マリシャス   作:トワル

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現地取材④

爆発から庇われた子供は、記者に近づく。

「大丈夫ですか!?」

荷物から包帯を取り出そうとした時、腕を掴まれた。

「そ、れは…避難者、に…」

身体の至る所から血を流しながら空を指差す。

「機体が…飛んでる、軍じゃ…ない…」

「じゃああれは…」

「潜伏した、テロリスト…戦闘が始まる」

壁にもたれながら大きく息を吸う。

「いいかい?偶然出会った人…よりも、同じ地で育った人を優先して、いいんだ」

急な出来事に混乱しながら、子供は頷く。

「さあ行って、薬を待ってる…」

「ありがとう、ございました…!」

荷物をまとめて、避難所の方へ走っていく子供。

安心したアンドレの意識は途切れた。

 

『こっちです!』

機械鼠の反応を辿り現場に到着した。

「患者を発見しました、これより治療を開始します」

仮面を付けた医者がそう言うと、隣の助手と思われる男が患者の四方に携帯式バリケードを展開する。

簡易診察台の上に患者を載せ、外傷を確認する。

「爆発による火傷、裂傷、顔に薬品の付着による負傷」

患者に電極パッドを貼りながら、カルテに記入する。

「応急処置して、病院に運びます」

 

アジト周辺の空では軍とテロリストの機体が戦闘を始めていた。

地上にいた交渉役と警護をしていた軍人も、アジトの爆発で怪我人が続出し、退避せざるを得なくなった。

「医療班、聞こえますか!」

『ええ、状況は?』

「爆発で負傷者、離脱します!」

軍用車に乗り、拠点へ向かう。

 

仮面医者の処置が終わり、隣の男に話しかける。

「先に患者を連れて病院まで行ってくれますか?」

「了解しました、先生はこれから何を?」

「他の場所にも患者がいるか確認します」

道具を片付け、診察台とバリケードを組み合わせてコンテナを作る。

男が機体を操縦してそれを格納すると、飛び立って行った。

(アジト周辺は軍人が多いでしょう)

歩き出した時、機械鼠が話しかけた。

『一つ気になることがあって』

「何でしょう?」

『爆発の後子供が避難所に向かったんですが、治療した事を伝えた方が良いかなーっと』

「…そうですね、安心させた方が良いでしょう、入口は?」

『こっちです』

先導され、地下へ続く階段を降りていく。

 

機体が次々と撃破され、テロリストが捕縛される。

コクピットに直撃したものもあり、隙間から流れる血の量を見ると中の惨状は予想できる。

「戦闘終了、帰投します」

司令部に連絡を送り、本国へ移動する。

空を見上げると、見慣れないヘリが複数飛んで行くのが見えた。

「先輩、あのヘリってもしかして…」

「ああ、医療団だな。いつの間に入国してたんだか」

あらゆる戦に現れ、どちらの勢力にも肩入れせず治療して回り、常識の範囲内の請求を政府へ送る集団のことである。

誰が何のために設立し、人数や拠点の数が不明の為、「不気味」「誘拐して実験してそう」など、評価は良くない。

だが、治療された人は「普通だった」「腕が良い」と証言している。

また、戦死者を回収し、政府を通じて遺族の元へ返還する作業もしている。

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