農家の子   作:マジックテープ財布

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4話

 瓦礫置き場の問題を解決してから再び数日ばかりが過ぎた。漁師の不漁や、村の細々とした問題を錬金術をもって解決していた姉ちゃん一行に、またしてもルベルトさんから招集がかかった。

 ちなみに不漁の件や村の問題には俺は一切関与していない。そろそろ乾期が近づいてきたから、撒いた水に蒸発を防ぐ敷き藁を撒く作業とかあったからね。

 その時、姉ちゃんが『やっぱりガイアが居ないと素材があんまり集まらなかったよ』って言ってくるけど、流石に仕事は疎かに出来ないとだけ伝えて勝手に頑張ってもらった。

 

 あぁ、そうそう。ルベルトさんの招集だが、俺もようやく乾期の準備が終わって暇だったから同行した。するとルベルトさん曰く、『最後の試験を行う』そうだ。

 それを聞いた姉ちゃんやクラウディアさんが既に合格したような気でキャイキャイ騒いでいる。……が、まだその試験内容も知らされていないというのに気が早い話である。

 ただ、ここで学習しない俺ではない。ちゃんと口をつぐんださ。女の子同士の間に入らない。ガイア、オボエタ。

 

 そして問題の試験内容だが、『街道に居る魔物に対応しながら目標地点に行って帰ってくる競争』という概要だけ伝えられた。……なんのこっちゃ? 

 ともあれ、入念な準備が必要だと思うので姉ちゃんに『アトリエで準備しよう』と言っていると、ルベルトさんから俺を戦力に加えるのは禁止と伝えられる。なんでも俺は既に村のお願いに対する遂行能力や評判が結構良いことや、戦闘能力もあるとアガーテ姉さん経由で十分知っているから何かあった時の救護役に当たってほしいとのことらしい。

 

「承知しました。では、姉ちゃんと準備してきます」

 

「頼んだよ」

 

 約束は明日の昼、俺が畑仕事を終えてちょっと休憩したらちょうどいいくらいになる時間だ。ありがてぇ。

 

 そんなこんなで俺達は一旦アトリエに帰る。

 帰るや否や、俺は姉ちゃんに救護するための物資として施しの軟膏をいくつかと、魔物に襲われていた時のことを考えてフラムをいくつか注文しておいた。あ、依頼料はルベルトさんにあとで補填してもらおう。

 

「姉ちゃん、あとでルベルトさんに依頼料の補填してもらうから書類ちょうだいね」

 

「しょ……るい?」

 

「ガイア君、依頼料とか内訳の請求書なら私が書くよ」

 

 補填用の請求書の催促にポカンと口を開ける姉ちゃんを差し置いてクラウディアさんが真っ白な紙にさらさらと項目を書き、そこに姉ちゃんが投入した素材や個数といったものを書いていく。最後にちゃっかり『技術料』も仕込んでいるのが芸が細かい。流石はルベルトさんの娘だ。

 

「助かったよ、クラウディア~」

 

「いや、姉ちゃんがやらなきゃいけないことだと思うんだけど」

 

 いや、姉上。身内だからって技術料とか依頼料支払わないのはいけないと思いませんかね? ほら、クラウディアさんも『そうそう』って言ってくれるし。

 しかし、軟膏やフラムなどをカバンに詰めていたら思いのほか時間がかかってしまった。本当は農具とか採集道具じゃない武器とか調達したかったけど、もう日が暮れかけてる。

 そもそも、俺はどんな武器が合うんだろうか。まっ、後は寝るだけだしどうせなら掲示板に聞いてみよ。

────────────────────

武器募 謝礼あり【ライザのアトリエ】スレより

3:ガイア

 というわけで、色々あって武器でも用意するかってなったんだけど。なんか案ない? 

 お礼はクラウディアさんと姉ちゃんのツーショット

【画像】

 

9:名無し

 キマシタワー

 

17:名無し

 丸太はどうよ。そこら辺にあるし、薙いでよし。突いてよし。叩いてよしだぜ? 

 

23:名無し

 何なら吸血鬼にも効くしな

 

27:名無し

 大鎌とかどうよ。最近じゃ、女の子がよく装備してるけど、男も結構装備してるぞ

 

34:名無し

 頑丈なグローブとか作って殴打は? 下に打ち付ければ遠くに飛ばさんだろ

 ぷには爆散しそうだけど

 

43:ガイア

 んー、結構色々あるなぁ。丸太は興味あるけど、扱いきれるかだな

 

51:名無し

 よりにもよって丸太かよww

 

57:名無し

 なら、丸太を削ってこん棒にすればいい。刃こぼれしないし、メンテナンスの心配もない

 何本か作ってしまえば、そのまま使いつぶしても問題ない

 ただ、切ったり突いたりできる剣とは違って筋力依存の殴りしかできないわけだが、ガイアなら大丈夫だろ

 

 相手に傷を負わせたい場合は有刺鉄線が作れるならそれがおすすめだが、なければ手ごろな石を埋め込んでおけ

 

60:名無し

 >>57

 なんか別の世界でこん棒愛用してそう

 

70:名無し

 どっかで冒険者やってる転生者かな? 

 

80:ガイア

 おー、具体的な説明あざっす。こん棒にしてみます

 たしか、中南米辺りで石埋め込んだ木剣とかあったよね。ナマカだっけ? 

 

90:名無し

 それは西遊記。マカナね、アステカ辺りの武器だったはず

 

95:名無し

 まぁ、こん棒もガイアにかかれば一撃必殺だろうしいけるいける

 

99:名無し

 どちらにせよ、ぷには爆散しそう

 

110:名無し

 つまり、ホームランダービー……ってこと? 

 

121:名無し

 htt~~~~

 

126:名無し

 >>121

 ハランデイイ

 

130:名無し

 良いか、ガイア。狙うならホームランだ、それ以外価値はないからな? 

 

137:名無し

 ガイアを100エーカーの森の仲間に加えるのやめろw

 やだよ、こんな筋骨隆々の森の仲間

 

147:名無し

 >>137

 プニキだってリアルにすれば似たようなもんだろ

 

154:名無し

 これ以上はスレチだからやめような

 

163:ガイア

 とりあえず、魔物をホームランすると怒られそうだからこん棒で頑張るわ

 

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 ふむふむ、こん棒ならそこら辺の木を切り倒せば頑丈そうなのは作れるな。明日にでも姉ちゃんに斧借りるか、斧ならこん棒が折れた時のサブ武器に丁度良いし。

 中々に有意義な意見が聞けたところで、丁度良い眠気に襲われた俺はそのまま眠りに落ちた。

 

***

 

 次の日。

 船着き場を訪れた俺達は改めて最終試験の説明を受けることとなった。なんでも街道を道なりに進んだところにある小屋に書かれているとされる文の一部を書き写してくるという試験内容らしく、判定材料としてボオス兄さん達も呼ばれている。

 その際に『最近のお前たちが調子に乗ってる』だのとボオス兄さんが言っていたが、アガーテ姉さんに痛い所を突かれてそのまま出発。次に姉ちゃん達が出発していった。

 

「ガイア、お前が飛び出したらそれを合図に1人か2人つける。だから何も言わずに気にせず走っていけ」

 

「うっす」

 

 アガーテ姉さん、この前のことですっかり俺の操縦方法を熟知したな。周りに居る護り手の兄ちゃん達も入念なストレッチしだしてるし、なんか警戒されてる感がすごい。

 

 まぁ良いや。俺は俺でやることあるからじっくり待たせてもらいますよ~っと。

 

「ところで、ガイア君は何をやっているのかね?」

 

「こん棒作ってます」

 

「あぁ、うん。それは分かってるが……なぜ?」

 

 俺のやってることが気になったのか、ルベルトさんが尋ねてくる。やだなー、そこらの丸太を削ってこん棒作ってるに決まってるじゃないですか。

 仮にこん棒ならいくらすっぽ抜けても金属じゃないから村の貴重な資源を浪費しないし、殴打武器だからどんな状況でも対応できる。あれ、これ結構コストや威力的に最強なのでは? 

 さらにそれを複数本用意し、強い奴いっぱい持ってるやつが強い理論が実証されるのでは? 

 

「ガイア、俺思うんだけど。アガーテが言ってた武器を持つなはそういった意味じゃ……いや、金属は大事とかの意味もあるけどな?」

 

「うん、とりあえず折れた剣の先っぽが俺の頬を掠めたのは忘れてないからな?」

 

 やだなぁ、兄ちゃん達。見てよこの立派なこん棒! これならいくらすっぽ抜けても叩きつけても大丈夫だって! ……あ、この際だからもうちょっと長くして『ガイアのホームランダービー』しても良さそう。時間があるし、作ってみるか。

 

 その後、俺はアガーテ姉さん達と『先に出発したボオス兄さんが文章を改ざんしたら公平性無くなるんじゃないか』という仮定の話や、『大勢で向かって魔物相手に入れ替わりで戦った方が効率よかったんじゃないか』という試験そのものの疑問を口をしながら都合4本のこん棒を作って身体に巻き付けた。

 なんか、俺を見たアガーテ姉さんに『どこの蛮族だ』と言われたんだけど。地味に傷つけるのやめよ? 俺、純情BOYだからさ。

 畜生、今度製粉した小麦粉じゃなくてヴァッサ麦を納品して『脱穀や諸々はそっちでお願いします』っていたずらしてやる。

 

 そこから5本目を作ってワクワクしようとしていたが、街道の方からひときわ大きな声が聞こえてきたことで俺はアガーテ姉さんに向かって叫んだ。

 

「行ってきます!」

 

「ッ! お前達、ここは頼んだ! 誰か1人、付いてこい」

 

 声の大きさからそこらで駆け回っている魔物とは違うことは分かり切っている。それならば早く合流して頭数を揃えた方が良いと街道を突き進む最中、廃墟となった岩壁の後ろから緑色の飛竜が飛び出してきた。

 

「ウィンドフェザーだ、そのまま行け! 頭なんて余計な色気は出すなよ!」

 

「おおぉぉっ!」

 

 俺は走った勢いのままウィンドフェザーに近づき、あらんかぎりの力で太いこん棒を真上から振り下ろした。大きな胴体を狙った攻撃は何の抵抗もなく魔物に突き刺さり、勢いよく地面へと落下してもがいているウィンドフェザーを追いついたアガーテ姉さんと護り手の兄ちゃんが剣や槍で喉を突いて処理。そして、再び走り出す。

 

 そんな流れを2~3度続け、最初に作ったこん棒がへし折れる頃。ようやく先ほどの叫び声の主が見えてきた。

 蝙蝠のように両手が皮膜を伴った翼になっている二足の魔物。見た目だけではウィンドフェザーと同じ飛竜だが、恐るべきはその大きさである。ウィンドフェザーの2倍……いや、3倍はありそうな巨躯に思わずアガーテ姉さんと護り手の兄ちゃんを見るが、2人は黙って首を高速で左右に振る。つまり、完全に初見の魔物である。

 

(西は悪魔の野が迫り、東の城には竜が住む……わらべ歌じゃなかったのかよ)

 

 その圧倒的な威圧感からクーケン島に伝わるわらべ歌を思い出した俺だが、肝心なのはそこではない。なんと、その足元にはボオス兄さんやランバーさんといった先に出発した面々が倒れていたのだ。アガーテ姉さんもそれに気づいたらしく、どうやって救出したものかと思案している。

 

 すると、不運というものはさらなる不運を呼び寄せるらしい。先ほどの魔物の叫び声に気づいて急いで引き返してきたのか、息を切らせた姉ちゃん達が騒いだせいで竜が姉ちゃん達の方に興味を持ち始める。

 

「くそっ、最悪だ! アガーテ、俺が突っ込むからあいつらを頼む」

 

 そう言って護り手の兄ちゃんが竜に向かって突っ込んでいく。その後ろ姿に俺は援護をしようと、バットのように長く作った後に硬い石を突き刺して殺傷力を上げた2本目と3本目のこん棒を取り出しながら走り出す。

 

「おまっ! ……言っとくが無理はするなよ!」

 

「分かってます」

 

「じゃあ、おびき出すからあっちに登ってろ」

 

 言っても聞かないと思われたのだろう。指示を言い残して護り手の兄ちゃんが手に持った槍を思いっきり投擲する。放物線を描きながらもしっかり速度が載った槍だが、竜の鱗の前に弾かれてしまった。

 

「おらっ、トカゲ野郎! こっちだ!」

 

 攻撃は効かなかったが、それでも衝撃はあったのか注意を姉ちゃん達の方からこちらにゆっくりと向けてくる。滞空中の旋回性能も高いとか、まじでどうなってんだありゃ。

 

 だが、こっちを向いたな? 

 

「なんとかっなれー!」

 

 実際なんとかしてきた魔法の言葉と共に俺は指示された岩壁の上から飛び降りた。

 狙いは頭部。2本のこん棒をしっかりと握りしめ、再び渾身の力で振り下ろす。その立派な角、へし折ってやる! 

 

メキャッ

 

 そんな意気込みが効いたのか、竜の頭部に生えた角を1本巻き込みながら俺は地面へと落下する。まともに受け身を取れずに落下したので苦しいが、竜からの攻撃が怖いので慌ててその場から這いずって逃げようとするが遅かったらしい。

 

「ガイア、逃げろー!」

 

 レント兄ちゃんの声に気づき、後ろを振り向くと口から煌々とした光を放つ竜の姿。ヤッバ! え、これ助かるん? と、とりあえず近場の壁に……ってあれ。なんで俺のカバンがぶら下が……。

 俺がそう考えていると、おもむろに竜の頭部付近が大爆発を起こす。あ、多分カバンの中のフラムに引火したな。

 

 その光景に皆がぽかんとその場で硬直していると、首をブンブンと振った竜が今は使われていない古い城の方へと慌てて飛び去ってしまった。後に残された俺達だが、数分後に再起動を果たすと倒れたボオス兄さん達を砂浜まで運んで行った。

 

「だいたいお前はだな!」

 

「ごもっとも……ごもっとも……」

 

 砂浜にたどり着いた途端、アガーテ姉さんの説教が始まる。いや、俺だって分かってるよ? でもあれが一番助かる確率高かったんだって。ほんとだよ? 

 あ、あいつから落ちた角とか鱗ください。ちょっと調べたいことが「ガイアッ!」あ、はい。分かってます分かってます。

 

***

 

 その後は例のごとく大変だった。

 クラウディアさんが冒険に同行することにようやくルベルトさんが認めたことで喜ぶ姉ちゃん達を尻目に、アガーテ姉さんを中心とした護り手の皆は竜の出現にてんやわんや。結局、その数日後にはこの辺を通る旅商人の間でも噂になっていることをロミィさんから聞いた。

 

「──って話を聞いたのですが、本当ですか?」

 

「君も案外耳が早いな。その通りだよ」

 

 ロミィさんから聞いた通りのことをルベルトさんに聞くが、どうやら本当のことらしい。さらに、このまま行けば街道先の宿場町にも噂が広がり、いずれはクーケン島に寄り付く行商人の数が激減するとルベルトさんが予想している。あれ、これってはっきり言ってマズくね? 

 

「私としても既に販路の許可や諸々の準備を進めているから、いまさら撤退は考えづらくてね。……今考えてみたのだが、この村の護り手に行商人を護衛してもらうのはどうだろうか?」

 

「アガーテ姉さん次第ですが、村の自警団に竜の相手が務まるとは思えません。槍を投げても刺さらなかったんですよ?」

 

 護り手自体数が少ないし、そんな竜を相手にする装備を調達する金なぞあるわけがない。一応はアガーテ姉さんに聞くなりしてくれとは言ったが、俺は『望み薄』だということをルベルトさんに伝える。

 だが、このまま何もしないわけにもいかないと俺は掲示板に助けを求めることにした。あの現金だが有用なアドバイスをくれる奴らなら、きっと良い助言をくれるに違いない。

 

────────────────────

クラウディアさん、冒険に同行するってよ【ライザのアトリエ】スレより

6:ガイア

 やべぇよ。でっかい竜とか出てきたんだけど

 このまま行くと行商人居なくなっちまう

 

14:名無し

 >>6

 ロミィさんに会えなくなる……ってコト!? 

 

15:名無し

 島にとって死活問題では? 

 

21:名無し

 >>14

 わァ……あ……

 

28:名無し

 あー、いよいよそこか。色んな展開になるやつ

 

35:ガイア

 え、今ってそんな振れ幅大きい展開の前触れなん? 

 

36:名無し

 最悪、城付近がヤバくなる

 

42:名無し

 >>35

 振れ幅大きすぎるんだよな。だから、正直なところあまり助言したくない

 

51:ガイア

 じゃあ、静観が吉かな? 

 

55:名無し

 一応、大人の話聞いてみれば? 

 

64:名無し

 それも分からん。外的要因でどうにも転ぶ

 

73:ガイア

 大人かぁ……。とりあえず、竜の角や鱗を持って帰ってきたからアンペルさんやリラさんに見解聞くわ

 あの人らなら真面目に精査してくれるでしょ

 

82:名無し

 >>73

 ちょっと待て、なんで竜の角とか鱗持ってんだよ

 

88:ガイア

 え? 護り手の兄ちゃんと連携してこん棒を頭にぶち当てたら折れた。その後、偶然竜の頭の突起にカバンが引っかかってさ。竜が火を吐こうとしたときに中のフラムに引火して大爆発してた

 

97:名無し

 なに? ……なにそれ? 

 

103:名無し

 馬鹿な。データにないぞ、そんな展開

 

106:名無し

 ほんっと農業以外は考えないなこの農筋。少しは安全に立ち回れや

 

────────────────────

 皆、酷くね? 原作勢は知ってるかもしれないけど、あの状況だとああするぐらいしか分からなかったんだよなぁ。……まぁ良いや、過ぎたことだし。

 とりあえず、ちゃんとした錬金術士であるアンペルさんと戦士として優秀なリラさんに竜について聞いてみようと俺はアトリエの扉を叩いた。

 

***

 

「ふむ……竜か。ガイア、それは街道でよく見かけるウィンドフェザーとは違うのだな?」

 

「はい、緑色ではなく赤色です。後、こんな鱗とか角を持ってます」

 

「分かった。見てみよう」

 

 そう言ってアンペルさんが例の鱗を手に取る。テーブルに鱗を置いた後に近場の金づちで叩いて折り曲げようとしたり、角を炉の炎で熱したりと様々なことを行って反応を試した後にリラさんに一言二言指示を出した。

 

「分かった。行ってくる」

 

 そう言い放ってアトリエから出ていくリラさん。え、俺はどうしたら良いの? あ、鱗の採集方法を聞きたいんですか? こう……こん棒で思いっきり頭を殴りつけたらバキッと。──あ、これ絶対呆れてるやつだ。

 

「お前もライザと同じ類だったか。……話を戻そう、この鱗はおそらくだが街道の奴らよりもかなり強力な魔物の物だ。特に炎だと碌にダメージも与えられんだろうな」

 

 うわぁ、予想してたことがドンピシャか。そうなると護り手の皆だとどうしようもないのじゃないかな。……一応、聞いてみるか。

 

「村の自警団で相手をするとどうなります?」

 

「それは装備や人数、練度次第としか言えんな」

 

 デスヨネー。一応装備だの人数だのは説明できるが、部外者であるアンペルさんに話して良い物かと考えていると、リラさんが大きな骨やウィンドフェザーらしき緑色の鱗を持って帰ってきた。

 あぁ、わざわざ倒しに行ってたのか。アンペルさんも赤い鱗と同じような検査をしては表情を曇らせてるけど、そんなにあの赤い奴って強いのか。

 

「アンペル、どうだ?」

 

「やはり比べ物にならんな」

 

「そんなにですか? そこらの量産品の剣とか盾持った自警団十数人で何とか……」

 

 黙って首を横に振るアンペルさん。え、これガチでヤバくね? リラさんも『全滅だろうな』って悪い方の保証しちゃったよ! 

 あ、じゃあアンペルさんとリラさんに依頼を出すのは──。

 

「生憎だが、ライザ達が見たという魔物の調査をまだ進めててな。それに、そろそろ手持ちの物資も少なくなってきたから買い出しに出ようと思っているんだ」

 

「ガイア、すまない。その魔物は私の宿敵のようなものなんだ。だから……」

 

 うーん、物資に関してはクーケン島から輸送しようと思ったけど、リラさんにそこまで言われたら無理強い出来ないじゃないか。マジでどーすんだよ! 

 

 その後は結局大したことは分からなかったので、角や鱗。そして、比較材料としてウィンドフェザーの骨や鱗を持たされた俺は大人しくクーケン島へと行商人が乗る船経由で戻らされた。港からそのまま帰ろうとしていると、旧市街の道を走る姉ちゃんとクラウディアさんとばったり出くわした。

 

「あれ、姉ちゃん?」

 

「あぁ、ガイア。どこ行ってたの?」

 

「例の竜についてアンペルさんに聞いてた。やっぱりこの辺のやつよりも強いらしい」

 

 分かったことを共有する代わりに姉ちゃんの事情も聴くと、どうやらその竜のことについてルベルトさんがモリッツさんに話をしに行ったそうだ。その時、もし俺に某●太郎のアンテナがあるのなら、今頃ブルネン家がある方向に逆立っているぐらいに嫌な予感が浮かび上がってきた。

 

「ボオス兄さんがやられた直後だからなぁ」

 

「というわけで、私達もこっそり様子を見ようとね」

 

「んー……。俺も行くよ」

 

『堂々と見に行けよ』と一瞬思ったけど、あの人達のことだから子供を追い払うよなぁ。でも、ちゃんと意見を戦わせることが出来ればその場に居れるんじゃないかな。そう考えた俺は姉ちゃん達とブルネン家の屋敷に続く階段を昇ると、ちょうど屋敷の正門前でモリッツさんが古老と激しく意見を戦わせていた。

 

「ひゃ~、やり合ってるやり合ってる。ってガイアは何してるの?」

 

「話し合いをする材料を用意してる」

 

 街道の安全のために竜を討伐しようとするモリッツさんと、村の守護獣である竜を害するのは反対の古老という2派に分かれているが、俺は断然モリッツさん派だ。既に被害が出ている以上、もはや『守護』ですらないからね。

 

 だけど、モリッツさんは性急に事を決め過ぎているように思うんだよな。今でも『害があるなら竜でも悪魔でも退治するのみ』とかすごいこと言ってる。……でも、退治するのは護り手だよね? そこら辺理解してるのかな。

 

「えぇ、あの人あんな考えなしだったっけ」

 

「ガイア君も結構言うんだね……」

 

「おっとクラウディアさんを前につい暴言を……失敬」

 

「そっちなんだ」

 

 姉ちゃんがなんか言ってるけど、今のモリッツさんは本当に止めないとまずいと思う。勢いで討伐隊を結成し、その中には言い出しっぺの自分は入っていなくて、装備を拡充する暇も金も出さないとか終わってるよ。……いや、ブルネン家は前世のような貴族ではなくてお金持ちな水持ちだからなぁ。当たり前か。

 

 だけど、そんな暴走に護り手の命とかあまりにも馬鹿げてる。そろそろちゃんと話をしてもらうために飛び出そうとしたところで──モリッツさんと古老の言葉によって俺は怒髪天を突くような怒りに苛まれた。

 

「やれやれ。おぬしのような旅商人だの、怪しげな錬金術士だの、よそ者がうろつくせいで村は災い続きじゃ」

 

「ボオスも勇敢なるブルネン家の男として竜退治に行くと息巻いておりますぞ」

 

 こいつら、今なんて言った? よそ者が来たから災い? ボオス兄さんを竜退治に向かわせる? 有力者つっても、言って良いことと悪いことがあるぞ? 

 新参者には厳しく、身内──特に自分自身が可愛いやり口に覚えがある。前世では追い出された後のことを考えてしまったけど、いざとなれば俺はルベルトさんの商会に厄介になるという手があるんだ。家族だって俺を勘当したと言っとけば虐められることはないだろ。

 

 吾輩はガイアである。いつもはのほほんとした百姓だが、戦となれば雑兵として戦場へ赴くこともあるNOUMINの魂をインストールした百姓だ。いざとなればキンカン頭でも打ち倒すNOUMINの生き様、見とけやおらぁ! ……でも俺、前世で家系図見たことないんだよな。

 

「ちょっと! さすがに言いがかりが過ぎるんじゃない?」

 

「古老! モリッツさん! あんたら何考えてんだ!」

 

 俺の叫び声の横で姉ちゃんが叫んでいる。顔を見たら『しまった!』みたいな表情をしてるから、恐らく咄嗟に出た言葉なんだろうが俺も姉ちゃんが言っていることに同意だ。

 俺達の声を聴いた広場の人間が全員こちらに向いて何かを言っているが、俺は横でたじろぐ姉ちゃんを放ってずかずかとモリッツさんの元へと歩いていく。

 

「なんだ、ガイア。私の決定に指図するのか?」

 

「ガイア、子供が踏み込んでいい領分ではないぞ」

 

「だまらっしゃい!」

 

 片や俺様気質なモリッツさんと大人の問題と煙を巻く古老を大声で黙らせた俺は、さっそく両者への尋問を開始する。

 

 まず古老だが、部外者が入ってきたから災いが起こったという確証がどこにもないというジャブを一つ。それだけでもしどろもどろになる古老だが、俺のターンはまだ終わっていない。

 そこからさらに行商人が一切立ち入らなくなったリスク──魔石ぐらいしかめぼしい金属がない状況を打開しなければ文明レベルが著しく低下してしまう問題を認識しているのかという質問を投げかける。

 

「それは……護り手達に採集に行かせたり、物を大切にしてなるべく使いまわしを……」

 

「そりゃ、俺達に比べるとぽっくり逝く古老側の対応でしょ。竜が乾期の間だけ街道に出てくるってわけじゃないんですよ? 村から出るなって話ならば行商人の方が生命線になるでしょうが! どこに邪険にする理由があるんです!?」

 

 ここまで話すとすっかり古老は意気消沈し、その横で話を聞いていたモリッツさんがドヤ顔で何度も頷きながら『流石、ガイアだ』と言ってきているが……。何言ってやがるんだ、この親父は。

 

「モリッツさん、俺は完全にあなたの味方ではないんですよ? むしろ、半分ほどあなたの意見に同意だからこそ古老以上に言いたいことがあるんですよ?」

 

「ガイア、なんだか怖いぞ? そして近いぞ? ぼ、暴力はいかんぞ!」

 

 暴力? おれがそんな短絡的な解決法をするわけないじゃないか。俺は前世や父さんを見て、農業はフィジカルだけでなくインテリジェンスも大事だとよく知っている。今こそ唸れ、上司からの口撃によるストレスで別の意味でときめいた俺のメモリアル! 

 

「まず、竜退治の費用はどこから捻出するんです? 護り手の武装の補給は当然ですし、モリッツさんは見てないかもしれませんが大型兵器は必要なレベルですよ。まさか……勇気と根性と気合とかいうつもりではないでしょうね?」

 

「ま、護り手の予算があるだろう!」

 

「アガーテ姉さん、その予算で竜退治は出来ませんよね?」

 

「実際にあれを見た上で話すが、出来ないではなく無理だ。人数も足りなければ武器も足りない。攻城用の大型兵器なんてあるわけがないしな」

 

「なぜ現場は出来ないと言っているのにそれを纏めるあなたが強行してるのですか。まずは話し合い、着地点を探って護り手と団結して古老を説得するのが筋でしょうが!」

 

 まずは予算や人手不足の話から詰めていく。相手は古城の竜、そこいらの魔物ではなく長年そこに住んでいた化け物だ。

 俺はアトリエから持ってきたウィンドフェザーの鱗と赤い竜の鱗を取り出し、アガーテ姉さんに鱗が切断できるかを問うた。流石は王都で騎士になりかけたというだけあってかウィンドフェザーの鱗は難なく切り裂けたアガーテ姉さんだが、赤い竜の鱗は結構長い時間をかけて切り裂いていた。

 その後、角の切断を頼んだのだが刃毀れしてまともに切れないことが分かったので、これらのことからあの竜の強大さは分かってもらえたと思う。そこから先は動員数と銭の話となる。

 

 強大な相手を前に量産品の武器だけで突っ込むにはそれに見合った人数が、少数精鋭で行くなら練度と頑丈な武装が必要となる。そして、どちらにもいえることはべらぼうに銭がいるということだ。

 だが、先ほどのモリッツさんの話ではそんな話は一切出てこなかった。これでは準備不足な護り手達をむざむざ死なせに行くようなものだ。

 

 そのことを指摘すると、古老と同じくモリッツさんも黙ってしまった。その他にも護り手がケガをしたり亡くなった際の責任の所在──端的に言えば見舞金の話など突っつく部分は多々あったし、俺のときめきメモリアルでは黙っている人に対して『なんで黙ってるの? 黙ってても進まないよ?』と言って追撃を行う記憶があるんだけど、流石にやりすぎだと思って止めておいた。

 

「ガイア君、すっごいこと言ってるね。お父さんみたい」

 

「あたしもあれだけ言ってるの初めて見た」

 

 後ろでなんやかんやと言っているが、俺だって言う時は言うよ? 父さんとは意見の衝突(どちらがより育つ土壌かでの論争)してるし。ルベルトさんもなんか目を輝かせるのは止めて欲しい。

 そんなことは良いや。金銭の面や準備不足の面も確かに認識してもらう必要はあったけど、俺が怒った『本題』に比べれば些細なことだ。

 

「なんでボオス兄さんだけ向かわせるんですか?」

 

「そ、それは……勇敢なブルネン家の男として「じゃあ、モリッツさんはブルネン家の男じゃないんですね」」

 

 これだ。ブルネン家だの竜退治だのと言っておきながら自分は何も動かず、やる気のある息子は諸手を上げて送り出す。これで仮に竜を討伐できれば息子であるボオス兄さんのついでに自分の発言力も高まると皮算用を弾き出しているのだろう。まったくもって度し難い。

 

 だが、何度も言うが古城に住まう竜はそこらの街道に住まうウィンドフェザーとは格が違う。勝てるはずないと想像してしまうのが自然なぐらいの威圧感を俺は体験した。それをはっきりと認識していない大人達にも嫌気が差すし、蛮勇で命を無駄にしようするボオス兄さんにも腹が立つ。

 

「せめて、部隊を出す指揮官としてなら護り手の代表であるアガーテ姉さんの考えを判断材料に出来る人をお願いしたいですね」

 

「ぬぅぅ……、言うだけ言いおってからに」

 

 あ、ヤバい。この人俺に反論された怒りであんまり話聞いてない。

 じゃあ、もー知らね! 言うだけ言ったし、もしこれで強行して護り手もボオス兄さんも帰らなかったら王都にでも行ってやる! 旅立つ前にモリッツさんに『そうだ、名士(笑)。お前が殺した』って捨て台詞吐いてやる! 

 

 怒るモリッツさんの怒鳴り声を背中に受けながら、俺は姉ちゃん達とアトリエに戻る。その間、掲示板で事の経緯を話したのだが、掲示板の住人の意見を総括するとモリッツさんを説得できなかった時点で竜退治の部隊を派遣されることとなるらしい。

 あーあ、やってられっか。

 

「はーあ、これで俺も村の有力者に楯突いた悪童の仲間入りかぁ」

 

「ふふふ、では改めて私たちと同類になったガイア君を労って代わりに舟をこいであげましょうかね」

 

 そう言って姉ちゃんが漕ぎ役を変わってくれたが、これっぽちも嬉しくない。

 あー、どうしよ。モリッツさん怒らせたから水のこととか悪い噂とか出てくるだろうなぁ。農家として致命的なんだけど……。でも、言わないとあの人絶対強行するじゃん! 

 

「ガイア君、なにか悩んでるけど大丈夫なの?」

 

「仕出かしたことを思い返して今後の心配してるんだよ。それよりガイア、やっぱり重いから漕ぐの変わって」

 

 えぇー……、せっかく休めると思ったのに。でも、帆を持たない船で湖を漂うのも危ないし、さっさと向こうに着いちゃうか。

 

***

────────────────────

クラウディアさん、冒険に同行するってよ【ライザのアトリエ】スレより

347:ガイア

 はい、モリッツのバカが舌の根も乾かずに護り手とボオス兄さんを竜退治に行かせたよ! 

 ほんと、これでボオス兄さんに何かあったら事あるごとに『そうだ、名士(笑)。お前が殺した』ってさんざん言ってやる

 

355:名無し

 >>347

 あのオッサンが涙とよだれダラッダラで泣く姿とか誰得だからNG

 ていうか、ガイアってボオス好きなん? 結構ライザに嫌味言ってたけど

 

362:ガイア

 だってその嫌味を分解すれば『まともな職に就いて島に貢献しろ』だもん。元田舎民にとってはふっつーのことだよ? 

 それよりも竜だよ竜。姉ちゃん達もやる気だし……。ついでにクラウディアさんもやる気だし

 

370:名無し

 大人からしたらこの決断辛いよなぁ。もしもの場合ってのが嫌でも付きまとうわ

 

373:名無し

 >>362

 なら、そのやる気を利用してやれ。錬金術をフル活用して武器や防具。道具といったものでガッチガチにしてぶっ倒してこい

 

378:名無し

 それしかないな。とりあえず施しの軟膏は必須だな

 

381:名無し

 特性も分かるんなら、『大きな回復力』は隔離しとけ。ボスに使う

 

384:名無し

 フラムやレヘルンも作っておいて損はないかと

 

385:ガイア

 フラムとレヘルンと癒しの軟膏な。了解。特性は分からないんだ、すまん

 ただ、クラウディアさんは連れて行きたくないんだよなぁ。俺達の島のことだし

 

394:名無し

 結構ぶっこむなぁ。最悪、ガイアがパーティから外れるぞ? 

 

403:名無し

 でも、言いたいことは分かる。確かにクラウディアは部外者だしなぁ

 

404:名無し

 ンで、留守番してたら帰ってきたのは武器やフルートの燃えカスだったと

 それか、無事に帰ってきたけどボオスよりもガイアの仲がこじれると

 

412:名無し

 >>404

 鬱エンドやめろ。それで自暴自棄になった転生者も居るんだぞ

 

421:名無し

 ライザ達は3部までつづいてるからか、彼女らは結構主人公補正強いよ

 だから、早々おかしなことにならないとおもうけど、逆にガイアが途中離脱しないか心配なレベル

 

425:ガイア

 俺 < 友達だから、危ないと思ったら躊躇はしないよ。俺が居なくても原作は続くんだし

 

431:名無し

 >>425

 自分をイレギュラーだと思って自分を勘定に入れないイレギュラーは価値がないからな? 

 色々やってけ。ゲームの世界だが、ガイアってのはお前の人生なんだから

 

434:名無し

 >>431

 恥ずかしいセリフ禁止っ! 

 

436:名無し

 俺もネオ・ヴェネツィア辺りでゴンドラに揺られてぇ

 

441:名無し

 >>436

 スレチだから気を付けろよ

 

448:名無し

 まー、ダメもとで話してみたら? 

 

────────────────────

 簡単に言ってくれるなぁ。けど、本当に何かあった時には責任持てないからなぁ。……お、ちゃんと施しの軟膏とか武器とかの準備に入ってるな。よしよし、このまま準備をしていけば何とかなるんじゃないかな。

 

「姉ちゃん、これとこれ。あとこれが武器とか防具用にピッタリかも、品質的にそんな感じがする」

 

「あー、後で使うかもーって仕舞って忘れてた。ナイス」

 

 その後、俺達は走り回って姉ちゃんのお手製の杖(うちからパチってきた脱穀用のフレイル)、レント兄ちゃんの刃こぼれまみれの使い古した剣、タオの杭打ちハンマー、クラウディアさんの練習用の長笛からそれぞれブロンズアイゼンという金属製の物へと変更した。

 

 ちなみに俺の装備だが、愛用の農具はものの見事にぶっ壊れ、前のこん棒は空を飛ぶ相手に不利なために色々皆と協議することとなった。

 まず、今回の竜退治の挑むパーティは姉ちゃんとレント兄ちゃんとクラウディアさんの計3人。俺とタオは先に行った護り手やボオス兄さんの救助がメインということとなった。

 そのため、俺の装備は俺のでかい身体を丸々隠せるほどのブロンズアイゼン製の盾に手作業で竜やウィンドフェザーの鱗を貼り付けたお手製ドラゴンシールドという防御面に全振りしたような装備で、新しく調達した大容量のカバンには緊急用の施しの軟膏を大量に格納している。

 

 それでも戦闘というのは水のように状況が変化しやすい。時には矢面に立つこともあるというレント兄ちゃんの言葉に、俺は竜に届きやすい攻撃ということで投げ槍をチョイスし、とある便利アイテムを作ってみた。

 これも武器関係に強いとある掲示板の民から仕入れた知識を基に作ってみた装備なのだが、実際に使ってみると手で投げるよりも結構狙いも正確で使い勝手が良い。中々に良い情報をもらった。

 

「とりあえず兜も作ってみたん……だけど……ふふっ。に、似合ってるよ、ガイア」

 

「ちょ、ちょっと"うぉー"って言ってみてくれ」

 

「うぉー!」

 

「ハハハハ、似合ってる似合ってる」

 

「ふ、ふふふ。皆、笑っちゃだめだよ。フフフ」

 

 うん、兜によって俺の見た目が盾と兜と胴鎧と投げ槍を装備した男となった。その『ぱっと見のドハマり感』にみんな笑っているが、どっかのアクションRPGで見たことあるんだよなぁ。こんな見た目の兵士。

 だけど、この際ビジュアルは気にしない。外見で竜に勝てるかってんだ! 

 

 後は、俺以外の防具もそれぞれの役割に合わせて強化。また、盾や投げ槍などを使った戦い方の練習としてレント兄ちゃんやタオと一緒に街道まで材料を取りに行き、エナジーペンダントとかいうアクセサリーも人数分作った。

 どうやら掲示板情報ならもうちょっと踏み込んだら高品質なものが取れるらしいが、時間的にもこれが限界だろう。

 

「姉ちゃん、薬!」

 

「よし!」

 

「レント兄ちゃん、武器!」

 

「万全だ!」

 

「タオ、防具!」

 

「た、多分大丈夫!」

 

 現場猫案件とならないように指差しチェックと2人以上のチェックを行っていく。薬、武器、防具と1人1人による確認が為され、最後に自分の番だと思ってクラウディアさんが自身の装備したエナジーペンダントを持ってニッコリとしている。……言いづらい! がっ、俺は男の子! 言うぞ、言うぞぉ! 

 

「……クラウディアさん。やっぱり一緒に古城に行くのはルベルトさんに許可もらった方が」

 

「ガイア君!」

 

 あ、無理だ。勝てるわけが……。

 

「はぁ。クラウディアさん、アクセサリー」

 

「はい!」

 

 力関係は明白だった。みんなに笑われる中、俺は最終的なGOサインは姉ちゃんに託す。すると、相変わらずの元気の良さで出発の音頭が上がり、俺達は竜が住まうという流星の古城に進路を取った。

 

「クラウディアさん、本当に危なくなったら俺達をほっぽって逃げてよ?」

 

「ガイア君、そんなに私のこと仲間外れにしたいの?」

 

「いや、割とガチでなんだけど」

 

 泣きそうな顔しないでよ、俺の方が泣きたいよぉ。家族関係や気風的にレント兄ちゃんはまぁ良いけどさ、タオとか姉ちゃんとかクラウディアさんに何かあったら親に何言ったらいいんだよ。

 

「大丈夫だって、こんなに色々強化したんだから!」

 

「僕的にはそこまでガイアが案じてくれるのが唯一の救いだよ」

 

「まぁ、タオとクラウディアさんどっちかっていったら後者だけどな。女性に優しくって父さんが言ってたし」

 

「その割には夜道にいきなり声かけて、村の女の人怖がらせてアガーテ姉さんの厄介になってるよね」

 

 それを言うなよ。俺の心を傷つけるのはルール違反だぞ。それに、いきなり声をかけたのは本当だけど、明かりがない状態で夜中に歩いてたから明かり貸してあげようと思って近づいただけなんだよね。

 あ、やめてクラウディアさん。『ガイア君はちょっと体が大きくて怖いけど、優しい人だよ。怖いけど』ってフォローみたいな追い打ちかけるのやめて。

 俺、君が初対面の時に何度も悲鳴上げてたの忘れてないからね? 根に持つよ? 

 

 そんな雑談をしながらも俺達は素材を回収しながら魔物を殲滅していく。ファッキンホットな火山を超え、昔に何かあったであろう里のような広さの廃墟を抜けた先に──守るべき存在が居なくなってもなおその地に雄々しく君臨する建築物。流星の古城が姿を現した。




ガイアって今、どんな姿なの?
 Mount&blade IIというゲームのバッタニア野人のような装備。(身長高くてガチムキ)
 なお、彼は農民である。--農民であるっ!
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