人理修復に巻き込まれたンゴwww   作:一般通過マスター

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ピンチはチャンスなり

 

「大聖杯はこの奥だ。ちと入り組んでるがはぐれないようにな」

 

「おっけ!じゃあ俺こっちの道から行くからお前らはそっちの道からな!」

「はぐれるなって言ったよな…!?」

 

スタコラとその場を離れようと歩き出す俺の頭をアイアンクローで捕まえるキャスター。

ひえぇ…、こ、怖いめぅ…。

 

「……天然の洞窟に見えますがこれも元から冬木の街にあったものですか?」

「でしょうね。これは半分天然、半分人工よ。魔術師が長い年月をかけて広げた地下工房でしょうね。それよりキャスター。大事なことを確認してなかったのだけどセイバーの真名は分かっているの?何度か戦ってる口ぶりだったけど」

 

あれ?無視?俺無視?

もうちょっと触れてもいいのよ?

 

「あぁ知ってる。ヤツの宝具をくらえば誰だって真名……その正体につきあたるからな。他のサーヴァントが殺されたのもヤツの宝具があまりにも強力だったからだ」

 

おーい、キャスターさんやーい。

あなたの手には俺の頭があるってこと忘れてない?

 

え、ちょ、力入ってない…!?

サーヴァントの怪力でアイアンクローはシャレならんぞ!

あだ、あだだだだだだだ…!

 

「強力な宝具……ですか。それはどういう?」

「王を選定する岩の剣のふた振り目。おまえさんたちの時代において最も有名な聖剣。その名は──」

「──"エクスカリバー"。騎士の王と誉れの高いアーサー王の持つ剣だ」

 

「「「『!?』」」」

 

 

キャスターさんでもない、ロマンでもない、そして俺でもない男の声が聞こえてきた。

な、何やつ!?と言いたいとこだけどキャスターさん…!この手を離してく──(メキ)──!?なんか鳴っちゃいけない音が聞こえあだだだだだだ!

 

「アーチャーのサーヴァント……!」

「おう。言ってるそばから信奉者の登場だ。相変わらず聖剣使いを守ってんのかテメェは」

「……ふん。信奉者になった覚えはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」

 

アーチャーさん、お目にかかれてマジ光栄。

光栄ついでにお願いごとを。今この状況でキャスターさん煽らないで…!俺の頭がトマトみたいに潰れちゃうから…!

 

ほら、なんか手に力入ってきてるよ!興奮して来ちゃってるよこの人!大丈夫!?俺の頭、形変わってない!?

 

「ようは門番じゃねえか。何からセイバーを守ってんのか知らねぇがここらで決着つけようや。永遠に終わらないゲームは退屈だろ?良きにつけ悪しきにつけ時を先に進ませないとな?」

「その口ぶりではことのあらましは理解済みか。大局を知りながらも自らの欲望に熱中する……。魔術師になってもその性根は変わらんように見える。文字通りこの剣で叩き直してやろう」

 

「おうよ…!やってみろや!」

 

 

そう言って俺をぶん投げたキャスター。

…………ん?

 

「うおぉぉぉおッ!アーチャーさん!俺を受け止めて!」

「っ!」

 

手を伸ばしアーチャーさんに助けを求めたが手にした剣をこちらに向けて振り下ろして来た。

 

いや、待てぃ!死ぬわボケェ!

 

と思った次の瞬間、俺の背中に重みがのしかかった。

 

「グェッ!」

 

「オラァッ!」

「くっ…!」

 

キャスターめ…!俺を壁に接近する隙を作って、俺を踏んでアーチャーに奇襲しやがった!

やだ…!私の扱い雑すぎ…!

 

「マシュ、あなたはキャスターのサポートを」

「は、はい!」

「ロマン、一応付近を調べて。敵が他に隠れてないか確認を」

『わ、分かりました!』

 

あれー?俺の事無頓着すぎん?まじー?俺実は存在してない感じ?空気なの?

 

「だ、大丈夫ハジメくん…!」

「……藤丸ちゃん……ありがとう…!」

「え…?」

 

心配しに来て駆け寄ってくれたのは君だけだよ。

君は俺の心のオアシスさ。

ありがとう……これで私はまだ戦える…!

 

痛む頭を抑え藤丸ちゃんに手を引かれながら所長たちの元へ。

 

「あら、生きてたの」

『おお、イッチ君。おかえり』

 

なんやこいつら。心配くらいせぇよ。

後でケツから熱々のカレー注ぎ込んだるぞ。

 

それにしても……、ふむ、アーチャーのくせして接近戦か。双剣を巧みに操ってるとこから察するに弓よりこっちの方が得意?

 

「いてて…、藤丸ちゃん、マシュのマスターって藤丸ちゃんだよね?とりあえずマシュは前衛で防御に徹しさせて。攻撃はキャスター任せで。サーヴァント戦に慣れてないマシュが変に攻撃したらカウンターで一気に持ってかれるぞ」

「…っ、わ、分かりました!」

 

大まかな指示なんてこれくらいでいいでしょ。

ひとまず俺は頭のダメージを回復せねば…!

 

 

『……流石だね』

「ええ。変人と言えど流石に"Aチームマスターの候補"に入るだけはあるわ」

『うん。カルデアの珍獣と呼ばれてるのにね』

「世界が間違って生み出した男と呼ばれているのにね」

「ちょっとその話詳しく聞かせてもらっても?」

 

マジかよ、俺変人扱いさせてたのか。

清く慎ましく、高嶺に咲く花のように、掃き溜めで美しく羽ばたく鶴のように生活していたのに。

ショックだ。ショックすぎて空も飛べちゃうね。

 

「うぅ…、もうカルデアに帰れないわ…」

「願ったり叶ったりね」

「よせよ、照れちゃうだろ……///」

『相変わらずのプラス思考だね…』

 

とりあえずこれからの生活態度を改めるべきか。

まずはみんなに謝罪の意味を込めてジャーマンスープレックスをかけていこう。

 

そう言えばマシュたちの方はどうなってるかなー?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、キャスターの魔術が撃ち落とされてら。

 

あ、アーチャーさん突っ込んできた。

 

あ、マシュ受け止めたけど吹き飛んだ。

 

あ、キャスター焦れったくなって接近戦仕掛けてる。

 

 

 

 

 

あれ?クラス間違えてません?

 

 

 

 

 

キャスターさんそれは杖の使い方やない、槍の使い方や。アーチャーもずっと剣しか使ってないし、これアーチャーvsキャスターじゃ無くてセイバーvsランサーじゃないの?

 

いや、マシュがピンチになったからヘイト集めるためにキャスターだけど苦手な接近戦をしてくれてる心優しき「はっ!楽しくなってきたなぁ!」いや、あれはランサーや。間違いないね。

 

 

 

 

 

 

マシュが吹き飛ばされ離脱してからアーチャーとキャスターの戦いはさらに熾烈を極めていた。

槍のごとく振るわれる杖と二本一対の剣が交わり衝撃が生まれる。

双方、残像が残る程のスピードの攻防。この時点で目に追えるものは限られていた。

 

そんな中、キャスターの持つ杖が炎に包まれ始めた。

そこから更に激しくなるキャスターの攻撃。アーチャーは次第に押され始めた。

苦しい顔で、それでも攻撃を捌いていたアーチャーだが、やがて剣が弾かれ体制を崩した。

 

「クッ…!」

 

バックステップで距離を取り、仕切り直そうとするアーチャーだったがそんな隙を逃がさずキャスターが接近。

 

「オラァッ!!」

「ガハッ…!」

 

炎を纏ったキャスターの杖がアーチャーの体へクリーンヒット。

辺りは爆煙と豪炎に包まれ、衝撃波が洞窟内に響いた。

 

 

 

 

 

「先輩ッ!」

 

吹き飛ばされていたマシュが傷だらけになりながら盾を構え、俺たちの前へと出て衝撃から護ってくれた。

こんな傷だらけになって……マシュは俺が守護らねば!

 

てか何あれ。マジやばたにえん。

サーヴァントちゅよしゅぎてワロエナイ。目で追えてたけど人間あんな体動かんて。

 

ま、兎にも角にも我らがキャスター……いや、ランサー?いや、ここは間をとってキャンサーで。

我らがキャンサーの勝利だ!わーいわーい。

 

「勝負ありだぜ?」

「……チッ」

 

倒れ込むアーチャーに杖の切っ先を向けキメるキャンサーさん。

俺もああいうのやってみたい。

 

「戦闘終了……なんでしょうか?」

「勝った…」

「ふぅ、良かったぁ…」

『お疲れさまだね』

 

そうして、みんなが気の緩んだ時だった。

 

 

 

 

 

「だが、タダでは死ねん…!」

「……っ!てめえ!」

 

 

 

 

 

そんなアーチャーのセリフと共に彼の手元から離れていた双剣がこちらに飛んできていた。

狙いは、

 

「っ!先輩ッ!」

「……え?」

 

藤丸ちゃんね。

 

俺は走りだし藤丸ちゃんの元へ。手を伸ばし藤丸ちゃんの体を押し出した。

そして、

 

 

 

「………っ!」

「ハジメさん!」

「ハジメ…!」

『イッチくんッ!』

 

 

みんなの声が耳に聞こえてくる。

そんな中、俺の視界には藤丸ちゃんを押し出した時の左腕が肩から下にかけての無くなっていた。

腹にも痛みがある。チラッと見てみると深々と刺さる剣。刺さった場所、切断された断面から血が吹き出た。

口の中にも鉄の味が広がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらヤダ、腕取れちった」




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