オーブ上空のムラサメをジュピターアーマーの加速で振り切った私は、フリーダムガンダムが飛んでいたであろう海上をジュピターアーマーで飛行していた。
丸い地球儀のようなレーダーにも、アークエンジェルらしき船の反応は見つからない。
「不味い……」
確かカガリを誘拐したキラはアークエンジェルに戻った後にカガリと話をしながらアスランから貰った指輪を返す重要なイベントがあったっけ?
そんな状況じゃあ、キラも私がアークエンジェルと取り継いでほしいって言ってたことを切り出せない、もしくは忘れてる可能性もある。
せめて、マーキュリーアーマーがあったらメルクワンにコアチェンジして海の中を捜索できるんだけど。
そう考えていると、少し先の海上に何かが浮上して来るのが見えた。
見えたのは前世で何度もみた出撃カタパルト、不沈艦との異名を持つ戦艦。アークエンジェルであり、その出撃カタパルトカタパルトが開いていた。
「覚えててくれた……」
幸いコアは他のモビルスーツと比べても小さいからジュピターアーマーも一緒にカタパルトに入って問題なさそうだ。ここでアークエンジェルに通信していたら追いかけて来たムラサメ達に見つかる可能性も考慮えられる。
なら即座にアーマーと共にアークエンジェルのカタパルトへに向かう方が良いだろう。
カタパルトへと滑空している最中、私はふとあることに気付いた。
私は今までこの体に、ノヴァが覚えていた動きに助けられてきた。
恐らくはコアの操縦実験や模擬戦闘としてコアの起動や操縦を体が覚えていた、研究所暮らしだった事が活かされてきているのだ。
でも、今までノヴァは恐らくだが研究所以外に外に出た事がない。
「着艦の時の方法とかブレーキのタイミングが分からない!?」
つまりは
取りあえず、飛行機が着陸するのを思い出した、確か着陸するときにタイヤを出していたからジュピターアーマーにも飛行機のようなタイヤを出す機能があるはず。
慌ててコックピット内の画面を見てそれらしいボタンを操作する、するとアーマーが着陸用のタイヤを展開させた。恐らくはさっきので良かったらしい、タイヤが展開されたのを確認してジュピターアーマーのバーニアをだんだんと弱いものにしながらアークエンジェルのカタパルトに着陸する。
「ふぅ、何とか上手くいった」
着陸できたことに安堵しつつ、モビルスーツや船との通信をする為、モニター付近のフリーダムガンダムと通信をした際に弄ったボタンを操作する。
『此方アークエンジェル、モビルスーツのパイロット返答を』
すると、聞こえてきたのはアークエンジェルでお馴染みのマリュー・ラミアスさんの声だった。まさかリアルでマリューさんの声を聞いて、話す日が来るとは。
取りあえず前と同じで音声のみにして、取りあえずこれで良いのかな。
「こっちの声は聞こえる?」
『ッ……問題ありません。此方のモビルスーツのパイロットから、貴方が私達へと取り次いで欲しいと発言していたと報告がありましたので、こうして話し合いの場所を授けました。』
よし、話し合いが出来るなら考えていた通りに話を進められそうだ。
「話が早くて助かる、私はフリーのモビルスーツ乗り。どうか、私をこの船に置いて欲しい。」
『…フリーのモビルスーツ乗り?』
「な、何か変?」
ガンダムXだとこういう人達はいたし、ガンダムSEEDの世界だってジャンク屋がいるから不自然ではないと思うんだけど。
取りあえず、今のうちに要求を全部言う方が良いかな?いや、先にこの機体の有用性を示すのが先かな。
少なくとも、マリューさん達から見ればNジャマーキャンセラーが搭載されたフリーダムとか整備していたし。例のファイルを見せても問題ないだろう。
「も!もし、私が戦力として期待できないのならこのモビルスーツ、コアの資料を技術提供として渡す。この機体は動力炉として核分裂炉を使用していて、Nジャマーキャンセラーも搭載してる」
『ッ!?』
通信室から聞こえてきたなにかを飲み込む音、その場にいた全員が驚いたような反応をしたと予想が出来る。よし、このまま交渉してこの船において貰うこと以外にも私がこの体を維持していられる薬の生産や服……最低でもサンダルとかで良いから靴が欲しいな。
『此方としては、貴方をこの艦に置いておくことに問題はありません』
「なら、立て続けで申し訳ないけど要求がいくつかある。」
さすがにコックピットの中に引き込もっていたいけど、この体について調べなきゃ。まず医者だ、健康診断や研究員の人が持たせてくれたあの薬の生産をしないとね。
『なら、その件についても含めて実際に会って話をしたい。整備班の案内でモビルスーツをドッグに移動させて欲しい、此方からは迎えを向かわせます』
「わかった」
暫く待機していてると整備の人達らしき人の誘導に従ってコアを置いて置く場所と思われる格納スペースにアーマーと隣り合わせになるよう移動させてる。見れば、近くにはフリーダムガンダムがあった。
ファンとしては凄く美味しい絵だ、ずっと見ていたいレベルの。
取りあえず、今のうちにこのコアを降りる準備をしよう。と言っても持つのは私とコアについての資料、そして薬の入ったケースの入ったリュックサックくらいだ。
というか、今まで私は鏡を見ることは出来てない。というか失礼にならないかな?裸足でアークエンジェルを歩き回るの、一応一度だけ裸足で地面歩いたし。他に幸いなのはこの服を来て、1日も経っていないことか。
服を鼻に近付けスンスンと嗅いでみるが、特に匂いは問題なさそうだ。
今さらになって浮かんできた心配事に不安になってきた。可能なら交渉するときは強く話せる側に入りたいんだけど。
ふとメインカメラが足元の方に何人か人が集まって話しているのが見えた。見れば、非常に見覚えのあるキャラクター達の姿が見えた。
まさか迎えって、キラ・ヤマトさんとラクスさんかよ。キラさんは分かるよ、結構肉弾戦出来るだろうし、でもラクスさんは違うんじゃない?
そんな事を考えながら私はコックピットを開くボタンに指を添える。
一度深呼吸をしながらボタンを押し込むとコックピットハッチが開く、リュックを背負い上の方に開いたハッチから下がってきた紐のようなそれを引き寄せて片方の足を引っ掻けて両手で紐を掴んでエレベーターのようにゆっくりと下がっていく。
「まぁ……」
「嘘だろ、あんなこどもがか!?」
「あんなちっちゃい子が……」
まだこの紐で降りる感覚には慣れない、すこし不安になり両手で紐を掴んでいないと落ち着かない。そんな私を他所に近くにいた人達からヒソヒソと話し声が聞こえてくる。
恐らくは私の容姿に驚いているのだろう、仕方ない。実際にこの体は11歳だからな。
紐から片手を離して、アークエンジェルの床に足を付ける。地面とは違う凹凸のなく冷たい感触が、何故か最初に逃げるときの研究所を思い起こす。
すると、近くにはキラ・ヤマトさんとラクス・クラインさんが近付いてきたのが見えた。実際に原作キャラ、それも主人公とヒロインをこの目で見ることが出来たことに感動しつつ口を開いた。
「貴方達が、迎え?」
「えぇ、その通りですわ」
「うん、ボクらが君を艦長の所まで案内するよ。えっとちなみに君が通信してきたモビルスーツのパイロットがボクだったんだ」
「あなたが……そう。この船に取り次いでくれたこと、感謝してる。取りあえず、要求について話したいから案内して欲しい」
取りあえず自分がフリーダムのパイロットと話すキラさんに頷いて返しつつ、案内を頼む。キラさんがこっちだよと先導して移動するのを追いかけようとした時だった。
「それでは、参りましょうか」
そう言いながらラクスさんが私へと片手を差し出してきた、何故かラクスさんの姿が私を連れ出してくれた研究員の女の人に一瞬だが重なって見えた。
「えっと……」
差し出された手に戸惑い首をかしげつつ、伸ばしかけていた手を下げる。
「あら、申し訳ありませんわ。いつもの癖で……決して貴方を子供扱いしているわけではありませんわ」
「大丈夫、気にしないでいい」
そっか、そういえばラクスはキラ達と一緒にオーブ付近のアカツキ島にあるマルキオ導師の孤児院で暮らしてから、こうして子供達と一緒に歩いたりしていたからその名残だろう。
そう答えながらキラの後を追ってアークエンジェルの通路へと歩みを進める。ガンダムSEED好きとしては、こうしてアークエンジェル内をこうして歩き回れるのは興奮ものだな。
暫くしてアークエンジェルのブリッジらしき部屋に入る、そこには原作キャラクター達がならんで立っていた。
ちなみにカガリ様は恐らくあの花嫁衣裳から着替えているのだろう。
その場にいた人達が、キラとラクスに連れられてきた私を見て目を見開く人や顔をしかめる人が見えた。
アークエンジェルside
キラがアカツキ島でフリーダムに乗った時、そして先程のカガリ誘拐の際に一方的に援護をしてきた謎のモビルスーツ。
そんな機体からの通信から聞こえてきたのは、成人した大人のそれよりも高く幼い声。
そんな声が求めてきたのは自身を戦力としては提供する、その代わりにこの艦に乗せて欲しいという物だった。
どうするか、声が入らないよう通信を止めて周りの意見を聞きつつ思考するマリュー・ラミアスを、恐らくは渋っていると勘違いしたのか。
幼い声は僅かに焦ったようすでこの場にいた全員が驚愕する情報を話した。
それは、あのモビルスーツには動力炉と核分裂炉が使われておりNジャマーキャンセラーが搭載されていると言うもの。
だが、ここでアンドリュー・バルトフェルトやマリュー・ラミアスは相手の自称フリーモビルスーツ乗りのパイロットの発言と意図に違和感を覚えた。
現状、アークエンジェルは無所属で第三者から見ればザフトや連合の方が報酬も待遇も高いものを希望できるだろう。
更に言えば、パイロットはこのアークエンジェルにどうしても乗せて欲しいと懇願するように切り札とも言えるモビルスーツの……核搭載モビルスーツの技術提供をすると話した。
まるで連合やザフトには所属出来ない、アークエンジェルに何がなんでも乗せて欲しいというように。
更に驚かせたのは、話し合いの場所としてブリッジに現れた通常より小さいモビルスーツに搭乗していたのが年端もいかない子供という事だった。
それも色素の抜けた髪を無造作に伸ばしており、身に纏っているのはまるで入院服のような真っ白で飾り気のないワンピース、とてもフリーのジャンク屋のようには見えない、何なら何かの実験施設から逃げ出して来たと言われた方が納得できる容姿だった。
しかも先ほどから聞こえたペタペタという足音にふと目線を下げれば彼女は裸足だった。
さすがに可笑しい、もし彼女が本当にフリーのモビルスーツ乗りだとしても、こうして自分を売り込む際はもう少しちゃんとした服装をするだろう。
「ノヴァ・アスティルム、要求について話す為にきた」
「まさか、あのモビルスーツのパイロットがこんな子供だったとは……」
バルドフェルトが驚きつつ、場を和ますように口を開いた。全員が彼女の容姿に驚愕するなか、艦長であるマリュー・ラミアスは口を開いた。
「失礼ですが、ノヴァさんの年齢は?」
「11」
返ってきたのはある意味では予想通りの答えであり、最悪の答えだった。
「私からの要求は可能ならばすぐに服が欲しい、サンダルでも何でもいいから靴が欲しい、次にこの艦に医務室があるなら健康診断を受けたい、最後に───」
そう淡々と話す彼女はまるで、子供とは思えなかった。まるで大人と話しているようにも感じられ、違和感を消すかの様に彼女の腹がギュルルと可愛らしい音を鳴らした。
「その、ご飯を……貰いたいです」
恥ずかしそうに俯きながらそう話した彼女の年相応の反応に、マリュー・ラミアスは微笑みながら取りあえず食堂へと案内するようキラに指示を出しつつ、彼女の要求について改めて考えるのであった。
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