チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい! 作:ansin
サクラチヨノオー、ワンダーアキュートと正式にチームを組むことになって数日後が経過した。これから彼女達と、頂点に挑む日々が始まる。最初は、デビューするウマ娘を対象とした合同説明会があるのだが…
「はわ、わわわ、つ、つつつ、ついにこの日が……えと、ええっと…」
「チヨノオーさん、そんなに慌てんでええよぉ。深呼吸深呼吸」
俺の隣にいるチヨは、ものすごく緊張していた。同じチームメイトのアキュートが付いても、深呼吸を促そうとしても吸うだけ吐くだけとそれほどまでに。そんな緊張でガチガチの彼女とともに、説明会が行われる教室へと足を踏み入れる。教室に入ると、既に入室していたほとんどのトレーナーとウマ娘の目線を向けられる。当然といえば当然か、これからこの説明会に来るコンビとチームは全員がライバルとなるのだから。その中には…
「…」
いた。当然のように、リギルの東条トレーナーも説明会に参加している。
そしてその隣には、彼女がスカウトしたのであろうスペシャルウィークの同期である『グラスワンダー』と『エルコンドルパサー』がいる。俺が気づく前に目線をそらしたが、こちらを気にしている雰囲気は隠せていない。相も変わらずクールさを貫いているが、あの顔がなんとなく気に入らなかった。
「まあチヨノオーさん、どうぞ、こちらの席が空いてますよ」
「あ、アルダンさんっ!レースでもどうぞよろしくお願いします」
不意に声をかけられると、メジロ家の令嬢"メジロアルダン"が自身の隣が空いており、誘導する姿を見た。普段から仲良し、確か寮で相部屋だったっけ。仲慎ましく話しているところを見るだけでも、こちらもほんわかな気持ちになる。青春してんな~
「これからは、ここにいる全員が相手になるのか…」
それにしても結構な数で、更に時期外れに転入してくる子も含めると、とんでもない数のライバルが出来上がる。
「トレーナーさん、トレーナーさん…」
突然彼女からわき腹をつつかれ、何かを手渡される。
どうやら彼女が独自に、事前に調査した結果をまとめたメモのようだ。これは助かる。因みに彼女はメモの内容を全て記憶しているので、問題ないらしい。
熱血風紀委員長で、気質の通り短時間で決する短距離・マイルが得意な娘― バンブーメモリー
長距離を得意とする、後に平成三強と言われる母性の塊― スーパークリーク
『金剛八重垣流』の門下生で、中距離のキレが凄まじい― ヤエノムテキ
史上初のトリプルティアラを達成した"メジロラモーヌ"の妹― メジロアルダン
…あれ?同期のラインナップが鬼じゃね?
「凄いですね、こんなにも凄い人たちと戦うなんて…」
「あぁ、でもこっちだって、譲れない約束あるだろ?」
「その通りやねぇ」
既にマルゼンスキーと交わした約束、それを捨て去ることなんて今更できるわけがない。
それに彼女はリギルに所属しているし、厳しいトレーニングを積んでいるのは確実だ。再戦するときは、それはもう恐ろしく強くなっているだろう。
「そうですね。それに、
「チヨちゃん、ファイトファイト」
マルゼンスキーが指定された、特別に思いの詰まったGI「
クラシックで一度しか挑めないレース、そこで勝てるのはただ一人…。
こうして、レース世界の最強と生存をかけた戦いが、幕を開けたのだった。
・・・
俺は更衣室で動きやすいジャージ姿に着替え、グラウンドで二人と合流して早速育成にとりかかることにした。トレーナー全員がそうではなく、俺たちのように育成に取り掛かるトレーナーもいれば、まだ日が浅いこともあって親睦を深めるために出かけるトレーナーもいる。
「よし、それじゃあ早速トレーニングに入る。よろしくな」
「はいっ!本日から、よろしくお願いします!」
うん、ハキハキとしている元気な返事だ。聞いているこっちも気合が入る。記念すべき最初の内容は…
「まずは、現時点での君の走りを見せてもらっていいかな?」
まずは、現状の彼女の状態をよく知ることだ。
そうでなくては、今後のトレーニングや出走するレースなども決めることができない。
「タイムを測るんですか?それなら、こちらをどうぞ!」
そういって、最初に出会った際の"チヨノート"を見せてくる。
やはり彼女も普段からのトレーニングを怠っておらず、記録をつけているようだ。距離とコース状態を別々にして細かくコンマ単位にタイムが書かれている。
「おう、これは参考になる。でも今回は君の走りがどんなものか確認したいってだけだ」
ウマ娘と言っても、その適性や能力はそれぞれだ。
参加するレースでは距離によって、短距離・マイル・中距離・長距離という分類がされており、それによって求められる能力が大きく異なっていく。
そして、レースで必要な作戦。得意な走り方も4種類存在する。
スタートと同時に先頭を取り、そのままゴールまで駆け抜ける"逃げ"
レース全体で前方に位置し、終盤逃げのウマ娘を抜き去る"先行"
序盤はバ群後方に位置しながら駆け、レース終盤加速して前のウマ娘を抜いていく"差し"
終盤まで最後方に待機し、最終コーナーの大外から一気に抜き去る"追い込み"
得意な距離を、得意な戦法で走ることによってウマ娘は力を発揮しやすくなる。しかし、他のウマ娘にブロックやマークされたり、当日出走するレースのバ場状態や天候といった環境要素で内容は大分変わってくる。
中には全ての距離に対応できる
サクラチヨノオー、ワンダーアキュートの得意な距離はマイルと中距離だ。チヨノートに記載されているタイムにも、それが顕著に出ている。戦法も、中団から抜け出す"先行"が得意で似ている。ただ一つ違う部分は芝とダートだ。
そして目指すべき強敵、マルゼンスキーの能力も頭に叩き込んでいる。
彼女の戦法は"逃げ"のみだが、全ての距離に対応できる数少ない
「トレーナーさん、いつでも準備いいですよ!」
準備運動を終えたチヨノオーが、俺にそう伝える。
「それじゃあマイルの距離から始めるぞ!なるべく本番に近いよう、全力で走ってくれ!」
「はい! わかりました!」
「よし、位置について……よーい、スタート!」
俺が声を上げると同時にあげていた腕を振り下ろし、スタートの合図を出す。
それと同時にもう片方の手でストップウォッチのボタンを押すと、サクラチヨノオーはコースへ飛び出した。マイルの距離1600m。ウマ娘は時速60キロを走れる生き物だが、最高速度で70キロを超えることがある。1ハロンあたりを13~14秒あたりをマークすれば上々な駆け出しだ。
それと同時に走っている彼女のフォームも確認する。後から彼女にも確認させるため、スマホのカメラ機能で録画するようにした。彼女たちの走り方にも、基本的には歩幅を短くして足の回転を速くする"ピッチ走法"と、脚を広く伸ばして歩幅を大きくとる"ストライド走法"と2種類がある。
今のチヨノオーは、ピッチ走法に近いような走り方だ。
それがレースに通用するかはわからないが、誰かと併走することが出来れば戦法のより詳しいタイムを知ることが出来る。今度、桐生院さんに是非相談してみよう。
まあ、いずれにせよ併走トレーニングは絶対に必要だ。
アプリ版でも友情トレーニングは強力で使わざるを得ない。声をかけるメンバーはある程度決まっているが、後は相手が乗ってくれるかどうか…
まあ具体的には、スピカやカノープスといった癖がないウマ娘だ。
だって同期のライバル達というか、トレーナーが話しかけづらい奴ばっかだもん。ヤエノムテキのトレーナーは厳格すぎる裏世界でも通用しそうな人だし、スーパークリークの奈瀬トレーナーもそうだし…
「はぁ…はぁ…どうでしたか?私の走りは?」
走り終えたチヨノオーが、息を少し乱しながら駆け寄ってくる。
まだ育成初日なので何とも言えないが、これを参考に当面の育成スケジュールを立てることが出来そうだ。
「そうだな。まだなんとも言えないが、今後はマイルと中距離をメインに練習しよう。レースもその距離に近いやつに参加してみるようにしようか」
「はい! 私、頑張ってみます!」
「ふふっ」
「どうしたアキュート?何かあった?」
「いえ、トレーナーさんが他の子とこうして練習するのを見てると、こっちが新鮮な感じがして…」
…なるほど、こういう環境にそれぞれが慣れていく必要もあるな…。
チヨノオーのルートは?
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天皇賞秋の変則三冠ルート
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菊花賞に挑戦ルート
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宝塚の人気上昇ルート
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いっそのことティアラ路線