千空さんと凡人さん。番外編   作:燈葱

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いただいたネタ『腰と尻に唆られてほしい』より、if√でお送りいたします。
9.5のオツキアイ軸。色々進んでる二人の軸です。多分ペルセウス作ってるあたりかな?


その9.5続〜if if√〜

 

 

 

 

 

 いやまぁ、わからなくはないんだけど。

 まぁ、わからなくはないんだけど……。

 

 いや!わからんわ‼︎

 もう無理!

 

 茉莉は逃げ出した。どうしようもない気持ちを爆発させるが如く逃げ出した。

 彼女には今の状況が理解できなかったのだ。

 

 おおよそ半年ほど前に己の推しである石神千空とオツキアイをする事になってしまった茉莉であるが、その延長線でどえらい事に男女の営みまでこなしてしまった茉莉であるが、この状況を流石に理解できずにいる。

 

 100歩譲って推しであり神である千空とオツキアイを始めたのは理解できている。茉莉だって千空のことをそれなりに、否、かなり好いてはいたし解釈違いを起こしてしまったがお断りなんかできるわけもなく。

 また男女の営みもそれ然り。

 まぁ、しょうがないなるようになるよねと納得はした。

 

 だがしかし、そうだがしかしだ。

 茉莉の中の石神千空は科学大好き純情少年で、エロと程遠い世界に生きていたと今の今まで思っていたのである。

 しかしながら蓋を開けてみれば人気のないところで腰を撫でるわ尻を掴むわとやりたい放題。

 つい先ほどまでもサワサワと腰を撫でられていた茉莉は、ついに我慢の限界と千空の元を逃げ出したのだ。

 

「──いったいどうしてこうなった?」

 

 いくら考えたところで答えなど出るわけもなく茉莉はしぶしぶと、そおっと皆の集まる場所へ戻った。キョロキョロと瞳だけ動かし辺りを伺い、目的の人がいない事に安堵の息を漏らす。

 

「どうなされましたか?」

「ヒィッ!」

 

 不意に彼女に声をかけてきたのはフランソワだった。茉莉は少し挙動不審になりながらもなんでもないと首を振り掛け、もしかしてフランソワならば相談に乗ってくれるのではないかと思い息を呑んだ。

 別に同性である南やニッキー、杠に相談したくないわけではない。石神村のキラキラ三姉妹に相談したくないわけでもない。

 けれども千空と付き合っていると公言してない以上、恋愛事にテンションをあげてしまいそうな女性陣に話せるわけがないのだ。

 相談した挙句羞恥と解釈違いが合わさり爆発しようものならば、もうここにいられる自信なんて茉莉にはないのだから。

 

「あ、あの、フランソワさん。少しご相談があるのですが、お時間はありますでショウカ?」

「……伺いましょう。では、あちらで」

 

 そう言って案内されたのは開店前のレストラン。引かれた椅子にちょこんと腰掛けた茉莉はソワソワと体を揺らし、フランソワはその様子を珍しそうに観察してから口を開いた。

 

「それでご相談とは?」

「あーそのー、なんと言いますか。フランソワさんって私よりも人生経験豊富です、よね?それで、その。──男性はオツキアイすると肉欲が湧く、もんなんですかネ?」

「──なるほど千空様ですね?」

「なしてっ⁉︎」

「ご安心ください。お二人のことを知っている者は僅かですので──」

「オワタ」

 

 がくりと頭を下げ遠い目をする茉莉をフランソワは笑って見つめ、そして信頼しているからでしょうと言葉を続けた。

 

「私から見た千空様にはそういった欲は薄そうに見えます。ですが茉莉様に対してそうなるのでしたら、きっと深く信頼し渇望しているからではと」

「信頼と、渇望ですか……?」

「はい、茉莉様を誰よりも欲しているからそういった行動に出るのです。本当にお嫌でしたら千空様もおやめになることでしょう。……茉莉様はお嫌でしたか?」

「──いや、ではないんですけど。なんというか、こう、まだ理解しきれないというか、どうしたらいいのか分からないといいますか?どうしたら慣れるもんですかね?そろそろ心臓が破裂します、本気で」

「ふふ、なるほど。茉莉様はお恥ずかしい、と。……とのことですから、もう少し話し合いが必要だと思いますよ。急がば回れです千空様」

「っヒィッ!うそだぁあ」

「助言感謝すんわ、ほれ行くぞ茉莉」

「フ、フランソワさんの裏切り者ぉお!」

 

 腕を掴まれながらも大人しく着いていく茉莉の姿を見て、フランソワは微笑ましそうに笑う。

 彼女に相談してほしいと言われた時点で物陰に隠れていた千空とアイコンタクト済みであったのだ。彼もまた逃げられた事に驚き、たまたまそこに居合わせたフランソワに見つけたらとっ捕まえておけと指示しておいただけ。

 ただ単にタイミングが悪かっただけで、裏切りではない。

 

「ふふっ、お若いですね」

 

 ほとんど見えなくなった二人に背を向けて、フランソワは仕事に戻ったのである。

 

 

 

 一方拉致られていた茉莉はどうしたものかとさらに頭を悩ませた。

 目の前を歩くその人はどこか不機嫌そうに思える。下手なことを言えば何をされるかわかったもんじゃないと茉莉はただ口を閉ざした。

 そして連れられてきたのは元司帝国側に真新しく作られたラボであった。そこの入り口には『取り込み中。立ち入り禁止』と札が掛けられており、もう逃げ場がないことを茉莉は悟るしかない。

 

「あ、あれはいつお作りに?」

「さっき」

「さっきかぁ……」

 

 おっけーぐーぐる。さっきっていつ?

 逃げてる時です。

 

 茉莉は脳内で今はなきぐーぐる先生に問いかけて諦めた。

 

「で、オメェは何が理解できなくて何が嫌なんだ」

「いや、な、わけでは──」

「ならなんで逃げんだよ」

「んぐぅ、は、ずっか、しぃ、のでぇ」

「あ"?」

「いきなりっ!だと!びっくりするし!恥ずかしいので!」

「じゃあ言っときゃぁいいんだな?」

「そうでもなくっ」

 

 

 頭ひとつ分違う千空に拘束されながらも視線を逸らし、必死に破裂しそうになる心臓を落ち着かせるために息を吐く。そしてチラチラと視線を動かし目の前の男の表情を確認してみれば恐ろしいほどに真顔で、思わず息を呑んだ。

 茉莉は自分の発言に千空が怒っているのだと思い込んでいたが実際はその逆で、彼からしてみれば惚れ込んでいる女が目に涙を溜めつつ必死に羞恥に耐えていると思えばクるものがあっただけ。

 ただでさえ自覚してからは触れたい衝動に駆られたというのに、これではまるで生殺し。

 いい加減にしろと叫びたくもなる。

 

「っはぁー、テメェの言い分は分かっけどな、別に人前で触ってるわけじゃねぇんだからいいだろ」

「それは、当たり前では?──ってるそばからケツを揉まないっ!」

「尻って言えよ、女だろ。それに疲れてんだよ俺は。黙って揉ませてろ」

「疲れたら揉むんか⁉︎」

「揉む」

 

 千空は茉莉の肩に顔を埋めて匂いを嗅ぎ、そのまま両手で弾力のある肉を揉む。

 一度その行為を知ってしまった千空からしてみれば彼女の前で純情少年でいるのは難しく、ところ構わず手を出さないだけ有難く思ってほしいものである。

 そう考えていても尚、茉莉が嫌というならば嫌々ながら我慢はするであろうが、万が一理性がぶっ飛んでしまった後の保証はできかねない。

 

「──あ、あのデスね、何かこう合図を決めましょ、うん。そうすればどうにか、逃げないようにはするか、ら?うん」

「……合図したら好きなだけ触れんなら考えてやってもいい」

「好きなだけとは言い切れませんが、心臓が持ちませんので。心臓が持ちませんので!」

「必死かよ」

「必死ですが何か⁉︎」

 

 ぎごちない手つきで茉莉は千空の背中に手を回しサワサワと撫でる。彼女とて触れられるのが嫌なわけでないが、思考と心臓がまだ現状に追いついてはいない。

 そこさえなんとかなれば、まぁ、耐えられるというわけで。

 

「お疲れの時はそう言ってもらえればなんとするし、その、ゴニョゴニョ──」

「あ"ー、本当にテメェはよっ」

「っイッタァァア⁉︎」

 

 ガブリと茉莉の首に噛み付いたのは誰でもない千空で、そこには血は出ていないがはっきりとした歯形が残されている。

 

「なんで噛んだのなんで噛んだのなんで噛んだの‼︎」

「キュートアグレッションっつー心理現象だ」

「きゅーとあぐ、れ?」

「テメェがお可愛いのが悪りぃ」

「ピッ」

「茉莉、テメェよく奇声放つけど他ではやんなよ」

「やらないよ!千空君といる時だけだわ!」

 

 主に思考が回らなくなるので。

 と、そこまで言わずとも理由を理解している千空は喉を震わせて笑った。

 

「──ククク。次からは言ってやっから、逃げんなよ」

「ウッス、善処します」

 

 一度互いに力を込めて抱きしめ合い、茉莉は千空に笑いかけた後一瞬の隙をつきまた逃げ出したのである。

 

「おいコラ茉莉──!」

「サァァァアセェェエン!」

 

 

 

 

 

 

 その日から千空が疲れたという回数が増えたのは当たり前の結果である。

 

 

 

 

 

 ※※※

 

 フランソワと羽京。

 

「羽京様、今お時間よろしいでしょうか」

「大丈夫だけど、何かあったの?」

「あの二人について、です」

「詳しく」

「やはり私どもの思惑どおりであったようなのです。ですので今後は様子を伺うのは控えた方がよろしいかと」

「なるほど、了解したよ!」

 

【意外と二人を応援?する大人組】

 

 

 

 

 ※※

 

 カセキとクロム+千空。

 

「今日は"疲れた"からもうやめっぞ。キリがいいとこだしな」

「え、俺はまだいけるぜ?」

「ワシもまだ平気よー?」

「んじゃテメェらに任せるわ。俺は一旦仮眠してくる」

「おう、任せとけ」

 

 

 

「最近、千空はやけに疲れたっていうよなぁ。変な病気じゃねぇだろうな?」

「別に大丈夫じゃろうて。なに、ちょっとした煩いよオホホ」

「カセキの爺さんはなんか知ってんのかよ⁉︎俺らにも教えろよ!な、茉莉って、いねぇし!」

「オホホー」

 

【なんとなく察してる爺ちゃんと察せない純情少年】

 

 

 

 ※※

 

 千空と茉莉。

 

 

「千空さーん、もう5分たったと思います」

「まだ経ってねぇ、あと4分」

「さっきもちゃんと数えてたんですけどね、私」

「俺の方が正しいんだわ、諦めろ」

「しょうがないなぁ。──って服の中に手は入れないぃ!」

「気のせいだ」

「気のせい違う!」

「んあ、ぶち犯されねぇだけお有難く思えって言ってんだろ」

「言われてないが?」

「…………」

「黙ってサワサワしないっ」

 

 

 

【好き勝手する推しと、脳内パニックな凡人】

 

 

 

 

 




書いてて茉莉ちゃんの頭が非常にパニックになってんな。ってわかる内容だった。
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