このヒロインにもルートを!※更新停止※   作:来世から本気をだす

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※注意※
今回の話しは独自設定と原作知識アリ前提の要素が多量に含まれています。
あと、かなり下品な要素が出てきます。
読者への配慮が足りない作品でごめんなさい…


12話、爆裂!爆裂!!爆裂!!!

 

「ウィズ、もう一発だ!」<狙撃>

「はい!」

<<エクスプロージョン>>

 

千里眼が夜闇の全てを見通す。

俺の放つ照明弾に導かれるように極彩色に輝く極大の魔法陣が空に描かれる。

魔法陣から絞り出される希望と絶望の一筋の光。

密集したカエルどもの中心に静かに降りそそぐ。

次に訪れるものは闇を切り裂く烈火の閃光。

それは濃厚な重低音を奏でる爆裂魔法。

 

「カエルども今日は俺のおごりだ。遠慮なく喰らいやがれ!!」<狙撃>

<<エクスプロージョン>>

 

俺が打ち立てた策と呼べるかも怪しい作戦。

 

それは最高純度マナタイトを使用した魔力の急速補給によるウィズの”連続爆裂魔法”だ。

 

昨夜、商品を検品してた際に荷物の山から現れたズタ袋。

袋の中には大量のマナタイトが詰まっていた。

ウィズ曰く数十億円分の売れ残り。

商才の無さが、ここに極まっている。

記憶を失う前の俺はパーティーメンバーを救うためにバニルに知ってるだけの知識を売り渡したそうだが。

その知識で稼いだ数十億はウィズが全て大量の最高純度マナタイトに換えてしまったのだ。

当然、一個も売れない。まぁ、当たり前だろ。

各個人の魔力値は安いマナタイトで足りる。

それに相当な値段なのに使い切り品。

この世に、エメラルドやダイヤモンドを海に向かって投げ捨てれる奴はそう多くはない。

しかし、マナタイトとは投げ捨てる覚悟で消費して初めて価値が出る。

魔力値の最大値が高く、そして有り余る資金力。

勇者でもない限り無理して買ったとしても冒険ポーチの隅でホコリを被っていくのがオチだろう。

 

だが、この場には偽りでも勇者が必要なのだ。

 

だから俺は金の力で、この場だけでも勇者となる。

 

「ウィズ、マナタイトの使用代金は全て俺にツケておけ!アクセルに戻ったら必ず支払う」

「すでに数百万エリスを使っちゃってますけど…本当にいいんですか?」

口元を引きつりながら横目で俺の意思を確認してくるウィズ。ああ…いいとも。

正直、ウィズの「村を凍らせる」と言う提案も魅力的に感じた。

牙も爪もない奴らだ。

数百棟しかない村の建物を凍らせてしまった方が魔力も金も消費が少ない。

そして店の商品をガンガン使うと俺が覚悟を決めた今なら魔力枯渇になる心配もない。

つまり人柱覚悟でテレポートが出来なくなるほど、ウィズが村を凍らせる事もない。

 

「・・・かまわねぇ!全て使い切れーーー!!」<狙撃>

「わかりました!!!」

<<エクスプロージョン>>

俺のヤケクソまじりの悲鳴に似た叫び声に、彼女は力ずよく返事を返して来る。

迷ったよ…本当に迷った。

奥歯がギリギリと音を立てるぐらい歯ぎしりしながら悩みぬいたさ。

一個で小さな家が買えちゃうんだぞ!?

でも、間近でカエル共をみて覚悟は決まった。

この異常すぎる繁殖力と一糸不乱に村に突き進む姿。

千里眼で通って来た山肌を覗いてみれば悲惨の一言。

太い幹以外は枝ごと貪り食いつくして蝗害に会ったが如く木は丸裸。

行進の巻き添えを食らったモンスターは交通事故の後の様に惨たらしい亡骸をさらしていた。

生態がまるで理解できない。

カエル如きに底知れない恐怖が湧いてくる。

この群れを、この場で殲滅させなければ最悪、世界規模の問題になりかねないと俺の直感が告げて来る。

ここは守りではなく攻めの一手だ。

俺は自分の胸のポッケから、ウィズの冒険者カードを取り出す。ステータス欄と討伐記録を交互に見ながら指を走らせた。

 

 

「カズマさん、一回で何体倒せていますか!」

ウィズはカエル共を睨んだまま声を上げる。

「500から700匹だ!今すぐ威力上昇と高速詠唱にスキルポイントを割り振る」

ウィズの冒険者カードのカエル討伐欄がルーレットの様に目まぐるしく変動する。

俺はレベルアップしたそばから獲得したスキルポイントを爆裂魔法に注ぎ込んでいく。

あの波を止めるには中級魔法程度では無意味。魔力の無駄だ。

精錬された上級魔法でも効果範囲が狭すぎる。

今、必要なのは一撃で群れの形を変えれるような超高火力と、少しでも多くの敵を巻き込んで経験値へと換える圧倒的な効果範囲。

 

この魔法に全てを賭けるしかない。

 

「黒より黒く、闇より暗き漆黒に」

唱えるたびに早くなっていく詠唱。

 

「我が真紅の混交に望みたもう」

一言一言がより力強く、より重く、より圧倒的に。

 

「強化完了だ。俺の矢に続け!!<ソ・ゲ・キ!!>」

手が痛くなるぐらい引き絞られた弦からヒュン!と風を切り夜空を駆け進む輝く矢。

カエルを最も多く巻き込める位置へと突き進む。

そこに光を追いかける円環の魔法陣が夜空に列をなす。

人類が行える魔法の中で最も威力が高く、膨大なスキルポイントを喰らい、注げばそそぐほど青天井に効果を増していく。

巷でネタ魔法と揶揄された、この魔法。

 

 

「覚醒の時・・・」

 

滑らかに唱えていた詠唱が止まる。

振り返ってウィズを見れば祈る様に手を組み俺に向かって、彼女は微笑んでいた。

 

「どうしたウィズ?」

「いえ…アクセルに帰ったら楽しみにしてますね」

(なにを?)

俺は、いきなりの事に頭の中で?マークが走り回る。

首をかしげ聞こうとしたが、ウィズは俺の返事を待たない。

再び鋭い目つきになると、胸の前で組んでいた手は、天を仰ぐように両手を空へと差し伸べる。

 

「覚醒の時は来れり!!」

ウィズの足元にも表れる魔法陣。

彼女が纏う魔力光は雪の様に白く、淡く、そしてより鮮やかに溢れ出す。

 

「これは私の想い、私の心の咆哮」

先ほどまで光の粒だった物は変化する。

ウィズの体から解き放たれる人と同じぐらいの大きさをした白き流星。

スキル強化をする度に増えた魔法陣を潜っていく。

 

 

「絶望を晴らす光となれ、はあああぁぁぁあ!」

魔法陣を超えるごとに光を増す流星はカエルの群れへと突き刺さる。

 

 

<<<エクスプロージョン>>>

 

地上に表れた太陽は辺りの闇をかき消す。

空間を削り取るような白き光を放つ爆裂魔法。

その熱量は直撃していないカエルも溶かしていく。

あとから訪れる熱き一陣の風と腹の底が痺れるような重低音、そして足元がふらつくほどの振動。

ウィズの渾身の一発だとすぐに分かった。

カードの討伐欄で、その凄まじさを物語っている。

 

「ウィズ…凄いぞ!今ので3千匹削れた。経験値も莫大に入って来てる」

「ハァ…ハァ…よ、よかったです」<ふらっ…>

「お、おい。ウィズ!?」

糸が切れた人形の様にフラっと前のめりに倒れる彼女を俺は抱きかかえた。

顔を見れば、額から汗が大量に零れ落ちて来る。

そう。

これが、この作戦の最大の問題点。

 

「大丈夫か、無理はするなって言っただろ」

「えへへ…つい」

可愛く誤魔化しても無理しているのはお見通しだ。

マナタイトで回復できるのはあくまで”魔力”だけなのだ。

撃つたびに疲労は貯まり、体力は削られていく。

一日一発が限定の爆裂魔法を裏技で乱用しているんだ。

幾らリッチーとはいえ体にかかる負担は想像を絶する。

 

 

「これを飲んで少し休んでおけ!」

俺は商品の山から持ってきた高そうな瓶をウィズに手渡す。

コンビニで売ってそうな手のひらサイズの瓶だ。

『たまった疲れに!111の生薬配合。超即効爆裂回復!!』とラベルに書かれていたし栄養剤みたいなものだろう。

ウィズは銘柄をみた瞬間、ギョッとした表情をした。俺の背筋にひんやりとした汗が流れるが…この際だ破産覚悟で使ってやる!

血の涙を流す想いで握り拳を作る。

そんな俺をみてかウィズは苦笑しながらポーションの入った瓶に口を付けた。

「でも、ここで私が止まってしまったらカエルの進行が…」

チラリと横目でカエル共を見るウィズ。今の一撃がいくら凄い一発だったとしてもカエルはまだ腐るほど蠢いている。

だがウィズの渾身の一撃のおかげで前線は崩れた。

「数分は俺だけで持ちこたえる!」

「で、できるんですか!?」

 

 

俺は答えない。

2~30匹の小さく散りぢりに別れた前線程度は俺がなんとかする。

 

実力と行動で示してやるよ。

威風堂々と矢の稲穂畑に足を踏み入れ、氷に突き刺さった無数の矢から、もう一本を引き抜く。

(ふっ~…)

今から撃つ矢は特別製だ。

静かに息を吸い、恥ずかしさを怒りに変えて一息でスキル名を連呼した。

<狙撃><ソゲキ><そげき>

稲穂畑から次々と引き抜き、狙いも定めず矢を連射する。

普通なら当たるはずもない矢はスキルが体の所作を作り出し丁寧に各群れへと矢が導かれていく。

 

<ソ・ゲ・キ・!>

20本目あたりで俺はもう一度、冷たい空気を肺一杯に深く吸い込んだ。

俺の狙撃スキルの効果が限界以上に発揮しているのではないかと思うほど確かなナニカを感じてる。

今日はとても幸運なんだろうか?

それとも初めての戦闘でアドレナリンが出まくっているからだろうか?

数分先の未来をすでに射ている。

間違いなく『中る』。

戦闘の高揚感は未来視に近いナニカをもたらしてくれていた。

あとは叫ぶだけだ。

高らかに、このスキル名を叫んでやる。

 

「<ティンダァァァァア====!!>」

俺の人差し指が指さした群れ足元がオレンジに光る。

次の瞬間、正面に集まった2~30匹のカエルは火柱と爆音と共にはじけ飛ぶ。

一つの爆発は周りに新たな爆発を引き起こし、次々に群れが燃え上がった。

(チィ…爆裂魔法の破壊力には遠く及ばないな)

バラバラと赤いカエルの破片が雪平原に散らばっていく。

悔しいが塵一つ残さない爆裂魔法とは天と地の差だ。

俺は火の海と化した平原をみて成果にニヤリと口元が吊り上がる、すると慌てふためいているウィズの声が聞こえてきた。

 

「カズマさん、上級魔法なんていつ覚えたんですか!?」

詰め寄る勢いで彼女は近づいてきた。そんな高度なものは俺に覚えられるはずがない。

マジで言いたくないが、そろそろ種明かしをしないと不味な。

ウィズが”これ”に気を取られてしまっては困る。

俺は「これだよ」と腰のベルトにぶら下げたゴム袋を取り出しウィズの眼前にさらす。羞恥プレイだろ…

 

 

「それは・・・風船?」

「えっ!?・・・あ~ぁ…その。そう!風船!!この薬品入りの水風船のおかげなんだ」

「この前、アクアさんから聞きましたよ。これをもっと膨らまして花や犬に見立てて遊ぶんですよね」

「あ…あぁ…」

俺の言葉にウィズは少量の白い薬品が入った水風船をマジマジと見て来る。

気まずくて彼女を直視できないが正直、知らないのは助かった。

とてもじゃないが…この場で、これを説明はしたくない。

ウィズの前で赤くなりそうな顔を、歯を噛みしめて体裁を保つ。

これは決して水風船など可愛い物ではない。

なにせ記憶を失う前の俺が制作に心血を注いだ痕跡を感じるアイテムだ。

手作業なはずなのに伸縮性と強度を残しながら厚さ0.03mmまで薄くした情熱を感じるピンクのゴム袋。

 

 

コ〇ド―ムだ。

 

(・・・馬鹿じゃねぇの俺!?)

作り置きされた俺の創作物の中で一番、こだわりを感じたぞ。

もっと他に作るべき物があるだろ?!

しかも、今はゴム袋の中に入っている薬品は白いし…

「カズマさん、矢を見つめてどうしたんですか?」

「へっ!?あ、いや。ちょ、ちょっとチェックしていただけだ!」

座り込んでいるウィズはキョトンと首を傾げながら聞いてくる。

いかん!いかん!目の前の事に集中しろ。

見れば見るほど場違いな物を思い出してしまうが、丁度いいゴム袋がこれしかなかったんだ。

見た目は最低だが効果は確かなんだ。

イメージを振り払うつもりで頭を左右に振っていると、彼女は白い薬品が入ったコ〇ドームを人差し指でつついてくる。

 

「この白い液はなんなんですか?」

「この液体は、あの商品の山の中にあった”温めると爆発するポーション”を入れているんだよ」

「えっ、あの薬品を使っているんですか!?」

至近距離で覗き込むように見ていたウィズは、反り返りそうな勢いで後ろに這いつくばっていく。

 

「その薬品は人の体温程度で爆発するんですよ!」

「知ってるよ。掘り起こした薬品箱の中で、こいつが一番売れ残っていたからな。瓶に張られたラベルを見てすぐに理解できたよ」

アワアワと身構えるウィズ。

小匙二杯程度で大爆発を引き起こす劇薬なのだ。

日の当たらない棚か専用のケースにでも入れてなければすぐに爆発。

持ち運びや戦闘に使うなんて自殺願望者だけだろう。

 

しかし。

 

「ウィズ、安心しろ。ここは何処だ?」

「ここですか?ここはサムイド―に近い雪平原の…あ。」

ウィズは心配するように訝し気な視線を送って来ていたが、俺の言葉で合点がいったんだろう。

「ここは凍てつきそうなほど寒い雪平原だ。こうやってゴム袋に入れて大気で冷やしておけばティンダ(着火)を唱えるまで爆発は起こらない。これを矢尻の付け根に矢文の如く巻き付けて撃ち放っているんだよ」

俺は地面に突き刺さっている矢を一本引き抜いて、コ〇ドームを巻き付けると適当にカエルの群れへと矢を撃ち放つ。

 

(…やっぱりシュールだわ)

空に放物線を描きながら飛んでいくピンクの卑猥物。

俺は引きつった口元で、再び<ティンダ>と小声で唱えるとカエルの群れが、また一つ火柱に巻き込まれて肉片へと変わった。

「流石です、カズマさん!」

輝く純粋な眼で憧れの人物でも見ているような彼女。

 

あぁ・・・もっとカッコよくなりたい。

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