人理修復に巻き込まれたンゴwww   作:一般通過マスター

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型付き特有のシリアスはないものと思って。


記憶を振り返る

 

 

 

──目を開けたら目の前には"黒"が広がっていた

 

 

痛む頭を抑え、炎に囲まれた男は荒れた土地の上で身を起こす。

もう夜か、そう思った男だったが空を覆う"黒"は夜の闇ではなく炎から立ち昇る黒煙であることを理解すぐに理解した。

 

自分の身に何が起こったのか、記憶を辿り今の状況を思い出す。

眉間に指を当てトントンと……それが5回繰り返された時、男は──

 

 

 

 

 

「誰だよ、電子レンジで生卵チンしたやつ」

 

 

 

 

 

──誰にも聞こえないそんな独り言を呟いた。

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

時間は数時間前まで巻き戻る。

男はいつもの様に職場にて自分の使命を全うしていた。

 

 

 

まず、朝起きて彼の一日は同僚たちの寝顔の観察日記から始まる。

"アサシン"顔負けレベルにまで気配を遮断し、部屋へと侵入。スケッチブックと鉛筆のみで寝顔を模写。小学生が夏休みでアサガオの観察日記をするように丁寧に。ただここで小学生と違うのはその画力の高さ。芸術家たちが腰を抜かすような、まさに白黒の写真を撮ったのでは無いかというレベルの絵の技術。

 

それを同僚全員分。都度7回続け朝の業務は終了。

しかし、彼はデキル男である。睡眠時にヨダレが垂れている者がいたら次は気をつけるようにしてもらおうと注意書きをするのだ。油性マジックで顔に。

その後起きてきた者に全力の感謝をビンタで表現される。

 

 

 

続いて、朝食を済ませた彼がすることは職場の所長との戯れである。

 

自身で発明したあらゆる物を使い所長に運動を促すのだ。

時には巨大な鉄球を使い強制的にランニングを。時にはタライを上から振らせ頭に落とすことで強制的なスクワットを。

 

この日はバランス感覚を養うためにバナナの皮を大量に用意し、廊下にばらまくことで不安定な場所でも体勢を維持して歩けるようにする訓練をつけた。

 

しかし、不慣れかな。男の目の前でサマーソルトを決めステンと転ぶ所長さん。

そんな中でも彼はデキル男。所長がサマーソルトを決めるその瞬間、ハイスピードカメラ顔負けの男の目はしっかりと所長の"神秘"を捉えるのだ。

 

彼の脳内ブルーレイがフル稼働し、脳内ハードディスクに鮮明な記録として、彼の色褪せない青春の1ページとして刻まれる。

 

しかし、それで終わる彼では無い。何度も言うが彼はデキル男だ。すぐさま所長の元へ駆け寄り、安否を確認。

無事と判断できると"素晴らしい柄の神秘だった"と女性が喜ぶ一言を添えてあげる。

 

それに対して返ってくるのは感謝のビンタ。

彼の表情と心は優しげで満足気に満ちていた。

 

 

 

 

 

さて、ここまでで彼の肉体、主に頬の部分が疲れを見せる。

そんな中でも彼は止まらないのだ。

 

次に行うのは戦闘訓練。

これは同僚たちとのコミュニケーションでもあるため彼はここで今1度気合いを入れ直す。

 

あらゆる場面をシミュレーションし、戦術を頭に叩き込み、それを実践で活用できるレベルにまで鍛え上げる。

 

その後、ピチピチのスーツに着替える彼とその同僚たち。

そこから始まるのは組手である。

 

同僚たちは日頃の感謝を拳に込め男へと。

男もまた日頃の感謝を込めて同僚たちのピチピチスーツ姿を写真に収める。

 

しかし、ここでも彼はデキル男。

男性同僚に向けて"モッコリ"具合がよくなった旨をしっかりと伝え、女性同僚へは女を主張する揺れる"メロン"が大きくなった旨を伝える。誰もが喜ぶ一言を添えることが大事なのだ。

 

その後、顔を赤くした同僚達から照れ隠しの感謝の正拳が飛んでくるが、男はその感謝を無防備で受け止める。

 

これらは全て感謝だ。それを理解している男は痛みを快感と感じる術を身につけていた。

 

 

 

 

 

さて、ここまではいつも通りの日常だ。

しかし、この日は違った。

午前中だけでもこれほど濃密な時間。午後からはもっと苛烈な使命が待っている中で、どうやら今日は"レイシフト"なるものをすることになったらしい。

 

これにて午後の予定がパーになった男。

しかし、彼もまたレイシフト適正はあるためこの新しい業務をこなす義務がある。

 

署長は新人達にこれからの仕事についての説明があるため、彼と同僚たちは一足先に定位置へ。

 

 

 

──おっと忘れていた。お昼を食べていなかった。

 

 

 

流石デキル男だ。腹が減っては戦は出来ぬ。重要なことを思い出した男は早速食堂へ向かった。

 

その時に顔を合わせたシルクハットのモジャモジャヘアーの男。気さくに挨拶をしてきたが、なんということだ……ここで名前を忘れていることに気づいた彼は咄嗟に一か八かでシルクハットの男を"ジョニー"と呼んだ。

 

ジョニーと呼ばれた男は顔を顰めながらも笑顔を崩さない。それを見て彼もまた名前はあっていることにほっとしていた。

彼はデキル男だ。何となくでも名前は言い当てられるのである。

 

そんなジョニーから腹ごしらえが済んだら早めに定位置についてねとのお達しが。

確かに。自分が遅れることで全体に迷惑をかけてはいけない、そう思った彼は急いで大量の食べ物を口はと突っ込んだのである。

 

しかし、悲しいかな。人はリスになどなれない。限界量というものがある。思わず大量の食料を吐き出しそうになった彼だが、ぐっと堪え外ではなく中へと無理やり飲み込もうとしたのだ。

 

しかし、悲しいかな。人はヘビになどなれない。喉に詰まった食べ物たち。何とか急いで大量の水を飲むことで胃の中へと落とした。

 

だが、こんなことをしているとやはりというかかなりの時間を食堂で潰してしまった。

まずい、遅刻したら怒られてしまう。悩んだ末に、彼が導き出した答えは想定外の事態が起きたせいでそれの後処理をしていた故に遅れたことにしよう、である。

 

さて、早速理由作りだ。

 

ここで男が手にしたものは大量の生卵。それを電子レンジに入れ爆発させることで電子レンジが爆発したという理由を作れる。

流石である。完璧な理由付けだ。デキル男は違う。

 

その時だった。

 

カルデア内の電気が落ちた。

 

なんてことだ、コレでは電子レンジが動かないではないか。しかし、男はデキル男でもあり有能な男でもある。

すぐさま懐から自身で発明した発電機を取りだし、コンセントを繋げることで電子レンジのみを復旧。

 

そのまま生卵をレンチンすることが出来たのだ。

 

そして待つこと数十秒。

まだかなまだかなと電子レンジの前でルンルンして待っていたその瞬間──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ドゴオォォォォオーンッ!!!

 

 

 

 

 

──巨大な爆発音と共に男の視界は白一色に染まり、そして、意識がブラックアウトしたのだった。

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