チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい! 作:ansin
天皇賞以降の大幅な変更と、私生活の忙しさにやられてました。
その違和感は、咄嗟に現れた。
「おい、一体どうしたんだ?」
一番に困惑したのは、スピカのトレーナーであった。唯我よりトレーナー歴が深い彼でさえ、言っていることに困惑していた。今回の毎日王冠で圧倒的な差がつき、尚且つライブ後に見た目的に異常がない。しかし…
「とにかく、今すぐにでも病院に診てもらえ。念の為、治療も予約しろ」
「えっ?」
唯我からスズカに言われた一言、それに当の本人は困惑していた。ライブも完璧に踊り終わり、天皇賞に向けて順調な仕上がりだったのは間違いなかった。しかし、この男だけは異議を説いていた。
「何を言っているんだ唯我。今日のレースを見ただろ、どう見たってスズカのあs「いいから病院で診てもらえって言ってるんだ!!!」!?!?」
その時、これまでの彼が見せたことがないかなり興奮気味で激高した姿は、後に頭の片隅に記憶として記録されるだろう。だが、一理あった。
ウマ娘の脚に関することは彼女らの生命線だ。もしかしたら、自分たちが気づいていないだけで唯我だけその"何か"に気づいたかもしれない。ここは彼の助言通り、翌日朝一で診断することにした。最悪入院費は機関で申請すればいいし何もなかったらなかったで…
「骨密度が、少し怪しい部分がありますね。念の為、入院をお勧めします」
医者からその言葉を聞いた途端、自分たちの何もかもが天地がひっくり返ったような感覚で、一瞬だけ吐き気を感じたのは言うまでもなかった。
「…レースに出て、全力で走れるようになりますか?」
スズカがなんとか声を絞り出して、医者に質問をする。彼女にとっては先頭で走り続けることが一番の生きがいだ。いつか、引退などで一つの生きがいが失うかもしれないがまさかここまで早くとは想像もしていなかっただろう。だが、こればかりはスピカのトレーナーの責任でもある。基本的には個人の尊重で重要なレース以外はそれぞれ自主で任せていた。エアグルーヴをはじめ、他のウマ娘が証言していた通りスズカはどんなレースでも自主的な練習は欠かせない。それが、この状況で最悪ともいえる裏目に出ていた。
「その事についてなんですが、以前と同じように100%力を出し切って走る事が出来るかどうかは、我々もわかりません。当然、なるべく後遺症が出ないよう最善を尽くすつもりです。ただすぐ近くの天皇賞は辞退するべきでしょう」
「やはり…そうでしょうね…」
毎日王冠では他を圧倒しながらの勝利、そこからどん底に叩き落されたような感覚だ。だが、周りから自分の方針におハナさんを含め異議があったのはわかっていた。もしかしたら、将来こんなことが起きるんじゃないかと…
「ただ、こちらとしては早めに相談をしておいて正解でした。今の状態からすれば、入院とリハビリは少なくすぐに復帰することは可能ですよ。それにしても、流石はスピカのトレーナーさんだ。我々でも見抜けないような管理能力ですよこれは」
いや違う。管理能力が凄かったのは、俺よりもトレーナー歴が浅い
「お前ら…」
病院から出ると、スピカのメンバー全員が心配そうに自分を見ていた。その後ろは唯我がいた。その顔は、苦汁を舐めた顔だった。俺の様子を見て、やはりその通りだったかと言わんばかりの顔だった。
「心配するなお前ら。スズカは入院したらちゃんと走れるよ」
メンバーには包み隠さず話し、謝罪した。皆はそれを許した。
今後とも交代しながら、スズカを悲しませまいと見舞いをすると提案した。
「…借り作って悪かった。お前の言うとおりだった、今度奢らせてくれ」
「………。」
対する唯我は黙ったままだった。だがそれも一瞬…
ドゴッ!!
「「「「「!?」」」」」
次の瞬間、強烈な腹痛を味わった。なんてことはない、あいつから怒りの形相で殴られただけだ。
「あのまま天皇賞に出そうとしてたのなら、今度は顔面の鼻へし折ってる」
「………。」
この時、この日だけは…俺の身体も心も精神も、ゴルシの顔面ドロップキック以上に何倍も痛かった。
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