IS~インフィニット・ストラトス~ for Answer   作:白姫彼方

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襲撃者再び、早すぎた進化

あの襲撃から1ヶ月後、夏音、ウィンディは怪我も良くなり、学園には復帰したものの、一夏は現在も入院中であったが、意識は有り、それだけでも幸いだと安堵していた。

だがあの襲撃者から受けた傷は深く、全治2ヶ月と診断されてから、出張で居た千冬、真耶も急遽出張先から戻ってきた。その御蔭で、学園内に広まった動揺もなりを潜め、収束していったが、夏音、鈴夏、美沙、鈴音の表情は暗かった。

現在、4人は一夏の病室にいた。

 

「心配掛けたな、夏音、鈴夏、美沙、鈴」

 

一夏は申し訳なさそうに言うが、4人は気にしないでと言うと、一夏は苦笑する。その後、少しの間5人で話をしていたが、不意に一夏は黙り込んで外を見ると、一夏は溜息をついた。

 

「一夏…」

「解ってる…悪いが、鈴と少し話をしたい。席を外してくれないか?」

 

一夏の頼みに夏音、鈴夏、美沙は頷いて部屋を出た。それを確認した鈴音はベッドに腰掛ける、その直後に一夏はベッドを強く叩く。

 

「なぁ鈴、あの時の襲撃犯はやっぱり………」

「見た限りではあるけれど間違いなく、美緒だったわ」

「そう………か、だが有り得ないはずだろ?だってあの時………。あの戦争の時美緒は俺の目の前で………」

「えぇ、あの時の映像を見る限り間違いなく美緒は死んだはず。だから、この間の映像を美紗緒………千条院家に回したわ。その結果が昨日来て、骨格、髪の色、瞳の色が全て一致したそうよ。あとはDNAさえ手に入れば完全に解るそうよ」

「そうか、だけど仮にだが、美緒を複製(クローニング)出来る所はあるのか?美緒は『生命戦闘体(アマテラス)』だぞ?」

「出来る所と言えば………、『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』を作ったドイツか違法研究所と言った所ね」

「なるほどな………。厄介だな」

「えぇそうね、急がないといけないわね」

「あぁ、だが黒幕には心当たりが有るな」

「夏音を拉致しようとしたところを見ると………」

「『IS委員会』………、あの老害共だな」

 

一夏は自分で言った『IS委員会』に対して、憎悪と殺意を撒き散らす。鈴音はそんな一夏を宥める様に後ろから抱きしめると、一夏は俯く。

 

「一夏落ち着いて、今は耐える時よ」

「………すまない」

「もうじきよ………10年前から準備を進めてきたんだから」

 

鈴音がそう言った後に、病室の窓から影が指す。窓を見た一夏と鈴音は驚愕の表情を浮かべながら窓の外の人物を見つめた。

その直後に破砕音と衝撃が病室を襲った。

 

 

                     ◆

 

 

夏音、鈴夏、美沙は一夏の病室から少し離れた所にある談話室で話をしていた。

 

「今回の事件、何か裏があるような感じがして嫌だな」

「どう言う事よ?夏音」

「………夏音君が狙われたから?」

 

鈴夏と美沙の問いかけに夏音は頷き、手元にあったお茶に口を付ける。

 

「それに、父さんを狙っていたのも気になるからね」

「今叔母様に詳しい調査を頼んであるからそろそろ結果が出ると思うんだけど………」

「そうね、とにかく今は………」

 

鈴夏が言っている最中に轟音と激震が起こった。3人は近くのテーブルにしがみついて振動が収まるのを待つ。

 

「今のは!?」

「夏音!美沙!無事!?」

「僕は大丈夫!美沙ちゃんは!?」

「私も平気だよ!けど、あの振動は自然現象じゃおかしすぎるよ………」

「取り敢えず、父さんの所に!」

 

夏音はそう言って一夏の病室に向かう、鈴夏と美沙もその後を追う。向かう途中でも何度か衝撃による激震が夏音達に襲いかかる。

何度か激震によって立ち止まるも、夏音達は一夏の病室の近くにたどり着いた瞬間、病室から『白い閃光(ホワイト・グリント)』を纏った一夏が壁を突き抜けて行くのを見た3人は、直ぐに各々のISを装着する。

 

「父さん!母さん!」

「大丈夫!?」

 

夏音と鈴夏が声をかけるも応答はなかったが、一夏が突き破った壁とは別の壁から黒いISが突き破り出てきて、その後に『神龍・刃(シェンロン・ジン)』を纏った鈴音は夏音達を見て怒鳴る。

 

「馬鹿!!何で戻ってきたのよ!」

 

鈴音はそう言うと、黒いISに突進、そのまま壁を突き破って屋外に出る。その後に、一夏が突き破った先から夏音達の前に戻る。

 

「父さん!僕達も戦うよ!」

 

夏音がそう言うと、一夏は首を横に振る。

 

「いいや、お前達は避難をしろ」

「どうして!?家族が襲われてるんだよ!?」

「お前たちじゃ敵う相手じゃないからだ。いいか?絶対避難をしろ」

「嫌よ!私だって戦う!」

 

夏音と鈴夏を見た一夏は溜息を付くと、夏音と鈴夏の頬を叩く。

 

「「!?」」

「美沙、2人を頼む」

 

一夏はそう言うと、反転して病院から出た。頬を叩かれた2人は俯いたまま動かない為、美沙は2人に声を掛けるが、反応がない。それを見かねたからか2人の手を掴み、避難しようとした瞬間、2人同時に美沙の手を振りほどいてそのまま一夏の後を追った。

美沙は慌てて夏音と鈴夏のあとを追う。だが、3人が見た光景は予想だにしていないものだった。

 

「………やっぱり『絶対防御』を無効化するか………抜かった」

「織斑一夏の損傷40%、未だ戦闘続行の可能性大」

 

鈴音は既に地面に伏し、黒いISのエネルギーブレードが一夏の右肩を貫いていたが、その後に地面に伏した。それを見た夏音と鈴夏は大声を上げ、黒いISに突撃する。

 

「よくも父さんをぉぉぉ!!」

「あんたは絶対許さない!!!」

 

夏音と鈴夏は殺意と敵意等がごちゃまぜになった表情をしながら『月光零式改』を展開、左右からの挟撃を行うが、それは軽く避けられ、黒いIS………美緒は2人にエネルギーブレードを叩き込み、地面に叩きつける。だが直ぐに夏音は起き上がり、『ツヌグイⅡ』を射出して応戦するも、美緒はエネルギーブレードのみで全てを破壊、その後に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』で夏音の懐に飛び込み両前腕部と胴体を切りつける。

 

――――『白い閃光《ホワイト・グリント》MkⅡ』バリアー無効化、ダメージ不明、シールドエネルギー残量300、両前腕部武装大破『月光零式改』、『グングニルⅡ』、『グレイズⅡ』使用不能『アイギスMkⅢ』使用不能。

 

「くそぉぉ!!」

 

夏音は後退すると同時に機械翼の荷電粒子砲を放とうとするが、展開した瞬間に美緒によって斬り落される。そして美緒は夏音の腕を掴んで地面に何度も叩きつけ、ISを強制解除させた後、気絶させる。

 

「捕獲対象『織斑夏音』の捕獲を完了、『織斑一夏』の戦闘不能を確認。帰投します」

「まち………なさいよ………」

 

鈴夏はそう言って、よろよろと立ち上がる。それを見た美緒はエネルギーブレードをもう一度展開する。

 

「『織斑鈴夏』に戦闘の意思有り………マスター、ご指示を」

「返しなさいよ………」

「………了解、『織斑鈴夏』も捕獲します」

「夏音を返しなさいよぉぉぉ!!!!」

 

――――――操縦者の劇的な感情の発露を確認、自己進化……エラー。操縦者の望む武装の構築完了。戦闘経験値が不足している為、操縦者に負荷を掛けることで第二形態移行(セカンド・シフト)可能。強制的に第二形態移行(セカンド・シフト)及び次世代移行(ジェネレーション・ヒューチャーズ)、します。

 

「あァぁaぁァaぁァ!!がぁァaァぁaァ!!!」

 

鈴夏の絶叫と共に全てを飲み込むような黒い閃光が鈴夏を包み込む。それを美緒は警戒して離れようとした瞬間、黒い閃光が消える。そこに居たのは異形とも言える姿だった。

蒼かった面影はなく、全てを飲み込むような漆黒の装甲、血涙を流しているような深紅(あかい)ラインアイ、装甲がスライドしている部分も深紅(あかい)が、両腕も目を引く。

両腕には4つの鉤爪を四角形に配置されていた。それは今までのISにはなかった異形の姿であった。

 

――――『蒼き閃光(ブルー・グリント)第二形態移行(セカンド・シフト)及び次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)が完了しました。以後、本機は『死の恐怖(スケィス)』と名称、コア人格が覚醒します。

 

「………『織斑鈴夏』のISに変化あり………任務続行します」

「返せぇぇぇぇぇ!!!!」

 

美緒は鈴夏に向けて荷電粒子砲を放とうとするが、その直前に鈴夏は瞬時に動く、左に少し動いた瞬間に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』で一気に距離を詰める。美緒は荷電粒子砲を撃つのをやめて後退しながらビットを射出、鈴夏を取り囲んで、ビームを放つ。

だが鈴夏はそれらを『瞬時加速(グニッション・ブースト)』で振り切り、右腕の鉤爪で薙ぎ払うが避けられる。それを追い掛ける様に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』で縦横無尽に駆ける。その姿はまさに獣で予測ができず、美緒がブレードで薙ぎ払うが、鈴夏は身を屈める事で回避した瞬間に左腕を振り上げ美緒の手から夏音を離させて弾き飛ばす。

 

「………ダメージ小、敵ISの危険度をCからBに修正、破壊します」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)』で駆ける鈴夏を追いかけようとする美緒だが、直ぐに鈴夏は急停止しながら宙返りしながら左腕を振り下ろし、それによって反応が遅れた美緒を空中に浮かせながら左腕を左右に何度も振りながら美緒のISの装甲を削る。だが、美緒も黙ってやられる様ではなく、エネルギーブレードで距離を離そうと薙ぎ払うが、それを鈴夏は左に避けながら、左腕の4つの鉤爪を使って背後から捕まえて地面に叩きつけながら引きずり、100mほど引きずった後に『アサルト・アーマー』と同等の破壊力を持つ衝撃波が美緒に襲いかかり、ISの装甲を破壊して鈴夏は左腕を離して距離を取る。

 

「………ダメージ大、敵ISの危険度をBからSに修正………離脱します」

「逃すかぁぁぁぁぁ!!!」

 

離脱しようとする美緒を逃さない様に回り込むが、美緒は鈴夏が回り込む方向とは逆の方向に『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』で一気に引き放す。今鈴夏と美緒の距離は200m程で、新しくなった『蒼き閃光(ブルー・グリント)』………、『死の恐怖(スケィス)』の加速力なら造作もない。

その判断をした鈴夏は一気に加速して美緒に近づこうとした瞬間、急に横から鈴夏に何かが激突して追えなくなってしまった。それは装甲が砕け、大破寸前の『狂月の女神(アルテミス・ルナティック)』と傷だらけの美沙であった。鈴夏は美沙が吹き飛んできた方向を見ると、美緒と同型の赤いISが居た。

 

「あんたが美沙を………!」

 

鈴夏はそう言って赤いISに突撃するも、何処からか飛んできたビットによって阻まれる。

 

「全く………お姉様(・・・)は詰めが甘い、だから私が後始末するのですの」

 

赤いISの操縦者はそう言って鈴夏を引き離しながら夏音に近付き、右腕で抱える。

 

「目標は完了、帰投しますの」

「夏音に触れるなぁぁぁぁぁ!!!」

 

鈴夏は叫びながら赤いISに突撃する、ビットの攻撃を無視をしながら驚異的な加速力で間合いを詰めて右腕を振るうが、左腕に展開されたエネルギーブレードで受け止められ、左腕も振るうが今度は右脚のエネルギーブレードで弾かれる。

 

「獣如きが私に触れる資格はありませんの」

 

赤いIS操縦者はそう言うと同時に、左脚で鈴夏を蹴り上げ、ビット群で追撃をかけて鈴夏のISを強制解除させた。

 

「この程度ですの?もっと歯応えがあると思いましたのに………。つまらないですの」

 

赤いIS操縦者はそう言って夏音を連れ去っていったのだった。

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