チヨの幼馴染Tになれるなら、オワタ式ファイナルなんてなんぼのもんじゃい! 作:ansin
ウマ娘のレースってユーロビート合うんですよね。
別ブラウザで聴きながらレースをお楽しみください。
おススメBGM:頭文字D8 BREAKIN'OUT(Ace)
とうとうこの日が来てしまった…
今日は待ちに待った本番のレース。
つまり、彼女達にとっての夢への第一歩となる舞台…"ジュニア級メイクデビュー戦"だ。
ゲート9人から1着を取れるウマ娘は、たった1人。
勝利したウマ娘だけが上のオープンクラスのレースに出走できるようになり、敗れたウマ娘は未勝利戦に勝てるまでクラスが昇格しない。
ここからは文字通り、レースの世界の生存競争の始まりだ。
努力を重ね才能を磨き、更には運を味方にしなければもっと先にあるG1、重賞には手が届かない。
俺は今日に至るまで様々なレースを見てきた。録画物が多かったが、会場の臨場感を味わう為チヨノオーを連れて生観戦も見に行った。
そこには常勝ウマ娘もいれば、毎回負け続けるウマ娘もいる。それでも重賞に出走できている時点で、ウマ娘の世界ではエリートと呼べるほどの実力者だ。
今回チヨノオーが参加するレースは、芝のマイル1600m。
中距離にも適している彼女だが、更にスタミナを得る必要がある中距離を走らせるのはどうかと思った。
レース開催場所である東京レース場は快晴だ。
重賞レースに比べれば空席が目立つが、ここから誕生するスターのレースを眺めるためにたくさんの観客が見に来てくれていた。その周辺でも屋台が建ち並んでおり、会場全体が前世での公式スポーツ大会のようなお祭りである。
そして、そのレースに出走する彼女は…。
「距離だけではなく、天候に合わせて、直線までのスピード計算して…」
「大丈夫か、チヨノオー?もう充分過ぎる位復習したと思うけど…」
初レースの緊張を隠すためか、チヨノートを毎回読み返していた。もうこうなったら半分やけくそ気味で、出たとこ勝負に挑む気持ちを持った方が精神的に楽かと思ったが…
「はい!ですけど、最後の最後まで気が抜けません。『ここもダービーに続く道と思え』の精神で頑張らないとっ!」
ダービーへと続く道か…
マルゼンスキーと交わした約束、それに至るまで、俺は無理しない範囲のトレーニングをチヨノオーに積ませてきた。
坂路ダッシュでスピードと根性パワーを鍛えたり、プールで泳がせて持久力と呼吸方法を学ばせスタミナを底上げ、時には身体を休める形で教室を借りてレース運びなど勉学にも励んだ。彼女は約束を投げず、トレーニングを必死に励んできたのだ。その集大成が今日、レースという形で明らかにされる。
「トレーナー、作戦は先行で大丈夫ですッ!私の走り、ちゃんと見ててくださいね!」
そろそろ出走の時間だ。後は彼女の能力に賭けるしかない。ならトレーナーとしてやるべきことは…
「サクラチヨノオー、作戦もいいが、まずはレースに慣れることを優先しよう」
「はい!では、
ん?アレとは、一体何のことか?
「トレーナーさん。ワンダーアキュートさんがレース前の気合いとして気合い注入を、私にもお願いします!!」
アキュートめ。アレはそっちが頼んできたと言うのに、チヨに真似る必要ないでしょうが。下手したら体罰ギリギリのラインで見られるかもしれ、いや桐生院に見られてたな。ええいままよ!
バチン!
「〜〜〜〜〜〜っ!!行ってきます!!」
『さあ、続いて第3レースになります。新たなスターの誕生が期待されるメイクデビュー戦。芝1600。9人のウマ娘が挑みます』
東京レース場に響き渡る女性実況者の声に耳を傾けながら、俺は腕組みをしてレースの様子を観察する。
普段の練習用のジャージとは異なり、G2以下はゼッケンが縫い付けられた体操着の格好だ。他のウマ娘も同様に体操服姿だ。違うところがあるとするなら、チヨノオーの髪飾りのように顔部分か耳に何かを装着しているかの違いだろう。初期の頃は自分の担当だけが勝負服なの、なんか恥ずかしかったからな…。
コースに最も近い観客席の最前列からは、他のウマ娘達の様子もよくわかった。出走するウマ娘に関しては事前に出走表でわかっていたが、強敵で面識があるウマ娘はいない。
レース前のパフォーマンスとして、"パドック"でも他のウマ娘の状態もチェックする。勿論神様から授かった『ステータス看破』で能力もスキルも丸見えだ。
チヨノオーの現在のステータスはスピード・根性・賢さはE+以上を上回っている。スタミナとパワーがF+であるが、そこは今後のトレーニングで補っていこう。
他はそこまでに至っていないが、中にはGのウマ娘もいたからな。
「よかった」と安堵するのはまだ早い。ちゃんとトレーニングしても、本番では何が起こるかわからない。事故ることは稀だがあった。
「あのサクラチヨノオーって子、1枠1番か。長距離なら好ポジションだけど、マイルだと厳しいかもしれないな」
「どうした急に」
「内枠だと、外枠から攻めてくる他のウマ娘と集団にまぎれてしまうかも可能性が高いからな。バ群から抜け出すタイミングがシビアになる」
「確かに。その上終盤までスタミナを温存しないと、抜け出すときのパワーがなくなってしまうか」
うぉ、いつの間にいたぜどうした急にコンビ!
話しかけて仲良しになりたいのをグッと堪え、二人が話していたことを考察する。
レースでは枠番がランダムに割り振られる。どの距離か、芝かダートか、内枠か外枠か、作戦によって有利不利が変わってくる。
今回のレースは1枠1番。コースの最も内側からのスタートになるが、コース外側からスタートする形になる外枠のウマ娘と比べ、走る距離が短くなるという意味では有利。
しかし二人の言う通り、いざコーナーへ差し掛かると外から寄ってくる同じ作戦かその先を行くウマ娘たちに前を阻まれる可能性がある。目の視覚上、目の前に数人いるだけでまるで壁のように阻まれ抜け出しにくくなるのだ。それに焦り、余分にスタミナを減らされる。
進路妨害や体当たりをわざとするのであれば、前世と同じく失格か降着する。それでも突然のアクシデントはありうる。
『1枠1番サクラチヨノオー、今ゲートインしました。1番人気で、パドックでも落ち着いているウマ娘です』
『これ以上ない仕上がりですね。初レースで緊張するかと思いましたが…トップスピードとそれを維持する持久力に、期待がかかります』
ファンファーレが響いた後、アナウンサーと解説による各ウマ娘の紹介を挟みつつ、それぞれがゲートに入っていく。
『ゲートイン完了。出走の準備が整いました』
全員がゲートに入り、それぞれがスタートの準備が完了した。
一瞬の静寂がレース場を満たし――バタン、という音と共にゲートが開く。
『さあ、ゲートが開いた。各ウマ娘、揃って綺麗なスタートを切りました!』
チヨノオーのスタートはまずまずだった。
出遅れることもなく、他のウマ娘とほぼ同時にゲートを飛び出すことに成功する。しかし、最も内側を走るチヨノオーの行く手を阻むように、2人とウマ娘が姿を見せる。どちらも2バ身差だった
「あの差だと、二人とも"逃げ"か」
レース全体は先頭の二人の逃げウマ娘が引っ張っていく形だ。
チヨノオーと同じ先行策は二人、後の四人は全員が差しだ。
『先頭を駆けるのは3番パイケア、7番リボンミント。そこから2馬身離れて、1番サクラチヨノオー、4番ハープリズム、9番エレクトリファイドが続いていく!』
「(よしっ! 良い位置!)」
中団の先頭を走るチヨノオーの姿に、俺はガッツポーズする。周囲に囲まれておらず、先を進む逃げウマ娘達の位置も確認できる絶好のポジションだ。
『少し遅れて2番デュオタリカー、更に1バ身ほど下がって6番ファーメントウィン、8番トコトコ、最後方に5番アーケードチャンプ』
ウマ娘達は最初の直線を抜けてコーナーに突入する。それぞれが細かい位置調整を行い、他とぶつからないよう注意しながらコーナーを駆けて行く。ここからが仕掛けどころだ!
『大ケヤキを抜け、4コーナーへ! 先頭は変わらず3番パイケア。リボンミントが続く! そこに、サクラチヨノオーがあがってくる!』
実況の声を聞きながら、俺はチヨノオーが駆ける姿を見続ける。大ケヤキあたりでちょっと膨らんだが、前を走る二人の逃げウマ娘を抜こうとしている理想的な展開だ。一方走っているチヨノオーは…
(いいかチヨノオー、今回は逃げの二人をよく観察するんだ)
事前に彼から伝えられていた作戦を、集中して取り組んでいた。後ろの差しウマ娘は確かに気になるが、前の逃げている子に集中するほうが効果として大きかった。
(大ケヤキを過ぎるところまで息が上がっていたら、迷わず用なしとして抜け。それまでは後ろを見ていいが、スパートに入ったら絶対に後ろは見ずに前だけを見ろ。あとはそのままゴールへ一直線だ)
後ろからチラッと覗くように一人の顔を見ると、息が上がっており苦しそうな表情だ。恐らく逃げのスタミナ配分を間違えてしまったのだろう。
「(いけるッ!)」
『コーナーを抜け、先陣を切ったのは3番…いや!ここで1番サクラチヨノオーが抜け出した! 2番手との差はジリジリ広がっていく!』
コーナーを抜けたと同時に、チヨノオーが前へ出た。そのままハナを進む。問題は後続の差しが迫ってくるかどうか…!
『残り400を切りました! リードを開いていく、サクラチヨノオー! 後続も追いすがるが苦しい様子!』
最終直線、観客のボルテージが最高潮に達そうとしている瞬間。
それに呼応するかのように、先頭を進むサクラチヨノオーがグングンと前へ進んでいく。
「行け…行け…!」
拳を握りながら、俺は願う。このまま何事もなく…!
『粘る粘る! サクラチヨノオー、リードは3馬身! 2番手トコトコ、食い下がる!残り200! サクラチヨノオー、脚色は衰えない!!』
そして…―――――
『やりました! サクラチヨノオー!今、ゴォールイン!!』
ゴール板前を駆け抜けたその瞬間、俺は自然と拳を天に掲げた。
これだ、この瞬間を経験したかったんだ!本当のレースで、自分の担当したウマ娘が1着に輝ける瞬間を…!
『勝ったのはサクラチヨノオー!見事、メイクデビュー戦を制しました!2着は8番トコトコ!3着は4番ハープリズム!』
ゴールを駆け抜けたチヨノオーは徐々に減速する。そして立ち止まり、電光掲示板に自分が一番最初にゴールインしたことを確認すると…
「~~!!トレーナーさん!私、やれました!!」
こちらに気づいたチヨノオーは、駆け寄りながら手を振ってくる。その表情は笑顔そのものであった。
「ああ、見てたぞ!っていうか、余裕だったかもな!?」
「へっ?それってどういう…」
まだ現状を理解していない彼女に、後ろを振り向かせようとする。
するとそこには、2着以下でゴールした他のウマ娘がそれぞれ悔しい表情をしながら佇んでいた。肩で息を切らしていたり、中には倒れこむ子もいた。
それに比べ、サクラチヨノオーはそこまで息切れしている様子は見られない。それも掲示板に表示された通り、3バ身差という見事な勝利だったのだ。
初戦にて初勝利、100点満点である。
「それと、これからライブの準備なんだろ?早くいって来いよ!!」
「ッ!ハイ!!」
ウイニングライブが始まる…。
3着以内に入賞したウマ娘だけが出ることを許される、夢のステージ。
アイドルと同じくライブ用の衣装を身に纏い、特設ステージに立ち、ファンに向かって歌って踊る特別な場所。
本場でライブを見るなんていつ以来なんだろう…。いや、この人生になってから一度もないかもしれない。
そう考えていると、ライブ服を身に纏ったチヨノオーが左右にいる2・3着の子と一緒にステージに出てくる。
その表情は少し赤くなっているが…やる気に満ち溢れているような顔にも見えた。最初に踊る曲は確か「Make debut!」。1期のオープニングだ。
『♪響けファンファーレ~、届けゴールまで』
「!?」
『♪輝く未来を~君と見たいから~』
大音量で流れる曲、そして湧き上がる観客の声。
「ッ!」
やばい、感動しすぎて目が眩むほどだ!
レースで走っている姿もそうだったが、ライブで踊る姿は格別だった。一生懸命に走った子が努力が報われる瞬間を、俺は見ることができて本当に良かったと思う。
それと同時に、このような感動の場を何回も立ち会いたいと思ったのであった。
チヨノオーのルートは?
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天皇賞秋の変則三冠ルート
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菊花賞に挑戦ルート
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宝塚の人気上昇ルート
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いっそのことティアラ路線