雨のちウエディング   作:夢枕悪

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図書館戦争の純粋培養乙女茨城県産といワードが好きです。
なのでユッキーは純粋培養乙女新潟県産だと思います。





『day3』

 

 

店内に入ると、湿り気のない心地好い温度が、月歌達を包み込んでくる。

風徐室はないので、 若干の湿気はあるものの、奥に少し進めば、不快感からは完全に解放される。

壁には、ここで撮られたであろう写真が、ここそこに飾られている。

ゆっくり鑑賞出来るよう、テーブルと椅子も設置されており、カウンターからは、コーヒーの香ばしい薫りが漂ってくる。

 

「いい薫りだな」

 

先程とはうって変わって、和泉がリラックスした表情で薫りを楽しむ。

 

「お待ちしておりました♪」

 

神出鬼没、接客から仕入れまで、揺り篭から墓場まで、スーパー店員、佐月マリが奥から顔を出す。

 

「よお、マリー。準備出来てる?」

「はい♪皆さん、奥へどうぞ」

 

佐月が先導し、奥の衣装部屋へと案内する。

 

「おお!凄いです!!」

 

今まで隊服や艦長服しか着てこなかった國見が、目をキラキラとさせる。

そこには、目玉となるウエディングドレスとタキシードはもちろんのこと、ゴスロリ、和服、チャイナドレス、カジュアル系、ゆるふわ系、パジャマに水着と種類もサイズも豊富に揃えてある。

 

「流石の私も、こんなにあるなんて知らなかったわ」

「オメーは、Wikiの知識しかねぇだろうが」

「うう…ドレスもタキシードも着てみたいですぅ」

「おい、タマぁ!」

「は、はいぃぃ!」

「…悩むんやったら、どっちも着たらええねん」

「だから、何でお前は、毎回そんな言い方なんだよ」

「はい、ユッキー、これ」

「何でだよ、何でドレスとタキシード持ってんのに、ドレスをあたしに渡そうとしてんだよ!」

「だって、あたしよりユッキーの方がドレス似合いそうじゃん」

「何で、あたしなんだよ!東城とか朝倉だっているじゃねぇか!」

「ひぃひゃーひゃひゃひゃひゃ!残念、カレンちゃんでしたー!」

「ひぃ!」

「唐突に出てくんなー!収拾つかねぇだろうが!…んで、東城もいい加減、慣れろよな」

「何を言う。純白のウエディングドレスを赤く染める花嫁など、この美少女サイコキラーであるワシ以外におらんだろう」

「何、具体的に怖いこと言ってんだよ!」

「はい、ユッキー、これ」

「オメーも、何事も無かったかのように渡してくんなー!」

「だってさあ、やっぱ最初は、ユッキーと撮りたいじゃん?」

「はあ!?だ、だからって、ウエディングドレスとタキシードとか」

「いや?」

「…い、いやじゃねぇけど…」

「「「「…」」」」

「だから、そんな目で見てくんじゃねぇー!」

「さ、ユッキー、着替えようぜ」

「いや、ちょ、月歌!引っ張んなって!」

「お着替えは、こちらへどーぞ♪」

「さて、うちらも選ぼか」

「私は、このタキシードにします!」

「ほんなら、うちはこれにするか。スカート短くて動きやすそうや」

「ワシはこれにするぞ。いい具合に血に塗れておる!」

「それって、ハロウィンの衣装じゃ…」

「なんじゃ…ワシに文句でもあるのか?」

「ひぃ!あ、ありません!あるわけないです!」

「そぉか…ならば、『ウエディングドレス対決』じゃ!どちらが、よりウエディングドレスが似合うか勝負じゃ!ひぃーひゃっひゃっ!これなら連続殺人鬼美少女のワシの勝利、間違いなしじゃーっ!」

「え?それって判定基準は?いや、ちょっと、引っ張らないで、いやー!殺されるぅー!!」

「めぐみさん、私達も行きましょう!」

「せやな。サイキッカーで、救済主なうちが、1番似合うってとこ、見せつけたる!」

「ごゆっくりお楽しみやがれ♪」

 

こうして、『第1回セラフ部隊チキチキ31Aコスプレ大会ぃ!』が、幕を開けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー17:30

訓練を終えた隊員達が、続々とカフェテリアに集まってくる。

身体を動かした後の美味しい食事とは、長雨の陰鬱さを吹き飛ばしてくれる。

この時間、この場所だけは、いつもの活気である。

31Aの面々も、もちろんテンションも高く…

 

「疲れたぁー」

 

では、無かった。

 

「どうしたんだよ、ユッキー。それに、つかさっちも。そんな手塚司令と訓練した直後に、デススラッグとロータリーモールとレッドクリムゾンとフィーラーとフラットハンドと戦闘したような顔して」

「どんな地獄だよ、それ」

「和泉さん、わたしは、そんな感じだわ」

「あー、東城もカレンちゃんに、取っ捕まってたからな」

「あら、和泉さんは、月歌さんにお姫様抱っこして貰って、凄く嬉しそうだったじゃない」

「う、嬉しそうじゃねぇし」

「ユッキー、いやだった?」

「う…い、いやじゃねぇけど」

「「「「…」」」」

「だから、そんな目で見てんじゃねぇー!…疲れてんだから、大声出さすなよ」

「ごめんなさい、つかささん。カレンちゃん、すっごく楽しそうだったから、止められなかったの」

「ううん、大丈夫よ。そう、カレンちゃんが楽しそうなら良かったわ」

「うんうん、つかさっち、連勝記録も更新したしね」

「うん、だから、カレンちゃん、『次は絶対に勝ぁつ!』って言ってる」

「ひいぃぃっ!こ、今度こそ殺される!」

「なあ、そんな事より、早よメシ取り行こうや。腹ペコペコや」

「背中とお腹が、くっつきそうです!」

「なあ、月歌。悪いけど、あたしの分も取ってきてくれないか?」

「いいよ、何がいい?」

「冷製パスタとか、あっさりしたのを頼む」

「月歌さん、わたしもお願い」

「いいよ。ユッキーと同じのでいい?」

「ええ、お願い」

「オッケー。じゃ、行こっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーダーした夕食を手に、隊員達は、思い思いにテーブルに着いていく。

厨房付近でしか漂っていなかった料理の匂いが、鼻腔をくすぐる。

和泉と東城は、少し後悔していた。

テンションと疲れも、テーブルに座っていれば、徐々に薄れる。

薄れていけば、冷静になってくる。

冷静になれば、空腹を自覚する。

空腹を自覚し、あっさりした物ではなく、もっとボリュームのある物にすれば、と肉料理を手にした隊員の残り香を嗅ぎながら、2人は後悔した。

 

「お待たせー。はい、ユッキー。はい、つかさっち」

「すまねえな」

 

疲れと空腹の中、湯気と共に小麦とスープの匂いが立ち昇る。

ああ、いい匂いだ…

…湯気?

 

「月歌…」

「月歌さん…」

「ん?」

「「これは?」」

「刀削麺」

「「刀削麺んー!」」

「なんだよ、刀削麺って!」

「え?知らない?あの、片手に生地、片手に包丁を持って湯の沸いた鍋の前に立ち、生地を細長く削ぎ落としてゆでる奴だよ」

「知ってるよ!何ん回も聞いたよ!久しぶりに聞いて、懐かしさすら感じたわ!」

「良かったじゃん」

「良くねぇよ!リクエスト聞いといて、全然違う料理じゃねぇか!何で、刀削麺なんだよ!!」

「あたしが食べたかったから?」

「疑問系じゃねぇか!んで、何でお前は、別の注文してんだよ!テメェが食いたきゃ、テメェで注文しろー!」

「てへぺりんこ」

「てへぺりんこ禁止しー!!…ったく、もういいよ。それ食うわ」

「冷製パスタじゃなくていいの?」

「…オメー、知っててやってるだろ?」

「てへぺりんこ」

「疲れるから、やめろ」

「茅森さん」

「お、マリー。マリーも今から?」

「はい♪あと、写真も現像出来ましたので、持ってきました」

 

佐月が、封筒を渡す。

 

「おお!早速、見てみようぜ!!」

 

封筒から写真を取り出すと、1枚目の写真が見える。

ウエディングドレスを着て、お姫様抱っこをされ、顔を真っ赤にした和泉。

その腕は、しっかりとタキシード姿の月歌の首に抱きついている。

 

「見んなぁーー!」

「おお!めちゃくちゃイイ感じじゃん」

 

和泉の手に渡る前に、素早く月歌が手に取る。

 

「こっち渡せぇぇーーーーー!」

「お、うちらも、ええ感じやないか」

「めぐみさんと私…映える!」

「おい、タマぁ!」

「は、はいぃぃ!」

「うちのポニーテール姿も、なかなかのもんやろ」

「はい!めちゃくちゃカッコ可愛いです!」

「ひぃーひゃっひゃっ!ワシの赤ずきんの方が、もっと可愛いぞ!なあ東城?」

「は、はい!わたしも、そう思います!」

「オメー、いい加減、その写真渡せ!」

「なあ、みんな。せっかくだし、この写真、あたしらの部屋に飾らない?」

「やぁめぇろおーーーーーーーーー!」

 

和泉の受難は、しばらく続いた。

後日、写真を見ながら、にやにやしている和泉が月歌に目撃されるが、それはまた別のお話。

 






皆様、いかがお過ごしでしょうか。
妄想培養アラフォー社畜県産の夢枕悪です。
今回も妄想をふんだんに使った一品となっております。
作者の中では、花嫁ガチャが終わるまでには完結させたいと思っておりますが、何分、遅筆、リアル多忙、暑さと湿気でやる気低下等々と障害が出てきております。
多分、1番の原因は、花嫁ガチャ80連して、ピックアップスタイルどころか、SSRにも引っ掛からなかったことだと思ってます。

こんなやる気のない作者ですが、もう少しお付き合い頂けたら幸いです。
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