改変要素の本格的開示回、その一。
シャルロッテ視点では見えない所。
おわかりいただけただろうか。
※キャラ崩壊注意。
「──村全体が家族のような繋がり……
「誰かが病気になれば看病しに行ったり、何か足りない物があったら、皆で持ち寄ったり……」
「誰もが相手のしてほしいことを察して、必要なときはお互いに助け合う。…まだ小さかった頃のわたしは、そんな村の姿を見て育ってきました」
「なるべく水を節約して使うように決まってからも、暫くは……皆、すぐ隣の誰かの事を想える、そうやって支え合って生きていく……そんな村の姿は、確かに在ったんです」
「村が変わってきたのは、病人が出始めてから……いえ、決定的だったのは、その病気が
「……昔から村には、錬金術の法則が全て、という考え方が根付いていました」
「錬金術士であることが長の家系であることを保証していましたし、族長を継ぐ条件も年齢性別に関係無く最も錬金術の素質がある者、と決まっている程でしたから」
「だから、何があっても錬金術なら…族長たち錬金術士ならなんとかしてくれる……皆、どこかにそんな考えが染みついていたのかもしれません」
「……お父様は、自分が……自分の錬金術が、病気の原因だと考えていたんですね」
「たとえ薬を作ったとしても、毎日作っている水の方に問題があったなら意味が無い。それでも、そんな『水』でも作り続けていないと、皆が枯れ果ててしまうから、ずっと……」
「わたし……そんなの、知らなかった。わたしはただ、
「…………そんなわたしが作った薬が、皆を
「──そう、ですね。薬は、ちゃんと効いていたのかもしれません」
「毎日の水に原因があったとわかっていれば、すぐに再発するのは当たり前のことですよね」
「でも、そんなことを知ってしまったら……皆、『水』を口にすることもできなくなります」
「そうなったら、今日明日を生きていくことすら難しく……だからお父様は、族長として……」
「…………いいえ。…いいえ! わたしは、お父様を恨んでなんかいません」
「わたしだって村が
「──いいえ、村を捨てるなんて誰も考えられません。…先祖代々住み続けてきた土地ですから」
「それに、周囲に点在した集落や水源も、もう枯れ果ててしまったと聞いていますし……今更もうどこにも行く所が……」
「う……そう言われるとそうなんですけどね。もっと手遅れになる前に救援を……っ」
「…………」
「……いつから」
「いつ頃から村の水源管理装置は、
「いつからお父様は、ステラードに助けを求めることを考えて……」
「…………今思えば、テオ爺は知っていたのかな」
「わたしが錬金術を嫌いにならないように…捨てたりしないように支えるようにって、お父様から頼まれていたのかも」
「コルテス兄さまは、長く村から離れていたから……村の皆とは違う視点を持っていたはずだし」
「だから、その二人をわたしに付けて、救援に……」
「……もしかして、お父様は……」
「お父様が、わたしを行かせた
「――あの村は、わたしにとって『世界』そのものでした」
「楽しいことも、嫌なことも、みんなまとめて『世界』の中の事でしたから」
「その『世界』が消えてしまう、なんて思っていて。だから、そうならないように必死になって」
「族長の娘だから、錬金術ができるから、次の族長になるから……」
「そうしなくちゃいけない、そうやって生きていくべきなんだって思い込んでいて……自分で何かやろうと考えることなんて一度も無かったんです。……あの時までは」
「…初めてわたし自身でやろうと決めたのが、皆の病気を治す為の薬を作ることでした」
「変わってしまう村を……壊れていく『世界』を、元に戻したくて……でも、結果は……」
「それ以来わたしは、村の中でも人前に出ないようにして過ごすようになりました」
「治ったと思った病気がすぐに再発したときの、皆の顔が忘れられなかったから……誰かの期待を裏切ってしまうのが、怖かったから……」
「そんなわたしに会いにきてくれるのは、コルテス兄さまだけになって……」
「…………」
「ああ、そっか」
「だからお父様は、わたしをこの街に向かわせたんだわ」
「あの村しか知らないわたしに、『世界』の外の
「──村の皆へは、救援が送られると決まったんですよね?」
「……はい。そうなればお父様も、もう『水』の事を隠すこともないと判断されるでしょうから」
「救援の手が目の前に来ている上で、これ以上この土地では生きてはいけないとわかれば……村を捨てることに反対する気持ちはあっても、残る選択をする人は……多くはないと思います」
「──わたし、つい先日までは……いつか
「…そのうち、わたしより素質のある弟か妹が生まれるとしても、今のところはわたしが次期族長ということになっていましたし」
「村を救う手立てが見つかって、帰る方法があるなら……それがわたしの『役目』だから…って」
「でも……村がもう、ずっと前から限界だったんだってわかった、あの時──」
「もう、
「この街に来て初めの頃は、もう帰れないかもしれない…って考える度に、胸が苦しくなっていたはずなんですけどね」
「……村の外にだって世界はある。わたしはそんな当たり前のことも、知ってるような顔をして、本当は何もわかってなかったんです」
「でも、ロッテと、ミルカと…………あなたが、わたしにそれを教えてくれた」
「世界は、もっと広いんだ、って」
「わたしも、もっと好きに生きて良いんだ、って」
「歩く道、出会う人……何もかも決まりなんてないんだ、って」
「わたしも……『族長の娘』じゃない、ただのシャリステラとして生きて良いんだ、って」
「──今、わたしたちは、空を飛ぶ手段を作ろうとしています」
「この前、ロッテと相談して……ミルカにも話をしたら、喜んで協力すると言って貰えました」
「わたしたち三人の錬金術なら、きっと不可能は無いって、そう信じています」
「だから……だから、間に合ったらで良いんです」
「形になるまでどれぐらい時間が掛かるかわからないから、いつまでとは言えないんですけど…」
「……バレちゃいました? そうですね。こういう言い方をすれば待ってくれないはずがないと、ミルカが……ふふ…っ、す、すみません…!」
「謝りついでに、なんてわけじゃないですけど……お願いをさせてください」
「わたし、きっと役に立ちますから。錬金術士として、やれる限りを尽くすと約束しますから」
「わたしを、あなたの旅に連れて行ってくれませんか――ウィルベル姉さま」
「…………村のことを知って、正直どうなのかって、話を振ったのはあたしよ?」
「あんたの率直な気持ちを聞きたいって、確かにそう言ったけどね?」
「まさかそういう着地点に……いや、良い事だとは思うんだけど、う~ん……」
「……錬金術士の力なら、よく知ってるわ。これまで何度も、色んな土地で助けられてきたし」
「それでも今まで会ってきた錬金術士は皆、それぞれ立場があったり目的があったりで、あたしの都合にいつまでも付き合わせるわけにはいかなかったし」
「それが、一緒に来てくれるっていうなら、頼もしく思うのも事実なのよね……」
「……」
「…………」
「…………あ~」
「やっぱり何度考えても、断る理由は何にも見つかんないわねえ」
「! 姉さま、それじゃあ――」
「いやでも待って『姉さま』呼びだけは保留させてお願いだから!?」
「あ、はい、ウィルベルさん」
「…………ああ、それと、なんだけど」
「……?」
「あたしが今、危惧してることが一つあるんだけどね?」
「危惧…ですか?」
「ええ、そうなのよ。まさかとは思うんだけど──」
「このまま、
「…………えっ?」
「え、三にっ──え、あの…………もしかしてわたし、
「…………」
「あ、あの、ウィルベルさ──」
「あたしね、今ミルカの家で寝泊りさせられてるんだけどね?」
「…………はい?」
「こう、あたしの服掴んで、じーっと見つめてきたのよ。絶対に断らせるもんかって具合に」
「……ああ」
「……そこで納得されるのも複雑なんだけど……で、あの子から使ってくれって言われた部屋が、その……ユリエさんとやらの部屋、らしくってさ」
「え……ミルカさ、えっ? …えっ!?」
「いや、あたしも本当に使って良いのかって、何度も聞いたんだけど──」
「
「…………うわあ」
「……ねえ、あんたたち、言ってたわよね? 本気で言ってるわけじゃないって、ねえ?」
「……」
「シャリー? …ねえ、シャリステラ?」
「…………」
「……それを言った時はそうでした! わたし "は" 嘘 "は" ついてませんっ!」
「……今は本気って事じゃない!? そんでシレっともう一人を除外するな!?」
「そ、それはそれとしてミルカはなんか危ない気がします!」
「それは同意する! なんか最近ヤバイ空気纏ってる気がするのよ、あの子!?」
「気をつけてください、姉さま!」
「あんたも勢いで姉さま言うな!?」
「……いや、まあ、大丈夫だとは思うのよ?」
「……本当ですか?」
「ええ、何も本気であたしに亡くなった姉を重ねてるわけじゃない。あくまで冗談の延長として、姉のように慕わせてほしいだけなんだって、言ってきたし」
「そ、そうなんですか……」
「……その上で言われたのよ。
「あ……」
「そんなこと言われたら、ねえ。受け入れるしかないじゃない……」
「……姉さま」
「あ、でも『姉さん』呼びだけは保留させてるから。あんたと同じく」
「あ、はい、ウィルベルさん」
「……でも、ミルカもウィルベルさんに頼んだんですか? 旅に同行したいって…」
「あ、いや……それがね? この前、あんたたちが空を飛ぶ道具製作の話を持ってきたでしょ?」
「……? はい」
「あの日から急に身の回りを……店舗としてのアトリエ関係の整理を始めたのよね」
「…………はい?」
「理由を聞いてもはぐらかされたけど……どう見ても身軽になろうとしてるように見えなくって」
「で、でも、ミルカにとっては大事なアトリエのはずじゃ……お姉さんと過ごした家でもあるし、何よりこの街は大切な故郷で……」
「……あたしも、そこについては聞いてみたのよ。そうしたら──」
「どうも元から、近い内に
「え……?」
「お姉さんとも、次に会ったらそういう話をするつもりだったって……あ、ごめんね?」
「い、いえ、大丈夫です。えっと、でもそれは……」
「元々『人間嫌い』を自認して憚らない子でもあるし、この街のことも嫌いじゃないとは言ってるけど……愛する故郷、なんて言うタイプでもなさそうだものね」
「……ミルカ」
「……まあ、そんなわけで、これ確実にあたしについてくる気だなって確信したわ」
「……あ、え、えーと……先にウィルベルさんの了解は……?」
「……もし断っても勝手についてくる気だと思うのよね、あれ」
「うわあ……」
「──まあ、その点シャルロッテは大丈夫よね。あれで結構、この街に愛着持ってるみたいだし、そもそも母親もいるわけだし……」
「…………」
「あれ、シャリー? どうかしたの?」
「……その…ウィルベル、さん」
「わたし……実は、
「…………待って。ちょっと待って、なんか嫌な予感してきたんだけど!?」
「絶対にロッテにだけは、と。…でも、わたし一人で抱えているには――」
「待ってってば……!? これ以上あたしに何を背負わせる気よぉ!?」
「……ごめんなさい。でも、頼りにさせていただけませんか? ……姉さま」
あくまで本作ステラ視点で導かれた答えです。
これを踏まえて序章の彼らを読み返すと、また違ったものが見えてくる、かも?
全編会話形式も偶には良いものですね。
※原作既プレイの方へ
ルギオン村の設定は主に作中のシャリステラ、コルテスの台詞から引用。
……まあまあ仄暗いモノをプレイ中から感じていたのは作者だけなんだろうか。
そしてミルカには中々に『病み』の素質があると思うのです(くもりなきまなこ)。
……作者だけなんだろうか。
※原作未プレイの方へ
言及を忘れていましたが、シャリステラとコルテスは実の兄妹ではありません。
一族皆家族、な村で育った齢の近い叔父と姪、ぐらいの関係だったと思われます。
……つまり本作ステラちゃんの『姉さま』はそういう感じのアレです。おもくないやつ。
コルテスが具体的に何歳から何年間村を離れてステラードに居たのかは不明。
その期間はユリエ・ミルカの家に居候していたらしいです。
小さい頃のミルカの面倒を見てたりもしたのだとか。その割には原作での絡みが(ry