農家の子   作:マジックテープ財布

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6話

 アンペルさん──いや、リラさんのおかげか。自責の念から早めに立ち直った姉ちゃんは今日もレント兄ちゃん達と素材採集に出かけている。

 まぁ、最近ちょっと気負い過ぎたこともあったけど、クラウディアさんのおかげで元に戻った。やっぱり気持ちが空ぶると碌なことが起きないね、元に戻ってよかったよかった。

 

 そんな俺だが、アトリエの近くで畑をこさえている。最初はレント兄ちゃんとタオが錬金術の素材を育てられないかという疑問から、『農作業と言ったら』と俺が巻き込まれて制作した。いつもは姉ちゃんが世話をしているが、こうしてレント兄ちゃん達が採集で居ない間は俺が面倒を見ている。この姿を母さんに見せたら腰抜かすだろうな。

 

 ──そうそう、俺の左腕だけど。浜辺で遊んだ日から姉ちゃんが行ける所全て探索する勢いで冒険し、素材をじゃんじゃん採集しているからか日増しに良くなっていってるよ。ただ、治って行ってるわけじゃなくて姉ちゃんの作る補助器具の性能が上がって行ってるだけなんだけどね。

 

「はい、ガイア。今日の分だよ」

 

「昨日は4分。今日はどのぐらいかな」

 

 本日分の新しい補助器具を付け、俺は左腕でこん棒を握って何度か振るう。1分、3分、そして7分と行ったところで途端に腕の力が一瞬入らなくなり、こん棒がすっぽ抜けた。突発的な麻痺なところから6分かそのぐらいかな、腕を見せると姉ちゃんが『やっぱりこことここかぁ』と、とある二点を突いているからそこらさえなんとかなれば完成なのだろう。

 

「うーん、素材の強度が足りないんだよね。でも、ここらの素材ではちょっと厳しいかな」

 

「お父さんに頼んで良さそうな材料を仕入れてみようか? 今回のことでお父さんも何かしたいって言ってるし」

 

 うげ、ルベルトさんも気にしてるのか。結構、俺って色んな人に大事にされてるんだなと改めて思うけど、そろそろこの境遇も何とかしたい所存だ。

 ひとまず現状は7分で十分なので、それを量産してもらった次の日。姉ちゃん達と港を歩いていると、漁師の兄ちゃん達が姉ちゃんに話しかけてきた。

 

 なんでも以前の不漁時に魚の餌を作ってもらったは良いが、また1匹もかからなくなったらしい。それでもっと強力な餌が欲しいのだとか。ふーん。

 レント兄ちゃんに『餌をバカスカ使い過ぎたんじゃないか』という指摘に、漁師の兄ちゃんは『これでも不漁前よりも漁獲量を抑えてる』と反論。そして、『俺達がどんだけやりくりに苦労してるか』と涙ながらに訴えている。……ほーん。

 ──で、餌頼みの漁業の是非やいつもと変わったことはないかと聞き取りを行った結果が『学者じゃないから分からないけど、潮目が変わった。魔物についてはよそ者が騒いでるだけでどう用心しろってんだよww』という始末。

 ガイア シッテル。 コレ ホラーデ サイショニ ギセイニ ナルヤツ。

 

 この漁師、自前のスキルかなんかでソナーでもついてるのか? それとも湖が平面だと思ってるのか? 魔物が深いところに居られたら分からねぇだろ。

 ただ、それを証明するのも難しいものだ。姉ちゃんは姉ちゃんでアンペルさんを軽視している漁師の兄ちゃんに怒っているし……。いっちょ、収拾付けるか。

 

「では、正式な依頼ということでよろしいでしょうか?」

 

「うぉ!? なんだ、ガイア。気持ち悪いな」

 

 このまま立ち去ってやろうか、この野郎。

 結局、強力な餌の制作を依頼という形で話がついた。その際、『今回はお試しでタダだが、実験なので性能に関しては文句は言わない。仮に成功した場合、今後は費用が発生する』と付け加えたので、これで上手くいってもバンバン発注は来ないだろう。

 

 しかし、そうなると新しい餌の調合の問題が浮上する。今までの餌よりも強いものとなると、ここいらの素材は流石にレベルが低いのだそうだ。

 すると、ちょうど出くわしたアンペルさんが言うには北の宿場町情報で全体的に強い香りがする森が存在するらしい。それを聞いた姉ちゃんは明日取りに行くのだそうで、初めて行く地ということで万全ではない俺が外されることとなった。

 

「あぁ、ガイア。ライザよりも色々分かってるお前さんに相談したいことがある。明日にでも良いか?」

 

「えー、ガイアのが分かってるってなによー」

 

「ふふふ、流石にこのあふれ出るインテリジェンスは隠し通せないか」

 

「どこにも溢れていないが? 具体的に教えてくれるか?」

 

 リラさんの率直な疑問が痛い。ごめんなさい、真面目に聞かせていただきます。

 その後は解散となり、寝る支度も整ったことで本日の成果を掲示板で報告する。今日の本題はやっぱり不漁のことだよなぁ。……ネタバレはしてもらいたくないが、なーんかキナ臭いからちょっと助言してもらうか。

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俺の左手がたまに麻痺る! 信号届けと硬直し出す! 【ライザのアトリエ】スレより

231:ガイア

 漁師の兄ちゃん達が不漁とかいってもっと強力な餌ねだってくるんだけど

 どうしたら良い? 

 

238:名無し

 来たか、胸糞イベント

 放置していいんじゃね? 

 

244:名無し

 とりあえず、スレ名が縁起悪いからやめね? 

 

247:ガイア

 だよなー。寄ってきた魚軒並み揚げてったら次に育つ稚魚も網にかかってそうだし

 漁獲量減らしてるっていうけど、それ知ってるの漁師さんだけだから本当に減らしてるのかさえも分からん

 

255:名無し

 原因はこっちでは分かってるけど、ガイアの登場でどうなってるかも分らんからなぁ

 とりあえずはアンペルさんに今のところの想像で良いから、魔物の概要とか聞いとき。もしかしたらガイアの影響で魔物の種類が分かってるかもしれんし

 

259:名無し

 んだな。ひとまず、漁師の依頼は聞いとき。ただ、ライザが勝手にやったってことにだけはさせるなよ

 

261:名無し

 あとは証拠といえるかはわからんが、実際に食いつき良い姿を見せれば悪くは言われないんじゃね? 

 

264:ガイア

 了解。既に依頼書も作成してるから何があっても漁師から依頼されたって言えるよ

 あとは魔物に付いて言ってきたのはアンペルさんだし、相談するわ

 

────────────────────

 なるほどなるほど。原作では人死には出ないけど、俺が居るからどう転ぶか分からぬ……と。うぬぬ、どう動いたもんかなぁ。

 とりあえずは魚の減少や魔物について頭脳労働役のアンペルさんとちょっとお話してみるか。ちょうど呼び出されてるし、菓子でも手土産に持っていったら話ぐらいは聞いてくれるだろ。

 

***

 

 翌日。姉ちゃんと一緒に畑仕事をした後に姉ちゃんと別れた俺は、真っ直ぐアトリエへと向かった。出迎えてくれたアンペルさんにお菓子を渡しつつ、『湖の魔物の件』と言い出すと彼は『まずはそちらを片付けるか』と椅子に座る。どうやら、俺に話したいことは湖の件ではないらしい。

 

「……で、湖の魔物がどうした? 姿でも見たか?」

 

「いえ、アンペルさんが旅をしてきた中でどんな魔物が該当するのか気になりまして」

 

「水棲の魔物など1種2種では利かないから何とも言えん。もう少し特徴が分かれば良いのだがな」

 

 やっぱりか。正体が分かれば絵や文章で注意喚起が出来たのだが、姿が分からない以上はどうしようもない。──次だ。

 

「では、個人的に魔物が魚を捕食していることでの数の激減。そこから不漁という関係を睨んでいるのですが、水棲の魔物が魚を食べない……ってことはあるのでしょうか?」

 

「ガイア、私は魔物博士じゃないぞ。──と、いつもなら突っぱねているが。これのこともある、答えは既に分かってるんじゃないか? と言っておこう」

 

 手土産のクッキーを何枚か一気に口に放り込んだアンペルさんが、何かの本を持ち出してくる。どうやら魔物に関することが書かれた本らしく、その中で水棲かつ魚を主に食べる魔物として何種類かの魔物をアンペルさんがピックアップする。

 

「人間は魔物と比べれば弱い。それも、水中に引きずり込んでしまえば奴らによってあっという間に腹に収まってしまうだろう。だが、今のところ人的に被害は出ていない。……ということは、だ」

 

「魚が防波堤になってくれている?」

 

 強く頷くアンペルさん。

 たしかにそうだ。魚以外を食性にしている魔物であるならば、漁師という水の中に突き落としてしまえば楽に食べれる食糧を放っておく必要はどこにもない。

 しかし、それを今の今まで行ってこなかったのはなぜか。単に『大量に食べれる食糧』が泳いでいるからだ。

 

「だが、以前の餌でも漁獲量は減っている。もし、ライザが調合する次の餌でも掛からなければ……少々まずいかもしれないな」

 

 そこは掲示板でも意見があった食物連鎖の問題である。魔物の登場によって人間と魔物が食物ピラミッドの下の層に居る魚を取り合い、既に人間側の餌でも対応不可能なほど減少した。──となると、次に魔物の牙が同じ層の『人間』を狙わない保証はどこにもない。

 

「さて、これでお前さんの話は終わりで良いな? 今度はこちらの話を聞いてもらおう」

 

 魚について考えるのは後にしよう。せっかく話を聞いてもらったのに、俺がアンペルさんの話を聞かないのは不公平だ。

 居住まいを正して話を聞くに、どうやら前々から言っていたアンペルさんの旅の目的である『門』の調査をさらに進めるため、クーケン島の立場のある人物のお墨付きで堂々と遺跡を調査したいらしい。

 

「立場って言いましても……。現状、クーケン島は開拓推進を行っているモリッツさんと伝統や伝承第一である保守派の古老が居ますよ」

 

「ふむ、たしかモリッツ氏が居を構えていた高台には遺跡が沢山あったな。あそこもモリッツ氏の所有物なのだろう?」

 

 トレッペの高台のことか。たしかに文字が掠れて見えなくなった記念碑やら枯れて久しい大噴水とかあるが、どれもブルネン家の敷地……になるのかな。俺や姉ちゃんはよく無断で侵入しては採集してるけど。

 

「ですね、言質とまではいかずとも話はしておいた方が良いかと。あとでやった、やらなかったは不毛なので」

 

「お前さんは話が分かるな」

 

 いえいえ、それほどでも。あ、錬金術でボイスレコーダー──声とか記録できる装置とか作れます? あ、つくれない? そうですか……。

 その後、リラさんから『アンペルが2人になったようだ。可愛げがない』と軽くディスられるが、俺とアンペルさんは遺跡を探索する許可を得るためモリッツ邸へとやってきた。何故か古老も居て流れ者のアンペルさんに強い視線を送ったり、モリッツさんが『村を取り仕切る役目』というふわっふわな言葉でマウントを取ってるけど、ここで俺のときめきメモリアル第18項目。『具体的にどんな作業をしてるんですか、そしてそれはいつごろ完了目途ですか?』といういわゆる『進捗どうですか?』を発動したらどうなるのだろう。ちょっと気になった。

 

「申し訳ない、配慮不足でした」

 

 俺がモリッツさん虐めを考えている最中でも話は進んでいた。どうやらアンペルさんは流星の古城や街道の西の禁則地の話を出して拒否をされた後、高台の調査という最初と比べるとかなり見劣りのする要求をモリッツさん達に提案した。

 たしか、フライフェイス……じゃねぇや。ドアインザフェイスだっけか。交渉が上手すぎる、これならばコロっと騙されそうだと思ったが、どうやら高台の調査はモリッツさんにとって地雷だったらしい。

 

「とっとと帰れ! 島での好き勝手は私が絶対に許さんから、そう思え!」

 

 突如憤慨するモリッツさんに俺は違和感を覚える。今まで流星の古城や禁則地の話は朗らかに聞き流し、なおかつ島の遺跡を歩きながら調査していた時もあったのにそれすらも黙認しておきながら、自分の土地だけ明らかな拒否はあからさまに怪しい。

 なので、ちょっと俺はあふれ出るインテリジェンスのままにキレ芸をすることにした。

 

「ほほう、ではこのクーケン島は"あなたの持ち物"なんですか? お貴族様?」

 

「なっ、またお前か。ガイア」

 

「いやいやいや、またって仰られてもねぇ。古老、聞きました? この島ってブルネン家の物らしいですよ」

 

「えぇい、なんでそうなる!」

 

 話が通じないと怒るモリッツさんだが、前世の田舎のジジババならこのぐらいの揚げ足は当たり前だぞ? そこからさらに代表とは名ばかりの24時間体制の雑用係もやらされるんだぞ? そんなのじゃ甘いよ。

 

 さて、ある程度モリッツさんを虐めたところで本格的に許可をもぎ取るとしますかね。俺はまたしても痺れてきた左腕を右腕で掴んでモリッツさんの前に突き出した。

 

「じゃあ、ブルネン家の物っていうのは置いときましょう。今、ここでボオス兄さんをこの片腕を代償に助けた褒賞を頂きたい」

 

「うっぐっ……」

 

 さぁ、どうだ。ここで拒否したらこのことを村中に言い広めるぞ? 困るよね? 困るよなぁ?──ってあれ、アンペルさんもう良いってなに? え、調査を諦め……あ、諦めるんですか? そっかぁ。

 

「……なんか、諦めるみたいなんで帰ります」

 

「なんなんだ、一体!」

 

 こっちが聞きたいよ! せっかく必殺技が使えるとワクワクしてたのに! はーっ、テンション下がるぅ! 

 待機しているリラさんと合流する道中で諦めた理由を教えてもらったが、別にフィルフサがクーケン島に現れたわけではないのでトレッペの高台は特に強行して調査しなくても良いそうだ。

 

「あの、アンペルさん? そういうのは言ってもらえません? 伝家の宝刀抜くタイミング思いっきり外したんで」

 

「あぁ、善処しよう」

 

 それ、絶対やらないやつですよね? ちょっと、こっち見て? ちょっとぉ? 

 

 それ以降、全然目を合わせてくれないアンペルさんと共に俺はアトリエへと戻る。そしたら既に姉ちゃん達が戻ってきており、向こうで採集したらしい香りの良い素材で餌を作っていた。

 うわ、餌からすっごい匂いが香ってくる。

 

「ねえちゃん、一応これ実験出来ないかな」

 

「試しに撒くってこと?」

 

 イグザクトリー。試験は大事ってどっかの偉い人も言ってたし、魚釣りしてるポイントにでも撒けば何か釣れるっしょ。

 すると、俺の説得染みた言葉にその気になったのか姉ちゃんはアトリエから飛び出していった。他の皆もそれを追いかけるので俺はそれに続こうとするが、アンペルさんに呼び止められてしまう。

 

「ガイア。仮にあの餌でも魚が取れなかった場合だが、すぐに魔物の仕業と断定するな。本当に魔物の仕業だったとしても他の可能性もあることは注意しておけ」

 

「どういうことですか?」

 

「一概に魔物の仕業ではないということだ。錬金術の理論になるが、素材や工程。そこに至る強いイメージがあってこその錬金物だ。今回のこともそれと同じ、流れを読み解くんだ」

 

 ほんとこの人は──。今回の不漁騒動から魔物の出現の可能性の他に別の事象の関与や相互関係も疑っているなんて、口では『あまり頼るな』とは言ってるけどとんでもなく頭がキレる。

 

 だが、現状は潮目が変わったという証言のみで、魔物などは悪く言えばアンペルさんの言葉を鵜呑みにした俺達の推測に過ぎない。これではいくら物事の流れを読み解こうにも推測交じりの駄目な推理が出来上がってしまう。

 

「ガイアー、たまに釣りしてる海辺で撒いたらすごい勢いで魚が来たよー」

 

「1匹2匹生かして取れない? 証拠になるからさ」

 

 今回は完全にタダの依頼だが、依頼は依頼だ。ちゃんと効果を発揮するという証拠は無ければならない。『姉使いが荒いー』と言ってくる姉ちゃんの後頭部にブーメランが刺さっているが、この際何も言うまい。

 その後は無事に数匹の魚を入れた水袋と共にクーケン島に帰った俺達は、件の漁師の元を訪ねて実際に魚を放流して寄ってくるという証拠を提示。ついでに潮目以外で何か変わったことはないかと尋ねようとしたが、『明日早いから。じゃ!』と言ってさっさと帰ってしまった。

 

「魔物の仕業だったらきっと、あの人が食われて村の人が気づくんじゃないかな」

 

「ガイアってたまにおっそろしいこと言うよな」

 

 レント兄ちゃん、おっそろしいっていうけどこんなの映画を知ってる人からすると『お約束』だよ? ……まぁ、知らない人からすると訳の分からない話は置いとくとして。結果が出る翌日の農作業を何とか免除してもらうためにクラウディアさん代表でシュタウト家に迎えに来てもらうよう説明し、合意を得られたところで俺達は時間も時間なので帰宅する。

 さーて、本日はどんな報告をしましょうかねっと。

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俺の左手がたまに麻痺る! 信号届けと硬直し出す! 【ライザのアトリエ】スレより

280:ガイア

 もう、うちの島ダメかもしれない

 漁師のくせに湖からたまにやってくる魔物に関しては無関心。餌を渡したらさっさと帰っていく。あれが漁師の姿か

 

287:名無し

 >>280

 パニックホラー系の被害者枠だな

 

290:名無し

 >>280

 さらに何人かでやっと事態に気づくまとめ役も加えよう

 

300:名無し

 っていってもたしか数十年に一度クラスだっけ? そんぐらいだったら俺もそんなに警戒心出さないかな

 

306:名無し

 >>306

 でも、餌使っても不漁なところでおかしいってなると思うぞ? 

 

316:ガイア

 とりあえず、聞き取りをして色々聞いて情報が欲しい

 

325:名無し

 確か今は潮目が変わっただけだっけ? 

 なら、魚を捕るポイントとか変更する日数とかかな。単純にそこに居る魚だけが居ないとかなら場所変えれば良いだけだし

 

331:名無し

 おれは漁師のライフスタイルが怪しいと見た

 朝早くに漁とかでそのぐらいに活動している魚以外にも居るはずだし、昼とかに漁で魚が増える可能性もある

 

340:名無し

 そもそも、アンペルさんの魔物説の補強になるけど。餌を使ってもかからない = 魚が居ないを推す

 0にいくら掛けても0なように、0匹にいくら餌を撒こうが0匹だよ

 

350:名無し

 >>340

 さらに食物連鎖の説明入れたら村人も納得しそうだな。そういう理科系って教わったりしてるん? 

 

355:ガイア

 >>350

 食物連鎖なぁ。たしかシンシアさんに教わったような……教わらなかったような……。あれ、本に載ってたんだっけ

 

363:名無し

 頼りにならねぇな。この農筋

 

370:名無し

 >>355

 シンシアさんに教わっておいてなんだその体たらく。恥を知れ

 

376:名無し

 まーた過激派湧いてるよ

 

382:名無し

 アトリエのキャラが皆、魅力的なのが悪い

 

383:名無し

 でもこいつ、ドラゴンの角をこん棒で破壊してぷにを殴打で潰すバーバリアンだぞ

【画像】

 

388:名無し

 うっす、サーセンした。反省してます

 

395:名無し

 い つ も の

 

404:ガイア

 とりあえずはそんぐらいか。明日にでも聞くか

 >>388

 謝れる良い子にはシンシアさんのご褒美だ。だけどこの人、既婚者だぞ? 

【画像】

 

412:名無し

 >>404

 ガイア君、世の中には人妻が好きって人も居るんだよ

 

418:名無し

 Arrrthurrrrrr! 

 

424:名無し

 >>418

 狂った湖の騎士さんチッスチッス。はやくマシュや主人公に軽いセクハラしてる転生マスターのところにお帰りください

 

425:名無し

 ガイア、もし聞き取り行うなら配信してくれ。その都度コメントで気になったこと書く人もいるだろ

 

426:名無し

 >>424

 あー、あそこのか。バディ感が好きだわ

 

436:名無し

 >>424

 あそこの狂スロットさん、転生マスターと普段は会話になってないのに。戦闘の時や酒飲んでる時は意思疎通できてて好き

 

439:名無し

 >>425

 せやな、ガイアもそれで頼むわ

 

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 ん? あー、なるほど。竜の時のように色んな人の知識を総動員させるってことね。OK、これなら聞き漏らしはなさそうだ。

 

***

 

 翌日。昨日の内に事情を話して迎えに来てもらったクラウディアさんが、どうやら昨日の夜中に作成した数枚の依頼証のような形式ばった紙を母さんに見せながら説明していた。

 

「ふぅーん、この娘がねぇ」

 

「はい、現にこの村のバーバラさんには足の痛みに効く軟膏を、パットさんには復活した染物屋で使用する布を既に納めています。後、これはまだ少数ですが石鹸も恐らく売られてるのではないでしょうか?」

 

「ほら、この前母さんに渡したちょっと多いお金。あれ、姉ちゃんが作った石鹸を売った奴だよ」

 

「あぁっ! あれ、ガイアのお手伝いでもらったお金が貯まったから預かってくれってわけじゃなかったんだね」

 

 俺が援護射撃することで母さんの怪訝な表情がいくらか緩和された。……母さんも説明したのにすっかり忘れているのを見ると、姉ちゃんへの期待感が透けて見えるぜ。

 とにもかくにも無事に抜け出せた俺達は、クラウディアさんにお礼を言いつつも港を目指す。港の前ではレント兄ちゃんとタオが既に漁師と話していたので、俺は掲示板で一言と配信へつながるリンクを投下して夜中に考えて書き出した質問票を準備する。

 

「だから! 実際に効果があることを俺達も見たんだって! あんたも見ただろ!」

 

「お前達が嘘をついているんじゃないのか? それに、なにかの仕掛けで俺を騙したんだろう」

 

「なにかってなんですか!」

 

「俺達にもよく分からない何かだよ!」

 

 うっわー、めっちゃアホっぽいこと言っとるがな。コメントでも『こいつ縛って湖に垂らそうぜ』とか、酷い奴では『この村、大量のフラムで焼くか』って言ってる……。当然却下だ、そんなもん! 

 

 さて、俺を村の破壊者に仕立てようとする輩はともかくとして、漁師の兄ちゃん曰く効果がなかったそうだ。『本当に強力な餌なのか』と疑問を口にする兄ちゃんに対してレント兄ちゃんは未だに『あんたも見ただろう』と言ってるけど、一旦効果がないと疑った意見というのは中々に拭うことは出来ないのだよ。

 

「なるほど、ではその餌以外で何か変わったことをされていませんか?」

 

「あ? なんだよ、ガイア。俺達が他にヘマしたって言いてぇのか?」

 

「肩凝るから口調戻すね。魚が減ったんじゃないの? って疑問があるんだよ」

 

 いくら餌が良くても、いくら豊富にあっても、魚という生き物は無からは生まれない。既に餌すらも効果がないほど数が減少していれば、効果がないのは当たり前の事象だ。先ほどのアホっぽい会話をしていた兄ちゃんや新たに来た金髪の兄ちゃんも流石にそれぐらいは分かったのか、『潮目が何日前からどっち方向に流れた』や、『網を放るポイントは何時何時にはどこ』と詳しいことを教えてくれる。

 

 すると、配信に俺を掲示板に呼ぶコメントが届いた。

 

「なぁ、結局何が原因なんだよ。言っとくが、魔物なんて影も形も見てねぇからな!」

 

「考えるので少々お待ちを」

 

「農業馬鹿のお前が漁業の何が分かるってんだ」

 

「そーそー、錬金術ってのでもっと他になにかできねぇのか?」

 

 まぁ、門外漢なのは認めるけどさ。その他力本願は止めようぜ? 収入無いのに焦るのは分かるけど、そっちの兄ちゃんはその日の売り上げを派手に使ってるのは知ってるんだからな? 

 ほんと、田舎のジジババを思い出すよ。あの人ら、暇になったらすぐ手首捻って金属の球を転がし出すし。

 

 まぁ、そんなことはどうでも良いや。えーっと、どれどれっと。

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俺の左手がたまに麻痺る! 信号届けと硬直し出す! 【ライザのアトリエ】スレより

694:名無し

 ほんっと陽キャっぽくて嫌いだわ。この2人

 

695:名無し

 もう石抱かせて適当な紐に括り付けて水に落とそうぜ

 食われたら何かが居るって証拠になるし

 

700:名無し

 こいつら錬金術を魔法だと思ってるな? 

 

709:名無し

 こりゃ、魚がスレた可能性があるな

 

711:名無し

 あー、警戒心マックスの状態か。イワナ釣りやってたときにあったわ

 

721:名無し

 >>700

 ま、魔法だと思ってた

 

728:名無し

 >>711

 イワナだと1日は出てこないとかあるもんな。湖の魚がどれほどか分からんけど、巣穴に引っ込んでる可能性もある

 

735:名無し

 今のところ、魔物に食い荒らされた説と警戒心が生まれて寄ってこない説? 

 

738:名無し

 >>738

 複合で魔物から逃れた魚が住処を移動してその辺りに居ない説もかな

 

746:名無し

 なんにせよ、漁場を変えるのが得策だけど素直に首を縦に振るかね

 

754:名無し

 やっぱりメテオールとか終末の種火で村を焼こうぜ

 

762:名無し

 >>754

 降ってこーい

 

766:名無し

 種火ならまだセーフだな。未来のプラフタも言ってたし

 

────────────────────

 プラフタが誰なのかは気になるけど、なーるほどね。釣りみたいに警戒してるって言って遠くに船を出すのか。……あれ、たしか帆のない船で湖を渡る他に湖系の掟ってなかったっけ。それに、魔物が居るかもしれないのに遠くに出させるのもなぁ。

 ま、いっか! 提案すればあっちが突っかかってくるだろ。

 

「へい、整いました」

 

「あ? 今更かよ。こっちは後のことを考えなきゃならねぇってのに」

 

 おっと、既に話し合いは終了間近らしい。ほんと自分勝手だなぁ、姉ちゃんみたいだ。

 

 態度に見えるほどイライラしている漁師の兄ちゃん達に、俺は掲示板にあった『魚がスれている』という意見を出した。漁師達も釣りをしているのか、餌を変えても興味すら持たれずにボウズという経験があるからか『なるほどなぁ』と一応は納得。だが、次に出てきた言葉が『じゃあ、どうすりゃ良いんだよ』という信じられない言葉だった。

 

「俺達も漁業の専門家とか研究者じゃないから分からないよ」

 

「ちっ、そこまで言ってそれかよ」

 

 ……本当に逆さ吊りにしてガノ●トス釣るカエルみたいにしてやろうか? いけないいけない。ラブ&ピース、ラブ&ピース。

 そのまま『遠くに漁へ出る』というアドバイスも聞かず、苛立った様子で去っていく漁師の兄ちゃん達に姉ちゃん以外の面々が不平不満を言う。

 

「仕方ないよ、あの人達だって生活が掛かってるんだよ」

 

「それにしたって言い方ってものがあるよ」

 

 タオ君、貧しくなれば自ずと乱暴になるんでっせ。

 とりあえずは港でやることも終わったので、俺達がアトリエに戻ろうとするとレント兄ちゃんがアンペルさんとリラさんが子供と何かを話している現場を見つけた。

 

「珍しい取り合わせだね」

 

「お前達か」

 

 ふむ──。アンペルさんだけなら事案、リラさんだけならレシピ本が厚くなる展開だな。2人一緒に居ることでアウト感が薄れている。

 そう考えていると、子供が俺の名前を呼びながら肩車をせがんでくる。日中はこんななのに、夜は化け物を見たような騒ぎになるんだよなぁ。……姉ちゃん、ずっと日中になる錬金アイテムとかない? ……ない? そっかぁ。

 

「何の話をしてたの?」

 

「でっかいの!!」

 

 うん、確かに俺の周囲はでっかいね。何がとは言わないけど。……あの、なんで皆俺を見るの? 何か勘違いしてない? 

 

 でも、どうやら俺や皆の思惑は外れ。『でっかい生き物が浮上してすぐに沈んだ』ということだった。魔物現れてるやーん! なんでこの子以外見てないの、漁師って暇人の集まりか? 

 それを聞いたアンペルさん達は念のために持ち歩いていた魔物の図鑑のようなものと子供の証言を頼りに、現在湖に居るとされる魔物を断定。バリバリ『人も襲うことがある』って書いてますやん。

 

「じゃあ、もう一度皆に……」

 

「もうこのお兄ちゃんやお姉ちゃんと言ったよ! でも……」

 

「"子供の言うこと"、"見間違いだ"と聞く耳持たなかったな」

 

「中には"しつこい"や、"流れ者のくせに"ってのもあったな。どちらにせよ、こちらの話を聞こうともしなかった」

 

 俺、この流れ知ってるパート2! 一体、何人減るんだろなぁ。って流石に不謹慎か。

 

 ちょっと反省しながらも俺は皆と共にアトリエに引き上げると、アンペルさんが姉ちゃんに誘魔香なる物の作成を依頼していた。明らかに湖の魔物に対する対策だよな。

 

 ……いや、姉ちゃんよ。作るのは良いけど、どんな効能なのかとか調べようぜ? え、アンペルさんだから変な物は作らせない? この純情GIRLが! 

 あ、アンペルさん? ち、違うんですよ。失敗した時のことを考えて……ね? 別にアンペルさんが怪しいとか、裏切って高台で高笑いしそうとかなんて。

 

「ガイア、別に疑うのが悪いことじゃない。私も全くの善人というわけではないからな」

 

 清濁併せ呑んできたらしい大人の対応。やっぱり、この人はいろんなところで色んなことを体験しているんだなと実感した。その行動力が羨ましいよ。

 

「それでだが、ちょっと向こうへ来てもらおうか」

 

 あれ、やっぱ怒ってます? 裏切って高台で高笑いしそうなのが癇に障りました? 

 

 自己弁護をする俺に対し、アンペルさんは『お前さんは何を言ってるんだ?』と首を傾けながらリラさんを伴ってアトリエの外まで俺を連行した。

 

「さて、お前さんも考えているとは思うが十中八九厄介ごとになる。……で、ライザ達よりも広く物事が見えているだろうお前さんに私の保険について話しておく」

 

「分かっているとは思うが、他言無用だ」

 

「えぇ、分かってます」

 

 俺はそんなに口の軽い人間じゃない。素直に拝聴の構えを取ると、アンペルさんが保険についてを語り出した。話を聞いてみるとなんてことはない、姉ちゃんに作ってもらっている香料は魔物を呼び寄せる香りがするらしく、それをクーケン島の水辺付近で使用するのだそうだ。

 

「質問、闇雲に使用するわけじゃないですよね? わざと人を襲わせるとか」

 

「するわけないだろう、そこでお前さんに相談だ。島の中を歩き回ってみたが、この辺なら人も来ないと思うが」

 

 そう言ってアンペルさんがクーケン島の地図を取り出し、とある場所を指差した。……あー、この辺なら人もあんまり来ない場所だな。ただ、なにしろ島だから『完全に無人』ってわけじゃない。その辺りはどうするんだろ。

 

「私やアンペルが見回るが、暇があればお前にも助けてもらおうとは思っている」

 

 なるほど、了解。でも、魔物の仕業だって証明するために魔物をクーケン島におびき出して証拠にするって結構洒落になってないよな。しかも、陸でも活動出来る魔物だから失敗したら本格的にヤバそうなんだけど。

 

「言っただろ、私は全くの善人じゃない。そもそも、本当に元凶であったことも一度や二度じゃないんだ。今更、何を言われてもな」

 

「そうだな。お前はひ弱な癖にお節介で、色々なことに首を突っ込んではやらかしてきたからな」

 

「おい、常識知らずなお前が持ってくる迷惑の方が酷かっただろう。例えばな~~」

 

 あー、はいはい。御馳走様、御馳走様。

 とりあえず、アンペルさんは色々爆破するのは止めようか。そして、リラさんは気に入った果樹園占領は人間どころか動物クラスだから止めようか。俺から言えるのはそれぐらいだった。

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