スピードもパワーもラストスパートに入っており、いつ抜かれてもおかしくはなかった。

 

 

 だが、スピードとパワーを鍛えたのは…チヨノオーも同じだ。

 

 

「はぁぁあああああああ!!!!」

 

 気合の入った声とともに、チヨノオーは貯めこんでいたパワーを脚に注入してストレートでのラストスパートに入る。まさか、あそこから更にスピードが伸びると思っていなかったのだろう。

 

 先行と差しでは何が違うか、それはスタミナだ。

 

 先行するウマ娘は、差しと比べて先頭集団になるべく近づけるよう差しより多くのスタミナを消費する。それこそ、ゴールまでのスタミナ配分を考えなければならない。配分を間違えれば、逃げられるか差されるかのジ・エンドだ。

 

 しかし、チヨノオーの長所はじわじわと伸びる脚、長く粘れる強さだった。

 他のウマ娘よりも状況を長く維持でき、そこからアキュートとのトレーニングで鍛えた前を踏み出すパワーが合わされば、逃げが難しく差しも捉えられない先行の形が見えてくる。

 

 2番手の差しウマ娘は完全にタイミングを見誤った。

 差しは先行とは真逆、一瞬で生み出す爆発的なパワーとタイミングが重要視される。しかし、それが気が付いた時点ではもう遅い。先行とはストレートで少しずつ離されていくのだ。

 

「サクラチヨノオー! サクラチヨノオーが先頭だ!! 他のウマ娘は食い下がる!」

 

 実況の言う通り、そこさえ分かっていれば勝利は約束されたものだ。

 

「ゴォォオオル!! やりました! サクラチヨノオー、デビューに続いて無傷の2連勝!G1という大舞台への弾みとなる走りを見せてくれました!!」

 

 ゴール板を過ぎ、笑顔を見せるほど余裕を見せる彼女はガッツポーズを上げる。

 会場は大盛り上がりであった。無傷の3連勝…とんでもない新人が世間から注目を浴びるようになった。

 

 

 

「やりましたトレーナーさん!1着です!」

「よぉ頑張ったねぇチヨノオーちゃん…!」

「ああ、文句なしだぜ」

 

 レースとライブ終了後、俺たちは控室で互いにハイタッチする。G3という舞台の1着は、これまでのレースよりも遥かに大きい結果と自信へと繋がった。だが、浮かんでいる暇ない。次が大仕事だ。

 

そう、冬のG1レース――― 朝日杯フューチュリティステークスが、俺達を待っているのだから。

 

11月下旬 都内某所 -控室-

 

 東京スポーツ杯勝利後、俺とチヨノオーはとある場所に来ていた。

 

 本日は大型の記者会見だ。その会見とはチヨノオーが出走する朝日杯についてである。

 この前のような単独インタビューとは違い、複数の報道機関が集まってレースに出走する注目されている複数人のウマ娘と一緒にインタビューを行う訳である。

 

「うう、緊張しますね…」

「何言ってんだよ、注目されるならいっその事どーんと胸を張れ」

 

 レース前とは違う独特の緊張感、流石のチヨノオーも初めての事は緊張する。しかし、すぐ慣れる。

 

 

-記者会見場-

 

「それでは只今より、朝日杯フューチュリティステークスに出走致します、注目ウマ娘の記者会見を行います。先ずは、チームリギル所属の東条トレーナーとグラスワンダーです」

 

 司会役が進行を始める。

 まず出てきたのは最強チームリギルの東条トレーナー、そして出走するグラスワンダーが出てきた。流石は現時点最強のチームである新星の登場もあってか、報道陣の驚きとカメラのフラッシュが桁違いだ。一通り落ち着いたところで、インタビューに入る。

 

『デビュー後はオープンを始め、いきなりのG2京成杯で見事な走りを見せてくれました。この調子で朝日杯も勝利を掴むと期待しても宜しいでしょうか?』

 

 司会がそう東条トレーナーに質問をすると、彼女はマイクを手に取りゆっくり語る。

 

「はい。この朝日杯に関しては、今後の彼女自身が成長する通過点に過ぎないと考えております。ここで手堅く勝利を収め、更なる飛躍を目指しております」

「東条トレーナーの仰る通りです。更なる飛躍を求めるなら、準備も滞りなく例えどのような相手でも全力でお相手したいと考えております」

 

 流石の対応だ。東条さんだけでなくグラスワンダーも元々の性格が落ち着いているせいか、自信満々な回答に報道陣は期待に胸を膨らませるようにどよめく。

 

『さあ、次に上がっていただくのはここまで2戦2勝! 東京スポーツ杯ジュニアステークスにて注目を浴びた新星! サクラチヨノオーと唯我トレーナーです!』

   

 ついに名前を呼ばれて、舞台裏から壇上へ出ていく。

 その姿に報道陣も息を呑んだ。全体的にピンク色の和服に身を包んだ勝負服で、その可憐さと力強さが伝わってくるデザインだ。うん、凄く可愛い。

 

 対するチヨノオーは顔を少し赤くなりながらも、そそくさと移動を開始する。  

舞台の中央に立つとパシャパシャとフラッシュが焚かれて、会場全体の視線が集まってくる。皆が皆こちらを見ていて、頭が真っ白にりそうだ。俺は兎も角チヨノオーは大丈夫だろうか?

 

「…。」

 

 緊張しながらも、平然を保っているようだ。カメラのフラッシュが緊張感を和らげてくれたことが、功を奏したか。

     

 

『では、サクラチヨノオーさんに今後の目標を聞いてみましょう!』   

「!」

 

 早速、チヨノオーのインタビューが始まる。今後の目標は当然…

 

「目標は、ダービー…日本ダービーで1着を取る事です…!」   

 

 チヨノオーがゆっくりとそう告げる。その為にも、ここで躓くわけにはいかない。 

 

『成程、そのダービー制覇に向けて朝日杯に挑むという事ですね?』   

「はい…!」

 

 力強く返事をするチヨノオー。さて、次は俺の番だ。

 

『続きまして、唯我トレーナーにお聞きします。今年から入社した新人トレーナーとして意気込みなどはありますでしょうか?今後のサクラチヨノオーさんを、どのようにサポートいたしますか?』

 

 俺はマイクを手に取り、語り始める。

 

「先ずは彼女の目標、ダービー制覇を目指していくと努力します。それだけではなく、その前の皐月賞も狙おうと思っております」 

『皐月賞も…という事は、菊花賞も含めクラシック三冠を視野に入れているという事でしょうか!?』

 

 俺の発言に、司会者はそう解釈した。それと同時に、カメラのフラッシュも一段と激しさを増す。まあダービー、皐月賞と来たら菊花賞のクラシック三冠を目指していると思うわな…。

 

「それについては決まっていません。今後の展開を踏まえて、彼女と考えていきます。とりあえず今は二冠の方針です。その為にはこの朝日杯で勢いをつけ、リギル全員に打ち勝てる(・・・・・・・・・・・)よう…常に挑戦者の気持ちで挑み続けていきたいと思っております」

 

 ここでで更にどよめきが走る。皐月賞を狙うだけでなく、チームリギルを名指しでメンバー全員への勝利宣言をしたのだから。そうじゃなかったら俺は文字通り死ぬしな。横でチヨノオーが驚いていたけど気にもしないぞ。

 一方の東条トレーナーとグラスワンダーはこの発言はあまり気にしていなかったらしい。まあ今のうちに余裕ぶっているのも今のうちだ。12月に全てがわかる。

チヨノオーのルートは?

  • 天皇賞秋の変則三冠ルート
  • 菊花賞に挑戦ルート
  • 宝塚の人気上昇ルート
  • いっそのことティアラ路線
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