農家の子   作:マジックテープ財布

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UAや高評価、コメントに至るまでありがとうございます。
というわけで本筋も良いけれど、本筋とは離れたサイドストーリーをちゃちゃっと書き上げさせていただきました。

今回は別のアトリエからの流入品が出てきます。苦手な方はお気を付けください。


2.5(サイドストーリー)

 今日は久しぶりに農作業が休みの日。──ということで、俺は珍しい物の確保やご意見伺いのためにバレンツさん宅へ突撃していた。

 流石は隊商。個人では取り扱えないようないろんな商品に俺は圧倒されるが、その中でも特に目立つのは本の種類だ。

 

「いろんな本があるんですね」

 

「あぁ、隊商の利点は管理する人間を雇えることでね。よく他のところから来た行商人からも買ったり売ったりしてるよ。やはり定番ものだと英雄譚とかがあるけど、中には……抱き合わせでこれらのような訳の分からない本がついてきてね」

 

 そう言ってルベルトさんが2冊の本を俺に見せてくる。異国の文字で内容まではよく分からないが、完成品と思われるお菓子の挿絵の下に材料と思われる数個の挿絵が載っている。これは……レシピかな? 

 得も知れぬ直感に気づけば俺はそのレシピのような本を2冊とも買っていた。どうやらルベルトさんも抱き合わせで購入したは良いが、読めない本なので持て余していたらしい。結構安めで安心した。

 

 その帰り、俺は安定の掲示板で今日の戦利品を報告することにした。

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なんてことのない一日 【ライザのアトリエ】スレより

671:ガイア

 なんか良さげな本買ったどー

【画像】

 

679:名無し

 >>671

 何の本だ? なんかファンシーそうな見た目だけど

 

689:名無し

 どっかで見たことあるなぁ。なんだろ

 

697:ガイア

 読めないけど、挿絵付いてる珍しい本。ルベルトさん曰く、抱き合わせで買ったはいいけど持て余してたらしい

【画像】

 

702:名無し

 はぁ? どっかで見たことあると思ったら、あまいせいかつ1と2じゃねーかw

 ほんとルベルトさんどっから仕入れてきたんだよw

 

712:名無し

 あそこって確かオルドール王国じゃなかったっけ? なんでそんなのが行商で流れてきてるんだよw

 

714:名無し

 うわ、アイゼンバールっぽい挿絵もある

 これのことね

【画像】

 

724:ガイア

 え、これそんなに珍しいもの? やっぱレシピ系? 

 

732:名無し

 >>724

 別のアトリエ作品のレシピ。アイテムも別作品準拠だと思うから、作れるかは5分だぞ

 

741:名無し

 >>724

 リーズのアトリエっていう別ゲーのレシピ。多分ここまで流れてきたのはなんかの意思とか気まぐれだと思う

 

751:ガイア

 あーね。とりあえずおのれ、ラギアクルス案件ってことだけは分かった

 

757:名無し

 なんでや、ラギアクルス悪くないやろ。ダークライにしとき

 

763:名無し

 いやいや、ガチ悪神のアルセウスのせいだって

 

768:名無し

 誰のせいとかどうでもいいけど、ガイアはそれをライザに渡すつもりなん? 

 

770:名無し

 作れるかはわからんぞ? 

 

778:ガイア

 一応レシピだし、作って失敗するなら使えないってことで良いんじゃないかなと

 

787:名無し

 んだな、錬金術は失敗するのも醍醐味だし

 

────────────────────

 ま、かと言ってところかまわず失敗して爆発するのもご遠慮願うけどね。ってことで俺は家にたどり着くや否や、屋根裏部屋へ直行する。

 

「姉ちゃーん、なんか珍しそうなレシピ見つけたー」

 

「レシピー? あんたなんでそんなの持ってるのよ」

 

 奇怪な表情で問い詰められるが、出所がルベルトさんだと伝えると姉ちゃんは『ふーん』と納得しながらレシピと思われる本を熟読する。

 読み始めこそ、錬金術でお菓子が作れることに深い興味を示した姉ちゃんだが、数分もすると『この素材はあれが使えそう』やら『この素材はこっちにあったっけ』とすっかり調合モードに入ってしまう。

 

「……うん、いくつかは出来そう」

 

「え、本当? この見た目の材料とか見たことないんだけど」

 

 数十分後、根拠がなさそうな結論に至ったらしい姉ちゃん。その自信のほどに懐疑的になっていた俺は、掲示板民から教えられたアイゼンバールなる挿絵に書いてある袋のようなものに指を合わせた。

 すると、姉ちゃんの口から『工程からして小麦粉だから、ヴァッサ麦で代用できそう……というか、出来る気配がする』と再び謎の根拠を述べられた。そんな感覚的な問題なのか、錬金術って。

 

 その後はいつものメンバーが集まったうえでアトリエに赴き、姉ちゃんはさっそく調合の準備に入る。

 

「えーっと、小麦粉に他にはー……。あ、塩草とエルツ糖!」

 

「あれ、それらって俺達が取ってきたわけじゃないよね? 勝手に使って大丈夫なの? アンペルさんに確認とってからとか」

 

「あたしのアトリエだから問題なーし」

 

 相変わらずの傍若無人っぷりの姉ちゃんだが、たしかに重要な物ならわざわざアトリエの保管庫には置かないだろう。……置かないよね? 

 ちょっと心配になったが、大人しく調合を待っていると錬金釜が光を発し出した。

 

「かんせー!」

 

 歓声を告げるライザの手の中には見るからに固そうなスティック状の焼き菓子が5本。それぞれが顔を見合わせ、各自1本ずつその焼き菓子を摘まむ。見た目は固く焼き上げたクッキーのような感じ──いや、カロ●ーメイトみたいだな。

 恐る恐る口に運んで歯を立て……硬っ! 思いっきり噛まないとかみ砕けんぞ、これ。

 

「固いけどいけるな」

 

「うぅ……僕としては固すぎ」

 

「わたしもちょっと……」

 

 うむ、やはりワイルドなレント兄ちゃんは平気でタオとクラウディアさんがダメか。姉ちゃんもちょっときついらしく、焼き菓子を口に咥えながらレシピを見ている。行儀が悪いからやめなさい。

 

「ひゃあ、ほれはんてほう? (じゃあ、これなんてどう)」

 

「口の中の物、全部食ってから喋りなさい」

 

 俺がそう言うと、黙ってモサモサと食べながらとある挿絵を16連射しそうなほど指で叩く姉ちゃん。うん、いつもの食い意地張ってる姉ちゃんで安心したよ。

 姉ちゃんが指示したのはカップに入ってる何か。おそらく飲み物だろう。材料は──牛の絵柄が書かれた瓶に……水滴が書かれた桶? なんだろ、特別な飲み物かな。

 

「姉ちゃんの好きにしな」

 

「むっ! (うん!)」

 

 姉ちゃんはガッツポーズしながらレシピ片手になんやかんやの調合を始める。そうしていると、アトリエの扉が開かれて外からアンペルさん達がくたびれた様子で帰ってきた。

 

「あ、お疲れ様です」

 

「ガイア達か、今帰った。ところで、何をしているんだ?」

 

 事の経緯はマルマルウマウマということで……。俺が事情を話しながら姉ちゃんが使っていない方のレシピ本をアンペルさんに手渡すと、彼はしばらくページをめくった後に『駄目だな。読めん』と匙を投げた。

 

「アンペルさんでも読めないんですか?」

 

「私は全ての文字や言語が読めるほどの知識はないぞ? ……それにしても、なにやら菓子のような挿絵ばかりだな」

 

「アンペル、涎が出ているぞ」

 

「なに!?」

 

「……嘘だ」

 

 そういうストロベリーな会話は外でやってくんねぇかなぁ。リラさんがアンペルさんを揶揄う様子に耐えかねた俺が姉ちゃんの様子を見に行くと、錬金釜が光って姉ちゃんの手元に湯気が立った白い液体が入ったカップが納まった。──特段深い意味はない。

 

「……はい、ガイア!」

 

「実験台にするのやめぇや」

 

「レシピ買ってきたの、あんたでしょ!」

 

 錬金した未知の飲み物という存在を黙って見つめていた姉ちゃんは、傍にいた俺にカップを手渡す。

 そういうならルベルトさんに責任行くでしょと言いたかったが、ここで言うとクラウディアさんがこの錬金したての正体不明な飲み物の実験台に手を上げかねない。

 仕方ない、こうなりゃ自棄だ。男の生き様、見とけやぁー! 

 

 うむ、わずかに甘くて……あったかい……それにこの独特の癖はヤギのミルク? これはつまり…………。

 

「ホットミルクじゃねぇか!」

 

「あ、ホットミルクだったんだ。じゃあ、皆の分作っちゃうね。あ、アンペルさん達にはさっきのお菓子も作ったげる」

 

 俺の葛藤を無視して姉ちゃんがホットミルクなどを量産し始める。

 え、ホットミルクなんてそこら辺の鍋でミルクを温めたら出来るものだろ? それをわざわざ錬金釜で作るの? 

 そんな考えが俺の頭をぐるぐる回り出す。そんな宇宙猫状態の俺にアンペルさんが話しかけてきた。

 

「私の聞いた話では、どこかでは賢者の石という超高度な錬金アイテムでパイなどの食料品を生み出す錬金術士も居るそうだ。おそらく、このレシピはそういった錬金術士が書いたんだろうな」

 

「馬鹿なんじゃねぇのー!」

 

 賢者の石って黄金に変えたり不老不死のあれでしょ? それで食料品? ますます意味が分からねぇ! 

 そんな世の中の不条理を訴えていると、姉ちゃんが追加のホットミルクや焼き菓子を用意してお茶会の準備を始めていた。

 え、なに騒いでんのって? これが! おかしいと! 思わないのか! ……あ、思わない? 錬金術ってこんなものだと思ってる? あ、はい。

 

「そんなことより食え、中々いけるぞ」

 

「リラ、それは何本目だ?」

 

「3本目だ」

 

 そう言いつつリラさんは4本目に手を付ける。すげぇ、小学校にあった電動の鉛筆削り器みたいに焼き菓子貪ってる。

 あ、たしかにホットミルクと一緒に食べればあの固い焼き菓子もかなり美味い。素朴な甘さが丁度いいわ。タオやクラウディアさんもほくほく顔で食べているから、恐らくこの組み合わせが気に入ったんだろう。

 

 だが、俺達とは対照的にアンペルさんの表情は暗い。もしや……本当にあの見慣れない素材は手を出してはいけないものだったのか? 

 

「姉ちゃん、素材。素材」

 

「え……あ。アンペルさん、素材置き場にあったやつを使ったんだけど……もしかして重要な物だったり?」

 

「ん? いや、私もたまに素材置き場にあるものを使っているからお相子だろう。だが……、甘みが足りなくてな」

 

 え、素朴な甘みだけどこれで十分だと思うんだが。これ以上の甘さってもはや甘いしか感じないのではないだろうか。

 どうやら俺の考えが正常なのか、全員が首を傾げて甘みを求めるアンペルさんを見る。すると、俺達が内々的に思っていたことを読み取ったのか、リラさんが唐突にアンペルさんを指差した。

 

「こいつは甘い菓子が大好物で、何とかとかいうドーナツをある時は何個も食べていたな。あのケバケバしい色のとんがった風味。そしてやたら甘い菓子は今でも忘れられないな」

 

「王都のアスラ・ドーナツだな。あの甘さが良いのだがな」

 

 ケバケバしい色のくどい甘さと聞いて俺は、アメリカンなケーキによくある着色が為されたドーナツを想像する。俺以外はリラさんの苦い薬を飲んだ後のようなげんなりした表情とアンペルさんの言葉の後に呟いた『あれは毒だ』という言葉にちょっと嫌な顔をしてはアンペルさんに不思議がられていた。

 

 あー、これはあれだな。アンペルさんは緑茶に角砂糖やミルクをこれでもかとぶち込んだり、椅子の上で体育座りしているような奴らの同類だ。

 掲示板や前世の知識だから深くは言えないけど、ただ一つだけ……。アンペルさん、大と小じゃなくて大と『糖』にならなきゃ良いね! 




あまいせいかつ1と2
 リーズのアトリエから登場。なんで、別ゲーのアイテムが出てくるかって? ノリです。
 ちなみに今回出てきたホットミルクとアイゼンバール。出した理由もあり、アイゼンバールは小麦粉、岩さとう、がんえんと材料の互換性が良かったこと。ホットミルクは互換性が良い他にリーズでは『モリッツ滝の水』というアイテムが必要なので出した次第です。

 あと、アンペルさんが超絶甘党なのは原作通りです。揚げバターに練乳掛けたやつ平気で食ってそうだな、この人
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