チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい! 作:ansin
メジロ家…
レース界隈でもその名は広く知られており、トレセン学園の内外を問わず入学時から注目を集めているウマ娘も多い。また、一族主催でトレーナーやウマ娘の交流のためにパーティーを開くなど、度々大きな企画を行っているほどの資産家だ。
家風として長距離レースを重視し、一部では「長距離のメジロ」とも謳われる。特に天皇賞の制覇はメジロのウマ娘にとっては非常に重要な目標であり、「盾の栄誉」をトゥインクル・シリーズの最大目標にする者も少なくないという。尤も、メジロドーベルのようにトリプルティアラに照準を当てている者もいるが。
誰からか聞いた話では「メジロのウマ娘は適性によって期待されるレースが定められている」と語られており、幼少期からそれぞれの長所を伸ばすことに重きを置いた英才教育を施している。実際、各々の育成においてもメジロ家の面々が「自分の目標と適性のギャップで苦悩する」というシチュエーションは少ない傾向にある。
サクラチヨノオーの同室でクラスメイトでライバルである、メジロアルダンもその一人だ。ガラスの脚と称される彼女は、生まれつき身体の弱さが原因であまり外に出歩くことができない事は情報として知っている。こちらがヤエノムテキを皐月賞で破ったことにより、日本ダービーでは要注意人物として挙げている。
それは当然、向こうも警戒していて…
「アルダンさん…」
いつもならチヨと二人三脚で練習している風景が、いつの間にかそれぞれのチームで負けられないレースで手の内を見せないようバラバラに練習する回数が自然と増えていた。それだけでなく…
「メジロラモーヌ…」
史上初めてトリプルティアラを達成したウマ娘で、アルダンの実姉。ドーベルからも「メジロの至宝」と称される程の実力者。そのことに強い矜持を持っているためか、普段は他のウマ娘とつるまず、トレーナーやマスコミ相手にも試すような物言いをするなど一般ピーポーどころか関係者であっても絶対に近寄りがたい存在。
そんな存在がここ数日、アルダンの練習に付き合っているのだ。チヨの証言から、日本ダービーが近づいてくる数週間前からだ。同じメジロとして、ましてや姉妹だからと不思議な光景ではない。だがいつまでも見ているわけにはいかない、今は練習だ。数週間なんてあっという間である。挙句の果てには…
「つまらない人…」
「あぁん!?」
相変わらず見下すような態度で、俺を睨んでくる始末だ。なんだ、ほぼ初対面なはずなのにチヨ関係でアルダンに近づかれたら不味いのか、そんな挑発に全力でチヨとあっきゅんに止められる日々が続く。
数か月前まではそんなことはなかったのに、未来になったら環境の変化でこうも変わっていくのは目に見えていた。メディアや結果によって変化するのは競争の世界では当たり前だ。この時点で将来の明暗は分かれてくる。しかしそれでも、変わらない者もいた。
「え? チヨとの併走を?」
「是非、お願いします!」
そう言って丁寧に礼をしてきたのは、前回の皐月賞で敗れたヤエノムテキだった。厳ついトレーナーを連れて、こちらに併走のお願いをしに来た。チヨに負けたからてっきり嫌悪感があったかと思えばそれはお門違いだ。
たとえレース場の勝敗があったとしても、一緒に走った者同士のライバル関係であることには変わらない。何より本人たちがそう望んでいる。アルダンとの関係も、あれは一時でしかないだろう。トレーナ共々お願いされ、練習に組み込んだ。
いよいよ、それぞれの想いを背負った日本ダービーの日は近い…。
次は日本ダービーなので、ちょっと気合い入れて書きます。
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