鈴夏は突撃する直前に背部にある『復讐する者』を120基射出、同じく背部にある機械腕を起動、『アサルト・ネイル』が動き、『復讐する者』と同様に全て射出される。
射出された4つのビットは、その指先から高出力の収束荷電粒子砲を放ち、残りの2基は縦横無尽に動き回って美緒と白昼夢の腕を掴もうとする。
『復讐する者』はその身を斬り刻まんと四方八方から美緒と白昼夢を襲い、少しだが装甲を削る。
鈴夏の操作能力もそうだが、一番の驚きはISコアが融合し、その異形たる姿に変貌を遂げた『死の恐怖』の能力だと、白昼夢と美緒はそう結論し、大量の『復讐する者』を破壊しようと共通の武器である陽電子砲『ソドムⅠ』を『復讐する者』に向けて放つが、直撃を受けた『復讐する者』は一度は爆発をするも、すぐに再生され、二度とダメージを受けなくなった。
鈴夏は更にスカートアーマーを分離し、更に『復讐する者』を20基増やし、自身の両腕に付いている『アサルト・ネイル』を展開、『連続瞬時加速』を超える速度で真っ直ぐに白昼夢を目指す。
白昼夢は左に避けるが、『アサルト・ネイル』が右腕に掠り、それだけで肩から右腕が千切れた。
「ぐぅっ!? なんですの!? この馬鹿みたいな威力は!!」
「夏音の敵ぃぃぃぃぃぃ!!!」
その事実に白昼夢は毒つくが、鈴夏は通り過ぎた直後から反転し、スライドしながら白昼夢の背後に周り、後ろから胴体を掴む。
「なっ!? はや」
「『吸収』………!」
先程の鈴夏の声色とは別人と言えるほどの低い声が響き渡り、『絶望』の口が開かれる。その開かれた口腔内には無数の突起物が並んでおり、到底人類に備わっている口腔とは思えなかった。
「まさか!? やめなぐぅっ!!」
その開かれた口腔は白昼夢の左肩に喰らい付き、喰い千切り、その肩から先を噛み砕いて飲み込んだ。それを見ていた美緒は嫌悪感を露わにし、白昼夢は喰い千切られた時の激痛に顔を歪めながら、忌々しそうに鈴夏を睨みつける。
「化物ですわね………」
「ルォ―――――――――――――――――っ!!」
白昼夢が呟くと同時に射出した『復讐する者』とビットが収納され、緑色の粒子が集まり、空気すらも振動させる。『アサルト・アーマー』の予備動作と同じで、美緒と白昼夢は退避しようとするが、『絶望』の『アサルト・アーマー』は従来の『白い閃光』や『死の恐怖』よりも起動時間が早く、尚且つ範囲が広くなっていたようだ。
『アサルト・アーマー』によって発生した閃光が消えると、そこには装甲が砕け、ISスーツが破れ肌が露出している美緒と白昼夢がいた。
そして鈴夏は再度ビットを射出、美緒の四肢を掴み、動けなくし、残った2つのビットで白昼夢の残った両脚を固定、胴体を掴み自身の傍へ引き寄せる。
「『吸収』………っ!」
「やめ」
白昼夢は何かを言いかけたが、最後まで言えることができなかった。鈴夏は制止させようとする白昼夢の頭部を喰らい、噛み砕いて飲み込んだからだ。ガリッゴリッグチャグチャと装甲と頭蓋骨を破砕しながら粗食する音が聞こえ、実際に粗食中なのだが、胴体も噛み千切り、同じ様に喰らいながら滴る血で装甲を紅くそして赤黒く染めていく。その間に美緒は逃げ出そうと四肢を拘束しているビットを破壊するために『ツヌグイⅠ』を射出した瞬間、何時の間にか射出されていた『死の恐怖』によって破壊された。
そして、美緒は白昼夢と同様に引き寄せられ、頭部から喰われた。その後、鈴夏は美緒をも喰い終わると、胸部にあるハッチが開き、2つのISコアが吐き出され、鈴夏の背後で円を描く様に漂う。
「ISコア………起動」
鈴夏が言葉を発すると、背後を漂っていたISコアから先程まで居た美緒と白昼夢のIS『黒月の女神』と『紅月の女神』が全身装甲となって現れた。女性的なフォルムにはなっているものの、やはり機械だからか角張っている部分があり、フルフェイス型の装甲が頭部になっており、ツインアイカメラがつけられていた。
「『IS委員会』の本部を」
「………!」
鈴夏が一言呟いただけで、理解したらしく、『黒月の女神』と『紅月の女神』が先導して案内を始める。鈴夏は黙ってその案内を受けたのだった。
◆
美緒と白昼夢を喰らってから数時間後、鈴夏は南極に来ていた。そこにはポツンと一つの建物があるのが見え、『黒月の女神』と『紅月の女神』は案内を終えると、元のISコアに戻り、また鈴夏の背後で漂い始めた。
「殺す………殺す………殺す、殺す、殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロルァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
狂った様に………否、既に鈴夏の精神は壊れ、人としての理性は消え、殺戮衝動しか残らない狂気の獣と化した鈴夏は雄叫びを上げ、その建物に突貫する。
右腕の『アサルト・ネイル』を鉄塊に戻し、構え、壁に激突する瞬間に前に突き出し、壁を崩壊させ、大穴を開けて内部に侵入すると、そこに居たのは数十機のISだった。
「貴様!! ここが何処だと思っている!! 所属と名前を言え!!」
「殺す、殺す、殺す殺すコロコロコロコロコロオォォォォォ!!」
近くにいたIS操縦者が警告を発するが、鈴夏は答えずに狂った咆哮を上げ、『復讐する者』を全て射出し、全方位に荷電粒子砲を放つ。通常のISならば、『絶対防御』によって守られるはずなのだが、それが発動されずに、IS操縦者とISは蒸発した。
「なっ………え………」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
IS操縦者達が動揺する中、鈴夏はビットを射出、『アサルト・ネイル』と指先の荷電粒子砲と『復讐する者』でその場にいたすべてのIS操縦者を皆殺しにし、その奥へ進む。
途中、ガードメカや先程のとは違うISを纏った操縦者達の妨害があったが、全てを破壊し、最奥と思われる場所に、分厚い鉄の扉があり、その扉を『復讐する者』の熱線で溶解させ、中に入るとそこには複数の男性と女性が居た。
「貴様らIS委員会委員か………?」
「なっ!! 貴様は誰だ!!」
「質問しているのはこちら、答えろ」
ジャキッ!と音をした方を鈴夏以外が向くと、そこには『黒月の女神』と『紅月の女神《S・アルテミス》』が居て、『グングニルⅠ』を男女に向けていた。
「ぶ………『黒月の女神』と『紅月の女神』………!?」
「死ね」
一人の男性がそう呟くと同時にその男性を鈴夏は『アサルト・ネイル』で胴体を斜めに切断、上半身と下半身が別れ、血飛沫が上がり、『絶望』、『黒月の女神』、『紅月の女神』の装甲を紅く染め上げ、その場にいた複数の男女にも血がつき女性が悲鳴を上げる。
「もういい、死ね」
鈴夏がそう言うと、『黒月の女神』と『紅月の女神』は『ムーンライトⅠ』を展開、その場で鈴夏以外の全員を惨殺していく、ある者は四肢を切断した後に、内蔵を抉り出し、焼き切り放置し、またある者は腹部に穴を開け、涙と涎を垂れ流していた。
全員息絶えたことを確認した鈴夏は『黒月の女神』、『紅月の女神』をISコアに戻し、『アサルト・アーマー』で建物ごと、南極の5%の氷を消し飛ばした。
「殺す全てを殺すアァァァァァァァァァ!!」
鈴夏はそう言って『オーバード・ブースト』を起動、南極から跳び去ったのだった。