憑依した体も搭乗機体も厄ネタだった件   作:クレナイハルハ

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第7話

コックピットの中、目が覚めた。

少しぼんやりする視線がゆっくりと戻っていくと同時にコックピットの画面の一部が光っていることに気付いた。

寝ている間に動いてコアの起動ボタンをおしてしまったのだろうか?

そう思っていた次の瞬間、他モビルスーツとの通信機であると思われるモニターに光る文字が浮かび上がっていたのが見えた。

若干微睡んでいた意識が一気に覚醒する。

そこに書かれていたのは、かつてジュピターアーマーを手にしたときと同じ文字だった。

 

【ミッション:一定時間コアの状態で戦闘せよ】

    【タイム00:05:00】

 

せっかくのアーマーが手に入ったのに、こんなんじゃ……。

アークエンジェルにおいて貰えることになってからずっと、私は考えていた。この世界で、私とこのガンダムで出来ることは何なのか。

私はガンダムSEEDもガンダムSEEDDESTINYも大好きだ、ガンダムの中でも一番好きだ。

だからこそ、この世界で絶対に死なせなくないキャラクター達がいる。

まずオーブのトダカさん、彼は兄さん(シン)を助けてくれた。ガンダムSEEDDESTINYにてCE71年6月15日の大西洋連邦がオーブに侵した事で発生した戦闘で家族をみんな失い生き残ったシン・アスカをプラントに移住させられるよう計らってくれた恩人だ。

そんな彼の最期は乗っていたオーブの軍艦タケミカヅチが撃沈の際に退艦を部下に命令し、部下らにアークエンジェルへ行くよう促す。そしてSEEDを覚醒させたシンが乗ったソードインパルスに船を貫かれ戦死する。

あんなに優しい人なのに、死ぬなんて嫌だし私が幼いときにガンダムSEEDDESTINYを見てシン・アスカが嫌いだったときの理由だった。

SEEDのキラの可能な限り殺さないという精神も、優しさも好きだったからこそSEEDでシン・アスカの存在を知ったとき嫌いになった。

大人になってガンダムSEEDDESTINYを見返して、改めて作品全体が好きになったしシン・アスカも好きになった。

次にステラ・ルーシェ、兄さんを更に追い詰めてフリーダムをエクスカリバーした原因を作った存在。地球連合軍のファントムペイン所属の少女。この人を助けられれば、少しでも兄さんの精神を安定させる事が出来る筈だ。

そしてTMRニキことハイネさんだ、次のオーブでの戦いでフリーダムに気を取られていた所をガイアのグリフォンブレイドで機体を真っ二つにされ戦死してしまう。彼を助ければアスランやシン、キラの関係が少しは優しくなる筈だ。

この人達はみんな、スーパーロボット大戦で生存する可能性が示されている、私はその示された可能性を掴まなければならない。私はノヴァ(マユ)として、兄さんがこれ以上苦しまないようにしないといけない。

やって見せる、この機体用に体を調整されていない通常の人間であるヒロトに出来たんだ。ならばこのガンダム専用に改造された体を持つ私に出来ない訳はない。

でも、その前にまずこの体……心臓の近くに埋め込まれた爆弾の切除手術とSEEDDESTINYの期間はコアに乗るためにあの薬の増産をする事だ。

それにガンダムの世界は戦争が起こっている、いつ銃撃戦や近接戦闘に巻き込まれても大丈夫なようにせめてコックピットに拳銃とナイフは持ち込んで起きたい。別作品になるがタイタンフォール2みたいに何事にも備えておいた方が良いだろう。可能なら靴底の厚いブーツか靴があれば射手を蹴る威力も増すだろうし。

そんなことを考えつつコックピット内に置いているリュックの中から体の状態を維持するための錠剤を取り出して口に含む。水がなくても服用できるには出来るけど、水があった方が楽だな。

それにしてもこの5分間アーマーを使わずに戦闘した場合、次の報酬は何なのだろうか?前回はジュピターアーマー、だったけど。いや、そもそも報酬は貰えるのか?

 

「……混沌を司る上位の存在、聞こえてるなら教えて欲しい。このミッションの報酬は何なのか」

 

思いきってそう口にするが、コックピット内は静かなままだった。

まぁ、答えてくれるわけないか。

さて、そろそろ原作であの軟弱者ことユウナがネオ達連合軍と同盟を組みミネルバに攻撃する頃だろうか?

要求で頼んでいた靴や服だが、さすがに船に私のサイズに合うものは無いらしく、何処かのタイミングで外に買い出しに行って入手してくれるらしい。

そして健康診断は医務室の先生からの結果のお知らせ待ち、このままだと最初の要求である服や靴貰うのと一緒にミネルバVSオーブ地球連合混合軍VSアークエンジェルの報酬として銃やナイフ、可能なら薬の増産をお願いしよう。

ケースに入った薬は少なくともSEEDDESTINYを通して考えるなら薬は絶対に足りない。

さて、この後どうするかと考えていた時だった。

コアの通信モニターが光ると、恐らくはアークエンジェルのブリッジに居るのであろうカガリさんやキラさん達が映った。

 

『ノヴァ、聞こえるか?』

 

「カガリ様?」

 

『様って……とにかくノヴァ、お前に頼みがある』

 

「頼み……ですか?」

 

『今オーブが、地球連合軍に所属してザフト軍と戦おうとしている……私は、それを止めたい。だからノヴァ、どうか力を貸して欲しい』

 

どうやら、原作通りミネルバや連合軍&オーブへの戦いに介入する為キラに出撃を頼んでいたみたいだな。アークエンジェルの中で、今モビルスーツに乗れるのはキラさんとフリーダム、カガリ様とストライクルージュ。バルドフェルトさんは専用のムラサメ、最後に一応はフリーのモビルスーツ乗りをしておりモビルスーツも持っているコアと私しかいない。

彼女からしたら、フリーのモビルスーツ乗りの私の立場はかなり自由に扱える存在の筈だ。

私は、ノヴァとしてもマユとしてもカガリ様の力になりたいと考えている。

どんな綺麗事だとしても、目指すことは無駄じゃない。綺麗事だからこそ実現したいと思えるのは、とても大切な事だと思うから。

 

「カガリ様、私は元々オーブに住んでいた、らしいです。」

 

『ッ……』

 

「ですが今の私には、その時の記憶はありません」

 

『そう、なのか』

 

俯く様子のカガリさんさん、私のオーブに住んでいた発言は彼女の周りの反応をみるにあまり驚かれていないみたいだ。

まぁ、急に私はオーブに住んでいましたと話し出しても困惑するだけか?

端に映るキラさんやマリューさん辺りが驚いているような気がするけど気のせいだろう。

 

「でも、1つだけ分かるんです。私はウズミ様の……オーブの理念が好きだった。オーブは中立国で平和な……安心して暮らせる場所であって欲しい。だから、ウズミ様と同じ理念を持つカガリ様の手助けがしたい……そう思っている気がするんです。」

 

『ノヴァ、お前は……』

 

「綺麗事だから諦めるとかじゃなくて、綺麗事が良いから目指す。きっとその方が良い未来を掴めます」

 

そう言いながら笑いかける、私はこの世界で最善を目指したいから。

 

『すまない、本当に……すまない』

 

「カガリ様、そこは謝罪ではなく感謝…ですよ」

 

頭を下げるカガリ様に慌てて頭を上げるよう声をかけつつ、これから始まるであろう戦いに備えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルside

 

格納庫のモビルスーツとの通信に映る彼女を見てカガリ達は罪悪感と申し訳なさを感じていた。

カガリはオーブが連合軍となりザフトへと攻撃する、それだけは絶対に止めなくてはならない、そう思いキラへと出撃を願い出た。

そして少しでも相手からの攻撃を防ぐ為に、アークエンジェルへと登場するパイロットである彼女、ノヴァ・アスティルムへと協力を頼み込むことにした。

キラやラクスが見付け出した、彼女の出生について記されたファイルの資料に記されていた彼女が元々はオーブで暮らしていたコーディネーターの少女であり、オーブ防衛戦にて戦火に巻き込まれ家族を失ったばかりか記憶を失い体をいじり回された。

彼女がこうなった原因に自分がいる、そんな責任感と罪悪感にかられるなかモニターから彼女の声が聞こえた。

 

『カガリ様、私は元々オーブに住んでいた、らしいです。』

 

「ッ……」

 

『ですが今の私には、その時の記憶はありません』

 

彼女の声にその場にいたキラやラクス、マリューが僅かに目を見開いた。彼女は「オーブに住んでいたらしい」「今の私にはその記憶はない」と言っていた。それはつまり覚えていないが情報としては知っているということ、つまりは彼女はあの書類を既に読んだという事だ。

 

「そう、なのか」

 

書類を盗み見て知っていることを悟られないよう、何とかカガリはそう返事を返した。モニターに映る幼い少女は、一体どのような事を感じ思っているのか分からない。

 

『でも、1つだけ分かるんです。』

 

そう話す彼女はそっと自身の胸にてを置くと何処か不思議そうにした後、通信モニターごとにしっかりとカガリの事を見つめ口を開いた。

 

『私はウズミ様の……オーブの理念が好きだった。オーブは中立国で平和な……安心して暮らせる場所であって欲しい。だから、ウズミ様と同じ理念を持つカガリ様の手助けがしたい……そう思っている気がするんです。』

 

「ノヴァ、お前は……」

 

何処か懐かしそうに話す彼女に思わず彼女が記憶を取り戻したのではないかと思ってしまう、そんなカガリの他にブリッジにいた全員が彼女の年相応とは思えない発言に驚いていた。

確かに彼女は肉体的には11より前から薬の投与により成長が止められている、だが明らかに11歳とは思えないほどに彼女の解答は大人びていた。

 

『綺麗事だから諦めるとかじゃなくて、綺麗事が良いから目指す。きっとその方が良い未来を掴めます』

 

「すまない、本当に……すまない」

 

『カガリ様、そこは謝罪ではなく感謝ですよ』

 

そんな、励ましと感じられる彼女の言葉にカガリは頭を下げた。慌てたようすの彼女の声が聞こえ、ブリッジの空気が僅かに柔らかくなったような気がした。

カガリは改めて今のオーブを絶対に止めなくてはと誓った。何ど間違えたとしても、戻して見せる。元のオーブを作り直してみせると。

 






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主人公ちゃんに会いそうなアーマー?

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