一般転生オリ主が幼馴染兼同僚に看取られた話   作: ҉ 光 ҉

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かずてるさんぽ

サルカズとサンクタは種族単位で仲が悪い。それが何故かなど張本人である俺たちですらわかっていない。何千何百と続いてきた対立はいつしか常識になり、もともとなぜ対立したかなどわからなくなってしまった

 

さて、そんな状況にある2つの種族だが、サルカズが住む街であるカズテルをサンクタである俺が歩くとどうなるか

 

 

ガキィン

 

 

金属と金属がぶつかる固い音が響く。それは俺が手に持っているスナイパーライフルと対面しているサルカズの男が持つサーベルがぶつかり合う音だった

 

こうやって戦うのももう何度目になるか。少なくとも片手では数えることはできないだろう。これでまだあの洞窟から出てから数時間ほどしか経っていないのだから驚きだ

 

肉薄していた状況から、俺がサーベルを弾いて2メートル分ほど距離が開いた。サーベルとスナイパーライフルでは射程はスナイパーライフルの方が長い

 

撃ったらとかではなく、そもそもの道具の全長として、だ。とりあえずそのリーチの差を生かしてスナイパーライフルの銃口部分で相手をぶん殴ると男はうめき声をあげて地面に倒れた

 

 

「はぁ」

 

 

口からため息がこぼれる。これでもラテラーノの執行人をやっている身分なのだからその辺の奴に負けないとは思うが、今まで戦ってきた奴ら全員弱くはなかった

 

正直、これまでは見かけた奴が襲ってきているだけだから1人1人でしか来ないんだろう。だがもし数日後になって噂にでもなり、討伐隊でも組まれて何人かで来られるとらさすがに厳しい

 

だがなんとしてでもここでラテラーノまで行く手段と、食料や水などを調達しなければならない。カズテル周りの土地は荒れていて手ぶらで出発することなどできない

 

が、どうやって調達するのかの目処がたっていない。金もない、こんな場所じゃあ職にもつけない

 

 

「……詰んでね?」

 

 

思わず、俺の口からそう言葉が漏れたのもしょうがないことだろう。正直に言って、まったくもっていい案が思い浮かばない。取り敢えずは身を隠すためにもどこかの建物の中に入るべきだろう

 

土地勘など全く無いが俺は路地裏に入っていった。どうせどこを歩いていても襲われるんだから路地裏くらいなんともないだろうという考えだ。しばらく歩いていると入り組んだ道に隠されていた一つのセーフハウスを見つけた

 

もう長時間の野外活動と戦闘に体が限界を迎え始めたころだ。俺は中に人影がないことを確認してからセーフハウスの中に入っていった

 

狭い部屋だ。床にはほこりが被っている。内装はとても質素で同じくほこりが被った棚と布団というには質素すぎるような布が床に敷いてあった

 

生活感が残るこの部屋はまるで主人の帰りを待っているようだった。中に入っていくと歩く度に床のほこりが舞い上がった。俺は床の上の布に腰を下ろした。

 

 

「欲を言うなら車、少なくとも水と食料は絶対に必須だな」

 

 

口から出たこれからやらなきゃいけないこと。これらをどうやって手に入れるか。売ってもらうにしても、貸してもらうにしても、お金か担保となるものが必要だ。

 

そういえば、守護銃はサルカズの間では高くで流通していることがある。いつかの任務でそういったものを回収した覚えがある。

 

改めて、自らのスナイパーライフルを眺めてみる。愛着はある。売り離したくは無い。それでも背に腹は変えられないと言う時はある。

 

 

「どっちにしろ、まずサルカズの協力者を見つけるところからだな」

 

 

最初の任務が一番難易度が高そうだがやるしかないだろう。モスティマ達に合わなくちゃいけない。会って謝らなくちゃいけない。そう思えばやる気が湧いてきた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

龍門は随分と騒がしい。

 

トランスポーターとして私に課された仕事は最近政治関係でいざこざが起きている龍門のについて調査することだ。ラテラーノでサミットを開こうとしているからそのために周りの国についての調査をレガトゥスは行っている。

 

お目付役としてフィアメッタもいるのだから、与えられた仕事はしっかりとこなしている。私たちに与えられた仕事は調べた情報を数ヶ月に1度上層部に伝えるだけだ。

 

自分で言うのもなんだがかつては執行人も任されていた私とフィアメッタはとても優秀で、なおかつ私が今管理を任されている錠と鍵と言う武器によって与えられた仕事は期限のだいぶ前には終わってしまった。

 

定期報告等やらなければいけない事はありはする。だが、上層部と連絡する手段を持っているのはフィアメッタだけであり、私のやることは特にはない。

 

それでもゆっくりできないのが、この龍門という街だった。マフィアだとか、スラムだとかが揉め事をどこかで起こしていて政治が安定していないのもあってか治安と言う面で言えばここはひどい。

 

私は積極的にこういった揉め事に積極的に首を突っ込もうと言うつもりはないが、巻き込まれている一般人を助ける位の心を持っている。自らのことを善人と呼ぶつもりはないが。

 

その中で、友人も何人かできた。イースとエンペラーはその中でも特に仲が良くなった。一緒に何回かお酒を飲む位には。

 

二度と治ることなどないと思っていた心の痛みも少しずつ、本当に少しずつ治ってきているのが自分でもわかった。過去を今と言う時間で押し流しているわけじゃなくて、ちょっとずつ受け止めれているようになっていった。

 

ある酒場でエンペラーと一緒にいた時だ。ふとした時に自分が自然に笑えていることに気づいて、私自身も泣いていることに気づいた。彼のいない新しい生活は、彼のいない新しい環境は、あの出来事に関して私に後悔以外の感情を持たせてくれた。そして、それからは止めどなく涙が溢れ始めた。

 

 

私はあなたが好きだった。

 

 

最後の時になって言えなかった言葉が、今はストンと胸に落ちた。どうして今なんだろうって思う。もう終わったことじゃないかって思う。それでも、彼が好きなことを認めて、もう彼がいないことを認めて、そうやって私は新しい生活に臨んでいける。

 

心持ちが軽くなった私はこれから何をしようかと考えてみた。もうとっくに終わらせた任務の締め切りは、あと1ヵ月と少し残っていた

 

 

「ねぇエンペラー、ちょっとここを離れるよ」

 

 

私たちはこの空いている時間で彼の死体と守護銃をラテラーノに持って帰ろうとしていた。そのことを言わなくちゃいけないってわけじゃないけど、言っておいたほうがいいと私は思った。

 

 

「なんだ? ラテラーノにでも戻るってんのか?」

 

「そこも寄る予定だけど、一旦はカズテルに向かうかな。1ヶ月くらいで戻ってくる予定だよ」

 

「そうか、元気にしてろよ。最初と比べてお前の顔も随分とマシになった。レコードとパーティーが似合うくらいにはな。今度は招いてやってもいいぜ」

 

 

そういえば、彼はDJなんてやっているんだっけと思う。それと、私は心残りを消すために再度口を開いた。

 

 

「それで、最後に1つだけ頼みがあるんだ。もしかしたらの話だけど、私たちがいない間に赤い髪をしたサンクタがここに訪れるかもしれない。そしたらさ、戻ってくるまででいいから、ちょっと面倒を見ててくれないかな」

 

 

本当にもしかしたらの話で多分来る事はないと思うけどと改めて念押しをする。最初こそ俺は子守でもねぇんだぞと言っていたがエンペラーは私の問いかけに対して一応の納得を見せた。エルが私たちを追ってここに来る可能性だってある。レミュアンの妹と言う立場がなければ、全て放り出してここに来ていただろうと言う確信があるがまだラテラーノに居るのだろうか。

 

いまなら彼女とも話せるだろう。絶交される覚悟だって出来た。私はフィアメッタとカズテルへと向かった。

 




『ある人間に自分の存在を忘れてもらうにはどうしたらいいと思う? 相手が新しい生活と新しい環境を見つけるまで待たないといけない』

ゲーム内でのモスティマのセリフです。ほんといい言葉ですね。中国語から翻訳してるとはとても思えないです。

間が空きすぎて申し訳ありません。まだ次回が出せるかはわかりませんが次があるならモスティマ視点だけになると思います。
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