鉄獣戦線遠征記   作:久本誠一

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お久しぶりです。
今現在この前書きを書いている最中、まだデュエルパートは完成していません。
今回はそこまで連続した話にする予定ではないので、とにかくこの短編パートだけでも更新しておこうと……。


幕間:名もなき平野
小鳥と夜明けと山猫と


 5月9日

 薔薇の花びらが綺麗な美味しいご飯、薔薇が浮かんだいい匂いのするお風呂、清潔なお布団。とても、とても名残惜しかったですが、いつまでも白薔薇の回廊の人々のお世話になるわけにはいきませんでした。やはり私は、鉄獣戦線の一員として皆さんと一緒にいたいですから。

 あのとき神事に参加した皆さんの負った傷も薔薇の魔法によってみるみる回復し、朝はまだ絶対安静だった重症も私たちがお祭りから帰ってきた夜にはすっかり塞がり本調子に戻っていた……そうです。私、昨日は恥ずかしい話ですが帰ってすぐに報告もできないままベッドに直行してしまったので。ですが今朝の出立からずっと移動している間も皆さん元気そうでしたので、あの巫女さん達は本当に凄い魔法使いの人たちだったんだなあと改めて思いました。

 

 今日はずっと移動だけの日だったので書くことも少ないですが、なんだかこんなにのんびりした日を過ごすは久しぶりだった気もします。近くの小川に水を汲みに行ったらオタマジャクシが泳いでいるのを見つけたり、お夕飯用の薪を集めに行ったら道の途中でクローバーのお花畑を見つけたり。ヴァンパイア帝国から白薔薇の回廊に到着するまでの間もそうでしたが、ルガルさん曰くもう寄り道はなしでこのまま移動するだけらしいので余計にそう感じるのでしょうか。

 

・いい天気だったもんねー、わかるわかる(キット)

・ずーっと前もろくに見てない上の空で歩いてたくせに何言ってんだよ…(ナーベル)

・キットちゃん天才だから。心の目でちゃんと道は見えてたから(キット)

・ほう。その心の目とやらで、俺の背中に一体どんな道とやらが見えたのか教えてもらおうか?何度も何度も随分派手にぶつかってくるから、いっそ背中に鉄板でも仕込んでやろうかと何回思ったか(ルガル)

・あー……ごめんって、今度その銃剣改造してあげるから許して、ね?引き金を引くと弾丸と一緒になんと花火が発射できる、火力マシマシスーパーキットちゃん仕様だよ(キット)

・いらねえ!(ルガル)

・ルガル。確かに鉄板は背面の防御力を高めるという観点では悪くないが、機動力と上半身の柔軟性が損なわれる危険もあるぞ。やるならよほど慎重に試作と実戦外での試用を重ねたうえで頼む。ただこれは俺の私見だが、さすがにそれはルガルの場合特に蒸れてしまうのではないか?それとキット、花火を発射できるというのは確かに類を見ない発想だが、戦術的な価値も少し一覧にまとめて欲しい。俺もしばらく考えたのだが、火薬の炸裂で攻撃範囲が広げることができ、さらに多少なりとも閃光弾の役割を果たすことも考えると重量や取り回しの具合次第では正式装備として

・放っとくといつまでもびっしり書き込まれそうだからいったん取り上げといたわよ。アンタら日誌で遊ばないの、リーダーすぐ本気にしちゃうんだから(フェリジット)

 

 

 

 

 

 ……消えた焚火跡の向こう側、馬車を囲むようにテントがいくつか並ぶ野営地にわずかながら動く影を認め、見張り中のフェリジットの耳がピクリと動いた。このあたりの道沿いに人気はなく、野党の類がいるという話も聞いたことがない。縄張りを犯された獣の類ならば、そもそもその匂いからこちらが「格上」であることを察知してよほど耄碌していない限りみすみす死ににはこないだろう。それゆえに水の調達が容易である反面、いざという時の逃げ道が自然とひとつ塞がれる格好になる川沿いにあえて腰を下ろすことを選んだのだが。

 ちょっと平和ボケしすぎたかしらね、と心の中で呟き、慣れた手つきでゴーグルを着用しつつそれまで根城にしていた大木の枝から音を立てずにするりと降りていく。狙撃手としては上を取った今の状態から枝葉に身を隠しつつ撃ち抜くのもひとつの手ではあるが、不審者の正体もその人数も知れない以上は広い地上に構える方が何かと都合がいい。彼女の見張りのもとでここまで接近を許した時点で相応の手練れであることは十分に予想でき、だとすると逃げ場の少ない樹上はむしろ不利にもなる。ゴーグルの着用は、種族特性として隠し切れない暗闇で無駄に目立つ両目の光を抑え込むため無意識に付けられるよう体に覚え込ませたものだ。

 

「……」

 

 風のそよぎよりもなおわずかな呼気と共に地面に寝転がって伏せ撃ちの体勢を取り、銃口を向けたまま周囲の土や苔、小さな羽虫や名も知れぬ草木そのものに体内のリズムを合わせて溶け込んでいく。自慢の耳もぺたりと垂らした彼女の姿は、もはや上空を行く鳥が見ても認識されることはない。

 十分溶け込めたと判断し、スコープ越しに野営地に動く影を覗き込み……寝かせた耳が、再びピンと起き上がった。

 

「あら」

 

 夜の空気にさらされて、月の光に照らされて。本人なりに不要な音を立てないように努力しているのであろう、どこかぎこちない動きで川に向かって歩を進める『歌わず』の小鳥に、臨戦態勢間際だった山猫の全身から力が抜ける。

 なるほどよくよく考えてみれば、地上で眠るシュライグ達が跳ね起きることもなく常に(物理的にも)目を光らせていた自分の目に留まることもなくこの野営地に忍び込むのは並大抵の技ではなく、そんなことが可能なほどに凄腕の存在ならばとうの昔にもっとその名が広がっているはずだ。自分を在野の天才や無冠の帝王だと勘違いした者の末路を、彼女は幾度も見てきている。まして、世界ではつい先日まで名を上げるにはもってこいの戦争が起きていたのだから。平和ボケどころかいまだに戦時中の癖が抜けきれていないのかと微苦笑し、ゴーグルをぐいと頭の上にずり上げる。

 そんな動きには一切気付かず、視線の先では少女が小川の傍に屈んでその水面に両手を伸ばしていた。大方眠れなかったのだろうと当たりをつけて、また寝ずの番に戻るべく元の位置に戻ろうと起き上がり……そこでふと気が変わり、野営地の方に向けて歩き出した。あと一時間もすれば、今日もまた日が昇る。どうせ今夜は、もう仲間たちの安眠を妨げるものは何も来はしない。なら、自分にも多少のお楽しみはあってもいいはずだ。

 もう戦争は終わり、少年少女は開かれた世界に飛び出し、ドラグマは自分たちにとっても安住の地と化した。今のうちに復興と平和のリズムに体を慣らしておかないと、あれだけ渇望した時代に今度は置いて行かれてしまう。

 

「……」

 

 元より種族の特性上無音歩行などお手の物であるフェリジットが本気で気配を断っていることにより、野営地に小さく聞こえるのは川のせせらぎと風の音、そして少女が顔を洗うバシャバシャという音ばかり。素直に声を掛けてもよかったのだが、なんとなく悪戯心が湧いたのだ。どう驚かせようかとわずかに思案したのち一歩また一歩と音もなく近づいてこっそりと手を伸ばし、顔を洗うついでに水を飲もうとした少女の耳元で甘く囁くと同時に小さく肩に手をかける。

 

「ぱぁん」

 

 そこからの反応は、まあ見ものではあった。跳ね上がらんばかりの(というか、あの瞬間は間違いなくちょっと浮いていた)驚愕と無音の悲鳴、思考停止と後から押し寄せてきたパニックが後ろ姿だけで伝わってくるような硬直、そしてあらゆる悪い想像が詰め込まれたような絶望を纏ってのおそるおそるなぎこちない振り返り。予想以上の反応に申し訳なさすら抱きながらも、ちょっと舌を出してハーイ、と空いた左手をひらひらと振ってみせる。

 そして、言葉なき少女の返答はどこまでも素直だった。まず、そこにいたのがフェリジットであることがゆっくりと理解できてくると同時にその両目が潤み始める。次いでこれはヤバいかと思う間もなく頬どころかその首元までの素肌が見える範囲全てを紅潮させ、最後に全身をプルプルと震えさせながら向ける無言の視線。そこに非難めいたものが全く含まれていないことが、かえって心の奥底で擦り切れたはずの良心に深く突き刺さる。

 

「あっちゃー……ごめんって、ほら。あー、お姉さんと内緒のお茶会でもしましょう、ね?お詫びに淹れたげるわよ、評判いいんだから」

 

 主に泣く子に、とはさすがに黙っておく。古くは夜泣きするキットや昔の夢を見て汗だくで飛び起きるシュライグ、そして今では鉄獣戦線がここに至るまで抱え込んできた様々な事情から身寄りのないまだ子供の獣人たち。別に特別な道具や技術があるわけでもないのだが、茶葉の分量や沸かす温度など不思議と小さい子好みの一杯を入れるのは昔から得意だった。いざ口を開けばカウンセリングには最も向いておらずその自覚もある自分が一番お茶には強いのだから、運命とはままならないものだと彼女は常々思っている。

 湿っぽいのは、どうにも苦手だ……が、しかし今回に限ればどう考えても悪いのは自分であり、普段そういう場面で直接のカウンセリング役を押し付けているルガルもいまだ夢の中だろう。まだ小さいながらにその喉からは歌を失い、それでも毎日非戦闘要員なりに働きまわっている『歌わず』の少女の頑張りは彼女も承知している。そんな子供を好き好んで泣かせ喜ぶような女に、鉄獣戦線の『仇花』は務まらない。ためらいがちに小さく頷いた少女に、にっこりと微笑みかける。

 

「オーケー。そっちで座ってなさい」

 

 夕飯のため使われた焚火の跡地はとっくに片付けてあるが、朝食用も含め大量に集めた薪はまだ残っていた。その中から何本かを適当に拝借し、近くにあったオイルランタンのカバーを外して軽く火を付け放り込む。まだ東を見ても薄明りすら出ていない闇夜を照らすオレンジ色の光を上からそっと隠すように、川の水を汲んだ使い古しのヤカンが手際よく掛けられた。

 

「……」

 

 言いつけを守りちょこんと小さく座った少女の視線を感じながら、食料用テントに足を向ける。本来は銀蠅対策にキット仕込みの対人感知センサーも付いているのだが彼女にとってそんなものないも同然、隙間からさっと手を伸ばしてほとんど空気すら乱さず目当ての茶葉をくすね盗る。

 しかし結論から言うと、これは彼女のミスだった。ここにいたのが銀蠅上等、盗み食いは見張りの役得と平気でうそぶく戦闘要員ならば、そんな泥棒猫の名に相応しい堂に入った手癖の悪さには拍手すら巻き起こったろう。キットにも発明家としての威信とプライドがあるため、年々巧妙化する手口に対抗して精度を上げ続けていた感知センサーの目を欺ける人材は鉄獣戦線の中でも希少になってきている。

 

「……!」

 

 そして『歌わず』の少女の役職は、後方支援。物資補充や分配作業は当然彼女の分野であり、幾度となく行われた存在するはずの物資が消えている現象には涙目になりながらも頭を悩ませてきた口なのだ。なるほど備蓄の計算が合わないのはこういうことだったのかと言い訳のしようもないほど怒気を孕むじっとりとした視線が、さりげなく顔を背けても背中に刺さる。

 

「…………あ、そろそろお湯が沸き始めたわね?覚えときなさい、うちの男衆は無頓着なのばっかりだから沸騰するまで放ったらかしちゃうけど、これぐらいの温度で入れる方が美味しいんだから」

 

 しかし、今更ここで退くわけにもいかないだろう。完全にいつもの調子で手を出していたつい先ほどの自分のうかつさは恨みながらも、下手に謝るよりも一か八か顔には出さずこのまま強行、流れと場の空気で押し切ってしまおうと彼女もまた覚悟を決める。今回の件だけならばさっと謝ってしまうのもひとつの手でありそれが最善なのはよく理解しているのだが、素人目から見ても先ほどの動作は明らかに手慣れた犯行であり、それを見られてしまった以上ここで自分が折れては一体いくつの余罪が後ろから出てくるかはもはや彼女本人ですら細かく把握しきれていない。

 となれば、ここはスピード勝負。少女とは視線を合わさないままに焚火に戻ると腰を下ろし、注ぎ口から湯気を見せ始めたヤカンを火から外す。同時にティーポットに茶葉を放り込み、横槍が入る前にさっと湯を注ぎこんだ。そのまま軽く振って中身を馴染ませ、自分と少女の前にカップを並べつつウインクしてみせる。

 

「そう固くならないの、かわいい顔が台無しよ?お姉さんと一緒に悪いこと、しちゃいましょ?」

 

 ひゅう、と一陣の風が彼女たちの間を流れ、湯を沸かす役割を終えて純粋な光源になった焚火の炎がゆらりと揺れる。そんな炎の温度にもまるで緩まない視線の冷たさに、自分の浮かべた笑顔が徐々にぎこちなくなっていくのが鏡を見ずとも彼女にはよくわかった。

 

「……」

「……」

 

 お互い時間が止まったかのように固まったまま10秒、20秒。これはもう諦めて素直に謝る方がよほどマシなのではないかという選択肢が現実味を帯びて彼女の頭をよぎるのとほぼ同じタイミングで、しかし先に根負けしたのは少女の方だった。小さな体と幼い顔立ちとはアンバランスに大人びたため息ひとつを合図に、ちょっぴり膨れ面になりながらもともあれ視線を外したのだ。

 紙一重の勝利。むしろいい大人としては敗北している気もするが、ともあれ勝利は勝利である。目の前の少女にはバレないようにほっと息をつきつつ肩の力を抜き、畳みかけるなら今だとの判断に従って片手でお茶を注ぎつつもう片手では見張り中にと腰に下げていた水筒の蓋を取る。ただそれだけで、周囲にふわりと芳醇な香りが広がった。

 

「ブランデーよ。とっておきなんだから」

 

 正真正銘のとっておきは、どうやら少女の興味をうまく引けたらしい。無論相手はまだ酒が飲める年齢ではないことは承知なので、ここは彼女がよく使う手を取ることにする。

 

「お子様にはこれが評判いいのよ……でも、せっかくの女子会なんだし奮発しましょ。これも、みんなには内緒だからね?お姉さんとの、いい女どうしの秘密」

 

 ほのかに湯気を立てるカップの上で水筒を傾けてほんの一滴、炎に揺らめく琥珀の涙が暖かな煉瓦色の液体の表面に波紋を残して混じり合う。次いで自分のカップにも同じような仕上げを施し、中身が混ざりきらないように慎重に持ち上げてそっと香りを確かめる……よし、いい感じだ。

 この飲み方は、間違ってもアルコールに溺れ狙撃や動きの精度が狂うわけにはいかないがそれはそれとして酒も飲みたい彼女が考案したものだ。酒の風味を楽しむことで嗜好も満たしつつ、ほんのわずかなアルコールで体の調子も温める。痛いほど静かな冬の夜に、吹雪吹き荒ぶ山懐に、身じろぎひとつが即戦線全体の崩壊に繋がりかねない緊迫した戦場で、あらかじめ唇を湿らせたほんの一滴の琥珀色がどれほど救いとなったことか。

 ……これを言うと、目の前の少女はどう反応するだろうか?自分の猫舌はよく承知しているためほぼ湯気も出ていない程度の温度のそれになおもふうふうと息を吹きかけながら、ふとそんな考えが彼女の頭をよぎる。素直に目を輝かせて「大人のお姉さん」に対する憧れを見せる……いや、これはさすがにご都合が過ぎるだろう。そこまで子供でいられるほど少女が過ごしてきたこの世界は甘くなかったし、彼女自身でも自分がそこまでの大人だとは思えなかった。ならば、まだ戦闘に明け暮れていた時期の記憶に囚われたままの平和を知らない哀れな女?だとしたら同情にせよ蔑みにせよ……いや、これは自分を恥じようフェリジット。それこそ露悪的にも程があるというものだ。誰にも言いはしないがもう少し、この世界は悪くもないものだと彼女は信じている。子供じみているとは思いつつも、この生来の気質があったからこそ彼女は前を向いて生き抜いてこられたのだ。

 もちろん答えが知りたければ、実際に恐る恐る小さな舌をカップに伸ばす少女に問いかけてみればいい。しかし、彼女はそれをしなかった。所詮は戯れの思考遊びでしかないし、そんな過去もひっくるめてこその今の彼女自身だ。実際にはそう単純に割り切れずとも、少なくとも肉親たるキットをはじめ、鉄獣戦線という群れの妹たちの前ではそう振舞っていたかった。顔で笑って心で泣いて、姉御の立場も楽じゃない。

 

「ふふ、お口に合うかしら?乾杯」

 

 益体も結論もなく漂っていた思考を、きゅっと体に引き戻す。そうしている間もずっと息を吹きかけ冷まし続けていたカップを、そろそろだろうとそっと傾けた。

 ……そして口の中に飛び込んできた予想以上の熱気にむせかけ、しかし強靭な精神力で堪えて余裕ぶってみせる。少女に話しかけると同時にごく自然な動作でカップを地面に置き、さらに半分涙目になった視界をさりげなく手で拭う。

 

「……!」

 

 そして幸いにも、その工作はなんとか実を結んだらしい。もっとも、少女も少女でこの時にはフェリジットの様子に気を配るだけの余裕がなかったのだが。慣れ親しんだお茶の中に感じる、かすかだが確かな未知の味の持つ仄かな背徳感がより一層のスパイスとなり、少女の喉をわずかな後悔といっぱいの高揚と共に後戻りできない一本道が通っていく感覚。まだまだ少ないキャパシティはそれらへの対応で手一杯になっており、とにかく落ち着こうとほぼ反射的に手元のカップからもうひと口を飲み込んだことで余計に脳内が混乱する。

 結果的に少女がようやく落ち着きを取り戻したころには、フェリジットはすっかり素知らぬ顔で今度こそ冷めたカップの中身をゆっくりと飲み干していた。

 

「ゆっくりでいいのよ、別に。お酒が飲めればうちの男衆は……まあ、多少は喜ぶでしょうけど。だからって無理して背伸びするんじゃ、もっとつまらないわ」

 

 酔いが回ったか恥ずかしいのか、あるいはその両方か。先ほどよりも少しだけ頬を紅潮させた少女に笑いかけながらひょいと立ち上がって、大きく背伸びする。

 

「……!」

「あら、楽しい時間はおしまいみたいね」

 

 まるでそれを待っていたかのように、東の空の地平線から鋭く一条の光が差し込んで。くるり振り返った朝日に煌めくその笑顔の輝きは、少女にとってはとても眩しく見えた。

 

「改めておはよう、小鳥ちゃん?次の機会では、また色々大人の楽しみ方を教えてあげるわよ」

 

 

 

 

 

 

 5月10日

 昨日聞いていた通り、今日も一日移動だけの日でした。風とお日様の光をたっぷりと浴びながら歩いているとなんだか眠くなってしまいましたが、多分私がそうだったのはこの陽気のせいだけではなかったと思います。

 ……これは私的なことなので、本当にここに書くのが相応しいのか少し自信がないですが。最近ベッドで寝られる日が多くて野営が少なかったからでしょうか、今朝はいつもより早くに目が覚めました。こんな私でも鉄獣戦線の一員としてどんな場所でもしっかり寝られるようにする心構えを大切にしたいのは山々でしたが、一度意識するとどんどん目が冴えてきてしまい、諦めて起き上がった時にはまだ太陽も昇る前でした。

 でも、おかげでまたひとつ知ることができたこともあったんです。なんだかいけないことをしているような気分になって、少しドキドキしながら小川で顔を洗っていると、いつの間にか後ろにフェリジットさんが立っていました。そして、私の知らなかった大人の世界のお話をしました。まだ私は子供ですが、いつの日か皆さんのような格好いい大人になりたい。改めてそう思える、そんな日でした。

 

・フェリジット、お前まさかだよな?まさかとは思うがまさかだよな?(ルガル)

・どうも今日一日、妙にあの子の頬が上気していると思ったが。爛れたのか(フラクトール)

・アンタらぶっ飛ばすわよ(フェリジット)

・……で、実際の所は?(ナーベル)

・ないわよこんの発情期ども。むしろあの子に手出したら、その股間にぶら下がってるの2つ纏めて鉛玉ぶち込んで取っ換えたげるからね(フェリジット)




残りスケジュール
・デュエルパート
進捗:ぼんやりした流れは見えてきた
・エンディング
進捗:目的地は一応決まってる(変動可能性有)
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