というわけで、先週の水着回を自分なりに再構築した感じです。
姉ちゃんが補助器具作りに執心して数日。試作品の山が積まれるが、どれも1分近くで効力が喪失する物ばかりだった。姉ちゃんは一度火が付くと止められないし、レント兄ちゃん達も俺に対する引け目? っていうのがあるのか素材採集に余念がなかった。ほんと、『加減しろ馬鹿』とツッコミたいわ。
そんな中、クラウディアさんだけは全員が根を詰めている状況を冷静に読み取ってアンペルさんに相談しに行っていたらしい。本日、クラウディアさんに名指しで呼ばれた先で俺を待っていたものは……大量の水着だった。
「ごめんね、ガイア君。いきなりこんなこと手伝ってもらって」
「いやー、それは良いんだけどね? なぜに水着?」
「リラさんが水辺で特訓するって言ってたから。あ、ちゃんとライザやリラさんのは私が選ぶよ!」
ふんすっと意気込むクラウディアさん。私情混じってません? あ、混じってない? あ、はい。
そもそも、この世界に水着があったことすら初耳だ。思い返してみれば、川遊びとかは水着なんて洒落た物使ってなかったし、そもそもクーケン島の皆って積極的に水場で遊ばないしなぁ。……ってまずい、姉ちゃんが水苦手っての忘れてた。
「でも、姉ちゃんって水場の事故がトラウマでそれ以降は腰ぐらいの深さまで水に入ってないよ?」
「え、もしかして……余計なことしちゃった?」
うーん、困ったぞ。さっそく悲しませてしまった。こういうところは成長してねぇなぁ、俺。
ひとまず宥めることにした俺は『じゃあクラウディアさんが教えてあげれば?』と口から出まかせレベルの提案をすると、彼女はすっかりその気で水着を選び始める。よし、これで掲示板の民から顰蹙を買わなくて済む。
「レント兄ちゃんもタオも適当で良いだろ」
「そういうこと言っちゃ駄目だよ」
「俺は可愛い女の子の水着だけしか興味ないんです」
誰が好き好んで野郎の水着を選ぶかよ。適当にレント兄ちゃんは髪の色に合わせた赤で、タオは黄色……は派手だから地味な緑にしとくか。
え、なに? こっちとそっちどっちが良いって? クラウディアさんが? んー、開放的なのも捨てがたいけどパレオあった方が落ち着いてて良いんじゃない? あんまり肌を晒したくないでしょ?
あれ、今さらっと変なこと言われなかった? ……まぁ、良いか。時間無いし。
そんなこんなで水着の準備が終わった俺達は約束の場所までたどり着き、その数十分後には対岸の砂浜にたどり着いた。
「ガイア、お前はもう特訓の必要はない。その辺でアンペルの世話なり、遊んだりしておけ」
「うぃーっす」
水着に着替えたリラさんが俺に話しかけてくる。うーん、何がとは言わないがスゴい。何がとは言わないが!
……って、俺は不参加か。まぁ、左手がたまに麻痺する以上は仕方がないか。補助器具を使えればましになるけど、アンペルさんの目がある以上は使えないからね。
「アンペルさん、パラソルはこの位置で?」
「あぁ、すまないな」
「それは言わないお約束でしょ、おとっつぁん」
「お前さんの父親になった覚えはない」
安定のギャグを挟みつつも、俺は砂浜の様子をじっくり眺める。
やはりというべきか、水を怖がっている姉ちゃんにクラウディアさんが付きっきりで水に慣れる訓練をしており、その横でレント兄ちゃんとタオは『良い感じの棒』を装備したリラさんのコーチで『水中ぷに飛び』とやらを行っている。
「うわー、ありゃ明日は筋肉痛だろうな」
「ほう、お前さんはあれがどういった訓練か知っているようだな」
「水路の掃除とかしてましたからね」
近場の大きな葉っぱでゆっくりとアンペルさんに風を送りながら呟くと、彼が俺に尋ねてきた。
そりゃ、水は一定の負荷がかかるからね。水の中でウォーキングを数十分続けるだけでも結構な運動になるのは前世のジムで知ってるし、こっちでも詰まった水路の掃除もバイト内容に入ってたから経験済みだ。
「そういえば、例の水棲魔獣ってこっちに襲ってこないんですかね」
「リラが居るから大丈夫だろう、それに襲われてもこっちとしては願ったりだ。討伐して証拠に提出してしまえば良い」
まぁ、そうか。こんな状態で襲い掛かって来られても棚ボタや飛んで火に入るなんとやらには違いない。その時はありがたく証拠になってもらおう。
あ、そうだ。せっかくだから実況でもするか、ここ最近は俺のせいで色々荒れてたし。
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ウェミダー! 【ライザのアトリエ】スレより
50:ガイア
先生、これが俗にいう水着回ってやつですか! 先生っ!
【リンク】
53:名無し
海未は私ですが? そもそもここ、湖じゃなかったっけ
56:名無し
>>50
いや、しらん。なにこの展開、怖っ
58:名無し
>>50
馬鹿な、ここで水着だと!? こんなデータ、僕にはないぞ!
69:名無し
>>58
お前、もうデータキャラ辞めろ
77:名無し
水着イベントはもうちょっと先だったような。そもそも水着ってDLCじゃなかったっけ
78:名無し
水着もDLCとちょっと違うよな?
やっぱり、ガイアの影響でちょいちょい変なところで原作と違った展開じゃないの?
んで、後でドカンと修正来るの
89:名無し
>>78
あー、揺り返し的な?
そうなると、今以上に気を付けないとやばくね?
95:名無し
俺は目の前の方がやばいけどな。なんだよあれ、桃源郷かよ
97:名無し
乳ぃー! 尻ぃー! 太ももー!
99:名無し
英知の乳の導きがあらんことを
103:名無し
死ぬときはでけえおっ●いで死にてえ
105:名無し
>>99
無言のエア・アサシン
113:名無し
>>103
コクピットは固いもんな
117:名無し
で、話変わるけど。ガイアって何してるの?
左腕まだ動かせないんでしょ?
124:ガイア
急に矛先変わるやん
>>117
左腕は動かせないんじゃなくて普通に動く→一瞬だけ麻痺→また動くってのを繰り返してる感じ。普通だと1分おきぐらいかな、正確に測ってないけど
姉ちゃんのおかげで2分置きに麻痺を挟むような感じになった。1回こっきりだけどね
134:名無し
やっぱ厳しいか。ストーリー的にもまだまだ先の物だからな
142:名無し
それでも半ば出来てるのはすごいと思うんだ。流石、天才
145:名無し
しかし、すごいな
152:名無し
あぁ……
162:名無し
ミッチミチやん
164:ガイア
なお、水着は男衆は俺が適当に。女衆はクラウディアさんが選びました
でも、レント兄ちゃんのは失敗したな。なんだよ、あのギリギリ感
169:名無し
>>164
言ってくれなくても既に予想は付いてた
180:名無し
サイズ失敗したのを渡されて素直に履いた説
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うむ、やはり現金な奴らだ。それに、島でバカンス系はDLCコンテンツで本編のみの場合はこんなイベントは存在しないことが分かった。
すると、ここから先は全く展開が違うことも危惧される。やれやれ、腕であれだけ過保護になるってことはこれ以上は迷惑かけれないな。
そう思っていると、何かがこちらに向かって高速で向かってきたのでついつい右手で殴りつけてしまった。バカァンという破裂音と共に冷たい汁が拳や顔に付着し、それが何かと見てみるとどうやらヤシの実──パルマの実らしい。
不思議に思ってるとリラさんが棒切れとパルマの実を持っていた。まさか、彼女も100エーカーの森の愉快な仲間達の一員だったのか! ……いや、無いな。パルマの実の着弾点的にあれは内野だ、あれではあの様々な魔球を持っている森の仲間達は納得しないだろう。
「すまない、手元が狂った」
「すげぇ、拳で割りやがった」
「お前は真似をするな。拳が潰れるぞ、あれはそういった生き物だと思っておけ」
リラさんの中で俺の人物像がどんどん魔物みたいになっていくことに草も生えない。
その後も特訓は続けられ、ようやく姉ちゃんが水に慣れたところで全員が呼び集められた。曰く、これからが本当の特訓なのだそうだ。
ふむ、もし不合格だった場合は罰か。……えぇい、掲示板の民よ! 静まりたまえ!
「今から私が投げる物を探せ」
そう言って何かを水辺に投げ込むリラさん。あなた、背中に亀の甲羅とか背負ってませんよね?
内心ツッコんでいると、罰が嫌な面々が次々と水の中に入っていく。その後ろ姿に大変そうだと眺めていると、リラさんがこっちに向かって歩いてきた。
「ガイア、あいつらを見張っていて欲しい。そうだな……レントが居る辺りに投げ込んだから、それ以上深いところに行こうとするならば止めてくれ」
「分かりました。あの、アンペルさんはどうするおつもりで?」
「こいつにはタルに入ってもらう。ちょっとした茶目っ気だ」
そう言ってアトリエの方に行くリラさん。アンペルさんも何か言えばいいのに、大人しくお米様抱っこされて連行されてるよ。
さて、何時までもぼーっとしておくのも暇だから適当に飯でも作って待ってるか。
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ウェミダー! 【ライザのアトリエ】スレより
290:ガイア
はい、では今日はクーケンフルーツのヤギ肉煮込みで優勝していくわよ
すじ肉を使ってもプルプルになって美味しいけど、すじ肉はしっかりと鍋で煮込んで臭みを抜く手間があるので、面倒な場合は今回のように普通の角切り肉を使う良いでしょう
あ、でも長時間煮込むから大きめに切らないと肉ごと溶けるから注意ね
299:名無し
トマトスープに肉入れた感じか。美味そう
303:名無し
ガイアが料理出来るとか、そんなキャラじゃねぇだろ
309:ガイア
>>303
はぁ? 今日日、一人暮らしの男は料理できないとまともに生きられねぇんだぞ!
都会で外食1食、いくらかかると思ってんだ! それに、田舎に移り住んだら飲食店すらねぇんだぞ!
310:名無し
一人暮らしの男の自炊って最近じゃ普通普通
もやし is GOD!
317:名無し
>>309
なんかその……すまない
325:名無し
それより、そのトマトスープは余ったら煮込んでパスタと絡めると見た!
332:ガイア
>>325
分かってるね、粉チーズを鬼のようにかけるも良し。タバスコとかスパイス連打のアラビアータ風にするのも良いぞ!
今回は何人も居るから余らないだろうけどね
333:名無し
ところで料理するんだよな? お前、左腕動かせないの忘れてないか?
336:名無し
ライザの補助器具使うんだろ?
341:ガイア
>>333 ~ >>336
え、アンペルさんにバレたらまずいから持ってきてないけど?
343:名無し
お前馬鹿か! 片腕動かせないで包丁握れるのか!
345:名無し
麻痺だろうがなんだろうが、いきなり動かせない左腕の状態で料理なんかするんじゃねぇよ!
346:名無し
この農筋、まるで事態が分かってない。アホか!
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なんか、かなり心配されてるけど。大丈夫だって、安心しろよ。
そんな結構軽い気持ちで俺は持ってきた荷物から、クーケンフルーツや周辺の皆さんの御裾分けから拝借した野菜や山羊肉といった材料をかなり細かくして調味料を入れた瓶に入れた物と鍋を用意する。焚火をつけた後に鍋を置き、その中に山羊の脂とさっきの瓶の中身を一気に入れてしばらく煮込む。
ふっふっふ、料理するとは言ったけどここで包丁持つとかは言ってないもんねー。昨日、ちょうど姉ちゃんの試作品の山を片付けるために何個も使い潰して常備菜を作っといて良かったよ。
ただ、リラさんがどれだけ食うか分からんけどな! パンも用意してるけど、あの人結構健啖家だからちょっと侮れない。
おっと、もっと深いところを探そうとしてるみたいだ。止めなきゃ。
「おーい、それ以上は危ないぞー」
「わかってるー! ……あ、あったよ!」
おー、たしかあれはー? コベリナイトだっけ。確かに湖にはない素材だよな、流石は錬金術士。
その後もタオが古代文字の解読で広場へ向かったが、それと入れ替わる形でリラさんが木の上から降りてきた。
「アンペルさんは?」
「置いて来た、次はあいつから課題を出してもらう」
さらっと酷いことを言うリラさんだが、視線は俺がかき回している鍋に固定されている。ここで『食べます?』と言ったが最後、目の前の栄養が一部に集中しているような生物に全てを食い尽くされてしまうだろう。
「俺のことを魔物みたいに言ったので、皆が来るまでお預けです」
「そうか……」
耳っぽいところをへにょらせながら、リラさんは残念そうにつぶやく。絶対ワンコだこれとは思ってしまったが、リラさんに睨まれたので言及は避けた。
すると、リラさんが自前のカバンから何かを取り出し始めたが、あれは……巨大クーケンフルーツ? あそこまで育てるのにかなり手間がかかるし、興味本位で食べてみたけど一昔前の瓜っぽい味で嫌いなんだよなぁ。でも、あんなのをどうするつもりなんだろ。
「リラさん、それをどうするんです?」
「ライザ達に奪わせる。お前もやるか?」
「料理してるんで無理です、こっちに砂かけないでくださいね」
「善処する」
返事が些か不安なので、『絶対こっちに来ないでくださいね』と念押ししながら保証金代わりのスープとパンを分けてあげる。すると、リラさんが喜んでそれらを瞬く間に完食。やっぱりワンコじゃないか。
そうしていると姉ちゃん達の気配を感じ取ったのか、リラさんがキリッとした表情を浮かべる。そして、広場から戻ってきた『遅い』と一喝すると、巨大なクーケンフルーツを掲げて『奪い取ってみろ』と姉ちゃん達を挑発している。
「ふぅ、やれやれ。まさかタルに詰め込まれるとは思わなかった」
「あー、お疲れ様です」
どうやら本当に試験官役をやっていたようで、結構お疲れな様子のアンペルさんが帰ってきた。
はっ、しまった! どこかのハンター試験みたいに『その試験官は偽物だ! 俺が本当の試験官だ!』って言えば良かった。……言った瞬間、リラさんに蹴飛ばされそうだな。
そんなことを思いつつ、俺は掲示板を開きながら時間を潰す。すると、本当に期待を裏切らない掲示板の民達が目の前の色々躍動している姿に歓喜の声を漏らしていた。おそらく、どっかのコックならばこの掲示板は血の海で染まってるだろうな。
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ウェミダー! 【ライザのアトリエ】スレより
593:ガイア
ねーちゃん、がんばえー
600:名無し
まけるなー らいきゅあ~
605:名無し
イケェ! ぶちかませぇ!
611:名無し
あわよくばラキスケ狙えー! レントー!
612:名無し
タオ、どっかにタッチぐらいの気概見せろー!
618:名無し
デッッッ
630:名無し
エッッッ
642:名無し
躍動感がすごい
654:名無し
皆が語彙力を失ってて草なんだ
661:名無し
いや、無くすだろこれ。そもそもなんでガイアやレント達は反応しないの? ホモなの?
667:名無し
俺だったら無理だわ。特殊な訓練受けてるようにしか思えん
674:名無し
バッキャロー、いつもあんなムッチリした姉や幼馴染が居るんだぞ? それが特殊な訓練なんだよ
686:名無し
つまり、男が好きってことでは?
687:ガイア
『何を言ってるんだい。俺は裸エプロンが好きなノーマルだよ』
691:名無し
括弧つけんな。ってかガイア、そのネタ知ってるってことは前世で結構歳食ってたんだな
692:名無し
裸エプロン先輩! 裸エプロン先輩じゃないか! なっつ!
697:ガイア
>>692
裸エプロンってロマンだと思うんだよね。あ、姉ちゃんに水に突き落とされた
709:名無し
女同士のキャットファイトは良いですなぁ
721:名無し
良い……
730:名無し
>>709
取っ組み合ってもないのだが?
734:名無し
なんにせよ、眼福だ
────────────────────
んー、やっぱ掲示板の民は性に関してはちょっと……いや、かなり奔放なご様子だなぁ。
いや、俺だって男だし。レント兄ちゃんやタオに至っても同じ感想を持ってると思うけどさ。俺的に姉ちゃんはその……インモラルなことを取っ払っても男友達と遜色ないんだわ。
たまーに豪快なフルスイングで斧振るってる姿を見てると、『あれ? うちのって兄ちゃんと姉ちゃんどっちだっけ……あ、女だ!』って思うことがあるぐらいのパワフルさだしな。
逆に今みたいにクラウディアさんとイチャイチャしている環境じゃないと、姉ちゃんはあんまり女女していないわけで……。あ、でも美容関係は食いつき早いしそういった物を錬金術で作る頻度も高いんだよ?
まぁ、そこまで言っても多分掲示板の民にはわかってもらえないんだろうな。今でも『コイツ、股間の紳士ついてんのかよ』とか言ってるし、その美しさが集まった貴様らの股間の紳士に大量の石を投擲するぞ?
それにしても、見事なほどにリラさんに翻弄されてるな。竜を退治したりして連携力は上がってるはずなのだが、やっぱりアンペルさんの護衛を務めているだけあってか姉ちゃん達はもののかずにはいってないんだろうなぁ。
あれ、クラウディアさんが1人でやってきた。なんだろ。
「ねぇ、ガイア君。ちょっと手伝ってくれない?」
クラウディアさんも最近、姉ちゃんと同じように俺を扱いだしたな。ただ、今の俺は料理中だ。そう簡単に首を縦に……え、代わりに鍋をかき回してくれるの? OK OK、それならやらせていただきますわ。
さっそく俺はクラウディアさんの指示通りに本をアイマスク代わりにして眠りこけているアンペルさんを無理やり立たせ、肩に手を置いて多少拘束している感を出す。そうしていると姉ちゃん達が集まってきて、レント兄ちゃんとタオがさらにアンペルさんに拘束を加え出したので、これ以上の拘束は必要ないと感じた俺はクラウディアさんと鍋の様子を見ていた。
「出来ればもうちょっと手伝って欲しかったんだけど」
「これ以上は別料金です。バレンツ商会の珍しい本で手を打ちましょう」
リラさんには必要ないと言われた以上、俺が過度に手伝いするわけにはいかない。それにあの人の思惑はおそらく、連携の重要性を説くことだろう。現にレント兄ちゃんは戦闘で前線を張っているためか一番リラさんに挑んでいるし、そのレント兄ちゃんがあしらわれたら姉ちゃんが挑むが錬金アイテムがない錬金術士なぞ物の数に入ってない。
そしてタオだが……うーん、タオという以外何者でもないな。まぁ、どっかのラグビー部みたいに急に覚醒して『死に晒せぇ!』と殺人スレスレタックル(ボール目掛けてタックルしているので反則ではない)をやられても困るけどね。
でも、このまま1人ずつやられると煮込み過ぎて味が悪くなるんだよな。それに、なんかクラウディアさんがちょっと蚊帳の外になっているっぽいから積極的に参加させねば。
「ほい、一時中止ー!」
そう思い至った俺は一時中止を宣言する。突然、特訓に参加していない俺に中止を宣言されたからか全員が不満そうな顔を浮かべているが、この際気にしない。俺はクラウディアさんの手を引くと姉ちゃん達の輪に入って『クラウディアさん居ての戦闘訓練じゃないの?』と何時も戦っているような連携の必要性を説く。
すると、姉ちゃんも凝り固まっていた思考が解き解されたのか『作戦立てるよ!』と皆を集め出す。こういう時のリーダーシップは流石としか言いようがないよなぁ、姉ちゃん。
「おい、どういうつもりだ」
「このまま行ったら焦げたスープ食べる羽目になるので。お節介でしたか?」
「いや、食事は美味い方が良い。良い判断だ」
やはり食事は大事。古事記にもそう書かれている。ムスッとした顔からいつもの顔に戻ったリラさんを横目で見つつ、俺は定位置で鍋をかき回す。この分ならそろそろパンも焼いた方が良いだろうか。
そんな考えを巡らせて準備をしていたが、どうやら無駄にならずに済んだようだ。ウニや氷ビシ、そしてどこで拾ったのか見るからに電気属性の石や罠を用い、見事に姉ちゃん達はリラさんの手から巨大クーケンフルーツを奪い取って見せた。
うーん、配信コメントでも大盛り上がりだわい。これを代価に掲示板の民から色々教えてもらえるな、クックック。
「づがれ"た~。ガイアー、ご飯ー」
「ガイア、はやく食事にしろ」
おっと、腹ペコ魔人達が暴動を起こしかけている。これはすぐにでも準備をしなければ。
***
その後、特製のクーケンフルーツの山羊肉煮込みに舌鼓を打った俺達は巨大クーケンフルーツを渋い顔で食べた後にアンペルさん達と別れると船でクーケン島へと帰っていく。
『楽しかったねー』と和気藹々とした空気の中だが、俺はたまらず自分の胸に燻っていた不満を打ち明けてしまった。
「姉ちゃん、俺のことを思って早く補助器具を作ってくれるのは嬉しいけどさ。それが自分の罪悪感っていうのなら、止めて欲しいんだ。俺が突っ込んだのだって俺自身が決めたわけだからさ、そもそも最初から姉ちゃんに付いて来いって言われてついて行くほど俺はお人好しじゃないって分かってるだろ?」
「お人好しが服着て歩いてるのが何か言ってら」
「よく本の片づけを手伝ってくれたり、本を読むアドバイスしてた人が何か言ってるよ」
シャラップ。レント兄ちゃんのは依頼だから報酬はもらってるし、タオのはまた本で圧死ギリギリになっても困るから仕方なくだよ! それに、ずっと変な文字見てムムムッてるやつに文字と文字の間が狭い単語っぽい記述の指摘しただけですー!
「じゃああたしって……いらない?」
ぎゃーすかと騒いでいると、姉ちゃんがポツリと言ってきた。うん、いらないんじゃなくてね? もっとお話聞こうか?
クラウディアさんも姉ちゃんに寄り添ってこっちに厳しい視線を送らないで欲しい、俺って簡単にへこたれるから。
「いらなくなんてないよ。むしろ、姉ちゃんがやってくれなきゃ困る。だけど、ちゃんと錬金術士として技術を磨きつつある姉ちゃんにこれ以上俺に時間を費やすのはもったいないんだよ。石鹸の時も言ってたでしょ? 姉ちゃんがなりたいのは補助器具の技師? それとも錬金術士?」
「そっか……そっか! まだ、あたしってガイアのことを引き摺ってたんだね」
「仕方ないよ、俺だってあんなことがなければ今も万全だったし。そもそも竜が完全に倒されたなんて誰も分からなかったんだからさ」
ゲームではいざ知らず、HPなど視覚的にその生き物が息絶えているかを判定する基準はない。だから、竜が最後っ屁をしたことも姉ちゃんの責任ではないし、それを防ぐ決断をしたのも俺だから姉ちゃんは何も悪くない。
そんな説得にやっと姉ちゃんも納得してくれたのか、今後は量産せずに毎日1~2個を集中して作るという制限を自身に課してくれた。
やれやれ、ほんとどこまでも一直線な姉だよ。まったく。
ところでガイアは泳げるの?
泳げるが、水の中で目を開けられないくそざこ農筋。泳ぐ時はゴーグルのような目を保護するのが必須である。
あと、泳ぐよりも漂うのが大好き。昔、うつ伏せで漂っていたので溺れたと勘違いされ、それ以降は水遊びをしなくなった。