シャルロッテ視点に戻ります。
少々実験的な試みとして、今回は各キャラを結構好きに喋らせてみました。
二次創作としての面白さとキャラ崩壊になりすぎないラインを見極めたいところ。
「──まったくもう、母さんったら……心配させるんだからあ…」
「……ごめんね、シャリーちゃん」
組合に駆け込んできたシャリーちゃんの知らせを受けて、お医者さんを連れて帰ってきた自宅。
ベッドに寝かされていた──多分シャリーちゃんの手で──母さんを診たお医者さんの答えは、「こうして休んでいれば大丈夫」の一言だった。
大きな病気とかじゃなくてホッと一息……どころじゃないよ、まったく。
体調が悪かったんなら、もっと早くそう言ってよね、母さんったら、もう。
「……シャリーちゃんもごめんね、黙っててもらって……辛い目に遭わなかった?」
「……いえ、わたしは大丈夫ですから」
「シャリーちゃん…………あと母さん、呼び分けてってば」
夜になってミルカに連れられて財協組合から戻ってきた──何だか二人の距離が縮まってた気がしたなあ──シャリーちゃんは母さんの言葉に少しだけ迷って……でも、そう答えるだけだった。
シャリーちゃんってば本当に……まあ、それならあたしも空気読んで黙っとくけどさあ。
「今度から体調が悪いんなら、
「…………そうね、そうするわね」
答える前に、あたしの後ろ……多分、シャリーちゃんの顔を見てから母さんはそう言った。
……見える傷跡は薬で誤魔化したけど、母さんも気づいたんじゃないかな。この様子だと。
ベッドの上で横になったまま、いつもの笑顔を浮かべる姿に、思わず頬が膨らんじゃう。
だってさあ……後から話を聞いたら、シャリーちゃんにだけは言ってたっていうんだよ。朝から身体の調子が良くなかったって事!
あたしには心配かけたくなかったって……それでどんな事になったか、しっかり反省してよね!
「…シャリーちゃんがこれからも頑張れるように、母さんも頑張るわね!」
「…あ、もう母さん混ぜてるね? あたしたち両方のこと言ってるでしょ、それ」
うん、まあ、この調子ならもう今日みたいなことにはならないよね、きっと。
…あ、シャリーちゃんもこっそり笑ってる。……無事で良かったよ、本当に。
「──あ、そういえば今日はごはんの用意ができてないわ。…どうしましょう」
「…えっ」
「あっ」
やっばい、忘れてた。
そっか、母さんが倒れてたならそうだよね……えっと…………ねえ、シャリーちゃん?
「え、あ、その……わ、わたし、お料理の経験は殆ど……」
……ああ、そっか、シャリーちゃんって、村の長の一人娘だもんねー……
それじゃ料理なんてする機会……ああっ、そんなに申し訳なさそうにしないで! あたしだっていつも母さんに任せてばっかりだから、似たようなもんだし!
……っていうか食材がほとんど無い!? 今気づいたけど!
えっ、母さん、今日は買い物に行く予定だったの!?
え、もうお店も大体閉まってる時間……ど、どうしよう……?
今、家にあるのって……薬草と、調味料と、ミルクに麦ぐらいしか──
……
…………
……いや、大丈夫だよ、シャリーちゃん。
こんなときこそ、あたしたちには──
「――何とかなったね! 錬金術のおかげで! 師匠ありがとう!」
『シェルバニ麦』から【
【シェルバニ粉】にミルクと卵に調味料を加えて【
薬の材料に用意してた【ドライハーブ】に水と調味料を加えて【香草のスープ】を『調合』!
師匠から貰った手引書、参考書で見た覚えがあったんだよね。錬金釜を使った料理の作り方!
考えてみれば今までも麦からの製粉はやってたわけだし、そこからパンにするところも錬金術でやっちゃっても何もおかしくないよね! ……ないよね!?
釜から作ったパンも、意外と美味しかったし!
スープにしても、素材と『調合』手順をしっかり考えたおかげで、ほかほかの【あったか~い】スープができてたし!
……錬金釜から綺麗に出てきた料理に、流石の母さんも「……錬金術って、すごいのね」って、ちょっと言葉を失ってた感じがしたけど。
いやっ、でも、参考書にだって書いてあるんだし、錬金術士としては正しいんだよ、うん!
「…………女の子としては何かをすごく間違えてるような気がします」
「言わないでえ! あたしもなるべく考えないようにしてたんだからぁ!」
夕食を終えて、母さんにも大事を取ってもう一度ベッドに戻ってもらった後。
調理器具の代わりになった調合道具を二人で洗う中で、シャリーちゃんは遠い目をして呟いた。
思わず叫んだあたしに一度顔を向けて……またどよんとした雰囲気で手元に視線が戻る。
……ご、ごめんってば……そんなに落ち込まないで……え、料理とは別の話?
「…そうやって、両手を上げて大袈裟に嘆くのは……良くないと思います、よ?」
「えっ……な、なんで?」
「いえ、その……思わず、見ちゃうといいますか……」
「…どういうこと? 何の話?」
「…………ああ、いえ、なんでもないです」
「なんでもない顔してないよ!?」
…なんか最近のシャリーちゃん、たまーにこのどんよりした目になってることがあるんだよね。
いつもすぐホッとした感じの苦笑いに変わってるし、深刻な感じじゃないけど……何なんだろ?
今も、ふうっと一息を吐いて、片方の手を胸元に……ああやって胸に手を当てて考え事するの、シャリーちゃんの癖なのかな。
それからもう一度チラッとあたしを見てから、
……そういえば、シャリーちゃんが今着てる服って、昔あたしが着てた服、だったね。
『あの日』の服は残してあるけど……替えの服は多分まだ、
あたしとシャリーちゃんとじゃ体型が結構違うせいか、
できればちゃんと体型に合った服を用意してあげたいけど、服って改めて買おうとすると、案外高いからなあ。早くもっともっと稼げるようにならないと……
「…………いったい何を食べたらあんな大きさに…」
「えっ? …今、何か──」
「なんでもありません」
「そ、そう…?」
何か小さな呟きが聞こえた気がしたんだけど……えっ、気のせい? そっかあ……
ま、まあシャリーちゃんが昨日までと変わらない感じで良かったよ。あの怪我だらけの姿を見たときには、一緒に錬金術を頑張る今の日常が壊れちゃうんじゃないかって、正直不安に──
「…あ、そうだ! シャリーちゃんに聞きたいことがあったんだった!」
「…? 聞きたいこと、ですか?」
首を傾げたシャリーちゃんに、あたしはポケットに入れておいた物を取り出す。
それを見た瞬間、「あっ」と小さな声を上げたのが耳に届いた。
「その様子だと…やっぱりこれ、シャリーちゃんが書いたんだね」
「は、はい」
「これ、薬のレシピ…だよね? 母さんに作ろうとしてくれてたんだと思うけど、何の薬なの?」
「えっ…と……それは……」
母さんが心配要らないってわかった後で、あたしは錬金釜や各道具が『調合』の準備だけ整えた感じになってることに気がついた。
ああ、シャリーちゃんが納品依頼用の『調合』をしていたんだな、と思ったんだけど……そこであたしの目に留まったのが、積んでおいた依頼書の横に並んでた、この見覚えの無い走り書きだ。
この辺りじゃ見掛けない薬草を使う、何かの薬のレシピ。…あたしがわかったのはそれくらい。
…多分これ、シャリーちゃんの村の傍でならよく採れる素材なんじゃないかな?
それが、あたしが集めておいた素材の中には無くて、だから街で買える場所を探そうとして……昼間の
「……村で流行していた病気を……その症状を少しだけ抑える薬、です。…ナディさんの容態が、その病気に似ているなって、思ったから…」
「え……そ、そうなの……?」
どこか言いにくそうに目を逸らしながら、シャリーちゃんはそう言った。
そっか、シャリーちゃんの村で……あれ? でも母さんは──
「……あ、ああ、でもっ、わたしの勘違いだったみたいですね! お医者様は、少し休んでいれば大丈夫だって……なのにわたし、早とちりしちゃって……恥ずかしい……」
「ええっ、そ、そんなことないよっ! それだけシャリーちゃんが母さんの為を思ってくれたってことだし……あ、あたしにとっては感謝しかないからさ!」
恥ずかしさからか、手で顔を覆っちゃったシャリーちゃんに、あたしは慌ててそう伝えた。
…たまたま今回は大したことなかったって後からわかっただけで、もっと大変な病気だったかもしれないんだもん。恥ずかしいなんてことないよ、シャリーちゃん。
「…………でも、今日のことで…わかっちゃったね」
「シャリーさん?」
「その……まだ、シャリーちゃんは外に出ない方が良いって、ラウルさんが言ってた本当の理由」
「……っ!」
「あたし……全然わかってなかったよ……あはは……」
きっとラウルさんは、あたしがシャリーちゃんを自分のところでお世話するって言った時から、今日みたいなことを予想してたんだと思うんだ。……多分、母さんだってそう。
あたし一人、何にも理解してなくて……ああ、もう、本当にやんなっちゃうなあ……
「──いえ、わかってなかったのは、わたしの方です」
……え?
「わたし…今までずっと周りに言われるまま、流されるように生きていました」
「やるべきことはもう最初から決まっていて、ただそれに沿って生きていれば良かった」
「今回だって、シャリーさんたちの優しさに甘えてばかりで……誰よりもわたしがやるべきことを見ようとしていなかった。……それが、一番の原因だと思うんです」
……シャリー、ちゃん。
「……今日、ラウルさんたちから聞きました。わたしが…わたしたちの船が与えてしまった被害、その被害者の筆頭と呼べるのが……『商会』の皆さんだって」
「『財協組合』に並んでこの街を取り仕切っているもう一つの組織……本当ならわたしが、何より一番に謝罪に行かなければいけなかった場所」
「責任から逃げて、隠れて、有耶無耶にしようとしている……被害を受けた人たちからそんな風にとられても仕方のないことを、わたしはしていたんです」
それ、は……でも、だって……!
「…………シャリーさん。勝手なお願いなのはわかってます」
「でも、もう一度だけ……わたしに力を貸して頂けませんか?」
「シャリーさんになら不可能じゃないはずだと、ラウルさんが言っていたんです」
……えっ? ……あ、あたしに!? 何をっ!?
こ、この流れであたしにできることなんてあるわけ……ラウルさんまでいったい何を──
「繋ぎを……顔合わせの機会を作って頂きたいんです。『商会』の主、『ペリアン商会』会長──ジェラール・ペリアンさんに」
※原作既プレイの方へ
医者の診断も医者を呼んだのがロッテなのも原作通りですが……
原作より随分と時期が早いですねえ?
シャリーたち二人の生活能力については、ほぼ独自設定。
原作で女子力を推し量れる
実家暮らしで家事全部母親に任せてるタイプと思われるシャルロッテ。
長の一人娘として箱入り姫気味に育てられたと思われるシャリステラ。
…どっちも期待薄なんですよねえ。
※原作未プレイの方へ
シャルロッテ >>>>>>>> シャリステラ > ミルカ ≒ ウィルベル
……何の話かって? さぁ
とはいえステラちゃんはぺったんじゃないです。年齢体型相応。むしろロッテがスゴイ。
何がって、普段の言動が響いてあの身体で全く色気を感じさせないのがスゴイ(私見)。
ちなみに身長は
シャルロッテ >> シャリステラ > ウィルベル > ミルカ
の順です。……とんがり帽子で結構誤魔化してるんですよ、この24歳。最高ですね