憑依した体も搭乗機体も厄ネタだった件   作:クレナイハルハ

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第5話

アークエンジェルの食堂に案内された私は、用意して貰ったうどんに手をつけていた。すぐに作って貰えるものがうどんだったらしい、この世界に放り込まれようやく口にした食事は口に含んだ瞬間、体が喜んでいるのだと分かる程に力が漲るような気がした。

美味しいので箸を使ってすするのでなく、ひたすら麺が固まっている部分を口に掻き込んでいる。

それにしても………

 

「………」

 

「ニコニコ」

 

テーブルを挟んで私の前に座っているラクスさんが此方を笑顔で見つめてくる、正直にいって気まずい。そしてその隣には何やら考え事をしているのか黙り込んだキラさんが座っている。

目線を挙げた瞬間にラクスさんと目が合い、即座に目を反らして麺を掻き込むエネルギー補給を再開する。それにしても、こんなにもすんなりと要求を飲んで貰えるとは思ってなかったな。

何かしら条件を出されるものだと思ってたけど……いや、もしかしたらこの後出される可能性があるな。

ちなみにだが、コアのコックピット内部に置いてあったリュックについてだが、今も背中に背負っている。今日の分の薬は飲んだから苦しくならないと思うし、これを食べ終えたらすぐにコアに戻る予定だけど念のために持ち歩いている。

コアだけでなく、私の個人情報もつまっている。それに私がこうなった原因がキラのフリーダムによる戦闘と関連していることが分かったら、間違いなくキラは精神が曇ってしまう。彼は優しいから、直接手を下した訳ではないとしてもきっと罪悪感を抱えるだろう。

そう考えながら最後の麺をすすり、息つく。

 

 

「ご、ご馳走さまでした……その、私はそろそろコアのコックピットに──」

 

「それでは、お食事も済んだ様子ですしお風呂に参りましょうか」

 

「え?」

 

「健康診断を受けるのでしょう?であれば、先に体を洗っておいた方が衛生的にも良いのではありませんか」

 

「え、あの……もう出来るんですね」

 

な、なんか意外だ。そんなに早く健康診断って出来るものだっけ?

 

「えぇ、ですからお風呂に」

 

アークエンジェルのお風呂と聞いて、私は真っ先にガンダムSEEDのアニメ初期や漫画の水が少なくてシャワーが使えない回の事を思い出した。確か、アークエンジェルはSEED DESTINYだと、ちょっとした温泉が出来ていたんだっけ?

あれ、なんか温泉に入れるって考えるとなんか凄い楽しみになってきた。

ラクスさんの先導に私とキラさんが付いていく形でアークエンジェルの廊下を歩く。相変わらず裸足のため、ペタペタと音を立ててしまっている。

なんか、申し訳ないなと思いながら歩いていると『天使湯』という暖簾の下がっていた部屋が2つあった。アニメ知識が確かならあそこで良いんだよね?

 

「着きましたわ」

 

「分かりました、案内ありがとうございます」

 

そういいながら二人にペコリと頭を下げてから青い暖簾の方へと入ろうとした瞬間、ガシリと肩を掴まれた。何だろうと振り替えるとラクスさんが私の肩を掴んでいた。

 

「あ、あの?」

 

「そちらでは、ありませんよ?」

 

そういいながらラクスさんが指差したのは赤い暖簾。いや、あっちは女湯じゃないですか……そういえば今の私は女だった、少し気が緩んでいたのかも……少し気を引き締め直さないと。

 

「それと、私達は出口で待っていますから」

 

「分かりました、失礼します」

 

女湯の暖簾を潜ると前の世界で入った銭湯のような形になっていた。他に人がいなくて良かった、取りあえず前世の記憶を頼りに籠に背負っていたリュックサックを下ろす。

 

「ふぅ……」

 

深呼吸してから私は意を決してワンピースをスカート部分からめくり挙げて脱ぐ。現れたのは所々に縫った後が見えている。

 

「……」

 

更にいえば、前世ではなかった筈の僅かに膨らんだ胸が見える。取りあえず履いていたパンツも脱いでそそくさと、可能な限り体を見ないようにして湯船や体を洗うシャワーのある部屋の扉を潜る。

 

「おぉ……」

 

若干暗い照明の中に岩風呂が湯気をたてており、日本人としては是非ともゆっくり入りたいと感じる。それに、原作だとこの場所でラクスさんがカガリ様を慰めるシーンが入るんだよね。

ある意味、原作地巡礼が出来てる。

その事実に少し感動しながらも、私は髪と体を洗うためにシャワーを手に取った。

ちなみだが、縫った後のような傷はお湯で流したりお風呂に入っていても特に痛むことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラside

 

「そろそろ、ですわね」

 

ラクスの呟きに頷いて返し、彼女の後ろをついて女湯の脱衣所へと入る。

それにしてもあのモビルスーツに乗っていた彼女しか使用していないとはいえ罪悪感がある。

何故、僕らがこんなことをしているかというと、マリューさんやバルトフェルトさんから彼女についての情報を聞き出す、または集めるためだ。

ノヴァ・アスティルムと名乗った彼女は謎が多い。

ジャンク屋を名乗るなら分かるけど、フリーのモビルスーツ乗りだなんて聞いたことがない。それに、フリーダムやジャスティスと同じ動力原を持つ彼女がコアと呼ぶあのモビルスーツ、そんな条約に違反するようなものをあんな小さな女の子が持っているだなんておかしい。

それに、彼女は11歳だと話していたがそれにしては幼すぎる。

 

「これは………キラ」

 

思考に耽っている中、ラクスが呼ぶ声が聞こえて聞こえてきた方を向くとノヴァと名乗る彼女がアークエンジェルに乗ってから食事中すら放さずに背負い続けていたリュックの中身から取り出したのか、二冊のファイルを持っていた。

 

「『ノヴァ』、それに『PPCXーX7II CoreーNext』……彼女と彼女のモビルスーツに関する情報はこれで間違いなさそうですわ。キラは此方を」

 

「う、うん」

 

ラクスから渡されたファイルを手に取る、表紙には『ノヴァ』と言う短い文字が記されている。でも、彼女はアスティルムの姓を名乗っていたけど……なんで姓が書かれてないんだろう。

取りあえず、その疑問より彼女についての情報を集めなきゃ。

そう思いながらファイルを開く、最初に飛び込んできたのは、彼女のは顔写真が張られている書類。パッと見は免許の更新や履歴書のようにも感じられるそれと共に書かれている文章に目を通す。

 

────────────────────── 

【名前】ノヴァ

【性別】♀

【年齢】11

【詳細】

開発されたMS『Core』及び『Planets System』を扱うためGに耐える体、モビルスーツの操作性、空間認識能力に特化した状態へと手術を施されている。また、MS『Core』を奪取または施設の外への逃亡した対策として()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

──────────────────────

 

驚き、悔しさ、悲しさ。様々な感情が籠った声が出そうになるのを押さえ込み、深呼吸する。

書類に書かれていたのは、彼女があのコアと言うモビルスーツを操縦することを前提として無理やり成長を止められていていると言う事だった。

 

なんで、なんでこんな小さな子供に何故そんな事を平気で出来るんだッ!一体、何処の人たちがこんなことを……。

 

そして僕は見つけた……いや、見つけてしまった。

 

──────────────────────

 

【採用経歴】

C().()E().()7()1()()6()()1()5()()の大西洋連邦がオーブに侵入した事で発生した戦闘後の野戦病院にて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

──────────────────────

 

彼女の採用経歴に記入された日付、それはC.E.71年6月15日。

僕がラクスから貰ったフリーダムに乗ってアークエンジェルと合流した後の戦い。

地球連合軍がオーブを侵攻し、オーブを攻撃してきた3機のモビルスーツからみんなを守るために戦っていた僕はカラミティ、フォビドゥン、レイダーの名前をもつモビルスーツにフリーダムで応戦した。

 

──────────────────────

ショックからか()()()()となっており保護者や引き取り手が分からずにいた所を引き取りクローン技術によって欠損した部位や治療、手術を施され大きなGに耐え、モビルスーツの操作性や空間認識能力に特化した状態にした。

また、MS『Core』及び『Planets System』を扱う為、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()している。

──────────────────────

 

彼女は僕やラクスと同じコーディネーターで、恐らくオーブで普通に暮らしていただけの女の子。

そんな彼女は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()となった。

つまり、彼女がこうなった原因を作ったのは……

そこまで考えて、ふと横をみればラクスが心配そうな表情を浮かべて僕を見ていることに気付いた。

 

「キラ?」

 

「ラクス、彼女は……」

 

何とか溢したその言葉に、ラクスが僕が持っていたファイルを手にとって文章に目を通す。すると僅かに目を見開くと即座に悲しそうな表情を浮かべた。

 

「そうですか……彼女は」

 

「僕が、僕が守りきれなかったから彼女は……」

 

「キラ……」

 

あの書類を見て感じた彼女に対する僕の考え方は変わった、肩にまるで重石が乗っているように動けない。彼女をこんな風にしてしまった原因に自分達がいたと言う事実に、罪悪感が溢れていく。

 

「キラ、彼女の事を皆さんに伝えましょう。私達だけで、彼女のこれらの問題を解決するのはきっと難しいですわ」

 

「そう、だね……」

 

携帯端末に書類の画像を保存して、リュックを元の場所に戻す。

この情報をマリューさん達に伝えるため、ノヴァの事をラクスに任せて僕はアークエンジェルのブリッジへと向かった。





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