戦姫絶唱シンフォギア Z-TON 作:ゼットン信者の地球人
「あ、気が付きましたか?」
「タチバナヒビキ…?」
目を開けるとタチバナヒビキが俺の顔を覗き込み、ホッと息を吐いて横に座る
「びっくりしましたよ〜、いきなり頭抑えて倒れちゃうんですもん…」
「なぜ、そばにいた?」
「え?そりゃあ心配だったからですよ?」
心配…?俺の…?
「タチバナヒビキ、お前はなぜ…」
俺はタチバナヒビキに話しかけようとしたがそれよりも先にカザナリツバサがどこからともなく現れた
「目が覚めたか、宇宙人」
「あ、翼さん!」
「…あぁ、たった今な」
「少し離れた場所に"これ"が散らばっていたが貴様のか?」
カザナリツバサは手に持っていたのは俺が初めて起きた場所の足元に散らばっていた紙だった
「え?これなんて書いてあるんです?」
「…この星の言語では無い、ということは確かだな。こんな文字は見たことがない」
「完…自…型……生命……"Z"……」
「「!?」」
「読めるのか!?」
「あぁ、"全てのゼッ…の頂点…在を造るべく…複数の…を用意し……験を開始。しかし、目…めず…実…は失敗" すまない、これ以上は読めない」
紙は所々が焦げ落ちており、しっかりと読めるところはほとんどなかった
「これは…俺か?」
半分以上焦げ落ちている紙の1枚の中に俺によく似た生命体の図が描かれており、その横にはニンゲンの様なものも見える
「うーん、なんだかゼータさんよりもずんぐりしてません?」
「私には同じように見えるが…ちょっと待て立花、"ゼータ"とは?」
「宇宙人さんってずーっと呼ぶのもどうかなって思いまして…」
「タチバナヒビキ、何故"ゼータ"に?」
俺がそう聞くとタチバナヒビキは胸を張り腰に手を当て自信満々に答えた
「この紙にZって書いてあったんですよね?もしかしたら名前なんじゃないかなって思いまして!だから少しひねってゼータさん!どうですか!」
それは捻っているのか?とも思ったが…考えてつけてくれたのなら無碍にはできないな
「なら俺の名前はゼータで良い」
「き、貴様もそれでいいのか!?」
「本来の名前も思い出せないからな、それでいい」
俺はようやく立ち上がり、手に持っていた紙をカザナリツバサへ返却し歩き始める
「ちょっと待て、どこへ行くつもりだ?」
「ん?ここでは無いどこかだ。ニンゲンの世界を見たい」
そう言うとカザナリツバサは武器を構えて俺の前に立ち塞がってきた
「何をしている?」
「つ、翼さん!!」
「止めるな立花。貴様をこのまま放っておくわけにはいかない!私達に着いてきてもらおうか!!」
「断る、お前たちと話しているのは楽しいが俺はここを見て回りたいのだ」
「それなら無理やりにでも連れていくしかないようだな」
深く構え、今にも飛び込んで来る気満々のカザナリツバサに対し俺はなんの構えも取らずただ見つめる
「…本当に戦う気か?」
「無論ッ!!!」
満を持して俺の懐へ踏み込んで来たカザナリツバサ
俺はそれを瞬間移動を使って建物の上へと回避する
「なっ!!?」
「ゼ、ゼータさん!待ってください!!1回だけ!1回だけ私たちに着いてきてくれるだけでいいですから!!」
「それはできない、さらばだ。タチバナヒビキ」
俺は手を伸ばすタチバナヒビキを横目に再び瞬間移動を使ってその場を去った
「やはりニンゲンしかいないか」
あの後、辺りが暗くなるまで様々な場所へ行ったがやっぱり俺と同じ形をしたやつを見つけることは出来なかった…やはり俺はこの星の生命体では無いのか?
「だとすればなぜ俺はこの星に?」
考えるだけ無駄か、何せ記憶が無いのだから
辺りを見渡せるほど高い建物の上で1人、俺はキラキラと輝く街並みを眺める
色んな色に光り輝くこの景色は見ていて飽きない、このようなものを生み出すとはニンゲン侮れん
しばらく眺めているとポツリ、ポツリと何かが降り始めた
「雨か…"雨"?」
さっきもそうだ、時折自分の知らないはずの言葉が頭に浮かんでくる
「記憶喪失……厄介だな」
頭に手を置き、先程まで美しかった街並みも雨のせいで曇ってしまったため別の場所へ向かう
「どうにかして記憶を取り戻さねば……ん?」
雨の音の中でも聞こえる鈍い音が路地裏から聞こえる
それと同時に何かが地面を這うようなそんな音も
「なるほど、あいつらか」
そこに居たのは薄い青色に輝くノイズ
こいつは嫌いだ。決して自分がこいつに似ていると思われたからという理由では無い。断じて違う。
向こうは攻撃してくるがこちらは触れないのがひどく厄介だからだ
「またニンゲンが襲われているのか?」
近づこうとするとノイズが吹き飛び、壁に当たって灰になって消えていった
「ノイズを倒せる、か…カザナリツバサたちの仲間か?」
その路地を覗き込むとカザナリツバサ達に似た装甲を待とうニンゲンが立っていた
「チッ!まだ来んのかよ!!!」
俺の事を見るやいなや赤い閃光を放ってくる
なんだあの装甲を着ているニンゲンは攻撃的なやつしかいないのか?
「待て、お前を攻撃するつもりは無いぞ」
「誰がンなこと信じる…えっ?」
「"なんでノイズが喋ってる?"って思ってるなお前…俺はノイズでは無い。宇宙人"ゼータ"だ」
「は、はぁ!?宇宙人だとッ!?何わけのわかんねぇことを言ってやがる!」
「事実だからな」
そうこうしていると俺の事を鋭い目で睨みつける赤い装甲のニンゲンの後ろからノイズが迫る
「しまっ…」
「こっちに来い、ニンゲン」
俺はニンゲンの腕を引っ張り、ノイズから距離をとる
「腕掴むな!!あとニンゲンニンゲンって呼ぶな!」
「なら名前を教えてくれ」
「〜〜ッ!雪音クリス!!!」
「ユキネクリス、奴らを触ると灰になるのは本当か?」
「…あぁ、本当だ。っておい!何するつもりだ!?」
俺はユキネクリスの前に出て迫り来るノイズの前に両手を出す
「バカッ!さっさと下が…」
ノイズが俺たちに向かって飛びかかってきた瞬間、ノイズが弾かれる
「は…?」
ユキネクリスは口を大きく開けながら目の前に展開された半透明の黄色の壁を触り出す
「なんだよこれ!!」
「知らん、出来た」
「で、できたってお前…!!ていうかこれ開けろ!!アタシがアイツらぶっ飛ばす!!」
さて、ノイズの攻撃は防げるが確かにこちらからも攻撃出来ないのが難点…あ
「いいことを思いついた」
「は?いいことって何…うわッ!?」
俺はユキネクリスを肩に担ぎ、壁を展開したまま回転して移動する
「何やってんだよォオオオオ!?」
「こういう時は…回れば何とかなる」
実際回転した壁に衝突してノイズは炭へと変わったからこの作戦は間違いなかったということだ
「よし、ユキネクリス。ノイズは倒し…ん?」
「きゅー……」
俺が肩に担いでいたユキネクリスはいつの間にか装甲が解除され、目を回して気を失っていた
「ノイズとの交戦で疲れていたのか」
ユキネクリスを両手に抱き直し、どうしたものかと考えると背中に衝撃が走る
「その子をどうするつもり!!離しなさい!」
その衝撃の正体は足を震わせながら俺の背中をカバンで叩くニンゲンがいた
どうやらこの星には装甲を着てなくても攻撃的なやつはいるようだ
普通の宇宙恐魔人ゼットじゃなく、響ちゃん命名宇宙人ゼータくんですはい