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こんな原作、掲示板の皆のデータにないぞ! 【ライザのアトリエ】スレより
4:ガイア
皆の言ってることってスレッド名の通りでおk?
9:名無し
>>4
おk
13:名無し
>>4
まさしくその通り
で、ぶっちゃけどうするか
21:名無し
連れてっちゃえばぁ?
28:名無し
面倒だし、気絶させて縛り付ければ?
33:名無し
モリッツに失踪しようとしてるって通報すれば、あっちが勝手に監視体制敷くだろ
35:名無し
連れてっても意味ないしなぁ
46:名無し
>>35
死ぬ可能性の方が高いしな。最悪、これからのライザシリーズ原作ブレイクの危険性があるし
55:名無し
原作ブレイクは元々あるって考えだけど、たしかに今のボオスを異界に連れていくのはリスクがでかいよな
66:名無し
キロに護衛してもらうのは? たしか、途中まで案内ってことで話ついてただろ?
74:ガイア
>>66
話ついてるよー。んじゃ、キロさんに頼むかぁ
考えてることもあるし
80:名無し
まーたなんか悪だくみしてますよ。このおバカ
84:名無し
絶対碌なことにならねぇからやめとき
86:名無し
そもそも、なんでこんなことになったんだ?
93:名無し
分かる。ボオスがこっちに参加したいなんて言うか?
102:名無し
ほら、あれだよあれ。ガイアが予想以上の緩衝材になって対立が緩和して、竜の一件や湖の魔物も動きすぎてボオスが予想以上の精神的成長を遂げたんだろ
112:名無し
>>102
割としっくりくる推測で草
121:名無し
>>102
あり得そう
132:ガイア
>>102
結局、俺のせい?
135:名無し
>>132
お前、何かやっちゃいましたぁ?
144:名無し
>>132
今推測してみたが、ボオスは精神的に成長したせいで貴様達の冒険について行く! 貴様の頑張りすぎだ!
153:ガイア
>>144
ふざけるな! ボオス兄さんの思惑一つ、農筋で押し返してやる!
159:名無し
唐突な逆襲のボオスやめてもろて
161:名無し
とりあえず、話聞いてから対処すれば良いんじゃね
164:名無し
最悪、ふん縛って実家に強制送還で
170:名無し
なるほど、これが(パーティからの)追い出し屋か
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うわ、原作にないのかよ。やっぱ色んな所で変わってたんだなぁ。
しかし、まずいぞ。このまま『俺も行く』ってなったら止めきれんし、前に掲示板の民から聞いたけどボオス兄さんは最終章も出番があるらしいからここでファンブルにファンブルを重ねたら原作がブレイクしてしまう。
いや、ここに来たからついてくるってことはないはず。……はずだ! きっと、『島のことは俺に任せろ! お前達はさっさと準備して蝕みの女王を倒してこい!』って激励のために来たはずだ。
「なんでボオス兄さんが居るん?」
「それはね「いや、タオ。俺から話す」」
タオの話を一旦遮ったボオス兄さんが事情を話し出す。
今までクーケン島の周囲で起こった事件や過去のことを知ったボオス兄さん。だが、実際に動くのは姉ちゃん達といった現状に『またしても何もできない』といつものブルネン家うんぬんから来る発作を起こした彼が模索した結果、『そうだ。ついて行こう』となったらしい。
なお、いつの間にか多少関係性が修復したレント兄ちゃんと剣の修行に取り組んでいたらしく、彼からは『戦うぐらいはできる』というお墨付きをもらっているらしい。
うわー、うわー、うわー。考えてた最悪がさっそく当たっちゃったよぉ! 詳しく説明したら掲示板の民も余計に混乱してるし、どうしたもんか……。
とりあえず、レント兄ちゃんを突っついておくか
「レント兄ちゃん、相手は異界のフィルフサだけど? 大丈夫なん?」
「前衛と最後衛は厳しいが、それ以外なら出来ると思うぜ」
「レントには既に戦士としての心を教えている。こいつが良いと言うのならば、私は何も言わない」
ったく、これだから脳筋は困るぜ。
良かろう。今後の展開的にもインテリジェンスに満ち溢れている俺が、何とかボオス兄さんを宥めてクーケン島に返して見せよう。
「ボオス兄さん、申し訳ないけど向かうのは異界なんだ。それにこれは俺達でも成功するか分からない。だから、今回は……」
「そうやってまた一緒に冒険させないつもりか? 古城の時にお前は言ったよな、なにもかも性急すぎたって。だからこうして事前に来たのに、お前は……のけ者にするのか?」
「いや、それとこれとは」
「ライザ、お前から見て俺は冒険するのに不足か? それとも冒険する時期を過ぎているか?」
「ううん。ピッタリのタイミングだし、レントのお墨付きがあるなら良いと思うよ」
頑なに否定的な俺に対し、ボオス兄さんは言葉を投げかける相手をいきなり姉ちゃんへと移した。
きったねぇ! この人、周りを懐柔しやがった。姉ちゃんも昔馴染みと冒険出来るからって甘い考え出してきやがってよぉ!
あ、クラウディアさんもそっと未記入の誓約書作ってボオス兄さんの傍に滑らせるんじゃねぇよ! 油断も隙も無いな、この人!
「ガイア、これで良いか? 必要ならば父さんにも誓約書を……」
「もうこれで良いっす。ただ、実力者と極力居るようにお願いします」
「すまない、苦労を掛ける。だが、俺も……」
俺の心労を察してか謝罪するボオス兄さんだが、俺的には気苦労とボオス兄さんに冒険させてあげたいという2つの気持ちが残像が見えるほど高速で反復横跳びをしている。ただ、人数が増えることは単純にうれしいため、これ以上は難色を示すのはやめておいた。……未だ俺の心と掲示板が悲鳴を上げているけど。
まぁ、俺のミジンコみたいなお気持ちとあんな便所の落書き共は別に良いや。
へい、姉ちゃん! 浄水装置のテストするから早くしな! え、妙に元気が良いって? キチゲが貯まってるぐらいだからヘーキヘーキ。
なんだか可哀想な目で皆から見られているが、俺は姉ちゃんから手動動力をかっぱらうとタオとボオス兄さんを連れてクーケン島──その中枢へと赴いた。
「じゃ、チャキチャキ取り付けよろしく。ボオス兄さんは外で変化あるかの確認よろしくぅ!」
「分かったよ」
「じゃ、外行ってるぞ」
装置を取り付ける傍らで暇になった俺は、まだ物資とかが残されていないか見回る振りをしながら掲示板を見て時間を潰す。
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こんな原作、掲示板の皆のデータにないぞ! 【ライザのアトリエ】スレより
359:ガイア
どぉぉぉすんだよ、もぉぉぉ!
364:名無し
どどどどどーすんの! どーすんの!
368:名無し
どーすんのぉ? (ねっとりボイス
377:名無し
トレセン学園にお戻りください
379:名無し
こうなったらインペリアルクロスを使わざるを得ない!
385:名無し
い、インペリアルクロスだって!? なるほど、それほどの難題か
387:ガイア
なにそれ。状況打開できるならやりたい
398:名無し
>>387
ふふふ、知らん
405:名無し
>>387
こう、なにかすごいすごくて……ばーっとなって。あとすごいんです!
407:名無し
>>387
何それ知らん……怖っ
416:名無し
>>387
ロマ●ガっていうゲームの陣形で、リーダーを中心に残り4名が前後左右に位置することで、十文字の隊形を取る陣形。ネタだと思うけど、中衛に取り込むのは結構良い着眼点だと思う
420:名無し
>>416
そうそう、俺もそれが言いたかった
427:ガイア
>>416
あー、あの陣形ってそんな名前だったんだ。中衛に取り込むのはやるつもりだけど、十文字は場所取るんだよなぁ
あー、もう。あ"ぁ"ぁ! あ"ぁ"ぁ"ぁぁ!
437:名無し
ガイアが某動画のような叫びをしておる
439:名無し
ガイアって筋骨隆々の化け物だよな? なんか、毛がもっさもさの小動物が二足歩行で叫んでるシーンが思い浮かぶんだけど
443:名無し
>>437 >>439
そこまで可愛ければマスコットになれたのにな
452:名無し
マスコットになったらなったで2のマスコット争いで鎬を削るぞ
いやだよ? ガイアと●●(ネタバレ防止)がクロスカウンター決める光景なんて見たくねぇ
461:名無し
案外、●●のが強くてマウント取られて顔面連打されてたり
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正直、マーモットの吹き替え動画みたいに叫びたいのは事実だが、加入してしまったものは仕方がない。こうなったら異界で実際に戦ってもらって実力を理解らせるのが一番穏便かもしれない。
いや、俺が寝ながら考えた秘策──矢による長距離射撃で女王を弱らせる作戦の護衛にキロさんとついてもらうのも良いかもしれない。
「ガイア、取り付けたよ」
皮算用だが決して的外れなことは考えていないとは思う。そんな俺にタオが取付完了を教えてくれた。
部品は最小限な物だが、どれも俺が握っても力強い感触が返ってくるほどしっかりした作り。これならば!
「じゃ、回すから」
「分かった。こっちでも見ておくよ」
そう言ってタオは中枢の制御盤で何やら指を動かし出す。その間に俺も全身の力を込めながらハンドルを回し出した。
最初に感じたのは非常に硬い手ごたえ。油も差さずに長時間放置された巨大なギアを前に、ハンドルを握る手は微動だにしなかった。ただ、最近はフィルフサも殴り倒せるようになってきた農筋を舐めないでもらいたい。
力を込め続けること数分。そんな健闘が届いたのか、浄水装置内部のギアが回ると共に握るハンドルも適度な負荷で回し続けられるようになってくる。
ここまでくれば後はもう惰性で回す。気分はどっかの湖畔の大砲屋か、洗濯場でグルグル回してる男だろうか。……あ、どっちもゼ●ダか。
「おい、タオ! ちょっと来てくれ!」
「あ、うん! ガイア、このまま回してて!」
「うぇーい」
嵐がふきそうな歌を口ずさみながら回していると、いきなりボオス兄さんがこちらまで駆けてくる。何やら急いでいるようだったので、特に何も言わずに2人を見送りながら引き続きグルグルしていたのだが──。
「うわぁ! なんだこれぇ!」
とまぁ、こんな言葉が響いて来たんだよね。そりゃ、気になったら手を止めて地上に向かったんだよ。
そしたら……、近くにあった噴水から汚水が噴き出してた。何のことか分からんだろ? 俺も分からん。
そんな感じで俺とタオがその光景に放心していると、水でびしょぬれになったボオス兄さんが肩を怒らせながら近づいてきて俺達を殴ってきた。曰く、『汚水が水生みの祠から流れている水に合流しそうだったから塞いできた』のだそうだ。
「あぁ、ここからそっちの水道管に繋がってるのか」
「この前離れの説明で……ってお前はハンマーをどこかにやってて聞いていなかったな。すまない」
全く聞き覚えのない話に呆然としていると、ボオス兄さんが改めて説明してくれる。なんでも水生みの離れから生み出された水は元から水が流れていた水道管に合流する形で流れているらしい。
あ、なんだ。それなら掃除の手間も格段に減るじゃん。『水道管延々と掃除するのダルッ』と思ってたんだよね。いやー、後々を考えれるなんてブルネン家の御先祖、ナイス判断。
「ひとまず、ガイアは水を出し続けろ。何重にも仕切りで塞いでいるから水漏れの心配もない。ランバーにも手伝わせるから早めに片付けるぞ」
いつの間にか箒やザルといった溝さらいの道具を持ってきたランバーさんがやってきたので、ボオス兄さんやタオが掃除をしている間の俺はひたすらに動力を浄水装置に伝えていく作業を行っていた。
途中、タオが『残り2つ分も掃除することになった』と報告してきた時には殺意が沸いたが、幸運なことに全ての浄水装置の出口は外の噴水にも分岐した水道管に集約されているみたいで、掃除はスムーズに終わらせることが出来た。
「よし、これでひとまずは大丈夫だな。タオ、一応水質もあの錬金術士殿に見てもらっておけ。良いか、ライザにじゃないぞ?」
「わ、分かってるよ」
ボオス兄さんが小さな容器に先ほど浄水装置から湧き出た水を入れていたタオに念を押す横で、俺は水道管から流れている水を掬って口に入れてから数秒ほど放置する。
うん、別に痺れや嫌な味はないな。ちょっと飲んで……異常はないyぶっへぇ! ボオス兄さん、人が安心してる時の鳩尾は卑怯……。
は? 危険かもしれない物をホイホイ口に入れるな、幼児かって? だから口に含んで何度も異常確認したんじゃねぇか! 口に入れるのがそもそもおかしいって? ……それはそうだ。
「お前は本当にライザと似たようなことするな! あいつは性別的にも危なっかしいが、お前もお前でどっかで生水飲んでくたばっても知らねぇぞ!」
「うぇ~い」
「返事はちゃんとしろ!」
ちっ、うっせーな。反省してま~す。まったく、仲が戻ったと思ったらこれだよ。
ボオス兄さんの怒りはさておくとして、一旦浄水装置周りの掃除が終わったことを報告しようと俺達はアトリエへと戻ろうとするが、それをランバーさんを帰していたボオス兄さんが止める。曰く、『モリッツさんを説得するのを手伝って欲しい』とのことだ。
あー、ボオス兄さんには話を通したけど具体的に決めるのはモリッツさんだからね。古老は……どうせ『そもそもクーケン島から出るな!』って怒られるから除外しとこ。
そうなると、モリッツさんを説得するための材料がいるな。竜はこの場に都合の良い奴がいないし、なによりまた『討伐するぞ』っていう危険があるから使えない。湖の魔物も同じ理由でインパクトがない。
こーれーは、結構難しいぞぉ。
「魔物の方向性で考えたけど、それだけで街道を数日止める材料になり得ないね。なまじっか俺達が問題を次々と倒していったから最悪、元凶を討伐しちゃえば良いって考えに行くかも」
「その元凶を討伐する余波で魔物が狂暴化するっていう考えはどうだ?」
「そうなると護り手を増援に出すかもしれないからなぁ」
アンペルさんやリラさんも言っていたが、今回のことは門を知っている面々で解決しなければならない。だから、申し訳ないがアガーテ姉さんや兄ちゃん達の出番はないに等しい。
まぁ、ボオス兄さんは異界に入って行ったから大甘の……采配……で。うーん、なんか繋がりそう。
俺がそんな考えで頭をこねくり回していると、俺よりもよっぽど頭の回転が早いタオが声を上げた。
「ガイア、ボオスを増援ってことに出来ないかな?」
「あー、そうか。見届人って形にすれば……」
「どういうことだ?」
まだ分かっていないボオス兄さんに詳細を説明する。
まず、『強い魔物がこの周辺を根城にしているので、それとの戦闘を行う。なので、モンスターが想定外の被害を出すかもしれないから街道を数日封鎖して欲しい』という、先ほどボオス兄さんが話していた通りのストーリーを仕立て上げる。
ただ、そうなると護り手の増援が懸念されるのだが、そこは竜や湖の魔物を討伐した姉ちゃんらやバレンツ商会の護衛をしていた実績を持つリラさんとアンペルさん。そこに、ボオス兄さんが見届け人として参加する流れである。
「いや、中々筋が通っているが……」
「こっちの事情知ってたらちょっとね……」
まぁ、内情を一度知ってしまえばマッチポンプ甚だしいが、ボオス兄さんが『ブルネン家として見届けよう』って言ったらコロッと騙されそうなんだけどなぁ。
俺がそう言うとボオス兄さんが『ほんと父さん嫌いになったな、お前』と呆れているが、これはクーケン島や行商人の皆に対する優しい嘘なのだから勘弁してほしい。
「ひとまず、これで行ってみるか。ガイア、最初の出だしは頼んだぞ」
「分かってる。タオは知識者として強大な魔物と戦う時の余波とかそれらしいことの補足をよろしく」
「任せて。僕だってアンペルさんとリラさんからそういったことは学んでるんだから」
こうして俺達はブルネン邸へと拠点凸をかました。最初こそ俺の言い分に懐疑的な視線を向けていたモリッツさんだが、タオの説得やボオス兄さんの確認報告によって次第に態度が軟化する。
「これは街道の安全のためになんとしても討伐しなければならんな! よし、護り手と共に討伐を依頼したい!」
「あー、討伐するのは僕らも考えてるんですが、周囲の影響というものがありまして」
「ならば周囲の魔物ごと討伐すれば良いだろう。護り手を総動員させれば……」
討伐しか言えねぇのか、この親父。頭、ヴェイ●ン抹殺爺さんか?
ゴホンッ、やはり『護り手とお前達で討伐してこい!』と言ってきたので、竜のことや竜の出現によって根城にしていた古城の魔物が活性化したこと(嘘)を例に出しながら少数精鋭で行くことを説得する。
『とてもじゃないけど護り手の様子を見る余裕がない』や、『護り手の誰かが死んだら責任とれるんスか?』といった具合で手一杯なことと責任問題をちらつかせると、モリッツさんは即座に手の平をひっくり返した。──ちょろいぜ。
「ならばどうする? 悪童達で何とか出来るのか?」
「錬金術士殿とその護衛を雇います。戦力としては護り手以上の使い手なので」
「うぅぅむ……。だが、雇うとなると金が必要だろう」
「なら、僕らも討伐に行きません。敵の脅威はボオス兄さんも言っている通り、非常にまずい相手ですよ。おそらく、王都からの騎士団出動クラスです」
「父さん頼む。俺も行くんだ、俺を守ると思って雇って欲しい」
ま、騎士団を派遣してもその間に周囲が更地になると思うけどね。
ボオス兄さんの必死な説得によってモリッツさんがようやく首を縦に振る。ただ、人──しかも手練れを2人も雇うという事で厳密には値下げ交渉をこちらに任せてきた。
まぁ、あの人らも悪い人ではないから……。いや、『ならば我々の旅費の足しになってもらおう』と喜々として毟り取りに来る色白な腹黒眼鏡が居るわ。でも、それは色々デカい外付け良心にでも頼めば何とかしてくれそうだし。『ヨシッ!』としよう。
***
「……といった感じで話は詰めてきた」
「ボオスもこれで悪童の仲間入りだな」
「ふむ、門の封印と共に旅費も稼げるとは。僥倖だ」
「アンペル、我々の目的のためだ。譲歩してやれよ」
そんなこんなで話を終えた俺達はさっさとアトリエに戻って皆に報告する。手動で稼働させた浄水装置から出てきた水が入った瓶を手渡されたアンペルさんが推測通り依頼料のことを話しているが、リラさんという外付け良心に窘められている。……ふふっ、計画通り。
「ふっふっふ。何か変なことを考えているっぽいガイア君、君に新たな弓を授けよう!」
妙に仰々しい言葉と共に姉ちゃんが巨大な弓を──指差した。あぁ、『取れ』ってことね。
まぁ、見るからに姉ちゃんが持てるような大きさの弓じゃないし、ここで変に何か言って機嫌損ねるのも申し訳ないので『へへぇー』と小作人満載な礼をしつつ、俺は机に置かれた弓を手に取った。
重い。それが弓を手に取った瞬間に感じた俺の所感である。
巨大ゆえに重いのは仕方のないことだが、この重さを形容するなら──『人1人分』であろうか。そんな直感が俺の脳裏から1つの素材を導き出した。
「"英霊の魂"かな。これは」
「うん。だけどその素材は……この人達は"自発的"に錬金釜に入ってきたの」
話を聞くと、最初は数種類の木材で弾性と剛性を上げながら金属で補強。仕上げに塔で拾ってきた魔術書の紙片で魔力的な補強をするレシピだったらしい。そこに瓶で保存しておいた『英霊の魂』が瓶からすり抜け、姉ちゃんの『あっ』という声と共に釜に入って行ったとのことだ。
「戦いたいんでしょ。自らが負けたフィルフサ、その女王に」
手に取って少ししたあたりで俺の背後に立った『存在感』に語り掛けるように話す。俺も存在感だけしか感じられないし、他の人も騒がないことから弓を持った人間が魔力的につながることで芽生える感覚なんだろうな。幽霊の類は極力信じなかったが、ここまでのことをされると信じざるを得ない。
仕方がない、共に女王殺しと行こうじゃないか。ただ、用が終わったら成仏してね? 俺、怖いの結構苦手だから。……冷たっ! これ絶対『分かってる分かってる』って頷いてる!
「どしたの?」
「いや、なんでもない。ちょっと試してくるわ」
冬の外気のように冷たい何かが俺の肩を叩きながら頷いている感覚に俺はビクリと身を震わせる。その様子を不思議そうに姉ちゃんが問いかけてくるが、『なんか幽霊居る』と言い出すことが出来なかった俺はそそくさと弓と矢を両手にアトリエから出る。
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こんな原作、掲示板の皆のデータにないぞ! 【ライザのアトリエ】スレより
970:ガイア
頼む、レス消費してくれ。実験したい
971:名無し
急に出てきてなに言ってんだこいつksk
972:名無し
ksk
973:名無し
ksk
974:名無し
レス乞食は嫌われるぞ
975:名無し
次、ガイア建てろよ
976:ガイア
端的に言えば、新しい弓が出来たから精霊的なあれこれを検証したいんだよ
977:名無し
まーた、トンチキ発想かよ
978:名無し
協力してやるか
979:名無し
ksk
980:名無し
ksk
981:名無し
ここ(掲示板)に、ストレッチパワーが貯まってきただろぉ?
982:名無し
これはMハゲの王子が活を入れなくても元気が集まってくるパティーン
983:名無し
さて、1000までいくか
984:名無し
ksk
985:名無し
>>982
……スゾ
986:名無し
結構人が居ることに驚くわ
987:名無し
ksk
988:名無し
ksk
989:名無し
これ鯖落ちね? 管理者に注意されそうだけど
990:名無し
>>982
処すぞ貴様
991:名無し
スレ民は回遊魚みたいなもんだからな
992:名無し
ks
993:名無し
加速
994:名無し
この流れは1位をコ●ルにした時を思い出すな
995:名無し
>>982
ンだぁ? てめぇ……
996:名無し
>>994
俺は飛行機
997:名無し
そろそろ終わるな
998:名無し
五●さんを忘れるなんて……しろーとがよぉ
999:名無し
いっけー!
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矢を引き絞る過程で俺は掲示板でレス乞食の真似事をする。キロさん曰く、俺が放ったあの一撃は俺の後ろにあるとされる『穴』から大地の精霊が流れ込んできて俺の身体を通して精霊を打ち込んでいるらしい。
恐らく、それがこの掲示板とつながる穴なのだろうと俺は睨んでいる。それならば、レスを加速させることで穴を広げて流れ込む精霊を増やすことが出来るのではないだろうか。
ただ、俺には精霊の様子が分からない。なので、皆と共にアトリエから出てきたリラさんに応援を頼むことにした。
「リラさん! 精霊見えるんだったらどんな調子か見てもらっても!?」
「ガイア! お前何をしたんだ! 大地の精霊が矢を覆っているぞ!」
俺の予想通り、レスの勢いで精霊の増減が決まっているらしい。ならば、レス乞食で精霊の数を増やした矢を蝕みの女王に充てたら大ダメージが期待できるかもしれない。
そんな緩んだ考えをしていたからだろうか、それともスレッドが1000という限界に来たのに気付いたからだろうか。どちらにせよ集中力がそがれたことで、放った矢は木々の合間を縫うような軌跡で飛んでいく。
あ、やっべぇ。外れたの回収するのダル……は? 刺さった?
「え、今のって外してたよな?」
「うん、急に矢がカクッて曲がったよね」
どうやら俺の目がおかしくなったわけではなかったようだ。どう見ても木々の合間を飛んでいく軌道の矢が『直角に曲がって』木に突き刺さった。
近づいてきた皆が俺に色々言っているが、俺が超絶技巧に目覚めたわけじゃない……と思う。そうなると、必然的に俺の視線は握っている弓に向いてくる。
「姉ちゃん、この弓になにかした?」
「うぇ!? してないよ? あたしのせいにしないでよ!」
どうやら姉ちゃんも知らないらしい。周囲が『もっと見せろ』というので、試しに自分が狙いたいところを思い浮かべつつも別の方向へ飛ばしてみる。
1発目。木々の間に放った矢が俺の思ったとおりに右の木に突き刺さる。
2発目。石壁を狙ったつもりが若干ズレて飛んで行った矢が、軌道修正して石壁を破壊する。
3発目。反対方向の木を思い浮かべながら放たれた矢は、大きく弧を描いて思い浮かべていた木にたどり着こうと頑張るが、急激に地面に墜落する。
間違いねぇ! これ、弓の英霊の魂がなんかやってやがる!
そうだろ! 絶対そうだよな? ……なんか頷いてる気配がする! なんだよ、こいつスタ●ドかよぉ!
「姉ちゃん、これ。この戦いが終わったらすぐにお焚き上げするから」
「いったい何なの!?」
「俺、呪われたくない」
俺の超絶技巧化に思われていたが、どうやら英霊さんがなんか頑張ってくれたらしい。有用な能力だし、俺も男の子ゆえにそんな能力に憧れが無いと言われれば嘘になる。
だが、それとこれとは話は別だ。幽霊と四六時中一緒にいる趣味は俺にはないゆえに、この戦いが終わった後にこの弓はお焚き上げすることに決めた。
おい、なに後ろでぺっちんぺっちん叩いてんだ! 終わったら成仏するって話だったろ! 冷てぇんだよぉ!
「ライザ、本当に何もやってないのか? 様子がおかしいぞ」
「だから何もやってないってば!」
新たな同居人にこの先がちょっと不安になったのは内緒である。
なお、掲示板はその後も無事にスレッドを立てることが出来たことから結構寛容な管理者なのだろうと俺は思っている。
常闇の解放者
ライザが調合したタオの身長ほどある大弓。
アイヒェなどの木材系を数種類、スタルチウムでしなやかさと剛性を兼ね備えた作りをしており、そこに魔導書の切れ端や聖石の欠片で魔力的にも盤石な作りとなっている。
そこに英霊の魂も加わることで神秘の力が格段に進化。某ス●ンドのような存在が所有者の背後に立ち、所有者が放った矢がある程度狙った場所に突き刺さる。蹴って弾道を変えたり出来ないし、1人なので軌道を逸らすにも限度がある模様。
便利な能力だが、ガイアとしては気味が悪いためにこの戦いが終わったら即座にお焚き上げをして成仏させようと心に決めている。
彼曰く、『手が冷たい』のだそう。
命名の由来はライザ1のサブタイトルの一部と最新作のアトリエの一部をぐるこーんぐるこーんした結果