このヒロインにもルートを!※更新停止※   作:来世から本気をだす

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今回の話しは独自設定のオンパレードとなってしまいました。
ごめんなさい…



19話、そろそろ、お仕置きのお時間です(前編)

◇ウィズ魔道具店(裏庭)◇

 

『ごべんなざ~~い。カズマさ~~ん!!』

アクアは木に逆さ吊りにされ、ミョンミョンと跳ねまわる。その簀巻き姿は、まるでミノムシだな。

俺は、このどうしようもない駄女神を捕獲した後、モドキにウィズ魔道具店へと案内してもらった。

なにせ、今からゴウモ…ゲフンゲフン!

すまない。少しむせてしまった。

なにせ、今から教育的指導の時間だ。白昼の大通りで粛清するわけにもいくまい。

モドキに、最寄りで騒音をたてても大丈夫な場所を聞いたら、真っ先にこの魔道具店を提案してきた。

日ごろからアクアとバニルの戦闘音が絶えないウィズ魔道具店。なんとはた迷惑な店なのだろうか。

まぁ、前置きはこのぐらいにしておこう。

なぜなら、裏庭に設置されていた巨大な“水槽“に目を奪われたからだ。

「おい、アクア?お前の真下にある水槽についてなんだが…」

ジャイアントトードが丸まる一匹入りそうな巨大な水槽。俺は店について早々に、アクアを水槽の真上につるしあげた。

「な、なんのことかしら…」

アクアは決して俺と視線を合わせようとしない。

「不思議なんだよな。お前が売っていたオタマジャクシが、ウヨウヨと水槽を泳いでいるんだ…」

「・・・・・さぁ」

アクアは黒い影がひしめく水面へ目を向ける。しばらく観察すると、哀愁漂う表情でボソリと呟いた。俺が裏庭に向かおうとした時に、激しい抵抗をしてきた。アクアの関与は、ほぼ間違いないだろう。

なのに、あくまでも“しらばっくれるつもりか”?

今、お前はまな板の上の鯉だと言うのに。

 

「弁明の機会を与えてやる。俺の右手に握られたロープが、何処に繋がっているか分るよな?」

俺が握ったロープへと視線を向けると、アクアもつられて目を向けて来た。

木の枝を這わすように巻き付けられたロープ。俺が手を離せばアクアは水槽へと真っ逆さまだ。そんな自分の悲しき未来を想像したのだろうか、アクアは喉をゴクリと鳴らす。

すると、悟りを開いたように、後光を放ちながら満面の笑みを浮かべた。

「カズマさん、私は何も悪い事はしていないわ<チン!>ここはウィズのお店よ?またウィズが変な買い物をしたに違いないわ<チン!>私がウィズに変装してオタマジャクシを売っていたのも立派な理由が<チン!>あ~もう!?チンチンとうるさいわね!?…って、この音は、もしかして!?」

「マスター、借りパクは良くないわよ」

目をみひらき驚愕の表情で、視線を右に左に。音源を探るアクア。

俺も背後から聞こえた音源に目を向けた。そこにはアクアの姿になったモドキが、手に変なベルを持っているのだ。

 

「モドキ、それはなんだ?」

モドキに尋ねると、彼女は誇らしげに羽の生えたベルを見せてくれた。

「これ?これはウソ発見器。前にめぐみんを尋問した時にね、警察署から借りたの。だけど、マスターが返すのをメンドくさがって押入れの中にしまってあったの。ウソをつくと<チン!>ってなるのよ。例えば…私はカズマさんの事を尊敬している<チン!>こんな感じ」

モドキは、自慢げにベルを鳴らしてみせる。

そんなモドキのベルに、アクアは顔を青くしている。

「…いろいろ言いたい事はあるが、今は許してやる。さて…なぁ、アクア?」

「なに、カズマさん。きゃ!?」

瞬間的に離したロープ。アクアの体が3センチほど水面へと近づいた。

落下した勢いでアクアの髪から抜けた一本の頭髪。

水面に落ちるや否やコイの餌やりを思い出す。

ビチャビチャと音をたてながら、ひしめき、押しのけ、我一番へと髪に群がっていく。

それを間近でみたアクアは顔面蒼白になり、全身が小刻みに震えていた。

 

◇仕組み◇

「オタマジャクシは、お前が恋しくてたまらなさそうだな?」

「カズマさん、じょ、冗談はおよしになって…」

「マスター、正直に言った方がいいと思うわよ?知っていると思うけど、神ってマナの塊みたいなものでしょ。このオタマジャクシの好物ってマナらしいの。つまりマスターは極上のご馳走なのよ。」

「う、ウソでしょ?だって主食は野菜だって商人が…」

「たぶんそれ、マナの含有量が関係あると思うのよね。私の影響を受けた含有量の多い野菜や植物を優先して食べているもの。逆に人やモンスターみたいなオドを利用する、マナの低い生き物は全く狙わないし…」

その時、アクアのにじみ出す冷や汗が、水面にポチャンと落ちる。

黒き生物は危険な薬物でも摂取したのかと、思いたくなる程に水面から跳ね上がる。

まるで、早く落ちてこいと言わんばかりに…

 

「おい、モドキ。初耳の単語だらけなんだが…どう言う事だ?」

「あぁ~、あんまりこの世界じゃ関係ないから知らないのも無理ないわね。まぁ簡単に言えば空気や植物などの自然にある魔力をマナ。生き物が内から生み出したり、外部から取り入れて変換し作り出す魔力をオド。その程度の認識でいいわよ。めんどくさい世界と交わらない限り使う事もない知識だろうし…それに各世界の仕組みや呼称の違いを説明していたら、とても人間の寿命じゃ教えきれないもの」

「…なんか凄く嫌そうだな」

モドキは嫌いな食べ物を前にした子供のように、引きつった嫌悪顔をしていた。

 

「当たり前じゃない!気とか霊力に超能力。それ以外にも腐るほど面倒な仕組みがあるの。そんな管理が面倒で神秘性の薄い地球系の世界を選ぶ神様だっているぐらいだし…そうですよね~、マスター?ポテチを片手に人の作った創作物を堪能している方が楽ですもんね~」

「うぐっ…痛い所ついてくるわね。ちょっとは主を助けようとする気持ちはないの?」

「北の僻地で永遠とカエル狩りを命じたマスターに対する鬱憤晴らしですよ~」

モドキはニマニマとした表情でアクアの頬を人差し指でつつく。

そんなモドキにしかめっ面で指に噛みつこうとするアクア。

まるで双子の姉妹だな…

「ほら~謝罪してくださいよ?強制召喚をしたあげく召喚事故を起こしたダメなマスターでしたって」

「ふざけんじゃないわよ!私のような素晴らしい姿になれた事に感謝しなさい。それに日ごろは食って、寝て、散歩ぐらいしかしないじゃない。働かないとカズマさんみたいになるわよ!?「おい、コラ。ニートって言いたいのかテメェ」」

「ヒキニートと一緒にしないで!私の食って、寝て、散歩には意味があるの!災害を引き起こさない為の仕事なの。カズマさんみたいな自堕落な存在じゃないんです~。「モドキ。お前も水槽の中に放り込んでやろうか?」

 

「だ~~~ぁ!うるせぇ!?答えるのか答えないのか、どっちなんだアクア!」

「カズマさん!よくないわ、こんな転生者らしからぬ脅迫じみた行動。選ばれし者なら私みたいな美少女<チン!>で麗しき女神の一つや二つの過ち<チン!>は笑って見過ごすも「見過ごせるわけねぇだろ」うわ~~~~ん!!!」

 

◇カエルと20億の顛末◇

 

「はぁ…このオタマジャクシは、どこで手に入れたんだ?」

「ホントにね。マスターは、アクセルを襲ったカエル襲撃事件の後始末のために、私を召喚したのよね?あの時は“出所を探ってこい“何って言ったくせに、自分が売りさばくなんて何を考えているのよ?」

モドキの疑う眼差しに、キョロキョロと視線を左右に動かすアクア。最後にチラッとベルに目を向けると、ため息一つ。

「ねぇ、玄武。カズマさんにどこまで話したの?」

「ややこしくなりそうだったし、ほとんど、話してないわよ」

アクアが問いかけると、気怠そうに答えるモドキ。

「なんだ?モドキも何か俺に隠し事をしているのか?」

「別にやましい理由じゃないわ。私もアクセルを出てからの事を知らないもの。いらない憶測をうむぐらいなら、マスターが話すときまで黙っていた方が得策と思っただけよ」

モドキは手をひらひらとさせた。確かにモドキの言いたいことも分かる。

今、俺の目の前でマヌケに吊るされているコイツは、ここ数日の悩み事に繋がりそうな気がする。この際だ、徹底的に聞き出してやろう。

俺はモドキからベルを受け取り、アクアの眼前へと突き出した。

 

「さあ、アクア。答えて貰おうか?」

アクアはしばらく沈黙した後、とうとう俺と視線を重ねた。

「…わかっているわ。最初から話すとかなり長くなるのだけど、いいかしら?」

あれだけ視線を合わせようとしなかったアクアが、儚げに哀愁を漂わせながら語りだす。

ほんと真面目な顔をしていれば美少女なのだがな…

「時間はたっぷりある。遠慮なく話してもらっていいぞ?」

「そう。なら今までの経緯の全てを話すわね。きっかけは些細な事よ。あれはシルビアを討伐して、しばらくしてからの事ね。あの時って魔道具店が、カズマさんの提供した品で大繁盛していたじゃない?」

「そ、そうだな…」

(カズマさん。目が泳いでいるわよ。記憶がないから適当に相槌を打ったでしょ?)

モドキの声が脳裏に響いた。隣のモドキの視線を感じると、ジト目で睨んで来ている。

仕方が無いだろ…

俺に記憶がないってバレたらアクアなら、うまい具合に誤魔化して来るだろ?

(う~~ん…ま、それもそうね。いいわ、付き合ってあげる。召喚されるまでのマスターの記憶なら私も持っているから、サポートしてあげるわ。大船に乗ったつもりでいなさい!)

(…タイタニックじゃない事を祈っているぞ)

あっけからんとするモドキ。非常に心配なのだが大丈夫か?

俺はモドキに疑いの視線を送るが、念話が届いていないアクアは気づかず話し続ける。

 

「それでね、クソ悪魔が大儲けしている事にムカついたのよ。私もなにかギャフンと言わしてやろうと思って。あの手この手と模索していた時に、ある重大な情報を耳にしたの」

より一層と真剣な顔になるアクア。その気迫の籠った眼差しに俺の喉がゴクリとなる。

「ある重大な情報…」

まさか魔王軍絡みか?

俺が額に冷や汗が伝いそうになった、その瞬間。

「カズマさん。残念だけどマスターが言っている重大な情報って、物凄くくだらないわよ」

「くだらないって何よ!“雪精が異常発生している“なんて見逃せない重大事項だわ」

はぁ、雪精?なんのこっちゃ?

「…なにか関係あるのか?もしかして魔王軍が…「大ありよ。この時期に北国で雪精が多くなると、その年の冬は非常に寒さが厳しくなるの。つまり、食料品やエネルギー関連が高騰するって事じゃない!」」

アクアの声に気迫がこもる。あぁ…頭痛がして来た。もしやこいつ…

「それでね、私は信徒に頼んで各地の商人と取引を始めたのよ。この冬は一儲けしましょうって。儲けたお金で、このお店の真向いにアクシズ教の支部を設立するの。あのクソ悪魔の嫌がる顔が目に浮かぶわ!」

ブチのめされたいのかコイツ…

「おい、モドキ?明日からアクアと名乗っていいぞ。今夜にでもコイツを墓地に埋めて来る」

「ありがとうカズマさん!誠心誠意、女神アクアとして頑張らせて貰うわ」

「ウソ!?待って!待って!まって~!出来心だったのよ!?」

まるで女神のように慈愛に満ちた微笑みを浮かべるモドキと、他人の金で馬を走らせた挙句、大負けして捕まった馬鹿のように泣き叫ぶアクア。

なんで前の俺は、こんな奴とパーティーを組んでいるんだ…

俺は盛大に天を仰いだ。気怠さが止まらなくなってしまったが、これで20億の顛末は、ハッキリとした。

「つまり…先物取引に手を出したと言うわけか。そりゃ、20億なんてあっという間になくなるわ」

「えっ、なにを言っているの、カズマさん。この段階ではカズマさんのお金はまだ使ってないわよ?」

「…はぁ?」

今、不思議な事を言ったぞ、コイツ。

・・・・

・・・

かくかくしかじか、3時間経過…

・・

「ぜぇぜぇ…つまり、空腹に耐えかねたお前は、オタマジャクシを成長しない様に細工して詐欺行為をしていたわけだな?」

「…はい。でも、未遂です。まだ誰にも売っていません。」

「ホントか?チィ、ベルは鳴らないか…」

長時間の逆さ吊りされた、アクアの顔は憔悴しきっていた

そんな駄女神を前にしながら、俺は地面に描いた時系列に、新たな一文を付け加えていく。

そろそろ、筆替わりにしていた木の棒が折れそうだ…

「カズマさんもずいぶんと粘るわね~。だから話したくなかったのよ」

「うるせぇぞ、モドキ!同情するなら俺にも、茶の一杯ぐらい寄こしやがれ」

「嫌よ、自分で淹れて来なさい。あぁ~美味しい」

くそ、高そうな茶菓子まで、勝手に喰いやがって…

いつの間にか隣に居ないと思ったら、店から持ってきた椅子に腰かけて優雅にティータイムを決め込んでいた。

「カズマさん…全部喋ったわ。慈悲をください」

「慈悲なんて、あるわけないだろ!?これを見てみろ!!」

書きなぐられた文字の数々。要点をまとめて時系列に並べたものだ。

 

5月中旬

前の俺のお陰で、アクアのお祭りが急遽開催できるようになる。

しかし、投資にお金を使いすぎて運転資金が足りない。

<そうだ、アクセルの粗大ごみをリサイクルして売ってしまおう。これでお金も稼げて一石二鳥よ!>

教徒のセシリーが、ウィズの店先からオタマジャクシを持ち去る。そして祭りの際に金魚すくいの金魚の代わりとして売る。役人にこっぴどく怒られて湖にオタマジャクシを不法投棄。

7月上旬

砦で魔王軍幹部を倒し意気揚々とアクセルに帰ってきたら、郵便受けが請求書の山。

俺達が砦で戦っている間に不法投棄されたオタマジャクシが、カエルとなってアクセルを襲っていた。しかも、カエルがアクセルを襲った要因たるキャベツは、セシリーがサムイド―で撒いた聖水が原因。

7月中旬

王女アイリスの依頼でパーティーの皆がカジノ大国エルロードに行くことになる。

<私も行きたい!でもアクシズ教の後始末が…そうだ、散歩の途中に湖で拾った神器を使っちゃえ!>

めぐみんに<エクスプロージョン>数回分の魔力と引き換えに買収に成功。

“カエルの天敵を願いながら”アクアは触媒になり、詠唱はめぐみんに任せる。

途中まで滞りなく進んでいた召喚の儀。なぜか詠唱の最後にめぐみんが<エクスプロージョン>と唱える。

召喚事故発生。アクアと瓜二つの玄武が召喚される。

<まぁ…でも召喚できた事には変わりないし、玄武あとは全部まかせたわよ~!>

玄武を北の大地に送りだし、いざカジノ大国エルロードへ!!

8月上旬

俺ことサトウカズマの指示で先にアクセルの自宅に帰る。

他のパーティーと共に帰宅。そして郵便受けが再び請求書の山。

玄武の駆除が思ったよりも進んでいなかった。

前回の支払期限も迫っている。どうしよう…

悩んだあげく、俺の金を借りてしまえと、通帳を手に取り銀行へ。

20億を自分の口座へと移し、その内の10億を返済にあてる。

俺が帰ってくる前に補填に使った10億をどうにか埋め合わせしないと、俺にどやされる…

案が思いつかないので、俺の金でアクセル中の酒屋をやけ酒、はしご酒。

偶然にも隣の席に座ったチャーリーと話が盛り上がる。

カエルの元締めと知り討伐しようとするが、目的が打倒魔王と知り協力関係に。

めぐみんとダクネスに協力を求めに行くが屋敷は、もぬけの殻。みんな実家に帰っていた。

そこで、もう一度ここに皆を集めようと覚悟を決め、通帳をトイレの裏蓋に。

目指すは魔王討伐。更に王族入りして10億の返済をチャラに。そして城で豪遊しているカズマを足蹴にして連れ帰ってやろうと企む。

アクアの聖水を使う事で、カエルが急成長することを発見。

残りの大金をカエルに費やしアクセル郊外で大規模増殖へ。

チャーリーと前祝いに豪遊。ここで資金が底を尽き消費者金融へGO!

酔った勢いのままウィズに大金を自慢しに行く。ついでに、かき氷屋をすすめた。

数十万匹となったカエル。月末にでも夜襲をかけて借金返済よ!!

数日前

郊外で育成していた数十万匹のカエルが忽然と消え。チャーリーとも音信不通に。

残されたのは多額の借金と育成前のオタマジャクシのみ。自宅は役人が差し押さえられた。借金取りのせいでバイトも出来ない。更に変装なしでは、まともにアクセルを歩くことも出来なくなった。

目が霞む…お腹が減った…生きる為にはオタマジャクシを売っても、仕方がないよね?

そして今に至る。

 

 

「マスター、私ですらドン引きなんですが…」

「おまえ…本当に脳みそ入っているのか?」

さすがのモドキも顔がひくついている。俺はアクアの額をつついてみた。

いかにも軽そうな頭だ。

脳みその代わりにメロンパンでも、入っているのではなかろうか?

「うぅ…うっさいわね、私だって愚かだったって、わかっているわよ!?」

 

 




投稿が遅れてしまって申し訳ありません。
アクアのやらかしエピソードは閑話で、いつか描くかもしれません。
ただ、メインはカズマとウィズの物語なので、先にメインストーリーの方を進めさせていただきます。
いつか書く日を楽しみにして頂けましたら幸いです。
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