しっとりと雨が、降っている。
鬱陶しい雨も、今は心地よい雨音を奏でている。
薄い雲の向こうから、月の光がぼんやりと見える。
優しい雨、優しい月明かりに照らされ、木々の滴がほんのりと輝く。
(今日は楽しかったなぁ)
基地内の森の中、隠れ家的な場所に月歌達のスタジオはある。
食事を終えた月歌は、なんとなくスタジオに行きたくなり、1人で此処に来た。
照明は点けず、カーテンを開け、優しい雨と優しい月を見ている。
和泉達と写真を撮り、現像された写真を見ながら、皆でワイワイと食事をする年相応の休日。
何事も無ければ、それが日常だったのだろう。
放課後に集まり、教室で、帰り道で、帰り道のファストフード店で、授業が、先生が、あの店が、あの服が、と他愛のない会話をしていたのかもしれない。
だが、そもそもキャンサーの襲来が無ければ、出会うことも無かったかもしれない。
和泉はハッカーとして、東城は諜報員として、國見は艦長として活躍し、逢川は超能力集団の中で、朝倉はゲームの得意な普通の女子高生として生活していただろう。
(それでもユッキーは、ライブに来てるかな?)
観客席で、憧れの目を自分に向ける和泉を想像し、くすりと笑う。
そう考えると、逢川は自分をライバル視していたし、会いにくるかもしれない。艦隊イベントなんかあれば、國見に会えたかもしれない。東城も諜報員だとしても、日常生活に溶け込む為に、ライブに来てくれるかもしれない。朝倉も同級生に誘われて、ライブに来ていたかもしれない。
出会う機会は、いくらでもあるんだな、とまた笑う。
「よっ、と」
月歌は、ギターを手に取り、窓辺に座る。
チューニングをしながら、ふと考える。
このスタジオを使っていた先輩達のこと。
自分が見つけた時には、流石に手入れはされていなかったが、大切にされていた事は分かる。
経年劣化はあったものの、弦を張り替え、錆びを取り、チューニングすれば、すぐに使えた。
先輩達は、どんな人達だったのだろう。
どんな思いで、どんな曲を作っていたのだろう。
もしかしたら、自分の曲も、弾いていてくれていたのだろうか。
それでも、ここを使っていた先輩達は、もういない。
自分達の先輩は、白川達しかいない。
無念だっただろう。
死にたくなかっただろう。
悲しかっただろう。
哀しかっただろう。
悔しかっただろう。
救いたかっただろう。
救われたかっただろう。
痛かっただろう。
泣きたかっただろう。
笑いたかっただろう。
歌いたかっただろう。
もっと、
もっと、
もっと、
生きたかっただろう。
ギターのチューニングが、終わった。
音を、確認する。
問題は、ない。
そのまま、指が動く。
ぽーん。
きゅ。
ぽーん。
きゅ。
ぽぽぽーん。
指の動きに任せ、音を紡ぐ。
今はいない、先輩達へ向けて。
今もいる、隊員達へ向けて。
東城が、言っていた。
音楽は、神への祈り。
音楽は、戦士の鼓舞。
ならば、神へ祈ろう。
鎮魂を。
ならば、部隊へ贈ろう。
鼓舞を。
天へ。
基地へ。
ドームへ。
雨の中に。
ぼんやりとした月の光に。
ゆっくり。
ゆっくりと、混ざりゆく音。
悲しみも。
怒りも。
笑いも。
優しさも。
先輩達も、ドームの人々も、隊員も、部隊も、自分も。
何にも、響かなくていい。
誰にも、届かなくていい。
何かに、響いて欲しい。
誰かに、届いて欲しい。
ぽーん。
きゅ。
ぽぽぽん。
きゅ。
ぽぽーん。
キャンサーを、倒すとか。
人類を、救うとか。
ただの、どこにでもいるアーティストだった自分に、出来るかどうかなんて、分からない。
でも、
ユッキーや、
めぐみんや、
つかさっちや、
かれりんとカレンちゃんや、
おタマさんや、
他の部隊も、司令官も、ななみんも、あさみんも、皆んな守るから。
だから、
先輩達は、ゆっくり休んでて。
ぽぽーん。
きゅ。
相変わらずの社畜生活を堪能している夢枕悪です。
花嫁ガチャ、終わっちゃいましたね。
皆様は、マリーかいっちーお迎え出来たでしょうか?
え?両方お迎えした?
…90回してお迎え出来なかった自分は、負け組ですね…orz
えーっと…
これから、更に日射しが厳しくなってくるでしょう。
自分の近所では、救急車のサイレンを聞かない日はありません。
どうか、熱中症には、気をつけてお過ごしください。
一応、まだ続きますので、もう少し、お付き合い頂ければ、幸いです。