────────────────────
迷い込みスレッドにて
1:名無し
なんだここ
いきなり頭に浮かんだんだが
3:名無し
ここに来たってことは転生者か?
5:名無し
転生者のごく一部が使えるにちゃんねるみたいなもの
7:名無し
>>5
今はごちゃんねるだけどな
ちなみにPC持ってるやつはアクセスも出来るからいろんな奴や転生者が来るぞ
10:名無し
理解はし難いけど、ある程度は分かった
ところで赤ん坊になって絶賛テンパってるんだけど、なんでこうなってるん?
15:名無し
>>10
>>3で言ってただろ? どっかに転生したんじゃないのか?
20:名無し
>>10
本当かどうか信じがたいな。最近は釣り転生も流行ってるし
24:名無し
>>15 >>20
転生なぁ
山の整備してたら蛇に噛まれて助け呼ぶために下山してる最中に意識失ったからなぁ
27:名無し
>>24
今日日聞かない死に方してんなw
31:名無し
>>27
田舎の農家じゃフツーだよ
で、証拠ってどうすればいい?
35:名無し
>>31
とりあえず以下のようにしてみてくれ
~説明抜粋~
39:名無し
>>31
INAKAは怖い。はっきり分かんだね。
41:名無し
【画像】
ほい、これでどない?
43:名無し
木と石の家か。また、なんちゃって中世かな?
46:名無し
ちょっと遠くに海? 湖? が見えるな。イッチの住んでるところは結構小さい島なのか?
51:名無し
>>41
とりあえずコテハンつけてくれ。
あと、周囲の声とか認識できる? 転生って言っても原作ありの世界かもしれんし。
52:名無し
風車もあるな。近くに農作地あるんじゃね?
56:イッチ
とりあえず、イッチでいきます
近くからは親の声が聞こえる。後、誰かの名前? を呼んでるからちょっと待ってて
57:名無し
>>51
原作ありなぁ。鬼殺隊に入った鬼の奴とか居たよな
多分、もう死んでるだろうけど。
58:名無し
>>58
トレーナーになったら愛バに拉致されてる奴なら見たぞ。あいつ、元気かな。
60:名無し
並行世界なのか、同じ原作なのにブッキングしないのがすごいよな。おかげでこっちも飽きねぇわ。
63:イッチ
めっちゃ良い声でライザって誰かを呼んでるんだけど。知ってる人居る?
68:名無し
>>63
アトリエじゃねぇか!
72:名無し
>>63
イッチの性癖が破壊されるぞ!
73:名無し
>>63
アトリエシリーズ知らないのか。錬金術って知ってる?
77:いっち
>>72
えー、そんな性癖刺さらねぇぞ。俺、パツキンのちゃんねーが好きなんだけど
>>73
真理の扉とか、水35リットルとか、パラケルススとか、ニコラ・フラメルは知ってる。
81:名無し
>>77
アトリエシリーズだけ履修してなかったのか
たしかライザの家って農家だったし、ひたすら農作業手伝っとけば食いっぱぐれないだろ。
86:名無し
>>77
パツキンかぁ……。イッチのコテハン、ガイアにしね?
91:名無し
>>77
逆にその年齢で性癖に刺さったらやべぇ定期。
93:ガイア
お、おう。よく分かったな、俺の名前
94:名無し
見える、ライザに振り回されるイッチの姿が
96:名無し
>>93
マジでガイアなのかよww
────────────────────
クーケン島というなんてことの無い島の、ラーゼンボーデンというなんてことの無い村。そこで、なんてことの無い俺は15年前に生を受けた。今日も今日とて俺は畑仕事に従事している。
「ガイア、今日はあっちを耕してくれ。石は昨日取り終わってるから」
「ういっす」
やたら美声な父さんの指示に従い、俺は未だ均していない固い区画に足を踏み入れる。
まずは厚い刃が備わった鍬で固い地面や中に収穫して埋まったままの根っこなどを細かくしていく。かなりの重労働だが、長年の経験と好みにあふれる農筋は伊達ではない。鍬の重みで土に差し込み、腕や腰など一部分だけ使うのではなく身体全体で土を耕していく。
ある程度土が柔らかくなれば、あとはフォークのように刃先が分かれている鍬で土に空気を含ませるようにかき回し、仕上げに薄い刃がついた軽い鍬で畝を作っていけば完成だ。
うちで育てているヴァッサ麦やクーケンフルーツは、手間暇かけて育てていけば必ず応えてくれる良い作物達だ。今日もほら、耳をすませれば畑や作物の声が聞こえる。ふふふ、愛い奴らだ。
「父さん、畝作り終わったから水運んでくるね」
「ああ、助かるよ」
許可をもらったことだし、俺はタルを担いでラーゼン地区の南側にある水汲み場へ行く。水が入ったことでなかなかの重量だが、この鍛え上げてきた農筋はこんなことではへこたれない。
たったる、たったると口ずさみながら来た道を歩いていくと、我が家の長女であり俺の姉である『ライザリン・シュタウト』がお供2人を連れているところにばったり会った。
「おー、ガイア君。精が出ますなぁ」
「レント兄ちゃん、タオ。姉がお世話になっております」
「お、おう」
「こ、こちらこそ?」
「コラコラコラ、あたしを無視するな!」
姉ちゃんが腹のあたりをドスドス叩くが、今ここで両腕で抱えたタルを落とせばどうなるか分かっているのだろうか。
そもそも、前世のようなPCの前で考えて操作する仕事やコンビニ弁当の廃棄があるほど売れ残るほど物が溢れている環境だったらいざ知らず、ここのような身体が資本で働かなければ生きてはいけない環境で自分の家の仕事を手伝わずに居るのはいかがなものか。そんな思いが勝手に俺の口を動かしていく。
「姉ちゃん、農作業」
「うっ! 今はそのー……時期が悪いかナ?」
「もうすぐ乾期だよ? いくらブルネン家が水源をもっているからって言っても、水源がいきなり枯れる心配も──」
「あー、うるさいなぁ! ボオスみたいなこと言ってー! 昔はおねーちゃーんってあんなに可愛かったのに図体ばかりおっきくなって!」
「いや、言ってないよ」
またこれだ。同じ年頃の子があまり居ない閉鎖的な村なので比較は出来ないが、前世ぐらいでは姉ちゃんみたいな17歳で職に就いている人間はたくさんいる。今の段階が本当にギリギリで、そろそろ母さんの視線も厳しくなってくるだろう。はぁ、気が重いよ。
お供1号である『レント・マルスリンク』──レント兄ちゃんに至っては18歳だし、腕っぷしが強いならばこの村の自警団である『護り手』に志願すれば良いのではないか。……父親のこともあるし、最初は良い顔されないまでも数年真面目に取り組めばって……俺も前世ではそういった文句は聞かなかったなぁ。
お供2号でもあり、俺と同じ歳の『タオ・モンガルテン』──タオは……。いつも抱えている読めない本を暇潰しに見るぐらい、俺でも知らないことを良く知っている。ならば、その知識を生かして古老のようなお偉方の助手でもやった方が良いのではないだろうかと言ってはいたが、いつしか言わなくなってしまった。まぁ、小童の考えることって意見を受け入れられない期間が長そうというデメリットを考えたらその気持ちも分かるが。
「ふんっ。レント、タオ! 行くよ!」
「あ、あぁ」
「待ってよ二人共~」
俺の心配もよそに走っていく姉ちゃんとレント兄ちゃんを追いかけるタオ。いつもの構図に呆れながら、俺は掲示板へとアクセスする。何の因果か生まれた当時からアクセスできるこの掲示板。普段はおちゃらけたり、セクハラ染みた発言が目立つが結構役に立つのを俺は知っている。
幼少期、川に流された姉ちゃんをレント兄ちゃんやタオと共に助けている最中にボオス兄さんがその場を走り去っていったことがあった。その時は頭に血が上って掲示板で散々なことを書きながら姉ちゃんの手を掴んでいたが、掲示板からは【アガーテさん連れてきてるから頑張れ】や【助け呼びに行ってるから手を離すなよ】と裏事情を知らせてくれたおかげで俺はそれを叫びながら耐えることが出来た。
あの後掲示板で教えられたが、どうやら原作では何も言わずにどこかに消えたことで確執が生まれるらしかったが、どうやら俺が『ボオス兄さんはそんなことする人間じゃない。助けを呼んでるんだ』と何度も叫んでいたのを信じたのか対して喧嘩も起らなかった。俗にいう軽い原作ブレイクが起こったわけだ。
──まぁ、今の3人のプー具合に心配し過ぎてという別の理由でボオス兄さんは姉ちゃん達に嫌味を言っては3人に嫌われてるんだけどね。そういう意味では軽い原作ブレイクでは世界の修正力に抗えないという知見を得た良い経験だったと思う。
そんなわけで、俺は今日も今日とて日頃のストレスをぶちまけるために建てたスレッドに投稿を行った。
────────────────────
錬金術士? 俺は農家だよ【ライザのアトリエ】スレより
247:ガイア
農作業おーわり
姉ちゃんは相変わらず冒険ごっこだよ。いい加減働いてくれ
今日の姉ちゃん
【画像】【画像】
250:名無し
>>247
お、ガイア君おっすおっす
姉ちゃん達は後に立派になるから。そのままにしとき。
251:名無し
うひょー、今日のライおrrrr
253:名無し
>>247
おま、最初の画像お前の全身じゃねぇか!
255:名無し
ブラクラ仕込むんじゃねぇよks
260:名無し
まぁ、たしかに立派になる……いや、もうなってるか
262:名無し
太いしな
266:名無し
ガイアって今、何センチだっけ? 15歳の身体じゃねぇよな
シュタウト家の血がそんなに成長させるのか?
268:名無し
>>262
太くねーし!
274:名無し
君、良い身体してるね。完璧で究極なゲッターチームに入らないかい?
276:ガイア
>>266
レント兄ちゃんよりは高いから多分180かそこら
ちょっと病気なんじゃないかと疑ってる
278:名無し
あー、巨人病的な? いたって健康な体付きだし、問題なくね?
279:名無し
>>276
働けるなら良いと思うぞ。ライザ達は……まぁ、もう少しで原作だろ。
284:ガイア
たしかに重い物運んだりや農作業でかなり重宝するし、働けるなら良いかぁ。ありがとう
でも、この前ちょっと聞いたけど確認させてほしい。あの姉が錬金術なんて高度なこと本当に出来んの?
途中で飽きたら俺、全力で姉ちゃんをカブ漬けの農奴にするぞ
285:名無し
15歳でそのデカさと筋肉量はおかしいと思うの
ライザはムッチムチだけど、ガイアはムッキムキじゃん
290:名無し
>>284
才能の塊だから安心しろ。(むしろ、出来なかったら原作崩壊待ったなしだから)
292:名無し
>>284
出来る出来る。錬金術は才能次第だから、お前もやってみれば?
確か作物の栄養剤とか作れたよな
293:名無し
>>290
かなり前だが、ライザが使えなくて姉である転生者が使えたパターンあったぞ
そこのライザ、最終的に畑ENDになってた
297:名無し
>>293
それは大外れなだけだろ
ともかく、なるようにしかならんけど大抵は錬金術士になるから気にすんな
────────────────────
そっかー、なるようにしかならんかぁ。ちょっとテンションが下がった俺は掲示板を閉じつつしばらく考えながら歩いていると、ようやく慣れ親しんだ我が家に到着する。生活用水として家の大きな窯に樽半分の水を入れ、もう半分は畑全体にまいたところで昼になった。
「じゃ、出稼ぎしてくる」
「遅くならないようにね」
「はーい」
昼食を掻き込んだ後、俺は出稼ぎを行うために村の中心へと出発した。
出稼ぎとは言うが、基本は物々交換のクーケン島は商店以外の金銭のやり取りがあまりされない。野菜だって余ったら木箱に詰めておすそ分けが主流だしね。
そんなわけでお礼として色んな物をもらえるのだが、俺はその中から売れそうな物を行商人に売ったりして金銭を取得していたりする。面白そうな物があっても買えないのが一番つらいからね。
「エドワードさん、スケッチしてもらった薬草取ってきましたので選別お願いします」
「おぉ、ありがとう」
「古老、おぶりましょうか? ブルネン家の御屋敷ですよね? 運びますよ」
「すまんな」
「モリッツさーん、何か用とかないですかー? あ、お礼は見せ財布以外でお願いします」
「流石にもう誤魔化せんか」
村で医者をしているエドワードさんには渡してくれたスケッチを片手に薬草採集の代行。ブルネン家へと続く階段を悪戦苦闘していた古老を背負って上り、その足で村の有力者であるモリッツさんの手伝いをする。
モリッツさん、財布をポンと渡してくるけど中身はしょぼい宝石の粒しか入ってない『見せ財布』なのがケチ臭いんだよなぁ。まぁ、農家にとって有力者に顔を覚えられるのは良いことだと思っておくか。
さてさて、色んな手伝いも済んだことで背負った背嚢の中にはたくさんの物品が納まっている。皆、最近は換金しやすそうな品物をお礼に渡してくれるから助かるんだよな。
「おー、ガイア君」
「お久しぶりです。ロミィさん」
良さげな行商人を探しにクーケン港を彷徨っていると、見知った女の人に声をかけられる。彼女こそが俺の外貨獲得に協力してくれる行商人の1人。名をロミィさんという。
『相変わらず大きいねぇ』とバシバシ叩いてくるが、俺としては逆にその細腕で本当に危険な行商が出来るのか不安になるほど華奢なことに相変わらず不安を覚えていたりする。
「今日はロミィさんにこれらを売りたいのですが」
「大量だねー。ふんふん……なるほどなるほど」
俺が持ってきた物を真剣な表情で査定し出すロミィさん。彼女以外にも行商人に売ってるけど、ちゃんと査定してくれる人って稀なんだよなぁ。貫録が足りないのかねぇ、もっと農作業して農筋付けるか。
おっと、そういえばロミィさんも掲示板では人気なんだよな。そうと決まれば横顔を……。
────────────────────
錬金術士? 俺は農家だよ【ライザのアトリエ】スレより
350:ガイア
ロミィさんに査定なう
【画像】
354:名無し
ひゅー! 新鮮なロミィさんだ!
359:名無し
え、なんでこんなロミィさんの傍居るの? 殺されたいの?
364:名無し
>>359
手伝いで手に入れた品物とか実家で育てた麦を売ってるんだと思う
368:名無し
ひぇ、過激派こわっ
376:名無し
>>359
ガイアの身体、>>247の最初の画像なんだけど
勝てるのか?
380:名無し
ごめんなさい、ナマ言いました
382:名無し
>>380
瞬殺かぁ
385:名無し
>>380
謝れて偉い!
393:名無し
う~ん、これは練筋術士
────────────────────
「ガイア君、このぐらいでどうだろ?」
謎の造語が出来た頃にロミィさんの査定が完了したらしい。今回もなかなかの稼ぎだ、悪くない。
「ロミィさんの査定してくださった額なら文句ありませんよ。信頼はしていませんが、信用してますから」
「お、ちゃんと覚えてくれて嬉しいな」
『行商人は信用はしても、未来を充てにする信頼はするな』というのは過去にロミィさんに教わったことだ。彼女には他にも金銭の隠し方なり、疲れにくい歩き方なりと雑談という体で色々お世話になっている。
今日も査定の後は行商中の噂をきいたり、ロミィさんが扱っている物品を見たりなどをしていると、もう夕方になっていた。
「じゃねー、またヴァッサ麦をお願いするかもー」
「その時はよろしくお願いします」
ロミィさんと別れた俺は家路に就く。道中は何もなく、姉ちゃんに対しての母さんの小言に塗れた夕食をした後に就寝。ほんと、いつまでこのままなんだろうな。姉ちゃんはよくなんてことの無い日々を打ち破る何かを探し歩いているって言うが、掲示板の奴らが言う錬金術がそれなのだろうか。
まどろみながらぼんやり考えていた姉への不安。それが解消されるのは──思ったよりも早かった。
***
とある日。俺はモリッツさんとボオス兄さんに呼び出しを食らった。なんでもお偉い商人が来るらしく、護り手と共に彼らを出迎えてほしいとのことだった。
あるとすれば農筋しかない俺と行商人になんの接点のあるのかと聞けば、なんでも『デカいやつを前に出せばナメられんだろう』と笑っていた。それ、蛮族の考え方やん。
まぁ、物ではなくお金の謝礼も出るし、行商人であるには手持ちの商品もあると思うから珍しそうな物を買ってお土産にするのも悪くない。そう思って俺は船をこぎ出した。
────────────────────
錬金術士? 俺は農家だよ【ライザのアトリエ】スレより
547:ガイア
なんかクーケンフルーツの販路開拓のために誰かが来るらしいんだけど、なぜか俺も同行することになった件
554:名無し
はじまったな……
561:名無し
あぁ……
569:名無し
なぜに? ガイア関係ないじゃん
570:名無し
生産者からの説明役じゃないよな?
それ目的だったら他の農家の人や父親が出ていくはずだもんな
576:ガイア
モリッツさんとボオス兄さんの差し金らしい
お前は身体がでかくて筋肉質だからナメられないだろうって。俺のことなんだと思ってんだ
585:名無し
人間コンバイン
591:名無し
体は農作物で出来ているを地でいく農筋野郎
596:ガイア
>>580 - >>590
やめろよ。照れるじゃねぇか
とりあえず、アガーテ姉さんと船で移動中
【画像】
601:名無し
>>596
ほめてねーよ
604:名無し
船の前に人が集中してるのに、舟をこいでるガイアとバランスが均一になるのおかしくね?
608:名無し
筋肉って重いんだぜ?
610:名無し
あー、ガイア。マナー違反を承知で言うんだが、着いたら小妖精の森ってところだけ確認しとけ
間に合わない展開、この掲示板で見たことあるわ
皆、もし気に食わなかったらBANしてくれて構わんから
616:名無し
>>610
あー、あのスレか 常時お通夜状態だったなー
624:ガイア
>>610
大丈夫。善意でいってくれたんだろ? 問題ないよ
で、間に合わないってなに? 小妖精の森で何すればいいの?
628:名無し
>>624
森を突っ切れば廃屋がある広場に出るから、タイミング的にライザが魔物に襲われてる
もし、そこに居なければそれより深くはお前だと遭難するだろうから帰ってアガーテ姉さんに『小舟見つけた』って報告しとけ
633:名無し
アンペルとリラ次第だな
もし居るなら付いていけば良いだけだし
635:ガイア
その2人って何者? 知らんのだけど
641:名無し
アンペルはぱっと見で敵に回りそうな気配のする人で、リラは……見てみたらわかる。すごいから
646:名無し
>>641
あぁ、たしかにすごいな
────────────────────
なにがすごいのだろうか。ともかく、アンペルとリラって人が頼りなのは分かった。
全員が上陸した後に俺は船が流されないように浜辺に乗り上げさせていると、視線の端に数人程度しか乗れないような小さな小舟が映った。
「アガーテ姉さん、ちょっと離れるよ」
「あぁ、お前なら大丈夫だとは思うが森や洞窟には入るなよ」
長年の信頼感ということもあってかすんなり散策の許可をもらい、俺は例の小舟まで歩いていく。船の中には何もないが、砂浜にはまだ新しい足跡が3人分。……方角からすると木々が生い茂る深い森の方に歩いていったようだ。
あっちが小妖精の森だろうか。行ってみたいけど、お客人が来たみたいだから俺は一旦アガーテ姉さんのところに戻ることにした。
「すみません、戻りました」
「うぉっ!? っと、失礼した。君、娘を見なかったかね?」
やってきた俺を一目見て叫び声を上げかけた男の人に問われるが、ここに来るまでに誰も見かけなかったことを告げると何やら心配そうに狼狽え始めた。どうやら気づいたら彼の娘が居なくなっていたようで、現在その探索と保護をとある2人に頼んだそうだ。
「2人?」
「あぁ、ここまで馬車で乗せてきた錬金術士とかいう男とその護衛でね。名前は……そう。アンペル・フォルマーとリラ・ディザイアスといったかな?」
その情報を聞いた途端、脳裏には掲示板の『間に合わなかった場合』のやり取りが駆け巡った。俺はすぐさまアガーテ姉さんの隣に居た護り手の腰に下げていた剣を引き抜くと、アガーテ姉さん達の制止も振り切って足跡が続いていた森へと突撃する。
青いスライムみたいな存在を蹴り飛ばし、眼前に迫る小さな妖精のような存在を剣を握った拳で殴りつけ、体勢を立て直す前にさっさと進んでいく。まんま通り魔のような行動だが、剣も出来ない俺が森を抜けるにはこれしかない。
そんな爆走を続ける俺の目の前が急に開け、なにやら大きな建物が見えた。
「廃屋……あれか!」
石垣にボロボロの家。森の中には他に建物がなかったことから、恐らくあれがそうだろう。現に目の前には四足歩行の魔物が姉ちゃん達に襲い掛かっていて、対する姉ちゃん達は満身創痍な状態だ。
周囲にはアンペルだかリラとかいう2人組の姿はない。ならばどうするか、答えは決まっている。
「ゴゲエエェェ!」
「ガ、ガイア!?」
俺は手足を無駄に広げてバタつかせながら大声で魔物めがけて突進する。その大声と大きさに目標を姉ちゃんから俺へと変えた魔物が突っ込んでくるが、俺は叫びながら剣を持った腕を振りかぶった。
「剣パンチ!」
獣は鼻が弱いとどこかで読んだことがある。あれは魔物だし、付け焼刃の知識だったので半信半疑だったが『南無三!』と拳で魔物の鼻先を殴りつける。すると、魔物はけたたましい悲鳴を上げながら地面を何度かバウンドし、ひっくり返ったままピクピクと痙攣していた。
その迎撃行動にレント兄ちゃんやタオが『剣! 剣!』と叫ぶが、俺は剣なんて習っちゃいないからしかたないだろう。なので、そのまま殴り倒せば決着がつくのではないかと考えた俺は追撃を掛けようとしたが、その瞬間に廃墟内に男らしき声が走った。
「そこの大男! そのまま、そいつを投げ飛ばせ!」
誰かは分からないが声の言う通りに俺はひっくり返った魔物の後ろ脚を掴み、鍬を振り上げる要領で空中に放り投げる。
すると、途端に上空で黒い風が走った。風は通りがけに魔物をズタズタにすると、俺の横に着地す──デッッッ。え、なにそれすごい。何がとは言わないけどすごい。
「なっ」
「目をつぶれ」
突然のすごいものに気を向けていると、後ろから何かが放り投げられる。タル? タッタル? なにはともあれ、指示通りに目をつぶると正面から凄まじい爆音と熱が俺の頬や耳を殴りつける。
周囲が静かになったところでようやく目を開けると、そこには黒焦げの魔物が完璧に事切れているのが見て取れた。──といったところで俺のでしゃばった救助活動は幕を閉じた。
その後はなんとも大変だった。筋骨隆々な大男という不審者一直線の見た目に、姉ちゃんがクラウディアと呼んでいた女の人は終始俺に怯えていた。心折れそう。……折れる。
そして、そのままクラウディアさんから一番離れた位置で大人しく帰ってきた俺達に待っていたのは、アガーテ姉さんからの説教だった。まぁ、予想はしてたけどね。
「ガイア! 俺の剣どこにやったんだよ!」
「……あっ!」
護り手の兄ちゃんの言葉に剣の感触が俺の手から消え失せていたことを思い出す。魔物を空中に投げた時にすっぽ抜けちゃったんだった。そのことを護り手の兄ちゃんに説明すると、ありがたく拳骨をいただく羽目になった。後でモリッツさん辺りからもらえば良いでしょうがよぉ!
そうしてやっとこ解放された俺は痛む頭を擦りながら姉ちゃんの傍に近づくが、クラウディアさんに先に見つけられて1歩距離を取られる。……悲しい。
「いてー。姉ちゃんのせいでこっちまで怒られる羽目になったじゃんか」
「ガイアが勝手に行動しただけでしょ!」
「ひゃっ、……え、姉ちゃんって。この人まさか」
「どうも、ガイア・シュタウト。15歳です」
『えぇっっっ!?』
リラさん以外の外部からの人間が一斉に信じられないものを見たような目でこちらを見てくる。おいおい、これでも純情ボーイなんだぜ? だから……その……距離を置かないでほしいな。ほんとマジできついから。
あ、それでも距離が……うん。リラさんだけが救いだ。
「アンペル。あれはお前と同じ人間か?」
「多分そうだ。多分な」
前言撤回。どうやら人間なのか怪しんでたようだ。
なんでや、高校生ぐらいのバスケやバレーの子でも同じような身長の子が居るやろ! 畜生、スレッドに悪口書いてやる!
────────────────────
錬金術士? 俺は農家だよ【ライザのアトリエ】スレより
721:ガイア
ライザ姉ちゃん達とクラウディアって人の救助完了
なお、絶賛避けられてる。しかも、外部の人が俺が15歳って言ったら珍獣みたいに見てきた
泣きそう
723:名無し
>>721
なんかしたんか? リトさんみたいに股間や胸に顔突っ込んだとか
730:名無し
>>721
救助ってなにしたん?
737:ガイア
>>723
してないしてない
魔物に襲われてたから大声上げながら手足をばたつかせて突進しただけだよ
鼻っ柱殴って吹っ飛ばした後はリラさん? ってすごい人とアンペルさんって人が倒してたし
744:名無し
>>737
は? つまり、魔物に一発いれて投げ飛ばしたと?
747:名無し
やっぱ農筋だわ
749:名無し
人間じゃねぇよ
752:名無し
これが15歳とか一番バグってるわ
757:名無し
あの画像のやつが大声張り上げながら珍妙な動きで走ってきて、魔物を殴り飛ばすんだろ?
そりゃ怖いわ
758:名無し
そういえばガイアって金髪スキーだったよな
終わったな
759:名無し
もともと脈ないだろ
762:名無し
精々、名前の通り2人の間に入って返り討ちにされてろ
765:名無し
総ツッコミで草
まぁ、今後はライザ周辺が騒がしくなるから注意しとくんだぞ
────────────────────
うん、悲しくなってきた。これが差別か。
なんだか悲しくなっていると、大人達の会話に付いていけていないのか姉ちゃんがクラウディアさんと話していた。
「大人の人ってなんでこういちいち回りくどいんだろうね」
「世間体って言うんだって」
「あぁ、あっちの2人組は商人じゃないから同じ枠組みに出来ないからだよ。だから、面倒くさいけど許可を取ってるんでしょ」
「ふーん、ほんと面倒くさいね」
「ひぅっ! あ、ごめんなさい」
もはや慣れたものだ。心の中の涙は極力見ないようにした俺は、姉ちゃんに責任の所在を明確にすることの大切さを教え説くが、『あー、うん。めーかくにね!』と傍から見て分かっていないので諦めた。
だが、しきりにアンペルと呼ばれたモノクルを装着した男の人をチラチラ見ているので、俺は姉ちゃんにこっそりと耳打ちする。
「いや、あの隣の人に勝てんだろ。やめとき」
「違うよ! あの錬金術っていうのが頭から離れないんだよ!」
どうやら違うらしい。だが、あの爆発を見せられて錬金術に魅せられたということは、我が姉は爆弾魔になる素質があるのではないか。帰りの船でこっそりとそのことを踏まえて『ところかまわず爆弾は止めてくれ』と頼むが、返事の代わりに船から突き落とされた。──伝え方を間違えたのかもしれない。
こうして、姉ちゃん達の最初の冒険は幕を閉じた。帰った後に母さんの説教が待っていたが、錬金術ってのに上の空な姉ちゃんは追加の説教を受けている。こんなので立派な錬金術士ってのになれるのかねぇ。
一応途中までは書いてるのですが、不定期になりそうです。
設定
掲示板
数多の原作の数多の世界線を繋ぐ掲示板。ゆえに同じ原作でIFの場合といった謎現象もしばしば起こる。
なお、仮にWIKIや攻略サイトのリンクを貼り付けられようとも、なぜかリンク先から見れないという不思議なサイト。多分、アルセ●スとかラギ●クルスが悪いナバ。
ガイア
田舎の山の整備中に毒蛇に噛まれ、そのまま下山中にポックリとなった都会でサラリーマンをしていた経歴を持つ農家。田舎特有の悪習などといった経験もあってか周囲への立ち回りには人一倍気を使っており、飽食の日本ではないのに自由奔放な姉であるライザを心配している。
身長は180センチに加えて未だに成長期というとんでもない肉体を持ち、日頃の農作業で鍛えた農筋は最大で2つの水を搭載したタルの運搬を可能とする。分かりやすいモデルとしては、某英霊ゲーの超人オリオンを180センチまで縮小化させたぐらいを想像してほしい。
ただ、この筋肉が武器を持った際に発揮されることはなく、一度興味本位で護り手の訓練に参加させたアガーテが見たのは上段から一気に振り下ろすぐらいしかまともに出来ないガイアであった。なお、寸止めが出来ないために必ず地面に剣をぶち当て、そのままぽっきりと折れてしまうため、これ以上は駄目だと彼女が『お前はもう農具だけ持ってろ!』と叫んだのは護り手達の語り草であった。
性根は穏やかと書いたが、彼も人間なので怒る時は怒る。──が、大抵それは表に噴出させずに掲示板に書き込むという生粋のにちゃんねらーらしき行動を良く起こしていたりする。
主要人物からの印象
ライザ
昔は一緒に遊んで可愛がっていた(ライザ談)弟。
だけど最近は今まで以上に口煩く言ってくるし、ちょっとしたお願いも聞いてくれない可愛くないやつにランクダウンした。
レント
いつの間にか背が追い越された弟分。親父にも優しく接している数少ない善人で言っていることも納得できる説得ばかりだと分かってはいるのだが、やたら護り手の訓練に参加させようとしてくるお節介をどうにかしてほしいと思っている。
タオからの印象
頼めば本の片づけなり、自分の考えた推測なりを黙って聞いてくれる友達。
でも、ボオスとランバーに絡まれたときに『喧嘩両成敗!』って拳骨落とすのは止めてほしい。その時は死んだ曾祖父が本を片手に何かを言ってる様子が見えたらしい。
ボオス
幼少のころから自分を慕ってくれ、気が向いたときに手伝いを志願してくれる気の良い存在。上記の3人とは対照に村の手伝いや自身の仕事に邁進しているので、彼の中ではなにかあったら頼る近しい年齢の人物にランクインしている。
だが、一度だけランバーと共に剣術の相手を頼んだ際、剣をポッキリ折られてしまう。そればかりか、もう1本をすっぽ抜けてさせて湖に落としてしまったことから、二度と剣術の相手にはさせないと心に誓う。
クラウディア
両手をくねくね動かしながら筆舌し難い形相で大声を出して魔物に襲い掛かるガイアの一連の動きが地味にトラウマ。
アガーテ
二度と武器には触るな、死人が出る。
アンペル
一瞬、別の魔物か何かだと思った。この歳になって未だに世界は広いと実感させられた。
リラ
アンペル、あれは人間なのか?