千空さんと凡人さん。番外編   作:燈葱

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あるみとご隠居と。のifルート続きが読みたいの声が飛んできたので書かせていただきました。



その9.5。〜ifルート〜

 

 

 

「……ゲン君、ちょっと相談があるんだけど」

「えぇ?何なに茉莉ちゃん」

 

 相談ってなんだかわからないという顔をしているゲンであるが、もしかしたらと思う原因は察している。そしてそれに伴いまさかそんな事があるなんてと内心疑ってもいた。

 

「あのねゲン君。最近、その、千空君、おかしくない?おかしいよね?ね?私何かしたかな?」

「あー、うん。そうだねぇ」

 

 おかしいよね。

 確かにおかしいよね。ゴイスー気になってたんだよ俺も。

 

 ゲンは茉莉の意見に同意するように頷いた。

 そして思い出されるのはここ数日間の二人の距離である。

 

 ほんの少し前まで茉莉と千空との距離は近くなかった。コレは内面的なものではなく、外面的な距離のことをいう。

 だというのにここ数日に至ってはほぼほぼ一緒にいるといっても過言ではない。

 最初こそ一緒にいた方が合理的なクラフトがあるのだろうと考えてゲンであったが、特に二人でやらなければならないものではなく。

 むしろ千空一人でも充分な作業も二人で行い、その時点で首を傾げたものだ。

 

 それ、合理的?と。

 

 それが何度も続いていればコハクやその他村人も何かがおかしいと気付き始め、こうして当人である茉莉でさえ何かが変だと気にする始末なのである。

 

「んー、何か心当たりとかないの?」

「──心当たり?んー、あ、あぁ、そういえば。あの、その、あるみさんにお酒勧められて飲んだ、かな?」

「えー、飲んじゃダメって言われてたのに飲んじゃったの⁉︎それじゃない、原因?」

 

 ゲンは知っている。

 茉莉が面倒臭い酔い方をすることを。ある種の絡み酒とも言われる酔い方を彼女はすると知っている。

 となればそれが原因で千空が茉莉に構っているのだといわれたら、まぁ理解はできる。納得はしないが。

 

 何故ならばあの恋愛脳は非合理的だと言い切る千空が、微妙に他者に対してマウントに近い行動をしているからである。それはもちろんゲンにも、マグマや金狼銀狼に対してもなのだ。

 

 茉莉はそれは得意じゃないとか、好きじゃないとか。彼女が誰(男)かと行動しようとすれば、腕を掴みそれを止める。

 寝るとこでさえも一人で寝かせないようになるべく側に居たり、もしくはコハク達女性陣に紛れさせるなど近くに男を近づけない徹底ぶりで。

 

 どうからどう考えても"そう"としか考えられない行動でしかなかった。

 

「ちなみにその時に記憶とかあったりする?」

「全くもって、ない。なんかやらかしたかなぁ」

「んー?」

 

 本当に酒癖が悪いだけの問題なのか。

 ゲンは悩みに悩んだ。

 二人で原因は何かと考えていれば、不意に感じる鋭い視線。先にそれにゲンは気づき、こちらを睨んでいる千空の瞳からその真意を感じ取ってしまったのである。

 

 あーぁ。そういうことねぇ。

 マジか、千空ちゃん。

 

 そう思い、天を仰いだ。

 

「……テメェら何やってんだ」

「んー、ゲン君から相談事を受けていて?」

「そうそう、相談事をね」

 

 ナチュラルに嘘をつく茉莉に驚きながらも、ゲンはそれに合わせていく。

 茉莉からの相談はゲンからの相談に打って変わり、内容も千空の行動ではなくゲンが狩猟をしたいというものに変わっている。その合間に茉莉の顔色や表情は変わる事なく、まるでそれが真実であるかのように嘘をついた。

 

「メンタリストが狩りとか無理だろ」

「だよねぇ、私もそう言った。って事でゲンはみんなのメンタルケアでいいのでは?もしくはマジック枠」

「マジック枠ってなんなのよ茉莉ちゃん。でもまぁ、二人がそういうなら頑張るのはやめておこうかなぁ」

 

 にっこりと笑ってゲンと茉莉の相談事は強制終了し、居心地の悪かったのであろう茉莉は即座に逃げ出した。千空は珍しく茉莉を追うこともなくその間にとどまり、チラリとゲンへと視線を移すが会話になることはなく。その微妙な時の流れに、ゲンは少しばかり燃料を投入する事に決めたのである。

 

「……ねぇ、千空ちゃん。茉莉ちゃんと何かあった?」

「あ"?」

「なーんか、最近雰囲気違うのよねぇ、二人♪」

 

 別に、茶化したかったわけではない。

 ただあの科学大好き純情少年の恋バナほど聞きたい話はないであろう。

 もしそうであるならば、勘違いでないのならば是非ともそうなった引き金が知りたくてしょうがないのだ。

 

 だってさぁ、そういうゴシップ。この世界では娯楽じゃない?

 

 決してゲンも面白半分で聞いたわけではない。

 ただそれがある意味娯楽になっただけで。それが千空だったから尚更なだけで。

 

「そこんとこ、どーなの?千空ちゃん♪」

 

 純粋に、興味があっただけ。

 

「別に、どーもねぇよ」

 

 だというに、千空の返答は面白くないものであった。

 流石に顔を赤らめて、なんて考えてやしなかったがもう少しそれらしい態度になるのではないかと考えていた。が、その期待は虚しくどうでも良さそうに千空は小指で耳をかいている。

 

「ま、村のジジババども茉莉に婿を当てがおうとはしてるけどな」

「はぁ⁉︎そんな話出てるの⁉︎」

「茉莉は村の連中からしてみれば好物件だかんな、嫁にするにはもってこいなんだろ」

「えぇー、ジーマーで?あ、だから千空ちゃん──」

 

 茉莉ちゃんのそばにいるの?

 

 そう言いかけたところで、いつも以上にガーネットの瞳が鋭く光っているのにゲンは気がついてしまった。そしてその意味でさえも、理解してしまったのだ。

 

「……誰がくれてやるかよ。アイツは俺のもんだ」

「──へ?」

「っつーことだ、メンタリスト。テメェがハーレムを作ろうが何しようが勝手だが、茉莉には手ェだすんじゃねぇぞ」

「へ、千空ちゃん⁉︎」

 

 ジーマーでそれ言ってる⁉︎

 

 最後まで叫び切る前に千空は背を向けて茉莉の後を追い、残されたゲンはただ一人顔に手を当ててうずくまるしかない。

 

「──そーゆータイプなのね千空ちゃんは。色々衝撃すぎるんだけどぉ⁉︎」

 

 自覚した途端コレかよ純情少年。

 てかやっぱり行動の意味は独占力なのね千空ちゃん。

 非合理的な恋愛脳どこに消えたの⁉︎

 

 聞きたいことが山ほどできてしまった。

 取り敢えずコレのことは茉莉に伝えた方がいいのだろうか。

 否、伝えない方がいいに決まってる。

 

 多分だけど、コレに気づいたら茉莉ちゃん逃げちゃうんじゃない?

 だって嫌われてると思ってた子よ?

 感情が追いつかなくて逃げるタイプでしょ⁉︎

 

 虚しくもそれは正解であった。

 後日やんわりと『千空ちゃんが茉莉ちゃんのこと気にしてたらどうする?』と聞いたところ、真顔で『巫山戯てる?』と返されることとなる。

 

 ゲンは一生知ることはないだろうが、茉莉からしたら千空に思われるなんて解釈違い甚だしい。故にこいつ何言ってんだ状態に陥るわけで。

 

 ゲンはそうなってしまった以上変に突くのはよろしくないと口を閉ざし、コハク等に聞かれた場合に村のご老人方の思惑があったらしいと答えることとした。

 

「にしても、本気なんだね千空ちゃん」

 

 さも当たり前かのように茉莉の隣を陣取る千空に見慣れてしまった頃、逆に目立ってしまうのが茉莉の挙動不審。

 何も知らない彼女はいまだに千空の機嫌を損ねてしまったのかと時たまゲンの元へ相談へ訪れる。

 しかしながら相談に行こうものならすぐさま千空が迎えにくるので碌な返答ですら、もらえることはなかった。

 

「──もう、早くくっ付かないかなあの二人」

 

 ゲンは一人寂しく、今日も月に願っている。あの二人をくっつけてくださいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※※※

 

 オマケ。

 

「茉莉、テメェの仕事はここでやれ」

「え、でも向こうでもできるよ?」

「ここでやったほうが効率がいいんだよ(俺の)」

「──わかった」

 

 

「茉莉、今日の狩りはコハクと行け」

「今日はマグマさんとの約束が──」

「コハクと、行け。わかったな」

「……うん?」

「わかったな?」

「うん」

 

 

「茉莉、外で寝てっと風邪ひくだろ。ラボか天文台で寝ろ」

「えー、一人でも大丈夫だよ」

「あ"?ラボか天文台だ。どっちがいい」

「んー、じゃあ天文台でオネシャス」

「おぅ」

 

 

 なんか、千空パイセンに監視されてる気がする。

 私は一体何をやらかしたんでしょうか?

 教えてゲン◯もん!

 

 

 




千空パイセンは亭主関白気味で、独占力強めなイメージ。
亭主関白といってもマイナスな方ではなく、【夫が家族に対して強い愛情と責任感を持っていること。妻をサポートする人】の意味です。モラハラじゃない方ですよ、もちろん。
作者が重めの愛情好きだからそうなっちゃうんですけどね。
ifルートだと
千空(独占力→→→→→→→→→→→)→←←←←茉莉。
隠れてる愛情重めでオネシャス。
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