千空さんと凡人さん。番外編   作:燈葱

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if√ 凡人は石の世界で推しに微笑む。参

 

  3 凡人、限界を知る。

 

 

 

 

もう無理、つらたん。誰か私をコロチテ。

 

 ハロー、復活して一ヶ月ほど経った茉莉です。そのためテンションが可笑しくなって絶賛精神が死亡中なぅ。ナウナウになってんじゃん、ワロタ。

 

「──茉莉ちゃん、平気?」

「ぜんっぜん、平気じゃないぃぃぃい!辛いよぉぉおおお、千空に会いたい補充したいぃいい大好きぃぃい」

「じゃあ会いにいこっか!」

「行かないぃぃいい!」

 

 私にも意地というものがあるんですよと泣きながら杠に訴え、そのまま家の補強をする。

 石神村のカセキさんとはすでに仲良くなったのだが、何故かクロム君が睨むの。何故か。

 

 私が何をした?何もしてないじゃん!

 ただ千空から逃げてるだけで!

 私だって辛いのよ!大好きな千空に抱きつけないの、お分かり?

 

 とりま。

 

「辛いぃぃい」

 

 泣き叫ぶのだけは忘れない。

 これが唯一のストレス発散だもの。

 

 

 

 復活組の家の補強を終えると私は杠に抱きつきグズグズ泣いて、そのあとは食糧集めに走る。投石器を片手に野山を駆け回り鹿を狩り、そのまま下処理をして帰宅。途中石神村の民と目があったのだが、何故か微妙な顔をされた。解せぬ。

 いったい私が何をしたと頭を悩ませていると、背後から不意に声をかけられた。

 

「やっほー!えーと、君が茉莉ちゃんでいいのかな?俺はあさぎりゲンっていうんだけど、知ってるかな?」

「ふぁー‼︎」

 

 キタコレ、メンタリストキタコレ!

 ニコニコ笑ってるくせに両手を隠してるから、どうも探りを入れられてる気もする。が、君が千空の側にいてくれるだけで安定感があるから嫌いじゃないよ。むしろ好き。千空の次の次の次くらいにだけどな!

 

「アノ、ナニカ、ゴヨウデ?」

「はは、そんな怯えた顔しないでよ♪だだちょーっと聞きたいことがあってね?」

「ほぅ?」

「なんで、千空ちゃんを避けるの?」

「ファー‼︎」

 

 お目目が怖たん!

 さてはあれだな?おまえら千空ちゃん大好きだな?

 そりゃパッと出の人間が千空と仲良くするのが気に入らない!とかではなく、千空が話しかけてるのに無視するとは何事!的なやつですな?

 ふぁー!千空皆に好かれてておねーさん嬉しい!

 

 と、冗談は置いといて。

 

「えーと、これには深いわけがありまして?」

「うんうん、どんな訳?おにぃさんが相談にのっちゃうよ」

 

「ぶっちゃけ抱きついていいなら抱きつきたいしヨシヨシしながらよくこんな世界で生きてられたねと絶賛褒め称えたいところなんですが、そんなところを見られたら千空も一緒にドン引かれません?ええ、えぇ、わかってますとも。私、千空大好きなんで、わかってますとも!そんなことしたら折角仲良くなったメンバーに変人扱いされるなんて、わかってますとも!私、千空大好きなんで幸せに生きててくれるだけで百億点なんですよ、そこで笑ってて?それだけでご飯何杯もくえるぅ。米ないけど。でもさ、アレなんすよ。私激弱人間なんすわ、多分転んで怪我して破傷風で死ぬタイプなんすわ。そんな人間があんななんでも努力して人類マルっと救ってやるゼィ!的な人間大好きっ子と一緒にいたらお邪魔になりません?なるんだなぁコレが。科学用語わからんし、言われたことしかできないイエスマンだし、役に立てそうにないし。あんれぇ?私復活する時期ミスったんじゃねぇ?じゃあ邪魔ならんよう端っこ行ってよ!ってなるじゃないですか、ね?ね?ね?なるでしょう、ほら私どう見たって凡人ですし。クソっ、千空も私を復活させないでもっと有能な人間を復活させた方が世のため人のためだというのに、何故わかってくれないんだ。少しは反省して!あ、嘘。そんなダメな幼馴染にお優しい千空さん、大好きです。でね──」

 

「ちょっとストップ‼︎ジーマーで待って!」

「……?」

「え、茉莉ちゃんって、そんな子なの?聞いてたのと違うよ千空ちゃん‼︎」

 

 ゲン曰く、どうやら千空は私をよくできる幼馴染の一人として話していたらしい。いやん、嬉しい。

 

 実験中、アイツならばこうするだとか茉莉がいてくれりゃぁとか。

 まるで優秀な助手のように話していたとかなんとか。

 

 まぁ、私も石化する直前まで全力で科学部員してましたからね。千空がやる実験の資料は最低限目を通しておくとか、使う薬品の管理とか夜食の手配とか買い出しとかも喜んでやっておりましたが。

 茉莉ちゃん知ってる、一部の人間の間でパシリって呼ばれてたのも知ってる。

 

 でもな、推しに使われて嫌なやつなんていないのよ!

 むしろ頼ってくれて嬉しすぎて喜んでやってましたが何か?

 

 よく大樹と杠と三人で科学話三時間コースとかやったもの。ニコニコな千空さんの麗しの顔とお声聞きながら知識つけられるなんて天国じゃん。

 

「えぇっと、ということは茉莉ちゃんは千空ちゃんが嫌いだとかで避けてるわけではない……?」

「むしろ大好きですが?人生捧げてもいいほどに」

「──じゃあなんで無視するの?千空ちゃん、ちょっと元気ないよ?」

「だって、約束破ったの千空だし」

 

 千空に悪気がなかったとしても私はこの未来に関わりたくなったし、復活するのは文明が進んでからの方がよかった。

 

「それに千空ならば私がいなくても平気でしょ?だって、千空を大切にしてくれるみんながいるんだから」

 

 千空のためにと戦ってくれる仲間が、友達が、百夜さんと繋がった家族が。

 そこに私が入り込むのもちょっと。

 ひっそりとクロルリは見ていたかったが、それは我慢しようと思っていた訳で。

 

「私は、千空の邪魔には、なり、たく……っ」

 

 ポロポロと涙が溢れ出して、私は全力で泣き出してしまった。

 

 だって私も寂しいんすよ。

 あの日、仲直りして縋りついたあの日から私の全ては千空が中心にいた。

 それが今いないだけで精神的にストレスはマジパナイ。

 あんれぇ、私、ここで死ぬのかな?いや死なんけど!と何度脳内で私自身とやりとりしたものか。

 

「まっ、茉莉ちゃん⁉︎」

「ふぇぇええ、千空のバーカ!私がビビリなの知ってるくせにぃアホー!優しいから大好きだけどー!なんでそんなにいい男なんだよぉおおお!ぅうっ」

 

「茉莉ちゃんっ!」

「茉莉っ⁉︎ ゲン、テメェそいつに何を──!」

「誤解だよっ!俺何もしてないってば!千空ちゃんっ⁉︎杠ちゃん⁉︎え、大樹ちゃんまでぇ!やめて、そんな顔しないでって俺何もしてないよ!本当にっ?」

 

 ぐずぐずと泣いていると何処からともなく現れた千空達に引き寄せられ、大好き三人にだいしゅきホールドをされる私。

 いやね、私泣き虫だから、よくされてましたわこの体制。

 ふぁー!久々でテンション上がってまいりました!となりたいところだが、このままだとゲンに悪いので杠へと私が勝手に泣いただけなのでと耳打ちをする。

 そしてにゅるんと千空の腕から抜け出して、逃走。

 

「っ茉莉‼︎」

「ひぇえええぇん!今甘えたらおわるぅぅう!茉莉ちゃんがんばるぅうう!千空断ちするんだもんっ!嫌だけどするんだだもんンンンンンンン!」

「あ"っ⁉︎断つな!ふざけんなよテメェ!」

「ひぃぃいいい!」

 

 

 とりま、私がこの時代で生きていく決意がつくまで、千空断ちさせていただきます。

 

 

 つらたん。

 

 

 

 

 

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