チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい! 作:ansin
三女神「「「あげませぇん!!!」」」
主「なら神社いくわ」
サクラチヨノオーです。
皐月賞を勝ち、次はいよいよ目標である日本ダービーに挑む時がやってきました。まだ数週間前だというのに、クラシック三冠の要のレースということもあって学園内がピリついています。
それもそうです。なんせダービーを目指すウマ娘は自分のほかにもたくさんいます。しかし、それは出場資格を獲得するレースで実力を示さなければ話になりません。
同室でライバルのメジロアルダンさん、前回の皐月賞リベンジに燃えているヤエノムテキさんが強敵になるだろうとトレーナーは言っていました。どうやらリギルのところからは誰も参加はしないようです。私が未だに負けなしということもあって、全員が私をターゲットに2冠を阻止してくるでしょう。
「チヨ、少し散歩でもするか?」
「(ブンブン)」
私が無理しているのがバレているかのように、トレーナーは休息のため散歩を進めてきました。大変な時期とはいえ休息を疎かにしてしまっては体調を悪化させてしまうかもしれません。それに私は昔から散歩が好きすぎて、よく遠出に行って帰るのが遅くなり親に怒られたこともままありました。勿論今回は私だけでなくアキュートさんも一緒です。
「相変わらず散歩癖は治ってないのな…」
「べ、別にいいじゃないですか『トレーニングと散歩は別腹』なんですから!」
「また変な格言思いついちゃって…」と頭を抱えるトレーナーに力説し、隣でアキュートさんにクスッと笑われる風景は相変わらずだ。そんなリラックスで気晴らしにショッピング…とはいかなかった。
「あっ、サクラチヨノオーさんだ」
「可愛い、サイン貰おうかな?」
皐月賞に勝利したせいか、道行く人に目を付けられて子供たちと戯れることになりましたがこれはこれはでほっこりとしました。そんなこんなで次に向かったのは…
「神社?」
そう、学園近くにあるとある神社である。主にお正月やお祭りでは森がっている場所ですが、普段だと物静かな場所であるここ。一体どうしてここに?
「まあなんだ、ちょっとしたゲン担ぎみたいなもんだ。神頼みっていうのも、案外悪くないだろ?」
「まぁここで幸運を拾うのも、悪くないかもね~」
これまた意外な反応でした。てっきり現実主義者であるトレーナーさんがこのような提案したことには驚きましたが、お祈り自体はいいかもしれません。アキュートさんも乗り気であったのでお参りにいきました。
境内はガラガラでしたが、どこか神秘的な雰囲気を感じ取ったのは気のせいでしょうか?そんなこんなで賽銭箱の前に立ち、鈴を鳴らしてお参りします。当然目標は…
『(日本ダービー、勝てますように…!!)』
そう願った、その時でした…。
『ウェルカ~ム』
「!?!?」
ふと目を開けると、そこは既に神社ではないどこかの場所に立っていました!まるで…宇宙のような、暗い場所に星々が光っているような場所に私がいました。目の前にはフードを深くかぶった初老の男性がいます!?
「なんですかここ!?誰なんですか貴方は!?」
「まあ落ち着けよストレンジャー、別に俺はおめぇを取って食ったりはしねぇ」
「ストレンジャーって私のことですか!? 私はサクラチヨノオーです!」
妙な愛称に反射的に怒ってしまいましたが、目の前の男性はそんなことは気にもせずさっさと話しを続けます。
『まぁ落ち着けよストレンジャー。手短に事を済ますが、日本ダービーに勝ちてぇんだろ?』
「ど、どうして私の願い事…ま、まさか神様とかではありませんよね??」
こんな汚いフードを被る神様なんて聞いたことがない。
「俺のことは気にするな。どうだ? 不思議な神様パワーとやらで、おめぇの能力をぷすっと爆上げしちまうぜぇ?」
胡散臭い…その一言に尽きます。そうは言っても、怪しい人について行ってはいけないのは常識…
「おぉーっと拒否権はねぇぜ? それじゃ遠慮なく…どーん!!!」
「きゃあああああああ!!!」
雷を直に受けるとは正にこのことかもしれません。一瞬だけ痺れる様な感覚を覚えましたが、すぐに収まりました。それどころか、自分の身体の感覚がなんだか変わったように感じました。例えるなら、"芝の対策"と"先行案"を突然思いついたような…
「…はっ!!」
「どうした?チヨ?」
目を開けると、先ほどまでいた神社に戻っていました。私に何かあったのかトレーナーさんとアキュートさんが不思議そうに見つめています。しかし、さっきと違うのは身体の底から力が沸き上がるような感覚が…でも。
「い、いえなんでもありません!それよりも、おみくじ引いていきませんか?」
これがもしかして"天啓"というのでしょうか? 天から知恵を授かるとは聞いたことはありますが…多分二人には信じてくれないでしょう。これは私の胸の中へそっと閉じておきましょう。
「私、"大吉"でした!」
「私は"吉"よぉ」
「…………俺は"末吉"かよ」
そしてあの一件から数日後に気づいたのです…。
私の眼が…バクシンオーさんやローレルさんのように、何かに覚醒したかのような…全盛期を取り戻したような"桜模様の眼"が宿っていたのを。
・・・
因子継承…それは能力を極限に底上げするシステムだ。
育成が完了したウマ娘の能力の一部を"因子"として残し、次に育成するウマ娘に受け継ぎ発現させるイベント。実際の競馬や競馬ゲームなどにおける血統に相当する。トレセン学園内にある三女神像の前でウマ娘が祈りを捧げることにより、過去に活躍したウマ娘の「想い」を受け継いで力が沸き上がるとされる。
しかし今回はリアルであるため、親である二人のウマ娘は決まっていない。それに三女神から嫌われている手前、こんなイベントは発生しないだろうと思っていた。
ところがぎっちょん。天はそう簡単に俺を見捨てなかった。
三女神と敵対関係(?)にある、ササミの神からそのチャンスを与えられたのである。これからクラシックに入るので、強敵がわんさかと出てくる。もしこんなイベントを逃してしまっては、能力の底上げや貴重なスキルの獲得は段違いに難しくなっていく。
「よぉ来たなストレンジャー、待ってたぜ?」
「元気そうで何よりだよササミの神」
チヨとほぼ同時に手を合わせた直後、別空間と言える場所で俺はササミの神と対峙していた。俺をこのウマ娘世界に転生してくれた張本人。俺のデスゲーム生活を陰で支えてくれる数少ない強力者だ。
「それにしても無茶な要求してくれたぜ。本来なら適性ってのはそう簡単に受け継ぐ確率低いんだぜ?」
「それでもこっちが少しでも有利に働かないと、せっかくの数少ないチャンスをふいにしたくないからな。負けたら終わりなんだから」
「全く、シナリオ因子をあの三女神から掻っ攫うのにどれくらい苦労したと思ってるんだ?少しはこっちを労っても…」
「わかったわかった。あとでチヨのプロマイドやるから」
「オーケーそれでチャラにしてやるが、次は別のグッズ頼むわ」
言われるまでもないが、他トレーナーの良質な因子を借りるのが強いウマ娘を作るための近道である。因子が多ければ多いほど、有利にしたい適性とスキル確保の確率は高まるのだ。今回の場合は、あの三女神の目を盗んで襲われながらもゲットできた賜物だという。悪魔を呼び寄せる為にレコードを鳴らして血みどろで帰ってくる某武器商人を思い出しちまったよ。
と言っても、因子が継承できるタイミングは育成中に計3回ある。1回目は育成開始時と、2回目と3回目はクラシック級・シニア級の4月前半に行われる。前者は継承される因子が予め決まっているが、後者は相性の影響を受けて発動する因子がランダムに変動する。たとえ育成が上振れても継承で肝心なスキルなどが手に入らなかったから育成やり直しというのは強いウマ娘を作る上ではザラであり、このランダム要素はしばしばガチャに例えられる。そんなこんなで、あと1回この神様にお世話になるだろう。
「次のレースを期待してるぜストレンジャー。三女神からの課題はねぇが、怪我だけは用心しろよ。俺ぁはおめぇの下克上展開楽しみにしてんだからな?」
「あぁ、せいぜい退屈にはさせないさ」
そうニヤッと笑いながら、育成で有利になるアイテムを買い漁り現実の神社へ唯我は戻ったのであった。
やっているのを見たい奇妙なトレーニング方法は?
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