ヒュライツ国領土・エネジ近郊
この場所でテロリストのアジトがあるという情報を手に入れた俺、リナ・アンドレは取材のため現場にいる。
エネジは元々小国だったが、様々な資源を目当てに戦争を仕掛けられ、抵抗虚しく支配下に置かれた。
数年経っても抗議活動は多く、充分な治安維持が出来ていないので、隠れ蓑にしやすかったんだろう。
テロの標的はヒュライツだけではなく、多くの国に行われたので「協力して当たるべき」の声明も、「アジトがエネジにあるのなら我が軍だけで対応する」の一点張りだ。
最近ではリューク・エタナー殺害にも絡んでいるらしい。犯行声明で色々言っていたからな。
実行したのは一般人だが今は関係ない。
出来事に関してはこのぐらいにしておこう。
「歩兵と人型兵器の数がいつもより多い」
『そろそろ仕掛けるってのは正しかったな』
『装備に不備はない?点検は?』
「今やってる、順調だ」
元々は自国内の取材だけをしていたが、もっと伝えるべきことは国外にあるだろうと思い、会社に提案した。
その結果、災害や戦争など危険な取材をする『緊急取材班』が立ち上がり、入ることになった。他のメンバーは2人居るが、今回の担当は自分だった。
『テロリストには絶対捕まるなよ』
「了解、おっと?慌しくなってきた」
ちょうど点検が済んだので建物を出た。
「只今、テロリストとみられる人物が投降した模様です。建物内の残りの人数は分かっておりません」
カメラで撮りながらナレーションもする。生中継じゃないがヒュライツ軍がどこで待機してるか映さない。やること、やってはいけないことは多々あるものの、全て国民に知ってほしい一心だ。
『さっきの映像は編集してる、もう少し近くから撮れそう?』
「やってみる」
(近くは車道を封鎖して盾を構えてる、何が投げ込まれるか分からないしな)
と考えながらカメラを手に取った時、一人の兵士が近付いてきた。
「そこの人!」
次の言葉は(何をしている)だと思ったので、
「取材してます」と言った。
取材許可証が必要だと分かっていたので、見せた。
「スキャンします」
数秒の沈黙の後、「確認できました」に一安心した。
変ないちゃもんでも付けられそうな時が本当に頭を使う。
「兵士さん結構疲れてます?」
「ええ、投降はありましたがまだ人が残っているので気が抜けないです。では持ち場に戻ります」
「お互い気を付けていきましょう。では」
二人を見ている小さな機械に今は誰も気付かなかった。