爆発から庇われた子供は、記者に近づく。
「大丈夫ですか!?」
荷物から包帯を取り出そうとした時、腕を掴まれた。
「そ、れは…避難者、に…」
身体の至る所から血を流しながら空を指差す。
「機体が…飛んでる、軍じゃ…ない…」
「じゃああれは…」
「潜伏した、テロリスト…戦闘が始まる」
壁にもたれながら大きく息を吸う。
「いいかい?偶然出会った人…よりも、同じ地で育った人を優先して、いいんだ」
急な出来事に混乱しながら、子供は頷く。
「さあ行って、薬を待ってる…」
「ありがとう、ございました…!」
荷物をまとめて、避難所の方へ走っていく子供。
安心したアンドレの意識は途切れた。
『こっちです!』
機械鼠の反応を辿り現場に到着した。
「患者を発見しました、これより治療を開始します」
仮面を付けた医者がそう言うと、隣の助手と思われる男が患者の四方に携帯式バリケードを展開する。
簡易診察台の上に患者を載せ、外傷を確認する。
「爆発による火傷、裂傷、顔に薬品の付着による負傷」
患者に電極パッドを貼りながら、カルテに記入する。
「応急処置して、病院に運びます」
アジト周辺の空では軍とテロリストの機体が戦闘を始めていた。
地上にいた交渉役と警護をしていた軍人も、アジトの爆発で怪我人が続出し、退避せざるを得なくなった。
「医療班、聞こえますか!」
『ええ、状況は?』
「爆発で負傷者、離脱します!」
軍用車に乗り、拠点へ向かう。
仮面医者の処置が終わり、隣の男に話しかける。
「先に患者を連れて病院まで行ってくれますか?」
「了解しました、先生はこれから何を?」
「他の場所にも患者がいるか確認します」
道具を片付け、診察台とバリケードを組み合わせてコンテナを作る。
男が機体を操縦してそれを格納すると、飛び立って行った。
(アジト周辺は軍人が多いでしょう)
歩き出した時、機械鼠が話しかけた。
『一つ気になることがあって』
「何でしょう?」
『爆発の後子供が避難所に向かったんですが、治療した事を伝えた方が良いかなーっと』
「…そうですね、安心させた方が良いでしょう、入口は?」
『こっちです』
先導され、地下へ続く階段を降りていく。
機体が次々と撃破され、テロリストが捕縛される。
コクピットに直撃したものもあり、隙間から流れる血の量を見ると中の惨状は予想できる。
「戦闘終了、帰投します」
司令部に連絡を送り、本国へ移動する。
空を見上げると、見慣れないヘリが複数飛んで行くのが見えた。
「先輩、あのヘリってもしかして…」
「ああ、医療団だな。いつの間に入国してたんだか」
あらゆる戦に現れ、どちらの勢力にも肩入れせず治療して回り、常識の範囲内の請求を政府へ送る集団のことである。
誰が何のために設立し、人数や拠点の数が不明の為、「不気味」「誘拐して実験してそう」など、評価は良くない。
だが、治療された人は「普通だった」「腕が良い」と証言している。
また、戦死者を回収し、政府を通じて遺族の元へ返還する作業もしている。