目を覚ますとポケモン(?)がいた件について。   作:さとう。

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俺、家帰ったらポケモンたちの名前決めるんだ。

 

「え? ポケモンって空飛ぶの? まじで?」

「まじで。さっき自転車停めてる時に飛んできた」

 

 道中で目撃したポケモン、街の様子、さっきの出来事を話しつつ、ご飯を食べる。アチャモ達もお腹を空かせている様子だったので、お皿にポケモンフードを入れて与えていた。

 これはポケモン用に皿を買わねばなるまい。

 

「ラルッ」

「そうそう、こんな風に飛んでた」

「ポケモンすげぇな……って、んぁ?」

 

 自然と受け入れそうになったが、ラルトスも飛べるの? まじで? 

 うちの子凄すぎない? 

 そう言えば、持ち上げた時に比べて、頭に乗ってもらった時は少し軽かった気がする。多分。

 アチャモも頑張って飛ぼうとしているが、飛べる気配はない。やはりひよこは空を飛べないのだろう。鶏になっても奴らは飛べないが。……それはそうと可愛いのでヨシ。

 ホゲータは我関せずご飯を食べている。どうかそのままの君で居てくれ。

 

「ご馳走様」

「お粗末様」

 

 飯を食い終わったらする事は決まっていた。そう、市役所へ電話だ。

 

「じゃあ電話するから、アチャモ達見とってな」

「OK」

 

 先程の市役所のページを開き、番号を確認する。

 タップすればすぐに掛けられるタイプだったのでそのままコール。ちなみに、なんと無くこのコール音と待ち時間が苦手だ。いや、電話そのものが苦手だが。

 暫く待つが、電話が繋がる気配はない。

 今回の騒動の情報提供の為の窓口ではあるが、お構いなしに電話をかけている人もいるのだと予測する。あるいは、一応情報提供ではあるもののほぼ役に立たないか。

 仮に大事な情報提供中だとすれば、俺たち以外にもポケモンについて知ってる者が現れたという事だ。それは喜ばしい事ではないか。

 そこまで考えてまた電話の方に意識を戻す。

 一度電話を切り、少し待って再度かけ直すが、やはり通話中とのこと。

 

「繋がらんわ」

「意外と、同じ様に隠れて動いてた人が情報提供してるとか?」

「だと良いけど……」

 

 希望的観測だろうが、後ろ向きに考えてしんどくなるより良い。

 そう思いながら電話をかけ続けて、いよいよコールの回数が2桁を超えた頃、漸く電話は繋がった。

 

『お電話ありがとうございます。◯◯市役所未確認生物対策課の柿本です』

 

 電話に出たのは、柿本さんという男性の職員だった。

 電話から聞こえて来る声は、隠してはいるが、すでに疲弊している様に思う。お疲れ様です。

 

「もしもし。すみません、情報提供をしたいのですが……」

『かしこまりました。お先にお名前の方頂戴してもよろしいでしょうか?』

「藤堂隆之と申します」

 

 職員の声に期待の色が含まれていない様に思う。仕事だからというのもあるかもしれないが、これまで玉石混交の石しか無かったのだろう。

 電話を受け付けてからあまり時間はたっていないが、ひっきりなしにかかって来る電話と、前に進めていない焦燥感でやられていたのかもしれない。

 今回の情報が職員にとっての玉である事を願う。

 

『ありがとうございます。それでは、お話の方お伺いいたします」

「はい。お話したいのは、彼らについて現在わかっている事と、彼らの捕まえ方、それと彼らに関係するアプリについてです」

 

 驚きからだろう。息を呑む音が聞こえた。

 おそらく、遂に大事な情報がきたと思ったのだろう。

 

『なるほど……。恐れ入りますが、近日中に市役所の方までお越しいただけますでしょうか?』

「はい。でしたら本日そちらへ伺おうと思いますが、問題ないでしょうか?」

『はい、大丈夫です。ありがとうございます。それでは、お越しいただきましたら、藤堂様のお名前と、私、柿本の名前をお出しいただければお迎えに上がります』

 

 そう言ってもう2、3言、言葉を交わした後に電話を切った。電話は妙に緊張するものだ。

 こうしてお出かけが決まったわけだが、わざわざ市役所に呼び出すと言うことは、電話はきっと篩にかけるのが目的だったのだと思う。

 情報提供の内容を聞いて、大事そうな情報が来た場合に市役所に案内するという。

 もっとも、予測でしかないが。

 

「市役所行くことになったんや」

「そやねん。一先ず晩御飯作り置きして、準備したら行くから。宏樹も手伝って」

「あいよ」

「というわけでラルトスは出来たら頭から降りといてね」

「ラル〜」

 

 いつの間にかひっついていたラルトスに声をかける。

 あまり残念そうな声を出さないでおくれ。

 可愛いからヨシと言いたいが、調理中は流石に危ないので退いてもらう。

 買い物の時に決めた通り、さっさと生姜焼きと味噌汁作ってキャベツ切ってご飯を予約したら、出かけるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 晩御飯の準備を済まして、車で市役所へと来ていた。両親にはご飯の作り置きをして市役所に行っている事はメッセージアプリ『LIME』にメッセージを入れてある。

 車を走らせて20分程で到着した。

 本来は10分少々かかる程度で着くのだが、道路にポケモンがいる事で時間がかかってしまったのだ。現在時刻は15時位か。

 ちなみに、運転中、アチャモはやっぱりボールの中には入らず、宏樹に抱えられながら流れていく景色を見て喜んでいた。楽しそうで何よりである。

 

「アチャモ、ボール戻っといてな」

「……チャモ〜」

 

 だから残念そうな声を出さないでおくれ。

 とは言え車の中も狭いし、弟が抱えていたのもあって大人しくボールの中に入って行ってくれた。

 そのまま連れていくと、おそらく市役所内はパニックになる可能性もあるのだ。わかってくれ、アチャモ。

 アチャモを隠す様にボールに戻して、

 

「じゃあ行くか」

 

 弟に声をかけて車を出る。

 車のロックをかけると、市役所の方へと向かっていった。

 そして電話で話していた通り、受付の方に自分の名前と柿本さんと面会の約束があると伝えると、すぐに柿本さんがやってきた。

 20代前半か半ば頃か? まだ若い感じの男性だった。

 身長は180を超えているが割と線は細く、しかしガリガリではない。顔も整っている。

 

「藤堂様ですね、お待ちしておりました。まずは部屋へ案内いたします」

 

 そう言って案内してくれる柿本さんの後ろを付いていく。通されたのは会議室だった。6人とポケモンが入っても余裕はある。

 その会議室に先客が3名いるが、柿本さんと同じくポケモンへの対応で選出された人達らしい。

 

「改めまして、未確認生物対策課の柿本です。こちらは犬飼と水沢、越知です」

 

 それぞれを指しながら紹介されたのは、犬飼さんと言う40代くらいの女性、水沢さんと言う20代の女性、越知さんと言う30代の男性の3名だった。

 犬飼さんが上司で、水沢さんと越知が柿本さんの同僚なのだろう。

 弟と共に軽く自己紹介をし、すぐに本題に入った。

 

「それでは、まずは藤堂様の把握していらっしゃる情報をお願いいたします」

 

 いただいたお茶で少し口を湿らしたら、今朝家族に話した事と、道中弟から確認したアプリの情報を整理し、今伝えるべき事を話す。

 彼らはポケモンと言う生き物だと言う事。それを知った経緯。ある程度意思の疎通が出来ると言う可能性。ポケモンの食事の事。Pokemon Stationと言うアプリの事。

 そして、

 

「ポケモンは、このモンスターボールで捕まえる事が出来ます。また、捕まえた後はボールから出でもらったり、戻ってもらうことも可能です」

 

 一通り説明を終える。内容には問題ないはずだ。ボールを大きくした時にだいぶびっくりしていた様だが、問題ないはずだ。

 メモを取っていた越知さんが手を止めたのを見計らって、柿本さんから要求がくる。

 

「なるほど……。出来れば、実際にボールから出して見せていただいてもよろしいですか?」

「はい、それでは……ラルトス、出ておいで」

 

 そして、役所の方々に見せていたモンスターボールに入っていたラルトスに出てきてもらう。

 出てきたラルトスを抱えて見せながら紹介する。

 

「こちらが、今朝突如現れて、そして捕まえることとなったうちの1匹、ラルトスと言うポケモンです」

「ラルッ」

 

 アチャモも出たそうにしているが、君は元気が有り余ってる感じがするからね、もうちょっと待っててね。せめて役所の方々の許可というか見たいと言うリクエストが出たらね。

 

「本当に出てきた……」

「どうなってるんだ……?」

 

 目の前で起きた事象が、やはりどこか信じられないのだろう。思わず言葉が出てきてしまったという感じだ。びっくりしすぎて固まっている人もいる。

 しかしこのまま固まっているわけにはいかないと、柿本さんが話を進める。

 

「……ありがとうございます。正直に申しますと、先程のを見ても、まだどこか信じられないという気持ちがあります」

 

 やはりというか、すぐには呑み込めないでいるらしい。いきなり受け入れたらそれはそれで順応性高えなとなる。

 柿本さん以外の3人も似た様な様子だ。

 そんな中、水沢さんの手が挙がった。

 

「ちょっと話が脱線してしまいますが、質問よろしいですか?」

 

 話が脱線する? どんな内容かはわからないが、ポケモンについて少しでも受け入れられる様になるなら、脱線しても良いだろう。

 そう思い、質問内容を聞いてみる。

 

「そちらの……ラルトス、でしたか。名前ってもう決めているのですか?」

 

 水沢さんに質問されて、俺も弟もようやく思い至る。アチャモもラルトスもホゲータも、図鑑を見る限り種族の名前だ。

 ようは、ペットの猫を『猫』と呼んでいる様な物である。

 

『この子はアチャモである。名前はまだ無い』ってか? 

 

 俺、家帰ったらポケモンたちの名前決めるんだ。

 




書くのが遅い理由ですか?
アニメ見たりしてたからです。ARIAは良いぞ。
無職転生も2期始まりましたね。へへっ。
すみません。

補足(?)
主人公たちの言葉遣いに関してですが、関西弁ベースの方言キメラです。
純関西弁ではございませぬ。

次ももうちょっと市役所でのお話かな。書けるかな?




蛇足
言うだけならタダってことで本作に全く関係の無い発言を許してほしいのですが……歌ってみたのボーカルミキシングやりたいんよね。どこかに生贄……もとい実験台なってくれるか依頼くれる活動者はおらんものか。
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