人理修復に巻き込まれたンゴwww   作:一般通過マスター

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イッチという男

 

さて、着いた着いたよ着きましたよっと。

 

洞窟を抜け、数多の困難を退けやってきたのは開けた場所。

黒い土地に黒い空。厨二心を擽られる場所だね!

 

そんな空間のド真ん中にドンと構えられた、部屋に飾りたくなるようなオブジェクト。なんだあれはカッチョいいな。俺も飾りたい。部屋の増築を視野に入れておくか。

 

「これが大聖杯…、超抜級の魔術炉心じゃない…!なんで極東の島国にこんなものがあるのよ…」

『資料によると太古の昔に作られた大聖杯をアインツベルンという錬金術の大家が見つけ保管してたみたいです。魔術協会に属さない人造人間(ホムンクルス)だけで構成された一族のようですが』

 

なるほど、あのカッチョイイオブジェが大聖杯ってやつか。……俺も欲しぃ!作ろ!

 

「悪いな、お喋りはそこまでだ。奴さんに気づかれたぜ」

 

そう言って構えたキャンサーさん。

視線の先には漆黒の鎧に身を包んだ肌の白い少女が1人。

 

「あれがアーサー王…!」

「なんて魔力放出なの……」

「見た目は華奢だが気ぃ抜くな。あれは魔力放出でかっ飛ぶバケモンだ。一撃一撃がバカみてぇに重い」

 

 

 

一同がアーサー王の圧に生唾を飲み込む中、

 

 

 

「……ほう、面白いサーヴァントがいるな」

 

 

 

重々しい雰囲気を纏わせながら口を開くアーサー王を前にしながら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわ、アーサー王って女の子だったん?てかかわよ、告白しよっかな?

 

 

 

 

 

この男はいつも通りだった。

 

彼らは把握しきれていなかった、この男のネジのぶっ飛ばし具合を。

アーサー王は知らなかった、この男の珍獣っぷりを。

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

おいおいなんだよあのカワイコちゃんは。

黒い鎧に儚げな雰囲気。手に持ってるのはひとつの黒い剣。アーサー王って言ってたからあれがエクスカリバーか?聖剣ってか魔剣だな、あれは。

 

何よりもあの厨二病感が素晴らしい。可愛い+厨二病は最強。はっきりわかんだね。

 

あんな可愛い子なら是非ともお近づきなりたい。となると大事なのは第一印象。インパクトを残しつつ顔を覚えてもらわなくては。

となれば、

 

「団長」

「……え?な、何かしら?」

「おいおいビビってんのか?普段のツッコミもないぞ?……全く、ビビっってちゃ始まんねぇ。攻め攻めの姿勢で行くぞ!」

「っ!……えぇ、そうね」

「よし来た。所長は俺の隣に来てくれ。ぶちかましてくぞ」

 

 

 

そう言って所長の手を引くハジメ。

この瞬間、彼女は思った。

 

──あ、嫌な予感がする

 

と。

 

 

 

 

「ちっ、相変わらずバケモンみてぇな魔力放出だぜ」

「近づいたら押しつぶされそうな、そんな気さえします」

「……っ」

『みんな気を引き締めて……あれ?イッチくんと所長は?』

 

「「「え?」」」

 

 

 

ロマンの言葉に辺りを見渡す3人。

そして見つけた目的の2人の人物。

横に並び、胸を張り堂々とアーサー王を見つめる男とその傍らで青い顔して男の顔をのぞき込む女。我らがハジメとオルガマリーがアーサー王に向かって歩いていっていた。

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「控えい控えーい!ここにおわす御方をどなたと心得る!こちらにおわすは、我らが人理継続保障機関フィニス・カルデア所長、オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアなるぞ!頭が高い!控えおろう!」

 

「「「『(何やってるのあの人(何やってんだアイツ)ー!?)』」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!やったな部長!これでアーサー王も『ナニィ!?あのカルデアの所長だとぉ!?』的な感じでタジタジだな!」

「そうね!ある意味タジタジよ!」

「な、なんだ貴様らは?」

 

「引かれてるじゃないのッ!」

 

おいおい、まずはもちつけブラザー。

初対面はインパクトさ、インパクトが大事なのさ。インパクトさえ残せれば顔を覚えてもらってそこからは仲良しこよしの充実ライフが待ってるんだぜ?

 

「ほら見てみろ、興味と尊敬の眼差しでこちらを見てくる愛らしい少女がそこにいるだろ?」

「私には同情と畏怖の視線にしか感じないのだけれど…」

 

フッ、何を言う。滑り出しは好調以外の何物でもないだろ。

しかしながら、件のアーサー王は視線をさ迷わせ戸惑ってる様子。なるほど、少しばかりコミュ障なんだな。であればこちらから話しかけてみよう!

 

「やい!アーサー王!」

「な、なんだ?」

「貴様、かの有名な騎士王で間違いないな?」

「っ、ああ、いかにも」

「そうか、であれば……俺と立ち合ってもらおうか」

「……ほう?」

 

その瞬間、空気が変わった。

鋭い目で視線が交差するアーサー王とほぼ半裸の男。そう男は腰巻き一丁の半裸だ。忘れてはいけない。

 

そうしてアーサー王は剣を構えた。

さらに魔力と圧が強まる。そんなものを前にしても半裸の男は悠々と仁王立ちだ。

 

「……おい、何をしている?」

「む?どうした?」

「何故構えない?」

「……なるほど。確かにな。そちらが聖剣を使うというのであれば、こちらも性剣を抜かねば無作法というもの。"セイケン"勝負といこうか」

 

そうしてオトコは腰巻きに手をかけた。

 

「っ!?ち、ちょっと待て!何を出そうとしている!?」

「……?俺の性剣」

「"それ"は聖剣ではない!」

「何を言う、俺の性剣の大きさはエクスカリバーと呼ばれるほどだぞ」

 

「私の剣と一緒にするなッ!」

 

 

我らがAチームのマスターくん達と風呂入った時「うほ、デカイね」と褒められた俺の性剣ぞ?舐めないで頂きたい。……いや舐めてくれるなら最高やんけ。

 

「そういえば、アーサー王よ。貴様の剣からはビームが出るようだな。奇遇だな。俺の剣もビームを出せるんだ。時には透明な、時には黄色い。そして時には真っ白「それ以上は言わせるかァ!」

 

「はぁ、はぁ、このヘンタイめ…!」

「……クラス【ヘンタイ】、召喚に応じ参上した。おまえが我が王か?」

「私はお前の王ではない!いい加減にしろ!」

 

飄々と会話を続けるハジメ、声を荒らげるアーサー王、そして、そんな声を荒らげるアーサー王にハラハラするカルデア面々。

そんなのお構い無しとばかりにこの男はアーサー王へ向けて足を動かし始めた。

 

「っ!よ、寄るな!変態!」

「変態では無い、紳士と呼んでもらおうか」

「どの辺がだ!?」

 

ほぼ全裸の男が堂々と少女の元へ歩いていく。

その様はまさに(変態)紳士である。

 

やがて、アーサー王の目の前までたどり着いたハジメ。それに対してアーサー王は変態を前にした少女のような顔を浮かべていた。そして、

 

「き、消えろォ!」

 

その声と共に振るわれた一閃。

 

「「!?」」

「ハジメ!」

『イッチくん!』

 

剣はハジメの体を両断した。

 

 

 

 

 

 

かに思われた。

 

「ハァーイ、ジョージィ?」

「「「「『え?』」」」」

 

切り伏せられたと思われたハジメ。しかし、次の瞬間にアーサー王の背後から姿を表した。

 

「な…!どういうことだ…!?」

 

「それは残像さ…」

「訳が分からんッ!!」

 

すかさず身を翻し、背後のハジメへと剣を走らせるアーサー王。

しかし、彼はこれをこともなげに躱した。

 

その後もアーサー王の攻撃をしゃがみ、ジャンプし避け続けるハジメ。

 

「……今の俺たち、傍から見たら海辺で遊ぶカップルのように見えてるのかもな!」

「そんな訳あるかァッ!」

 

 

 

 

「……なんであんなデタラメな動きで避けれてんだ?アイツ」

『「「「……」」」』

 

キャスターの言葉に誰も返すことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"(ハジメ)"……、"イッチ"という男に魔術師としての才能は無い。

 

魔術回路の量、質、共に最低値のこの男に適正のある魔術は無かった。故にこの男が手を出したものは【科学】である。

 

元来、魔術というのは"現代技術で再現可能なもの"をいい、魔法というものは"現代技術では再現不可能なもの"を言う。

 

そこから彼が導き出した答えが、『魔術の知識を活用すれば科学技術で魔法再現出来んじゃね?』である。

 

幸い魔力の量だけは人一倍……、いや、何十何百倍はあった。

起動式のみ魔術を用いて、そこから発動するあらゆる"発明"を若くして創りあげている。

 

さらに、この男、自他ともに認める"イカレ野郎"である。

自分の体すら実験材料にセルフ手術を施し、改造しているのだ。

 

アーチャーの攻撃で負った深手は、その改造ゆえの人並外れた自己治癒能力。腕を生やしたのは、欠損した断面に注入することによって遺伝子情報から最も適合する肉体を生み出すことの出来る彼の生み出した薬品によるもの。

 

 

──余裕のよっちゃんやゲボォ!

 

 

あのおふざけのように見えたあの瞬間に体内から注射器を吐き出し、腕へ刺していたのだ。

 

そして、今、アーサー王の攻撃を避け続けられている理由。

先程も言った通り彼は自分の体を改造している。それは眼球もまた然り。

 

カルデアが爆破される前、所長との戯れで彼の目はハイスピードカメラ顔負けと言ったが、正しくその言葉通り。

右目は音速のスピードにも対応できるほどの高性能な動体視力を持ち、左目はあらゆる魔力の流れを見通すことが出来る。

 

つまり、その2つが噛み合わさり彼はアーサー王の動きを読み切っているのだ。

それはほぼ未来を読んでるようなもの。身体能力は普通の人レベルではあるものの、ここまで来ればサーヴァントと言えど攻撃を避けるだけというのなら、彼にとっては赤子の手をひねるようなものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……かの有名なマリー・アントワネットはこう言った」

「くっ…」

 

「当たったら死ぬというのなら、避ければいいじゃない、と」

 

 

 

ふざけているようでその目は真剣。

デタラメな動きだと言うのに実際にまだ一撃も入ってはいない。

 

しかし、ハジメはこれでもかなりピンチな状況だ。

何せ、もう"薬品"のストックが無いから。何かあった時のための予備の1本。それをアーチャー戦で使っている。

 

故に死ねない。死んだら死ぬ。

 

攻めたら魔力放出で体勢を崩され、その圧倒的な火力の剣で体が文字通り蒸発する。

そこまで理解しているからこそ彼は攻めに出ることが出来ていなかった。

 

掠るだけでも致命傷の一撃が連続で飛んでくる。ハジメは珍しく真面目な顔で攻撃を捌いていた。

 

……人はサーヴァントに勝てない。それはごくごく当然のこと。

どれだけ戦闘技術があってどれだけ強い魔術を持っていたとしてもそれは揺るがぬ事実。

 

その理由として、

 

 

 

「っ!」

 

 

 

飛び退くハジメ。直後に今まで以上の魔力がその小さな体から放たれた。

 

スキル:【魔力放出】

 

そう、人がサーヴァントに勝てない理由。それは、サーヴァントが持ち人が持てないもの。

その1つが『スキル』

 

そして、もう1つが、

 

 

 

「──認めよう。変態と言えど貴様は強い。故に手を抜くかずこの一撃で終わらせてやる」

「いや、手ぇ抜いててもいッスよ?」

 

 

──卑王鉄槌

 

 

アーサー王のその呟きと共に集約されていく魔力。

 

もう1つのサーヴァントだけが持つ奥の手、それが『宝具』

アーサー王の持つ最強の一撃が今まさにハジメに向かって牙を向いていた。

 

そんな絶望を前にしたハジメは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うっは」

 

 

 

笑った。




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